男マンの日記

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長与千種がケンカ仲裁で時の人になって考えたこと。女子レスラーが素人に「手を出さない」のは正解なのか。

すでに世間で話題になっていますが、元クラッシュギャルズ、現Mervelous代表の長与千種が19日未明、ケンカを止めた際に男性から暴行を受けながらも女性を救出する、という事件が起こりました。 

 

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東京スポーツによると、19日の午前3時頃ススキノを弟子たちと歩いていると女性の悲鳴が聞こえすぐに警察に連絡。そして警察が来る前に現場に急行した長与たち。そこでは男性に乗っかられている女性が。

長与は男性を引き離し、落ち着かせようとしますがもみあいになり、左手小指を剥離骨折。改めて病院で検査を行うそうです。詳細は長与自身が説明しています。 

 

youtu.be

 

ケガをしながらも、彩羽匠らの弟子には手を出させず、自らも技をかけないようにしたことでケガをしてしまったわけですが、レスラーとして素人に手を出さない、という姿勢は世間から高く評価され、改めて女子プロレスラーのレジェントとしての評価を上げています。長与はそれでもファンに心配をかけたことを詫び、相手を許したい、というメッセージをインスタグラムで公開しました。

 

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長与千種の姿勢は立派だと思います。しかし、クラッシュ・ギャルズで一世を風靡した長与も現在53歳。一般男性とのもみあいというシチュエーションですら指の骨折、という怪我を負っているわけで、他の女子レスラーがこのようなシチュエーションに直面した時に長与のように

「もし、ここで手を出したら全国から来ている(弟子の)子たちの人生をダメにしかねない。先輩から続く歴史を汚してもいけない」と一切の反撃はせず、電流爆破マッチで培ったタフさを武器に防御に徹した。

※東スポ記事より

 という姿勢を貫けるか。貫くことが正解なのかは考えてしまいます。(電流爆破マッチで培ったタフさ、というイジりはともかく・・・。)

 一緒にいた彩羽匠も、長与の「リング以外で手を出してはいけない。殴るより殴られろ」という教えを守ったため手を出せなかったということですが、さすがに専守防衛が過ぎないか。正当防衛の範囲内で相手を制圧しないと自分にも危機が及ぶし、今の女子プロレスラーの強さも千差万別。必ずしも手を出さないのが正解ではないんじゃないか、とも思います。

「ビビット」での長与は同様の状況があった場合「周りに武器がないかを確認。それより先に警察に連絡」と呼びかけ、さらに

「タックルで相手を寝かして、マウントを取り、抑え込む。何も手を出さずに警察の到着を待つのが最善」と話したといいますが、これを男性相手に出来るのは女子レスラーの中でも限られた一部ではないか。軽量の選手だと抑え込むのも難しいですし、一対一にしても相手の体格によっては危険な場合もあるでしょう。

長与の団体、Mervelousでも、若手「素人に手を出さない」ことを守るのは正解なのか。スターダム、センダイガールズ、東京女子プロレス、アイスリボン・・・。今女子プロレスも多団体時代。10を超える団体が日本中にあり、フリーの選手も多い。いざという時に自分の身を守るためならやむなく手を出さないと行けない場面もあるかもしれない。そのときに、「長与は手を出さなかったのに・・・。」というような意識が邪魔すると危険を招くときもあるし、世間がこの事件が起きたことで「女子プロレスラーも一般男性に危害を加えられても手を出してはいけないもの」という認識が広がってしまうと、それに乗じて調子に乗る輩が現れないとも限らない。

いまマスコミがやるべきことは、いたずらに長与を持ち上げるだけではなく、アスリートや格闘家(特に女性)が男性と対峙せざるをえないときはどうするべきか。何が正当防衛と認められるのか。そのような知識を広めることではないでしょうか。

 

今回の件で長与千種の凄さ、プロレスに対するプライドの高さを思い知らされました。また、同時にこのような事態に他の女子レスラーが陥った時にどうするべきか。ある程度業界で共通の認識を持っておくことが必要ではないか、と感じました。色々と考えさせられる今回の事件。今回まとまらない文になってしまいましたが、考え続ける必要がある事件だ、と思いました。 

2017年の女子プロレス入門(仮)

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1993年の女子プロレス (双葉文庫)

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1985年のクラッシュ・ギャルズ

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