男マンの日記

マンガ、落語、お笑い、プロレス、格闘技を愛するCG屋の日記。

4・12DDT後楽園大会 中指立て、全裸ムーンサルト、ポロリもあったKO-Dタイトルマッチ。ディーノ壮絶に散る!

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ディーノ後楽園に立つ!秋山準との闘いの意味するところとは

4月12日、KO-D無差別級チャンピオンの男色ディーノと秋山準のタイトルマッチが行われました。

そもそも「DDTのアイコン」と呼ばれ、その男色スタイルでもう20年ほどDDTで闘ってきている男色ディーノ。KO-D無差別級王座にも2005年、2012年、2018年に2回と計4回輝いている実力派。あくまで男色ムーブにこだわり、普段のスタイルのままタイトルマッチに挑んで勝ちに行くことにもこだわっています。

その硬軟取り混ぜたスタイル、いざとなったときの引き出しの多さ、そしてマイクの巧みさ。飯伏幸太、ケニー・オメガを輩出したDDTですが、ある意味男色ディーノこそがDDTをDDTとたらしめてきた、と言えるでしょう。

 

しかしながら、最近のDDTはエンタメより、よりアスリート寄りになっていっているのもまた事実。そしてエンタメにしてもわかりやすいゲイキャラ、イロモノのディーノより、DDTサウナ部やひらがなまっするのようなキラキラしたエンタメ路線に進もうとしているように見えます。それもあり、ディーノにしても平田、大鷲にしてもアントーニオ本多にしても前半戦を闘うことが定番となり、「わかりやすいお笑い部門」を担当することが多くなりました。

そんな中、カルッツかわさき大会で遠藤哲哉のベルトに挑戦する秋山準のツイートに噛み付いたのがこれ。

秋山が「プロレスの本道」というなんというか、王道って言いたいけど言えないみたいな、ジェネリック王道みたいな空気のキャッチフレーズを出してくる中、ディーノがきっちりそれを否定。それもあり、秋山準が遠藤哲哉からKO-D無差別級のベルトを奪取、樋口和貞から防衛を果たした 3・28後楽園大会で秋山がディーノを指名する形で4・12後楽園でのタイトルマッチが決定したわけです。そして、それを受けてタイトルマッチ直前のディーノのツイート。

秋山準が「伝統的なプロレス」を引っさげてDDTに上陸してきたところに、今や時代遅れになりかけているイロモノ、ゲイレスラーというギミックを背負い、今までのDDTも背負い込んで立ち向かおうとしている男色ディーノ。それは乗っからざるを得ない。今までの遠藤哲哉、樋口和貞がDDTなりのアスリート的なプロレスで秋山に立ち向かったとするならば、ディーノはDDTならではのエンタメも込みで秋山準の王道に立ち向かう。ある意味秋山準にとってこの試合こそが初の「DDTの洗礼マッチ」結果的に全日本プロレスに背を向け、DDTを選んだ秋山準の覚悟を試される一戦となりました。

   

泣かせる煽りV。キーパーソンは大石真翔!

 熱戦だったセミファイナルが終わって迎えたメインイベント。今回の煽りVも素晴らしかった。前回の秋山VS樋口の煽りも樋口のDDTへの思いが伝わってよかったけど、今回もディーノの歴史、DDTを「漫画雑誌」に例え、秋山を「ワンピース」に、自らを「珍遊記」に例える。今秋山が表紙を飾っているのは「気に食わない」全力で中指を立てていくスタイルを貫くディーノに期待感がアガっていきました。そしてキーパーソンはこの人。両者の片腕として信頼を受けている大石真翔。ちなみにディーノの前でも勝者を秋山準と予想した大石。

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ディーノに「私がもし勝ったらどうする?」と詰められた大石。しばし目を瞑って考えた後に一言。

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最近涙もろくなったのか、ここでウルっときてしまった私。現在秋山準のユニットに所属し、秋山勝利を予想し、望む大石ですがディーノが勝ったら喜ぶ。二人の関係性が伺えるシーンでした。ここんとこ連続で煽りVに泣かされている気がする。DDT映像班、さすがです。

しかし一つ気になったのは、ここでディーノは自分の話、自分なりのDDTへの思い入れを語っているのに比べ、秋山準はジャイアント馬場の名前を出し、「馬場さんがこの試合で満足してくれるか」という話をしていたこと。DDTでの秋山準はあくまで「ジャイアント馬場込み」というか、「王道」をDDTに注入するという役割を期待されているにせよ、秋山準本体の主張はどこにあるのか。人生ごとぶつけてくるディーノに対し、あくまで今までの経験、メジャー出身の規律をもって闘う秋山。ますますディーノへの思い入れが深まる煽りVでした。

