男マンの日記

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遅ればせながらリコシェVSウィル・オスプレイ戦を見ての雑感。エンタメと闘いの狭間。

諸々話題になっているのは聞いていましたが、先日遅ればせながら5月27日、新日本プロレス後楽園ホール大会で行われたベスト・オブ・ザ・スーパージュニア公式戦「リコシェVSウィル・オスプレイ」を観戦しました。

試合結果・評価について

 

世界トップレベルのハイフライヤー対決として注目されたこの試合、試合自体は16分47秒、コーナーからのオスカッターでオスプレイが勝利。その勢いのまま、ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア優勝を成し遂げました。

sports.yahoo.co.jp

試合後も評判が高く、新日本プロレスも期間限定でYOUTUBE上で動画を無料公開していたほどでしたが、ビッグバン・ベイダーにツイッター上で批判されるなど話題に。ダンスと闘いの境目はどこにあるのか、という論争にも発展しました。

 

試合を見ての感想「酒呑んで騒ぎながら見たかった~!」

私が試合を見ての感想はこちら。実際二人の動きはすごくて、切り返し切り返しでわけがわからなくなるほど。例えが古くて申し訳ないですが、リングスでのハンVSコピィロフの飛び技番みたいな。あの試合も「どっちが攻めてんだー」みたいなヤジが飛んだりもしましたが、この試合もどっちが攻めててどっちが受けてるんだ状態。ウラカンラナとか普通に着地してるし。その他にもスワンダイブのクロスボディ、トルニージョ、リバースフランケンシュタイナーなどの大技が次々と飛び出していく攻防はまさに「ずっと凄い」状態でした。

会場も大いに湧いていましたが、この2人の攻防は「わかっている同士が技を見せ合って盛り上がっていく」という性質のもので、闘いの緊張感で客を惹きつけよう、というベクトルとは少し違うように見えました。これがもっと観客が騒いで盛り上げる環境、例えばアメリカのPWGなどで行われていたらビール飲みながら見る観客のチャントに載せられて大きなうねりを生んでいたんじゃないかと思わせる試合でした。日本でも酒場プロレスなどはありますが、基本的には座ってマジメに見る観客が多いので、そこの齟齬というか、リング上のテンションに観客のテンションが追いつかない部分があったのではないか、と思いました。

多分この試合は大勢で呑んで騒ぎながら「二人共すげー!バカ試合!!」とかいいながら見るのが正しいんじゃないかと。その意味では現状、世界一の試合だったわけで。2人のムーブが凄い、ということに関しては文句なし。ただ凄い試合でした。

試合全体の完成度・構成には難あり。ずっと凄いと飽きる。

私は後日、新日本プロレスワールドで一人で見たわけですが、この試合を冷静に見ると「二人の動きは凄いが完成度の高い試合ではないんじゃないか」と思えてきました。つまり、一つ一つのムーブは凄いんですが、その積み重ねでクライマックス爆発、とまではいっていない。やはりプロレスの試合はフィニッシュに最高の盛り上がり地点があるのが理想なわけですが、この二人の動きが最初から凄いのでフィニッシャーが霞んでしまった。そして凄さに試合中マヒしてしまった、という印象を受けました。

技の凄さで言えば、最初に互いの技を着地しあってポーズを決めるくだり、場外にトルネード式ブランチャからのリバースフランケンを食らったオスプレイがエプロン上の619で返すあたりがピークで、その後も大技は出ましたがフィニッシュに向けてそこまで盛り上がり切らなかった。オスプレイのトルネードキックの当たりが浅かったこともあるかと思いますが、盛り上がり8割くらいのところでフィニッシュを迎えたという試合でした。

   

なんでこうなったか、という理由はいくつかあり、まず

 

  • ずっと凄かったんで最後少し飽きた

まずこれ。惜しみなく2人が飛び、投げ、返し続けた16分。攻防の凄さがずっと一定だったためにフィニッシュ時には観客が慣れてしまっていた。それまでを超える部分を出せなかったというのがありました。ある程度は出し惜しみして、すごい技は後半にたたみかける、という構成であれば少し盛り上がり方が違ったんじゃないかと思います。

 

  • 互いの受けが過剰すぎた

ここらへん好みが別れるところですが、ムーブに入るときに攻め手だけではなく受けても大きく動いて身構える、技を返す時の予備動作が大きいのと自分で跳ぶ系の受け身を二人共使うので、見る人によっては予定調和感というか、協力している感じが鼻についたのではないでしょうか。

 

  • ダレ場がなかった

攻防のない時間帯、例えばスリーパー、逆エビなどでどちらかが攻めて、二人共止まっている時間がなかったので、観客が落ち着いて次を期待するという時間がほぼ無かったのも盛り上がりきらなかった原因ではないかと思います。寝技の攻防は有りましたが、立ち技と同じテンポで互いが切り返しあうためにメリハリが少なく、テンポが一定になってしまったというところがありました。そこも「クライマックスに向けて一気に盛り上がる」という展開にならなかった原因でしょう。

 

というところが、私が「攻勢に難あり」とした理由です。ただこれはあくまで「日本で真剣に見る観客を相手にした場合」であり、ワイワイ騒ぎながら見るのであれば最適。実際「アメリカン・インディーを直輸入」といった趣の試合だったので2人にしてみればこれがプロレスであり、自分たちのスタイル。あとは見る側の好み、といったところだと思います。

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 私が気になるのは、新日本プロレスがこのスタイルをよしとするのか。ジュニアヘビーではアメリカン・インディーマットで活躍する選手たちがどんどん上がっている新日本プロレスですが、新日本スタイルに染まっていない2人の凄い試合をKUSHIDA、田口、ライガーらが違う方向に持っていくのか。それとも新日本プロレスが彼らの色に染まっていくのか。この「リング上のイデオロギー闘争」も注目して今後の新日本プロレスを見ていきたいと思います。

とりあえずオスプレイ優勝おめでとうございます! 

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