男マンの日記

マンガ、落語、お笑い、プロレス、格闘技を愛するCG屋の日記。

6・5「クローズアップ現代+」木村花について考えたこの二週間。

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木村花逝去、チョコプロ&追悼の言葉

改めて、5月23日に木村花選手が亡くなってから二週間ほどの期間が過ぎました。まさにその日に行われたチョコレートプロレスでは親友の朱崇花選手が試合をし、彼女に言葉を贈りました。

otokoman.hatenablog.com 

フロウリッシュ・フォーエバー

この言葉を天国で、忘れないようにしてくれたら、私も前を向いて、プロレスを頑張れます。

どうか安らかに、天国でもあの素敵な笑顔をもっともっと見せてください

ほんとに大好きでした

ありがとうございました

そして、その次の日、5月24日にサムライTVで放送された「速報!バトル☆メン!」の中で、彼女の逝去について触れた三田佐代子キャスターは番組の中で涙ながらに、このように言葉を述べました

 今回のことが、何か世界を動かすようなことになれば。このような辛いことが起きないようにするための、何かきっかけになるのであればいいなと思うんですが、そういうことがあったからといって花ちゃんが帰ってくるわけではないです。

本当に一人のレスラーとしても、本当に一人の女の子としても、まだまだ生きていて欲しかったなというふうに思っています。

本当に今、いろんな意味で辛いのが無くなっていればいいなと思うんですが、本当に、休んでください。これまで沢山の素敵な試合、沢山の思い出、ありがとうございました。心からご冥福をお祈りいたします

 自分も色々この二週間考えたり、ネット記事など見たりしていました。今まであまり木村花を真剣に追いかけていなかった自分ではありますが、スターダムでの闘いやテラスハウスでの扱い。今回特にテラスハウスきっかけの誹謗中傷が大きな問題となっていました。 

週刊プロレス 2020年 06/10号 No.2067 [雑誌]

週刊プロレス 2020年 06/10号 No.2067 [雑誌]

 

 

テラスハウスについて。出演者、視聴者の言葉

テラスハウスの面白さ、番組内で木村花がキレたことについて語るニューヨーク。この頃は面白として話していて(そりゃそうですが)今こんな事になっている、という予想も誰も出来なかった。そして普通に面白そう。

www.youtube.com

この事件後、木村花、テラスハウス、SNSについて語るニューヨーク。テラスハウス好きな屋敷、プロレスファンとして彼女の試合を見たこともある嶋佐。それぞれの沈痛さ。そして怒りが伺える動画です。

youtu.be

XXCLUB大島のYOUTUBE。SNSの誹謗中傷について突っ込んで話しています。番組側のケアがどれだけあったか、という疑問についても。第一に誹謗中傷が悪いのは確かですが、番組もそこを利用して視聴率を稼いでいたのも確か。ここを我々はどう捉えればいいか。一朝一夕に答えが出るものでもないでしょうが考えさせられます。

www.youtube.com

木村花親子の思い出を話す掟ポルシェ、自らが叩かれた経験について語る吉田豪。AKBの「残酷ショー」的一面からも今回の件について話しています。YOUTUBEの便乗動画についても苦言。

www.youtube.com

同じ出演者として木村花を悼む南キャン・山里亮太。言葉を選びながら、このことを「自分のこと」として話す山ちゃん。彼が責め立てられるのも残酷だし、そこまでのいわれはない、と自分は思います。「一生背負っていく」という言葉も。自分が救われたラジオ、周りの人々、そのような存在が誹謗中傷をしていた人達にあれば、と話す場面も。自らも叩かれ真っ最中だろうに、ここまで山ちゃんが背負わないといけないのか、という疑問もありました。

www.youtube.com

木村花が持っていたレスラーとしての可能性、そしてアメリカでのリアリティ・ショーについて。プロレスラーにとっての「ストーリー」について斎藤文彦が語ったインタビュー書き起こし記事。コロナ禍ではなく、定期的に試合ができていれば今回のような事件は避けれたのでは、という意見も。有料記事ですがお金を払う価値のある記事だと思います。

ch.nicovideo.jp

色々見たり読んだり聴いたり。うまくまとめたり結論を出そう、としてたわけでもない自分ですが、色んな人達の受け止め方を見てないとやりきれない、というところもあった気がします。木村花が亡くなってしまったことには腹が立つし、悲しいし、女子プロレス界を黙ってても5年後くらいには背負っていたであろうスター候補があっさりと逝ってしまった。

