発売からちょっと経ってしまいましたが、ようやく文藝別冊「ゆうきまさみ 異端のまま王道を往く」を読みました。ちなみに私の「ゆうきまさみ歴」は「究極超人あ~る」から始まり「機動警察パトレイバー」この頃まではサンデー読者だったんですが定期購読を辞めてしまったのでしばらく離れていました(ただ、ニュータイプ連載の「はてしない物語」の単行本は買ったりしてました。そして最近「でぃす×こみ」で相変わらず面白いな、と。そういう感じですね。
ゆうきまさみ 異端のまま王道を往く (文藝別冊/KAWADE夢ムック)
- 作者: ゆうきまさみ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/06/29
- メディア: ムック
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Amazonより
【主な内容】
■ゆうきまさみ 3万字ロングインタビュー
■描き下ろしマンガ「1分でわかる ゆうきまさみ」
■1985年発表、単行本未収録マンガ「SHIGEKIほ・し・い?」
■1979年発表、幻の同人誌作「無益超人どコンジョー3」
■『白暮のクロニクル』丸ごと1話分のネーム公開
■高橋留美子、安野モヨコ、藤田和日郎、とり・みき、出渕裕、
高田明美、こざき亜衣、松浦だるま、吉田戦車、小川一水、森博嗣、
京極夏彦、前田司郎(※登場順)による寄稿
■スペシャル鼎談
【PART 1】羽海野チカ×荒川弘×ゆうきまさみ
【PART 2】とまとあき×川村万梨阿×ゆうきまさみ
■片桐仁[パトレイバー]を語る
……その他、仕事場訪問、パロディ解剖、脇キャラ名鑑、詳細年譜、作品リストなど、
資料的にも超充実の内容です!
3万字インタビューはさすがの情報量。主にゆうきまさみの作劇法についての話が多く、「三谷作品のような群像劇が好き」、「シチュエーションのない絵は描けない」など、あくまでマンガ家としてのゆうきまさみを描き出していきます。
絵を突出させて印象的な場面をどーんと描くというわけではなく、あくまでシチュエーションの積み重ねで場面を描いていくというゆうきまさみの考え方は、じっさい作品を読んでると「なるほど」と膝を打つ納得感でした。
そして羽海野チカ、荒川弘との対談。ここでは羽海野先生のキュートさが炸裂。作品を描く量の話になり、(コンスタントに描いているゆうき、荒川と自分を比べてふがいなくなり)「喉を掻っ切りたくなってしまいます」という表現、アシスタントに「私達は料理しないので料理は描けません、先生が全部描いてください」と宣言された話(アシスタントって・・・。)など、相変わらずのすべらない話っぷり。羽海野先生ファンの方はこの対談のためにでも買う価値あると思います。
その他にも、先の対談ではあまり言及しなかった画についてのこだわりの話など、ゆうきまさみ自身もノッて話していて面白い対談になってます。
他にもゆうきまさみ仕事場公開、過去作掲載、とまとあき、川村万梨阿(!)との対談などあり楽しめました。(貴重な落書き帳の画も大量掲載。このページももっと鮮明な印刷で見たかった)個人的には出渕裕、高田明美の画はカラーで見たかった、というのと小説家の寄稿は普通のファン目線とあんまり変わらない深さだったので不要かな、と思ったくらい。ファンとしては読み応えのある本でした。
これから漫画家を目指す、という人にとってもこの本に描かれているゆうきまさみの考え方は大いに参考になると思います。他の作品を読み自分より優れた部分を見つめ、自分の武器を磨き、自分なりの方法論を深めていく、これがゆうきまさみが今まで生き抜いてきた理由なんだろう。そう感じさせる本でした。
とりあえず最近作の「でぃす×こみ」は力の抜けたギャグで面白かった。オススメです。