   

いよいよ開戦!秋山準VS男色ディーノ!炸裂し続ける男色殺法

そしていよいよ入場。リングアナが「本日の男色ディーノは気合が入っております!気合のあまり中指をお客様に立てることがありますが、お客様も中指を立て返してください」という異例のアナウンス。コロナ禍の中、ディーノの観客へのキスも難しくなってこの入場に。まさかのコロナの影響がこんなところにも。

そして観客にひとしきり中指を立てた後に後から入場した秋山にもこのポーズ。そしてそれを受け流す秋山準。いきなりここから闘いは始まっている風情。まずはホームのディーノが観客のハートを掴んだ状態から試合開始です。 

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 そして試合開始と同時に握手を求めるディーノ、応じた秋山の手の甲にキス、動揺した秋山にすかさず急所トラースキック、ゲイ道クラッチで抑え込む!カウント2!

セコンドのマッスル坂井「万策尽きた~!!」

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それからも男色殺法全開で秋山を攻め込んでいくディーノ。場外戦でヒザを叩き込み、リング内でも尻を蹴り飛ばしたりと非情に攻め込み、シリアスな闘いに持っていこうとする秋山ですが、パンツを掴まれて追いかけられ、猪木アリ状態から寝技に誘い込まれたあげくにパンツに手を入れられ、ディーノのペースに持ち込まれてしまう。この闘い、もちろん試合の勝敗はもちろんですが、試合の雰囲気をどちらが掴むか。ヘッドコーチでもあり、「王道」を背負ってやってきた秋山にはそこも問われるこの一戦でした。

しかし、ディーノの男色殺法は雰囲気を和らげる「にぎやかし」では決してなく、その男色技だけでプロレスを構築できる幅の広さを持っています。寝技、投げ技、飛び技と、普通のシリアスな技ではなくオリジナルの男色技で構築していくことができる。そのことによって、試合の流れはシリアスではあるけれども中身は男色殺法、というディーノにしか出来ない試合を作り上げられる。その沼に秋山は徐々にはまっていく、自らはまりにいった節もありますが、その余裕をディーノは奪っていきます。

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その後もリップロックを松井レフェリーに誤爆したあとすかさず秋山へ股間蹴り。地獄門の構えでこの試合のキーパーソン、大石真翔を呼び込むもこれは拒否され、三角絞めの体勢に入りパンツを脱いでいきます。

そしてここから急に中継のカメラが引きが多くなり、「なにか」を明らかに警戒しているアングルを選ぶように。解説陣にもにわかに緊張感が漂い始め、当初とは違うシリアスさに。これが男色マジックなのか。全裸になった両国では「いろんな大人に怒られた」らしいディーノ&DDT。どんどんノってきます。

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そしてこの試合、解説陣もいつもより磁場が狂っていたらしく、ディーノが秋山の股間をタッチしたときに

村田アナ「あ、触った。免疫はほぼゼロですね秋山選手」
三田さん「意外と初々しいですね反応が」

と、三田さんがなぜか手厳しい事を話していたり、男色ドライバーについて小佐野さんが思わず

小佐野さん「まあ、男色ドライバーはパンツで目を見えなくされて落とされる技ですからね」

と必要以上に真面目に解説したりと「男色流」シリアスさに当てられていたような気がします。

その後、秋山に攻め込まれたディーノが映像班に声をかけると会場が暗転。秋山に語りかけるディーノの映像が流れるまさかのマッスル演出(そのスキにディーノが脱出)

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ゴッチ式男色ドライバーからムーンサルト連発、そしてパンツを脱ぎ去り、股間にパンツを挟んだ状態でのムーンサルト!しかしこれは避けられる!そして避けた秋山準がディーノの股間を見てしまい、思わず顔を伏せる!

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しかしこれによってパンツを股間に挟んだディーノは身動きが取れなくなってしまい、秋山の膝蹴り連発、食らっても食らっても返し続けるディーノ、起き上がってこのポーズ!かっこいい!(全裸だけど)

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膝サポーターを外してのランニングニーも返し、エクスプロイダーも返し、そしてリストクラッチ狙い・・・からの股間を掴んでのエクスプロイダーでカウント3。男色ディーノフルコースを食らった秋山ですが、なんとか股間を掴んで投げるというフィニッシュで勝利を収めました。

   

男色殺法をやりきったディーノ。沼にはまった秋山。

 こうして勝利を挙げた秋山準。しかしこの試合、結果的にほぼディーノの世界だったように思います。もちろんディーノの今までの試合と違ったのは「全日本出身の」秋山準と闘ったことであり、そのおかげで週刊プロレスの表紙になったのは確かです。