しかし、1ファンの自分が何かに対して怒りをぶつけていいのか。誰が悪いのか。

普通にインターネット上の誹謗中傷が彼女が亡くなった大きな原因であっただろうし、番組側もケアを怠っていたんじゃないか。団体も彼女に大きすぎる荷物をしょわせていなかったか。頭の中をいろんなものがぐるぐると回っているような。そんな二週間でした。

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クローズアップ現代+での特集

色々思いを巡らしていましたが、今日NHKのクローズアップ現代+でこのことを取り上げる、ということで番組を見ました。今日から一週間はネットでも見れます。

www.nhk.or.jp

誹謗中傷をした当事者に取材をした、という煽り文句で始まったこの番組。何人かの人にインタビューをしていました。

テラスハウスを見て感じた木村花への怒りをそのままツイッターに書いたという男性、うまく行かない自分を、木村花が叱責したコメディアンに重ね合わせ、自分が叱責されたように感じて怒りをSNSに叩きつけたという男性。彼らに共通していたのは、「成功者」であり「巨大な存在」である木村花に、取るに足りない弱者の自分が怒りを叩きつけるという構図。つまり「強いものいじめ」と言えるかも知れません。

最近ではロザンのYOUTUBE番組でこのことに触れていました。

www.youtube.com

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相手が強いと信じ、正義感もありよってたかって叩く。しかし相手が実は弱いことを知って慌てる。この構図はこの番組でも言及されていました。しかも自分が相手を死においやった、という意識は薄く、「自分は叩いた沢山の人達の中の一人」という意識ものぞくのが厄介というか。普通の殺人事件とは意識が大きく違うのが、この問題を難しくしているように思います。

 

今の時点では、こういう事件をなくすには色んな部分を少しづつ変えて行くしか無いと思っています。ネットの誹謗中傷対策としては法整備。情報開示へのハードルを下げることと実世界と地続きだという意識付け、学校からのネットリテラシー教育。

番組制作側の出演者のケア、訴訟についての協力、バッシングへの対策は今以上に必要となるだろうし、特効薬もないしストレス耐性が人によって違う以上ケースバイケースの対策が必要となってくる。とにかく今回のような悲しい事件を避けられるような努力を。的はずれでない対策を色んな人達が取っていく必要がある。身も蓋もない結論でしょうが、少しづつしか世間は変わっていかない。今回いろんな意見を見聞きして、クローズアップ現代+を見た自分ですが、世の中はガラっと良くはならない。ただ一人のレスラー、一人の女性の未来を我々が見ることはできなくなってしまった。改めて、木村花さんのご冥福をお祈りいたします。

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女子プロレスラー”木村花”

最後にせめて彼女のプロレスラーとしての試合を貼っておきます。表現力豊かで「大きなプロレス」を出来るレスラーだったように思います。此処から先が見れないのは残念ですが、せめて今までの試合を見て、その姿を沢山の人に知ってほしい。そういう思いにさせるレスラー。それが木村花でした。

 

スターダム参戦を果たしたジュリアとのシングル。激戦!

www.youtube.com

木村花&ジャングル叫女(TCS)vs ジュリア&舞華(DDM)

youtu.be

※2020/7/3追記_週刊文春特集記事 

 週刊文春に木村花についての特集が載りました。その名も

木村花さん母が衝撃告白「娘はフジテレビに殺された」

というなかなかショッキングなもの。

内容としては、木村響子の独白が中心。木村花との最後の会話、テラスハウスについての木村花の苦悩、そこから木村花が生まれてからこれまでの人生を振り返り、フジテレビとの契約書についての問題点、スタッフがケンカを煽ったことについて。フジテレビスタッフへの質問、社長への質問、そしてフジテレビへの書面での質問で構成されています。

