男マンの日記

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雲田はるこ「昭和元禄落語心中」七巻を読んで。与太郎、渾身の「居残り佐平次」

7巻を迎えた「昭和元禄落語心中」ここから新しい章に入るので軽くおさらいを。

 
  • 与太郎放浪編(1巻~2巻中盤)

刑期を終えて刑務所を出所した強次、慰問に来ていた八代目有楽亭八雲の落語に感銘を受けて出所したその足で弟子入り志願に。八雲は強次を「与太郎」と呼び住み込みの弟子にする。前座として落語家の一歩目を踏み出した与太郎だが、八雲とともに住む千夏から伝説の落語家「助六」の話を聞かされる。八雲と関係のあるらしい助六の噺にのめりこんでいく与太郎だが、ある日師匠の前で大きな失敗をしてしまい、破門を言い渡される。食い下がる与太郎に向け、八雲は助六との因縁を語り始める

  • 八雲と助六編(2巻中盤~5巻)

時は昭和10年頃、少年菊比古(八雲)と初太郎(助六)は揃って七代目有楽亭八雲のもとに入門。家から追い出された八雲と天涯孤独の助六は盟友として落語に打ち込み二つ目に。七代目が満州で懇意にしていたみよ吉と出会い、別れる八雲。いよいよ真打ちとなった二人だが、助六は七代目と揉めて破門になり、さらにみよ吉と子をなして田舎にひっこんでしまう。探しに行った八雲は二人の娘、千夏と会い、助六を東京に戻そうとするがみよ吉とも再会。悲劇的な結末を迎えてしまう

  • 与太郎再び編(6巻~)

芸を磨き続けた与太郎は真打ち昇進、「助六」を襲名。その頃突然妊娠し、父の名を明かさぬ小夏に向かい、与太郎はその子の親になる決意を告げて結婚。子の親がやくざの親分と目星をつけた与太郎は直談判してケジメをつける。八雲との親子会をやるにあたり「居残り佐平次」を課題に出された与太郎は、自分の落語は何か、助六の落語、八雲の落語について思い悩む。

   

と来ての7巻。この巻はまた6巻から数年経って与太郎の子が登場。凶悪なかわいさを持つこの子信之介、無邪気で人懐っこく小狡いところもあるこの子を育てながら、小夏と楽しい夫婦生活を送る与太郎。そしていよいよ八雲と二人会の日を迎え・・・。

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信之介。小悪魔!

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小夏に落語を勧める与太郎。このあとの小夏のリアクションが可愛らしい。

この巻のクライマックスはなんといっても与太郎こと助六の演じる「居残り佐平次」でした。16ページに渡り与太郎が力演し、観客が魅了されていくさまが描写されています。この作品、これまでもいくつか落語描写がされていますが、ここでの描写は与太郎の置かれた状況もあり、かなり緊迫感溢れるもの。

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親子会に向かう八雲。この後まさかの・・・。

 

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熱演の与太郎。一つの噺でいろんな表情に。

 

時代から遅れていく諦めのある八雲に比べ、今旬を迎えている与太郎の芸が極限状態で花ひらく様が描かれている熱演、熱い展開でした。

この巻は前半で落語の楽しさが描かれ、中盤で怖さが、後半で素晴らしさが描かれるという見事な構成で、いろいろな要素が詰まっている落語を表現仕切っている部分があると思います。八雲と与太郎、八雲と千夏、与太郎と千夏の関係が少しずつ変化していき、ストーリー自体も一つの区切りを迎え、これからどういう方向に行くのか。悲劇的な最後を迎える、呪われた名跡「助六」を継いだ与太郎がどのような人生を送っていくのか。昭和元禄落語心中」これからも読んでいこうと思わせる本でした。

DVD付き 昭和元禄落語心中(7)特装版 (講談社キャラクターズA)

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昭和元禄落語心中(7) (KCx)

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