この試合での秋山準はどうしても男色殺法の「受け手」だったこともあり、また最初から秋山がディーノへのリスペクトを表明していたこともあり、「男色殺法は絶対に許さない」というようなイデオロギー闘争にもならなかった。今回の試合では秋山の役割はあくまでジャイアント馬場の「王道」に依拠していて、「男色VS王道」という構図を作ったこと、メジャー出身で王道を背負っている、というのが今回の秋山準の最大の「必殺技」だったように思います。

お笑いのセオリーで言うと、ツッコミはカタいほうが面白いし、秩序に反逆の姿勢を示すにしてもその秩序の壁が大きいほど反逆する側が「立つ」というのはこの試合を見て思いました。ディーノが遠藤や竹下とやってもやはりある程度身内なわけで、「そもそも本気で怒られて潰されないか」という緊張感は今回の秋山戦には及ばなかったはず。その緊張感を見事に自分の世界を作るために利用し、後楽園を自分の色に染めて週刊プロレスの表紙にもなった。これは「秋山準」なしでは出来なかったことでしょう。 

週刊プロレス 2021年 04/28号 No.2118 [雑誌]

週刊プロレス 2021年 04/28号 No.2118 [雑誌]

 

しかしこの表紙を見て私は思いました。なんでディーノの「裸」が表紙じゃないんだと。全裸ムーンサルト表紙しかないだろう!と。ちなみに2018年、両国で全裸になった時の表紙はこちらです。 カリスマ!

週刊プロレス 2018年 11/07号 No.1982 [雑誌]

週刊プロレス 2018年 11/07号 No.1982 [雑誌]

 

 そして秋山もこんなツイート。個人的には秋山には男色殺法を受け入れず、とことん敵対しててくれたほうが面白いと思いますが、これからも沼にハマる覚悟は見せた秋山。ディーノの執念が通じたとも言えるでしょう。

ただ、自らの人生、スタイルを賭けて勝ちに来たディーノに対して試合後もジャイアント馬場の名を出した秋山準。このように語っていました。

――ディーノ選手は映像も駆使してきたが。
秋山 まあそれがDDTなんだったら、それはそれで。俺も見入ってしまったし。まあとにかくなんでもやるのが彼。俺はいつも自分のスタイル…本道と言ってるけど、俺のスタイルは全部相手の動きすべて吸収して。馬場さんに教えられたのは相手のいいところを出して、それで撃てと。その初心というか、一番最初の気持ちを忘れずに。彼がそういうスタイルだったら、そこにも踏み込まないといけないし。そして最後は俺の技で勝つ。まあよかった気がする。
――観客はディーノ選手を応援していた。
秋山 それはそれでいいですよ。次のHARASHIMA選手もそうだし、それでいいですよ。俺はそれのほうがやりやすい。普通はみんな応援が欲しいだろうけど、俺は別に100対0でも(いい)。ただお客さんの反応がないのが一番怖いね、シーンと見てられるのが。なんでもいいから反応はして欲しい。

そう考えると、秋山準自身の主張は何なのか。今の秋山は、相手に対応して闘い、最後は自分の土俵で勝つ、という闘いをしていますが、秋山の強烈なエゴも見てみたい。全日本プロレスからDDTに来た時の感情、プロレス人生の終着点はどこなのか。樋口に一喝した怖さ、そのときの苛立ちの感情を叩きつけるさまをもっと見たいと思ってしまいます。なんか「まんざらでもない」感じがあるというか。

秋山準の次の相手は6・6サイバーファイトフェスでのHARASHIMA。DDTの強さの象徴、レジェンドHARASHIMAに対してどう闘うか。もう興味は秋山から誰がベルトを剥がすか、になってしまってますが、その過程でいろんな秋山準が見れるか。「DDTの秋山準」なのであれば、もっと生き様をさらけだし、こっちに思い入れを持たせて欲しい。ジャイアント馬場を背負って、とかではない素の秋山準。それを見れたら私も「DDTの秋山準」を受け入れられるんじゃないかと思ってます。

とにかく今回のディーノ戦は面白かった。ディーノの覚悟と上手さを存分に堪能しました。いや~、ほんとに面白かった。そして感動した。極上の「DDTのメインイベント」でした!今回は以上です!

 

いつかこの本のDDT版も出して欲しい!絶賛発売中です! 

巨星を継ぐもの

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  • 作者:秋山準
  • 発売日: 2018/03/30
  • メディア: Kindle版
 

 私の読書感想文はこちらです!面白かったです! 

otokoman.hatenablog.com