男マンの日記

マンガ、落語、お笑い、プロレス、格闘技を愛するCG屋の日記。

6・26 長州力引退試合。引退試合が呼び起こす過去、そして熱狂。長州力の「人間宣言」

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6・26 ついに訪れた長州力引退試合

サムライTVで長州力引退興行「POWER HALL」を観ました。ちなみに残業明けのためメインしか観てないのでメインの感想を記していきます。 

 

 解説席には辻アナとGK、そして特別ゲストの天龍源一郎が並ぶ、まさに「長州力シフト」長州の引退試合は6人タッグマッチ。メインに登場する武藤敬司、越中詩郎、真壁刀義、石井智宏、そして藤波辰爾、最後に長州力がが煽りVで紹介されて、リング上のケロちゃんにスポットライトがパッ、と当たります。

「時は来た」の前口上で超満員の観客がどっと湧き、「1年8ヶ月ぶりの復活」として、ヒザに人工関節を入れる手術後復帰試合となる武藤敬司登場。そして「デーレーレーレーレー」の例のテーマで越中入場。そして例の「移民の歌」で真壁刀義が入場。そして石井が入場してから永遠のライバル、藤波辰爾が白いガウンで入場。

そして一瞬暗転からのパワーホール。大歓声の中、いよいよ現役最後となる長州力入場。リング下の階段でアキレス腱をしっかりと伸ばしてからリングイン。

 

そして再び一礼してからのケロちゃんの口上。

「多くの心をつかみ、走り続けたプロレスラー、2019,6.26 白いリングシューズを脱ぐ時。さあ、見納めだ!45年間のメインイベント!60分一本勝負を行います!」

そして各レスラーがコールされ、もちろん最後にコールされるのは長州力。長州力コールに包まれる会場。レフェリーはもちろんタイガー服部。試合は長州と藤波の先発でゴングが鳴りました。 

   

 

試合開始・次々と自らを「披露」していく新日本レスラーたち

互いに間をとってからガッチリロックアップ。藤波をコーナーに詰めてストンピングを放つ長州、そしてなんと!蹴り返していく藤波の足をとってドラゴンスクリュー!!いきなりの掟破りに会場爆発!すかさずサソリ固めを狙いますがここはロープに逃れる藤波、すかさず武藤にタッチ。いきなり長州飛ばしてくる。さすがテンション高めです。

 

この試合は長州引退試合ですが、同時に手術からの武藤復帰試合でもあるのです。果たして武藤の動きはどうか・・・と思った瞬間、手四つから腕を捻ってからのフライングメイヤーで武藤を投げ、上腕を振り下ろしていく長州。花を持たせない。あくまで自分の豪腕を見せつけます。

 

長州は石井にタッチ、武藤はすかさずリングに降りて一息。ここらへんはベテランらしい駆け引きか、久々の試合で感覚をつかみあぐねているのか。リングに戻るや否や石井にヘッドロックで締め上げられたところをロープに振りフラッシュリングエルボー!しかしこれはかわされ石井にブレーンバスターで投げられた武藤。う~ん惜しい。そして武藤重そう。でもエルボーのモーションだけでも大歓声が起こるのがさすがスター。ここで武藤は真壁にタッチ。石井は越中にタッチし、チョップ合戦、タックル合戦で観客が煽られ大歓声。観客のノリの良さも試合を盛り上げます。

歳取ってもメチャ元気な越中。一度スカされたとはいえ真壁にヒップアタック連打。すかさず長州にタッチするとロープに振られた真壁にバックエルボー。足を持って石井と合体のヒザ攻撃。そして真壁の足を引っ張って越中にタッチ、そして合体の股裂き。なんというか、長州がタッグマッチ定番の動きを一つ一つ消化しているような、それで別れを告げているような時間。立川談志は喋れなくなる前に得意な話を一つ一つ喋って別れを告げていったといいますが、そのエピソードを思い出します。

 

ここで真壁と石井のマッチアップを経て藤波登場。お得意のロープに振ってのスリーパーからのドラゴンスリーパー、と思いきやチンロックから足をとって倒して武藤にタッチ。合体の股裂きからフライングメイヤー、そしてフラッシュリングエルボー!ついに命中!観客大歓声!そしてSTF!術後の経過の良さを見せるように、しっかりと締め上げていきます。しかしここは越中がケツカット!ケツ便利。

武藤は石井をヘッドロックに取りますが石井すかさずバックドロップ、しかし突進してきたところを武藤がドラゴンスクリューからの足四の字!武藤もフルコースを見せる。観客もそのたびにドカドカ湧く。とびきりの懐メロが後楽園ホールに鳴り響く。贅沢な空間が広がっていきます。

そして試合は再び真壁と石井のマッチアップに。タックル合戦、真壁のコーナーパンチ、チョップ合戦からのパワースラム、ラリアット。石井のジャーマン、ヘッドバット。互いに長州力という師匠を前にしながら、最後に目に焼き付けてもらおうとばかりのファイト。新日本でのファイトとはちょっと違う、よりゴツゴツしたぶつかり合いになっているように見えました。

