男マンの日記

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9・4 新日本プロレスメットライフドーム大会Day.1 棚橋弘至の癒し空間に包まれた。幸福なメインイベント

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飯伏幸太復帰戦はIWGP・USヘビー級選手権試合&メインイベント!

9月4日、新日本プロレスのメットライフドーム大会、2日連続開催の1日目が行われました。コロナ禍ということもあり全5試合。そのメインイベントは棚橋弘至VS飯伏幸太のIWGP.USヘビー級選手権試合として行われました。

飯伏幸太は7月のシリーズから「誤嚥性肺炎」と診断されて8月は丸々欠場を続けていました。この「誤嚥性肺炎」は、細菌が唾液や食べ物と一緒に誤嚥(嚥下したものが食堂から胃ではなく、口から気管に入ってしまうこと)されることで、気管支や肺に入ることでおこる疾患。主に嚥下機能が低下した高齢者に起こることが多い病気です。

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誤嚥性肺炎を起こすのは、高齢の人や、脳梗塞の後遺症やパーキンソン病などの神経疾患を抱えている人が多いです。また、口腔内に存在している細菌が原因であることが多いとされており、口腔内が十分清潔に保たれていない場合、肺炎の原因となる細菌がますます繁殖し、発症するリスクがさらに高まります。

この病気のため一月以上欠場した飯伏幸太にとってはこの日が久々の復帰戦。しかもメインイベント、タイトルマッチと破格の扱いでした。これは棚橋が飯伏をタイトルマッチの挑戦者に指名したために実現したカード。「ゴールデン☆エース」としてタッグチームを結成していた棚橋が飯伏への想いを表明したことでこのカードが実現しました。

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これは棚橋の飯伏への想い入れもあるでしょうが、もう一つの事情として、新日本プロレスのビッグマッチ事情があったように思います。

この2日間のメットライフドーム興行は、2日間で全10試合(スターダム提供試合除く)、7年ぶりのメットライフドーム進出でした。

タイトルマッチは鷹木信悟にEVILが挑むIWGP世界ヘビー、タイチ&ザックvs内藤&SANADAvs後藤&YOSHI-HASHI、3WAYのIWGPタッグ、ロビー・イーグルスに高橋ヒロムが挑むIWGPジュニア、金丸&デスペがファンタズモ・石森に挑むIWGPジュニアタッグと全て2日目に集中。1日目の目玉として、このUSヘビータイトルマッチ。しかしそれだけでは弱い、ということで飯伏幸太復帰戦をいきなりメインに持ってこざるを得ないという事情を感じます。

復帰戦の飯伏にとってはかなり過酷なハードルではありますが、そこは棚橋の絶大な安定感&信頼感で成立したこのメインイベントだったように思います。

   

涙、そして笑顔のメイン。棚橋弘至の「圧倒的メインイベント力」

スターダム提供試合から始まり、イーグルスとヒロムのタイトルマッチ前哨戦が繰り広げられた第1試合、SHOとYOHの因縁マッチからまさかのSHO、BULLET CLUB入りというドラマが起こった第2試合、矢野のヒールターン(?)が顕になった第3試合、そしてジェフ・コブがオカダを破るというアップセットの起こったセミファイナル。第2試合からセミファイナルまでは試合数が少ないのもあってかかなりこってり風味だったこれまでの流れからメインイベントが開始しました。

煽りVが流れ、二人が入場して対峙した時点ですでに感極まっているような飯伏。試合は今までの二人の対決をなぞるような展開になっていきました。

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ロックアップとヘッドロックの攻防から始まり、棚橋が低空ドロップキックからの足責め、今回はかなりしつこめに責めていきました。インディアンデスロック、ストンピング、飯伏もそれを打破しようとキック連打からレッグラリアットと打撃を打ち込んでいきます。

互いを確かめ合うような攻防からエルボーの相打ち、倒れた棚橋に飯伏が執拗にエルボー連打。ここに飯伏の棚橋への感謝、期待に応えようという覚悟を感じたのは私だけでしょうか。

ここから試合は飯伏のカミゴェをめぐる攻防が軸に。飯伏が度々カミゴェを狙っていくも、そのたび返していく棚橋。ツイスト・アンド・シャウト、スリングブレイドと形成を挽回していくもハイフライフローはヒザで迎撃され、すかさずカミゴェを放つ飯伏。ここは両者ダウンでフォールならずも、もう一度狙っていく飯伏。しかし、掴まれた腕をクロスして防いでいく棚橋。

