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高木三四郎「年商500万円の(中略)グループ入りするまで」一般向けDDTプレゼン本!

高木三四郎「年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで」を読みました。タイトル長い!川田のラーメン屋本もそうですが、最近のこの手の本は死ぬほどタイトルが長い。 

年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで

年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで

 

 ところで表紙に登場してるのは高木三四郎、スーパーササダンゴマシン、男色ディーノ、竹下幸之介、HARASHIMA、坂崎ユカ、中島翔子、裏表紙に山下実優、赤井沙希。ここにも東京女子プロレスの推されっぷりがわかろうというもの。

 

この本は「大社長」高木三四郎の単独クレジットではありますが、実際はライターの原彬氏が高木三四郎をインタビューしていく、という形式で進んでいきます。タイガー戸口、ケンドー・カシンの本の構成などを担当している原彬氏が大社長デビューからDDT旗揚げ、今のプロレス界までを聞いていくインタビュー部分、そしてサイバーエージェント社長の藤田晋、今やAEW副社長のケニー・オメガ、そしてなぜか最近結婚を発表したグラビアアイドルの倉持由香の3人との対談部分でこの本は構成されています。

第1章 サイバーエージェントとのM&A

対談:藤田晋(サイバーエージェント代表取締役社長)

第2章 メディア戦略と文化系プロレス

第3章 両国、武道館、そして東京ドームへ

第4章 エンタメ路線こそ生きる道

第5章 飯伏幸太の誕生と移籍

対談:ケニー・オメガ(AEW副社長)

第6章 新人は入門テストかスカウトか

第7章 東京女子プロレスの旗揚げ

第8章 大横綱・大鵬の孫がやってきた!

対談・倉持由香(グラビアアイドル・尻職人)

第9章 WRESTLE-1の最高経営責任者に

第10章 プロレスの価値観を壊すために

 サイバーエージェントによるM&Aから始まり、DDT旗揚げ、両国ピーターパンという拡大路線から飯伏退団、東京女子プロレス旗揚げなどの紆余曲折まで。この一冊を読むことで、DDTの歩みがだいたい網羅できるつくりに。そして大鵬の孫、納谷幸男が一章を占めているところに大社長の期待がうかがえます。

 

ただ、基本的にビジネス本という体裁であることもあり、別冊宝島的なエグい裏話とか細かいエピソードは控えめ。全体的にきれいにまとめられている、という印象です。言えば「大社長大いに語る、DDTのこれまでとこれから」という感じ。対談形式であることもあり、大社長も盛り上げ上手なのでスルスルと面白く読めました。

例えば路上プロレスでDDTに興味を持ったファンの方、飯伏幸太、ケニー・オメガの古巣ということで興味を持ったファンの方がDDTへのちょっと濃い目のガイドブックとして読んでみてもいいんじゃないでしょうか。

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 ただ、DDT黎明期の細かいエピソードのディティール等に関しては、高木三四郎最初の著書である「俺たち文化系プロレスDDT」のほうが詳しいので、旗揚げ当時について細かく知りたい方はこちらのほうがおすすめ。できればこのタイミングでどこかが文庫化してほしかった。こちらも文句なく面白い本です。

俺たち文化系プロレス DDT

俺たち文化系プロレス DDT

 

 ちなみに、ガンプロユニバースの自分としては、大家健のガンバレ☆プロレス旗揚げについてのアドバイス「やるんだったらとことん新興宗教かって思われるくらいやらなかダメ、「オレが教祖だ」っていう気持ちでやれ」っていう言葉や、今成夢人を「クリエイターレスラー」としてわりと長尺で語っている部分、ぽっちゃり女子プロレスを絶賛している部分などが楽しめました。 

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そして大社長のプロレス観を形作った最初の師匠、高野拳磁のプロレスについての教え「プロレスは雰囲気だ」という言葉には「さすが!」と思ったし、サイバーエージェントへのM&A後に電話報告した際に武藤敬司が言い放った「で、お前、いくらで売ったんだよ」には爆笑。大社長周辺の大物レスラーエピソードはさすがに読ませます。

「プロレスは雰囲気だ」に関してはもはや哲学的ですらある言葉。加えて高野拳磁が言った「パンチとキックだけちゃんとしとけば大丈夫」もうなずかせるものがあります。結局シンプルな打撃技が一番難しいんじゃないか、とプロレスを見ていると思います。

その他にも大仁田厚について、鈴木みのるについてなど、大社長が今まで関わったレスラーについて語っている部分は流石に面白く読めました。その点でプロレスファンには楽しめる本になっていると思います。

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ただ、実際この本がビジネス書として説得力があるか?というと疑問な部分もあります。基本的にデータ的な部分、売上の推移などの数字が乗ったりしているわけでもなく、あくまで大社長の実感や主観に基づくプロレスビジネスの話が多いので、そこは客観的な評価が足りないんじゃないかと思います。

また、AbemaTVとの関係で言うと、わりと企画がスベり散らかして終わった「DDTマジ卍」(タイトル・・・。)の評価とか、DDTとしては入江茂弘の退団についてどう思ってるのか、わりと若い選手が辞めていく問題点についても掘ってほしかったり、今の後楽園ホールの客入りをどう評価するかなど、現在DDTを見ている観客が思う疑問、不満がこの本で解消する、というものではないこともまた事実。正直あの世界一使いにくいDDT公式サイトとかなんでAbemaが作ってああなるのか、と思いますし・・・。

とか色々と気になる所はありますが、なんだかんだでケニーとの対談も良かったし、DDTを作ってきた高木三四郎が今どのように団体、業界を考えているか。新日本プロレス、スターダムに追いつくためにどうしていきたいかなど、 大社長の考え方がしっかりと引き出されているのがいいところ。プロレス団体の社長ってどういう考え方をしてるのかがわかる本として面白く読みました。

年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで

年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで

 

最後の章で高木三四郎は「プロレスは大衆文化としての側面もある。ショービジネスとして成功している新日本プロレスに対して、AbemaTVと一緒に大衆文化としてのプロレスを作り上げていきたい」と話しています。はっきりと「新日本とは違う路線をいく」と宣言しているDDTが今後どういうプロレスをしていくのか。東京女子プロレスを、ガンバレ☆プロレスをどうしていくのか。またじっくりと読み直して考えたくなる。そして時折取り出して読み返して答え合わせしたくなる。この「年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで」そんな本でした。ご静聴、ありがとうございました。

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