男マンの日記

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映画「パパはわるものチャンピオン」感想。ただただ木村佳乃だけ見てました!完璧!(木村佳乃は)

もうすぐ公開終了、ということで「パパはわるものチャンピオン」を見にTOHOシネマズ新宿に行ってきました。この映画は2011年に発売された絵本「パパのしごとはわるものです」とその続編「パパはわるものチャンピオン」を原作として、主演は新日本プロレスの棚橋弘至、奥さん役に木村佳乃、息子役に寺田心、その他にも仲里依紗、大泉洋、大谷亮平らを配して映画化したものです。

TOHOシネマズ新宿では一日一回上映になっていた(10月8日現在)ので、そろそろ見たいという方は行っておかないと映画館で見るのは難しいかもしれません。

 

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この映画をどういう人達にオススメか。まずは棚橋ファン、新日本ファンにはオススメ。この映画、結構プロレスの試合シーンが長尺で入るんですが、試合シーンを演じてる(というか試合してる)のは新日本プロレスのレスラーたち。オカダ、真壁、田口らなので映画館で新日レスラーの別キャラの試合が見れる、というのはお得感ありますし楽しめました。そして試合会場が今は亡きディファ有明なので、ディファを懐かしみたい、感じたいというノアファンの方がいらしたら一見をお勧めします。

また、「プロレス会場行くのはハードル高いけど映画なら」みたいな人にプロレスの入り口として紹介するには適したパッケージなのではないかと思います。1800円だし、映画館なら行きやすいし。

 

   

 

ただ、自分が見て感じたのは、「頑張ってる棚橋」を楽しめる人にとっては楽しめる映画だとは思いますが、そうでなかったり棚橋に特に思い入れのない人にとってはドラマが薄く感じるんじゃないかと思います。棚橋自体の演技が達者でなく、表情の起伏などが伝わりづらいのと、中身に比べて尺が長い。そこはちょっと見ていて残念でした。

 

しかし、なんといってもこの試合、木村佳乃が素晴らしかった。棚橋の奥さん役で登場する木村佳乃ですが、美容院を経営しながら夫を助けて子育てするサバサバ系の奥さんを可愛らしく、かつ強い意志をもった女性として可憐に演じてます。生活感はありながらもだからこそ上品さと可憐さが滲み出ているというか。想定客層が年齢低めだからか、ときどき見せるコミカルな表情もまたかわいらしい。いや、完璧でした。

 

とまあ軽い感想としてはこんな感じで、わりと映画自体は楽しめました。しかし、この映画のプロレス解釈、また棚橋の行動にいまいち腑に落ちないところがあったのもまた事実なので、ここからはネタバレ上等でその部分について書いて行こうと思います。そこ気にしない方だけ読んでください。 

パパはわるものチャンピオン (えほんのぼうけん)

パパはわるものチャンピオン (えほんのぼうけん)

 
パパのしごとはわるものです (えほんのぼうけん27)

パパのしごとはわるものです (えほんのぼうけん27)

 

 原作となった絵本「パパのしごとはわるものです」、「パパはわるものチャンピオン」と映画の間には大きい違いがあります。まあそもそも絵本なので、それが二冊分あろうとも2時間の映画にするのはなかなか辛い。そこで原作に出てこないお母さん(木村佳乃)や、プヲタのお姉さん(仲里依紗)とかを足しているわけですが、ただ追加以外にも、わりと原作を大きく変更している部分があります。それが棚橋演じるパパの造形、心情です。

絵本での「パパ」は丸顔でずんぐりむっくりの優しそうなおじさん。プロレスラーでいうと関本や岡林のようなタイプ。棚橋とは真逆の造形になっています。そして「パパはわるものチャンピオン」では、ベビーフェイスのトップである「ドラゴン・ジョージ」が棚橋そっくりに描かれていました。

 

そして、ここが大きいところだと思うんですが、絵本では、自分の仕事を明かしてなかったパパ、会場で息子に出くわし、自分がゴキブリマスクだとバレてしまった後、笑顔で帰っていく観客達を眺めながら、息子に自分の仕事をこう説明します。

「わるものがいないと、せいぎのみかたがかつやくできないだろう?そのために パパはわるいことをしているんだ。わかるか?」

そして、それを受けた息子が

「わからないけど、わかることにする」

と答えます。この息子の答え、初めて読んだ時、これがプロレスの深さ、グレーゾーンをしっかりと表現していると思ったものです。そして同時に大人の社会というもの、全てが白黒ハッキリつかない部分についても説明している。

 

しかし、映画ではこの説明はされないまま進んでいき、パパ自身も自分がヒールであることに納得がいかない、過去エースだった自分がヒザをケガしたせいでヒールをやらざるをえない、というようなニュアンスで話が進んでいきます。この事自体原作の絵本とは真逆。ヒールという役柄を下に見ているような、頑張ればヒールから抜け出せる、というような描写が続くのです。

そもそもパパ自身がプロレスの「ヒール」というものを受け入れられていないわけで。その後ベビーターンして最後またマスクを被って闘う、結局最後はゴキブリマスクとして闘って息子にも認められるわけですが、最初の「ヒールである自分を認められない」状態から最後の「ヒールである自分のまま闘う」までの棚橋の心の動きの描写が全くないので、どういう心境の変化があったのかがわからない。なんとなくハッピーエンドみたいに終わりますが、自分はそこがモヤモヤしました。

 

また、映画では最後ゴキブリマスクとして正々堂々と闘って負けてしまいますが、原作の絵本ではゴキブリマスクが反則を犯しながら試合に勝ち、観客からものを投げられながら帰っていきます。

「パパは わるものの チャンピオンだ」

「だから せいぎのみかたに かって ゴミを なげられる それで いいんだ」

 

結局、棚橋を主役にしたことでパパのヒール色が薄まってしまい、ヒールでもベビーフェイスでもない半端な存在で終わってしまった。なので、ただひたすら棚橋が悩んで頑張る、という話になってしまった。そこがこの映画の残念なところです。

 

   

 

あとそもそも映画版のパパは息子に一切向き合わず、「パパはわるいからいやだ」、「プロレスやめてほしい」と言われたときもただ「頑張るから」と言って練習するのみ。自分しか見えていないのか・・・。と思ってしまった。なので私はこのパパに一切感情移入ができませんでした。う~ん。残念。

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なんとなく「主役が棚橋なのが全部悪いんじゃないのか」と思ってしまったこの映画。もう少しプロレスについて、ヒールについて繊細に扱ってほしかったな、という感想でした。うだうだいってすいません・・・。絵本はオススメです!