ここが正念場!と、互いの力がこもった攻防が繰り広げられます。腕を開こうとする飯伏、閉じようとする棚橋、繰り返される意地の張り合い、ここで棚橋が勝ったことで一気に試合が動きます

 

その場で飛びついてのスリングブレイド、このフォールを1で返した飯伏ですが、すかさずドラゴンスープレックス、そしてよろよろと立ち上がった飯伏に向かってハイフライフロー、すかさず倒れた飯伏にハイフライフロー、と畳み掛けた棚橋。この一撃でカウント3を奪い、IWGP.USヘビーのタイトルを防衛しました。

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試合を終え、座礼してリングを去る飯伏。そしてマイクを取った棚橋が優しくマイクアピールを始めます。

棚橋「皆さんが...言えない!代わりに!俺が!言いますね!」

棚橋「飯伏!おかえり!!飯伏!まだまだ、夢の続きがあるだろ!?

棚橋「しっかりコンディション整えて、上がってこいよ!」

飯伏「また!もう一回!試合お願いします!ありがとうございました!」

棚橋「いっぶっし!いっぶっし!いっぶっし!ありがとう!ありがとう!!!」

棚橋「あー、よし、よーし、元気よく行こうか!」

棚橋「7年ぶりに!新日本プロレスが!西武ドームに!帰ってきたぞ!!

棚橋「7年前はさ、俺、メインイベントじゃなかったんだよね。ということは、7年後に、メインイベントをしめる俺、すげー。俺すげー!」

棚橋「皆さん今日一番の拍手を!!!俺スゲー!!雷も応援してくれてますね。というわけで、2DAYS、初日、明日もあります。ありがとうございます。皆さんがね、皆さんが、いつでも新日本プロレスの会場に帰ってこれるように。俺は、リングに立ち続けて、皆さんを待ってます!!よし、長時間ありがとうございました。明日もよろしくお願いします!」

そして一旦帰ろうとしますが戻ってきてエアギター劇場。最後はもちろん「会場のみなさ~ん、愛してまーす!」で締め。多幸感に包まれたメットライフドーム。夜空の中、興行はこうして締めくくられました。

週刊プロレス 2021年 9/22 号 [雑誌]

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多幸感溢れたメットライフドーム。棚橋なりの「プロレスの教科書」

9月4日を振り返ると、印象に残ったのはやはりメインイベントでした。

もちろん、技のレベル、身体能力が高かった試合もセミまではありましたが、観客の心を捉えたのは飯伏幸太であり、その飯伏幸太を包み込んだ棚橋弘至でした。

棚橋弘至もすでに44歳。キャリア的にもすでに22年を迎え、肉体的にはピークを過ぎた状態といえるでしょう。実際、この試合でも出した大技はスリングブレイド、ドラゴンスープレックス、そしてハイフライフローくらい。これから新しい技もなかなか出てこないんじゃないでしょうか。体型的にも適度に脂肪が乗った、年相応の体型に近づいていた用に思います。

しかし、肉体的な衰えに反して観客の心を掴む能力は年を経るごとに上がっていっている印象があります。このあいだの鷹木とのタイトルマッチも負けはしたものの大きく株を上げましたし、レジェンドとして参戦したアメリカでのタイトルマッチでも大きな歓声を受けました。

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今回見ていると、棚橋の表情の豊かさが目に付きました。入場時、リングに上がった燻に対して「大丈夫」とばかりに頷く表情、観客に振りまく笑顔、試合中にはもちろん必死な表情を浮かべますが、試合後に飯伏に語りかける表情、試合後にマイクアピールする表情。身体を張ってきた時代を経て、年輪を感じるというか、人生が現れている表情が人間味を感じさせる。「人間・棚橋弘至」が感動を生んでいる。

人生がそのままプロレスに投影されている。それが棚橋弘至の「プロレスの教科書」なんじゃないか。そんなことを感じさせたメインイベントでした。

 

1976年のアントニオ猪木、1984年のUWF などで知られる柳澤健による棚橋、中邑のドキュメンタリー。読ませます。

今年発売の棚橋弘至自伝。客になかなか認められず、苦悩のエース時代が語られている一冊です。

棚橋出演の「情熱大陸」について。いつものタナハシっぷりを発揮してました

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主演映画「パパはわるものチャンピオン」まあ、演技はアレでしたが良かった

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