男マンの日記

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藤井健太郎「悪意とこだわりの演出術」意外と堅実な仕事論。製作者として、サラリーマンとして。

今をときめく「水曜日のダウンタウン」、「芸人キャノンボール」でおなじみ。秋からは「クイズ、スター★名鑑」が始まることでお馴染み、TBSプロデューサー藤井健太郎氏の出版した「悪意とこだわりの演出術」を読みました。 

悪意とこだわりの演出術

悪意とこだわりの演出術

 

 構成としては全4章に分かれ、第一章は現在の仕事についてのこだわり、第二章では今までの番組を振り返り、第三章は子供時代、青年時代の回顧録、そして第四章は会社員論、仕事論。最後には付録的に有吉広行との対談が乗っている全四章プラス対談というもの。

第1章 番組作りのこだわり

自分の「好き」と「面白い」を突き詰める/ダメならダメなりの見せ方を/悪意の正体/説明過多は醒める/人一倍高い反省力と心配力 etc

第2章 藤井健太郎 全仕事

限度ヲ知レ/キリウリ/クイズ☆タレント名鑑/テベ・コンヒーロ/あるあるJAPAN/Kiss My Fake/クイズ☆正解は一年後/水曜日のダウンタウン/クイズ☆アナタの起源/チーム有吉/有吉広行のドッ喜利王/芸人キャノンボール2016 

第3章 テレビマンの青春

入社試験で一度は落ちているTBS/お笑いのノウハウを学んだ『リンカーン』/松本人志の圧倒的な打率/溜めこんだ無駄が活きてくる etc

第4章 サラリーマンこそフルスイング

原動力は「見栄」/面白いモノに価値がないと思われるのはマズイ/会議ネタは少なめに/
「やらせ」をするのは平和な番組 etc

対談 有吉広行×藤井健太郎

そもそも「クイズ☆タレント名鑑」、「水曜日のダウンタウン」が好きな私。面白くこの本を読み通すことが出来ました。

自分の中にしっかりとこだわりを持ち、それを細かい部分まで徹底する。そのための選曲、編集、撮影手法の方法論が細かく書かれており、「しっかりと仕事をしているからそれが反映されてちゃんと面白い番組になっている」という当たり前の事実が浮かび上がっていました。

制作しているのが結構尖った内容の番組が多いため、もっとアーティスト的というか、破天荒な人間なのかと思っていましたが、実際ここに書かれているのはかなり堅実な内容。実際、何かを作る仕事をしている人にとってはかなり参考になるのではないでしょうか。もちろん同じ方法がいいわけではないですが、根底に流れている思想的なものはかなり納得させるものが有ります。

ただ、印象に残ったものとしては、橋本真也の「時は来た」の場面で蝶野が吹き出す場面をVTRで流したときに、スタジオゲストで来ていた蝶野が「他の場面で同じように吹き出した場面を持ってきて編集した」といういわゆるヤラセギリギリのエピソード。実際本当に笑っていたんだろうし、番組の趣旨を曲げるようなものではないにしろ、そういうギリギリの所で作ってるんだな、という厳しさを感じたことも確かです。

   

他にも「正直、TV業界の人はダサい人が多いです」とか、なかなかパンチの利いた記述もあり、かなりぶっちゃけた話も載っているところが交換が持てました。 

TV界の裏側エピソードとしても、自身のリンカーンAD時代の話、そこで目撃した松本人志の凄さ、先輩ADから聞いた「これをやれば出来るようになる」という方法など色々あって楽しめます。

 

最後の第四章ではいわゆるサラリーマン論的な話も載っています。これが実際のメッセージになるのかと思いますが、一般的な社会人論というより、会社員という利用してどう生きるか。「サラリーマンこそフルスイング」という章タイトルが全てを表しているこの本。これを「TBSの正社員が書いている」ということを踏まえつつ、彼の番組が好きな人、会社のしがらみに悩んでいるサラリーマン、いわゆる「クリエイター」という職業の方々に一度読んで欲しい本です。濃く面白い本でした!

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ちなみに私が一番「水曜日のダウンタウン」で好きな説は、松本人志がマスクマンになるやつです。

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