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男マンの日記

マンガ、落語、お笑い、プロレス、格闘技を愛するCG屋の日記。

映画『バケモノの子』を見て、「細田守は宮﨑駿だ!」と確信した瞬間について。

『バケモノの子』を見ました。『時かけ』のオールナイト上映(細田守版と原田知世版の上映&デジモン劇場版上映&細田守トークショー、という組み合わせだったと記憶してます)を見に行くくらいのファンである私ではありますが、今回の感想としては「普通におもしろいけど、なんかスルっと見れてしまった」という感じでした。夏だけにところてん感覚というか。

バケモノの子 オフィシャルガイド

バケモノの子 オフィシャルガイド

 

 今回特にそうですが、主人公にとっての敵と味方をくっきりと分け、敵の事情や心情にはあまり踏み込まない。掘り下げない。人の闇についても絵的な見せ方に終始していた印象があります。個人的には細田守ってあまりそういう部分に興味が無いというか、深く掘らずに目に見えるディティールを細かくなぞっていきたいタイプなんじゃないかなと思ってます。(ワンピースの劇場版見てないんでそこらへんあんまり言い切れないですが)今回特に劇場作品ということもあり、全体的に分かりやすくすることに腐心しているようにも見えました。

 

ただ、一箇所個人的に「おっ」と思った部分がありました。それは映画冒頭、主人公の九太が夜の渋谷をさまようさまが街の各所に設置された防犯カメラで映されるシーン。ここでは両親がと別れて天涯孤独になり、誰も味方が居ない、冷たい街中をさまよう九太の孤独さ、世間の冷たさを表すためのシーンではあるのですが、結構執拗に監視カメラでの映像が挟み込まれます。そこで私がふと思い出したのは「KAMINOGE」vol25掲載の鈴木敏夫インタビュー。

 

映画「夢と狂気の王国」公開時に行われたこのインタビュー。格闘技雑誌らしく、鈴木敏夫のプロレス話(フレッド・ブラッシーが凄かった、とか)から入るのですが、自然と話題は宮崎監督とのプロデューサーとしての付き合い、という話に。そこで「風立ちぬ」の話から段々「宮崎監督のエロス」的な話に。

鈴木:例えば『天空の城ラピュタ』でね、ラピュタの近くまで行って、シータとパズーが狭いところで2人で顔を覗くシーンがあるじゃないですか?なんであそこあんなに狭いのかって(笑)。それは「くっつけよう」っていうだけでしょ。そのへんのカジノに行ってそういうことやるってのは「いかがなものか?」と思うでしょ。

ー:常に抱き合いますよね。

鈴木:『ハウルの動く城』なんかもね(中略)いろんな作品でそういうことがあるんですけれど、「まいったな」と思ったのは『千と千尋の神隠し』。要するに一家でクルマを運転してたら門のところに来るじゃないですか。それで不思議の街に入り込むでしょ。そしたらお父さんとお母さんを豚にしといてね、彼女が街をウロウロするでしょ。あのときのカメラ位置。「俯瞰」なんですよ。彼女の目線では自分がどこにいるかわからないから、焦ってグルグル回るわけでしょ。それを全部俯瞰で追いかけるんですよ。あれってなんですか?

ー:ストーキング的な視点ですか?

鈴木:江戸川乱歩でしょう!ボクは「こんなものを世に出していいんだろうか」って思った。だって公序良俗という観点から言ったら「いかがなものだろうな」って思いましたよ。あの目線ってそれでしょ。簡単に言うと、いたいけな娘を閉じ込めておいて、それでみんなでいびって上からカメラで撮ってるってことでしょ?だからカメラのポジションって怖いんですよ、その人の本質が出ちゃうから。

ー:見たいものをどう見るか、という。

鈴木:そう。凄いんですよね。あと『耳をすませば』のときもまいったですね。(後略)

   

 まさにここで語られる『千と千尋の神隠し』での「俯瞰の視点」この九太が渋谷の街を走り、それを防犯カメラが捉えるシーンが私の中で重なったのです。宮﨑駿にとっての千尋が細田守にとっての九太なのかと。ハヤオにとっての少女が細田守にとっての少年なのかと。宮﨑駿がロリ好きで細田守ショタ好(以下略)

まあ、あくまで個人的にですが、「つながった!」みたいな気持ちよさがあったのもまた事実。 『サマーウオーズ』のカズマ、『おおかみこども』のオオカミ少年など、健全な大作映画の中に時折「濃い部分」を見せる細田監督ですが、無意識にこういう部分が漏れだしていると考えるとほっこりするものがあります。鈴木敏夫が見たら「こんなものを世に出していいんだろうか」と言うのだろうか。興味があるので誰か鈴木敏夫に「バケモノの子」を見せて感想を聞いて欲しい、そしてその感想をこっそりと教えて欲しいもんです。

KAMINOGE vol.25

KAMINOGE vol.25

 

「KAMINOGE」の鈴木敏夫インタビュー、この他にも面白い部分満載なのでジブリ好きの人は読んだほうがいいと思います。鈴木敏夫のアクの部分がしっかり載ってて読み応えありました。「風立ちぬ」の見方変わるんじゃないでしょうか。 

 

一時期ジブリで宮崎監督の後継者になると目されていた細田監督。今は大分離れたところを歩いているように見えますが、こうして宮崎監督との共通点が浮かんだりすると、見てる側としてはワクワクするものがあります。映画の公開規模としてはどんどん大きくなり、メジャー街道を突き進んでいる細田監督ですが、作品としては薄味になっているのもまた事実。自分の濃い部分を見つめなおして凄いのをまたドカンとぶっ放して欲しいものです。期待してます!

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 でも一番好きなのやっぱりこれ。

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