日本時間で8月9日早朝、リオ…オリンピック柔道男子73Kg級、女子57Kg級が行われ、大野将平が金メダル、松本薫が銅メダルを獲得しました。素晴らしい!
日本柔道は、前回ロンドンでの男子金メダルなし(金は女子の松本のみ)、という状況を改善すべく井上康生監督のもと体勢変更を行い、ルール対応、対戦相手の分析、ウエイトトレーニング重視等の方針で結果を出してきました。しかし、世界大会で結果を出していてもオリンピックは一発勝負。4年に一回の一発勝負で全てを判断されてしまうのがオリンピック出場選手の辛いところです。柔道くらいのメジャー競技なら、世界大会をもっと追ってくれてもよさそうなものですが。
そんな柔道は3日め。これまでの出場選手は4人共銅メダルを獲得しています。ロンドンの最終結果が金1、銀3,銅3だったのでこの結果は上々。そしてこの日は大野、松本が出場。特に松本は前回金メダルを獲得しているので金メダルの期待がかかります。では松本薫の試合から。
二回戦
◯松本薫 1分19秒 一本勝ち[横四方固め] ✕ズルイアアブゼッタ・ダボンヌ
二回戦で初登場の松本。立ち技で崩れましたが、相手が亀になったところをオモプラッタでひっくり返して上になってからの抑えこみで一本。全く危なげない闘いっぷりで初戦突破。実力差のある相手にラッキーパンチが少ない寝技で勝利。さすがの戦いっぷりでした。
準々決勝
◯松本薫 延長3分50秒 技あり オトンヌ・パビア
しかし一転準々決勝では苦戦。積極的に組んでいく松本ですが、パビアは腕が長く組みながらも距離を取り、組み際の技、試合場隅での巻き込みを交えて松本に効果的な技を出させません。寝技も徹底的に避けるスタンスで、松本はさほど積極的でないパビア相手に延長戦突入。正直指導スレスレの闘いっぷりだったパビアですが、延長3分を超えるまで持ちこたえ、最後は松本の袖釣込腰が技あり。延長戦はゴールデンゴール方式でどちらかがポイントを取るまで継続。指導を受けても決まってしまうのでかなりの緊張感ですが、この延長を3分闘ったのが次の試合の入りに影響したのか。かなりの消耗戦でした。
準決勝
✕松本薫 0分24秒 一本勝ち[背負い投げ] ドルジスレンスミヤ
ドルジスレンスミヤは現世界ランク一位(松本は六位)事実上の決勝か?という空気で試合がスタート。激しい組手争いの中、互いに両袖を持った状態での袖釣込腰での一本負け。鮮やかすぎて一瞬呆然とするような一本でした。素晴らしい一本。これで松本は三位決定戦に回ることに。
3位決定戦
◯松本薫 4分00秒 有効 ✕ 連珍羚
3位決定戦の相手は台湾の連。日本で練習しているという連は比較的オーソドックスなスタイルで立ち向かいます。三角絞めを多用するスタイルで、序盤から何度も下からの三角絞めに持って行こうとする連。しかし松本も冷静に対処し、小内刈での有効を守り切って勝利。銅メダルを獲得しました。
松本薫の、準決勝で負けた後に畳から去るときの何とも言えない表情、インタビューに答える時の困ったような微笑はちょっと見ているものの心に来るものがありました。表彰台では笑顔をみせていましたが、前回の金メダルから今回の銅メダル。複雑な心境だったと思いますが、今回のほうがドラマを感じる大会だったように感じます。
そして大野の試合ですが。
二回戦
大野将平 1分50秒 一本勝ち[横四方固め] ミゲル・ムリジョ
三回戦
大野将平 2分50秒 一本勝ち[内股] ビクトル・スクウォルトフ
準々決勝
大野将平 5分00秒 技あり ラシャ・シャフダトゥアシビリ
準決勝
大野将平 3分57秒 一本勝ち[ともえ投げ] ディルク・バンティヘルト
決勝
大野将平 3分15秒 一本勝ち[小内巻き込み] ルスタム・オルジョイ
全体的に危ない場面はさほどなく、順調に優勝した、という印象の大野。優勝候補の安昌林、デニス・イアルチェフが次々と敗北する、という状況は有りましたが、それに全く動じない強さ。決めたことをやりきる、という姿勢。得意の内股に並び、巴投げ、腰車、そして決勝は小内巻込みという決め技の多彩さを魅せつけたという感じでした。
これで金メダル1つ、銅メダル5つとなった日本柔道。あと4日間を残してすでにロンドンは超えそうな勢いですがあくまでもメダルは個人に帰属するもの。そして何と言っても今年の柔道は面白いので多くの人に見て欲しいところです。深夜ですが。
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