施川ユウキ「バーナード嬢曰く。」を読みました。
人が本を読もうと思うとき、何を基準に本を選ぶのか。その理由は本当に様々。友人が面白いと言っていたから、王様のブランチで言っていたから、本屋でオススメになっていてPOPも立っていたから、ドラマ化されたから、作者が好きになって他の作品も読みたくなったから、基本的にはその本に興味があって、面白そうだと思うから読む、というのがまあ普通の理由。
ただ、その他に「この本読んだことあるけど○○の影響受けてて○○○だった」とか、「三国志だったら吉川三国志だけじゃなくて陳舜臣の「秘本三国志」と北方謙三の「三国志」も読まないとわかんないでしょう」とか、本を読んだことについて人に言いたい。そして難しい本を読んで自慢したい、ニーチェとかチェーホフとか吉本隆明とか読んだって言いたい、みたいな外向きの動機、いわゆる虚栄心、自己顕示欲を満たすための読書というのもあり、これは本人はあんまり認めたくない理由だと思います。
そしてこの本の主人公はこの「虚栄心」が思い切り全面に出るタイプの読書好き。難しい本を読んだことを自慢したい。さりげなく本の中の「いいフレーズ」を日常で使って感心されたい。カフェの窓際の席でオシャレな本を読んで感心されたい。とにかくとことん本をファッションとして使いたいけど色々上手くいかない女の子。
町田さん。こんなことばっかり言ってる女の子。
それを見守りつつ、クールな突っ込みを入れる遠藤君。基本的にお話は町田さんと遠藤くんのかけあいで進みます。
意外にピュアな遠藤君。そして「恋空」へのナチュラルな見下し。
そして途中から本当の読書マニア、神林さん登場。能書きばっかりで全然本を読まない町田さんとのかけあいが面白い。この人が出てきてから「SFあるある」「読書あるある」の割合が増えてきたような。本好きの心の叫びが面白いです。
見も蓋もない正論。
このように本に対する赤裸々過ぎるフレーズの連発。私はSFはあまり読まないので分からない部分もありましたが、分からないままでも共感して笑える部分が沢山あって楽しめました。本を愛しつつ憎む。それが読書好きの魂。いや~、面白かった。
このコマが一番好きでした。なんかわかる。
2015/07/29追記
というか、知らない間に2巻が出てました。
読んだらまた感想書きます。
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