そして記事は

事件直後、「もっと優しくしてあげられなかったのかな」と自らを責めたという響子さん。だが今、「花のために闘う」と絶望の淵から立ち上がろうとしている

という文言で締められています。

自分も買って読みましたが、難しいのは、この記事で「やらせ」の根拠になっているのが、木村花が語った”「テラスハウス」スタッフからビンタしたらいいじゃんと言われた”というもの。しかし本人はそれは出来ずに苦し紛れに帽子をはたいた、となっています。

これは、番組上でつきあいかけていたコメディアンの男の子が、木村花が洗濯機の中に入れっぱなしにしていたコスチュームと一緒に自分の服を選択して乾燥させてしまい、コスチュームを台無しにしてしまった、という事件後のこと。

ただ、記事後半では友人談として「スタッフからビンタする指示があったと言っていた」とされていますが、状況とニュアンスにもよりますが、このスタッフの言葉を「指示」としていいのか。そして、契約書の問題点についても決定的な法的な問題点はなく、弁護士が「拘束性の高い契約」と述べるにとどまっています。つまり、決定的な「テラスハウス」側の失策をつきつけるまでに至らず、「台本も指示も一切ない」という2015年の番組プロデューサーの言葉を出して「そんなわけないだろう、台本も指示もある!やらせだ!」という構成でした。

 

しかし、これを読んで私が思ったのは、木村響子が週刊文春と「テラスハウスバッシング」をする危うさでした。

正直、私は今まで出てきた情報をもとに考えると、直接的に木村花を死に追い込んだのは「意識の薄いネットユーザー一ひとりひとりのバッシングの積み重ね」であり、「試合がない状況でもろにそれを受け止めてしまった状況」であり、他にも様々な要因が絡み合ったものじゃないかと思ってます。

その中で、「テラスハウス」、「フジテレビ」という巨悪を叩く、という構図は快感を与えるものではありますが、ここについてははっきり悪と糾弾できる要素があるかどうかは難しい。もちろん責任を感じてほしいし、担当してた人間がのほほんと遊び呆けてたらイラつく気持ちもわかります。

しかし、この記事から伝わる「テラスハウス」スタッフの言動は、普段からバラエティ番組やお笑いを見慣れている人達からすると「まああるよな」と思える範囲のように思います。今のようにコンプラが重視される様になる前だったらプロデューサーに呼ばれて「ビンタしなかったらクビ!」みたいな暴言もあったでしょうが、この記事内ではスタッフが匂わす程度。そして、この事件の当時他の出演者の「指示はなかった」という動画も上がっており、この記事はその件を無視することで成り立っているようにも思えます。

どちらかというと今後番組に注力してほしいのは、ネット上のバッシングから演者を守る仕組みの強化であったり、メンタルケアの強化のように思います。

 

ただ、そういう地味な要素は文春のような雑誌でスキャンダル的に取り上げにくいもの。そしてなにより不安なのは、例えば木村花に不利な情報でも、派手な情報が今後発覚した時に文春はそっちに飛びつくだろうということ。そのときに母娘共々名誉が傷つくことにならなければいいなと思います。巨悪を追求するスキャンダル雑誌は決して最後まで木村花に味方するとは限らない。どうか木村響子が冷静に、雑誌側とも距離を取りつつ対応し、傷つく結果にならないことを祈ります。以上、私の読書感想文でした。

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※2020/7/5追記 フジテレビ社長会見 

この文春の記事と似たような内容が週刊誌各紙、ネットニュースに広がり、フジテレビ社長の定例会見でこの件について質問が上がりました。そしてフジテレビ社長の答えは

www.nikkansports.com

「一部報道にあるような、スタッフが『ビンタをしろ』と指示したという事実は出てきておりません」

「入居時に出演者と誓約書があるのは事実」としながらも「使いたい店が撮影許可のない店だった時はスタッフが別の場所を提案するなどのことで、言動を無理強いすることはない」と説明

 と、無難な言動に終始。まあ定例会見なので、ほんとに言わないといけないのであれば個別に会見を開くはず。とはいえ、5月から実情を調査していて7月頭に答えが出てないというのはわりと時間がかかっているので、しっかりとした報告を上げて欲しいところ。そして契約関係、出演者のケアについてのTV業界での一定のルールが出来て欲しい。前向きな形での決着を願います。 

週刊プロレス 2019年 11/06号 No.2036 [雑誌]

週刊プロレス 2019年 11/06号 No.2036 [雑誌]