真壁をヘッドバットで倒した石井、一旦越中にタッチしますが、石井自らが真壁をパイルドライバーの体勢に捉え、長州がコーナーに上って真壁の足を掴みハイジャック・パイルドライバー!そして真壁を場外に放り出した越中がランニング・ヒップアタック!「あのころのプロレス」の風景が連発。おじさんへの大サービスタイムが続きます。

 

そしてついに炸裂した長州のリキラリアット!観客大爆発!そしてもちろんサソリ固めに。石井、越中がカットを阻止しますが、なんとか耐える真壁。そしてようやく藤波がカットに入って張り手。いや魅せます。

 

立ち上がった真壁にリキラリアット!しかし真壁倒れない!さすがに現役世代の意地か。もう一度リキラリアット!今度は相打ちになり、真壁は倒れて長州は膝立ちに。そしてここで何が起こるか分かる人はわかると思います、そう、シャイニングウィザードを武藤が放つ!そしてここからサービスタイム突入!

向かってきた石井に武藤がドラゴンスクリュー、そして藤波も手こずりながら越中にドラゴンスクリューからの足四の字!武藤が石井を場外で抑え、藤波が越中を足四の字で釘付けにし、ここで真壁と長州が一対一に。そして真壁が長州に恩返しラリアット!カウント2! 

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そして長州をボディスラムから、コーナーに登った真壁がキングコングニードロップ!カウントは・・・2!弱々しく真壁を跳ね上げる長州。真壁、再びキングコングニー!しかしこれはカウント1で返す長州!しかし起き上がれない長州、3発目のキングコングニー!これもカウント2!よく見たら肩上がってなかったけどカウント2!そして4発目のキングコングニー!今度はガッチリ抑え込んだ真壁、これを流石に返せない長州、1・2・3!真壁刀義、引退試合で長州力から3カウントを奪いました。

 

   

 

試合終了、荷を下ろした長州力がリングを降りる時

寝転びながら表情が緩んでいた長州、水を飲み、藤波に腕を取られて起き上がってから各選手と握手。感極まっている石井。勝利チームが去り、越中も四方に例をしてから去り、リングに残った長州と石井。石井はコーナーに頭を打ち付けてからゆっくりリングを去っていきました。

 

改めて「ファイナルコール」として、リングアナのコールを聞きながらパワーホールに乗せて左腕を高く上げる入場時のポーズをしてみせた長州。会場は大きな拍手に包まれました。

 

この引退試合、後半はやはり長州の限界が見えたと言うか、真壁のキングコングニーを返ずはずが返せないような場面もありましたが、周囲の助けもあり、なんとか乗り切った試合でした。そして観客の大声援が選手たちを後押しした。長州力は昔からのファンに囲まれ、幸せな引退を迎えたと言えるでしょう。

 

しかし、私自身はこの試合に乗っかって感動することは出来なかった。それは、全盛期の長州を見て心震えた、感動した「記憶」がないからだと思います。

 

私自身は40代のプロレスファン。闘魂三銃士世代、四天王世代だったので長州、藤波にそこまで思い入れはないものの、三銃士の壁となって立ちはだかる長州、最初の引退、大仁田との電流爆破で一度も爆破されない長州、WJ旗揚げ戦(会場行ってました。席がガラガラ過ぎて、買った席より高い席に案内してもらった記憶が)橋本真也とのコラコラ問答から、長州のケガによりグダグダになった両国でのシングルマッチ。新日本の現場監督として復帰、永田に「天下を取りそこねた男」という抜群のコピーをつけたシーンなど、なんだかんだで色々と思い浮かぶものはあります。

 

しかし、この日会場に足を運んだファンは、昔の長州に、リキラリアットに熱狂した過去を持つ人が大半なのでしょう。だから今の長州が同じ技をやったときにその記憶のスイッチが入って熱狂できる。今の長州を見ているようで昔の長州を見ているというか。それは武藤にしても越中にしてもそうだったでしょう。

私自身は、どちらかというと長州に挑んでいく橋本、武藤、蝶野に感情移入していたほうだったので、そこまで長州に熱狂していなかった、だから記憶のスイッチがそこまで入らなかったのかな、と思います。そして同時に、記憶によりこれだけの人たちに熱狂を生む長州の凄さを改めて感じた試合でもありました。

増補DX完全版 劇画 プロレス地獄変

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 長州が興したマグマ溢れる団体、WJの顛末はこの本で!もう誰も信じられない!

個人的に、近年の長州に関しては、去年、今年にかけて伊橋剛太を自主興行に呼んで色々上手くいかなかったため罵倒、プロデュース興行なのにもかかわらずあまり選手を知らなかったりといい印象がありませんでしたが、それでもやはり引退となれば一つの歴史が終わった、という感慨がありました。 

otokoman.hatenablog.com

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 最後に奥さんをリングに呼び込み、ハグ&キスで終わった長州。最後の最後に人間、吉田光雄に戻っていった長州。レスラーという衣でガチガチに固めていた長州がはじめてフっと人間になった瞬間でした。長州力がようやく衣を脱いだ。そしてその場面を見せてもらった。長州力の人間宣言。試合については色々考えさせられましたが、セレモニーは長州を見ていて初めてほっとした、そんな引退試合、引退セレモニーでした。

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真説・長州力 1951‐2015 (集英社インターナショナル)

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