とりいそぎBブロック初日を新日本プロレスワールドで見たのでレポートと観戦記を。なんかとりとめもなく長くなってしまったので忙しい方はそれぞれの試合の最後のところだけお読み下さい。
第6試合 30分1本勝負「G1 CLIMAX 28」Bブロック公式戦
石井 智宏【1勝0敗=2点】
(8分52秒 ラ・マヒストラル)
矢野 通【0勝1敗=0点】
石井と矢野が初のシングルマッチ、というのにビックリ。まずいきなり「ロープロープ」から始まり「またいつもの矢野か・・・。」と思わせるも、エルボーの打ち合いに応じ、ショルダータックルからフロントスープレックス連発、そして再びタックルと真面目に闘う矢野。イスを一旦場外で持つもレフェリーに止められると素直に捨てるなど、生まれ変わったようなファイトを見せる矢野。なんか悪いもんでも食ったんでしょうか・・・。
しかし真面目に闘うということは石井の土俵に乗るということ。チョップでなぎ倒され、踏みつけられて苦しむ矢野。バックドロップで投げ捨てられて苦しむと、限界を悟ったかマンハッタン・ドロップからコーナマットを外しにかかるいつもの矢野。マットを外したポストに石井をぶつけるもやり返され、さらに返し・・。というやりとりから丸め込み連発、あわやという場面を作った矢野。観衆の矢野コールを味方につけ、エルボー合戦では打ち勝ち、石井のジャーマンを食らっても立ち上がりベリートゥーベリーを放つ矢野。スライディング・ラリアットを受けても返して意地を見せるが、石井をレフェリーにぶつけての金的を狙ったところを石井にやりかえされ、苦悶しているところをラ・マヒストラルで丸め込まれて3カウント。まさかの展開で石井の勝利となりました。
「矢野がまじめに試合した」と実況席が驚いてたけどよく考えたら矢野のシングルなんてほぼG1でしか見ないんだし、まあ一年に一回くらいは真面目に試合してもバチは当たらないような気も。あと石井のラ・マヒストラルもなかなかレア。色々とレアな試合でした。
第7試合 30分1本勝負「G1 CLIMAX 28」Bブロック公式戦
タマ・トンガ【1勝0敗=2点】
(14分05秒 ガンスタン→片エビ固め)
ジュース・ロビンソン【0勝1敗=0点】
US王者のジュース・ロビンソン、そしてBULLET CLUB絶賛内紛中のタマ・トンガの試合はじっくりとした腕の取り合いからスタート。ジュースもかなりふてぶてしくタマ・トンガに対抗していき、観客のコールを煽る余裕を見せる。しかしそこに顔を出してくるのがタンガ・ロア。ちょっと手を出す素振りを見せ、ジュースが気にしたところを後ろからタマ・トンガが襲う頭脳プレイ。タンガ・ロアはG1公式戦ずっと帯同するだろうから、ある程度の乱入は折込済みで相手が闘わないといけないのが難しいところ。
しかしそれにもめげず巻き投げ連発でペースを握ろうとするジュースも、タマがドロップキックで場外に落とし、そこをタンガ・ロアが襲撃。リングに戻ったジュースをタマがネックブリーカー系の技で攻め立てて確実にダメージを与えていく。手を踏むなどのダーティー殺法を交えて余裕たっぷりに攻め立てるあたりヒール感強くていい。
しかしジュースもパンチ連発、ラリアット、肩車式のフェイスバスターでなんとか反撃を試みるもタンガ・ロアが再びエプロンに。怒ったジュースがパンチ連打で蹴散らし、タマにパルプ・フリクションを狙うもかわされて必殺ガンスタン!タマ・トンガが3カウントを奪い、幸先良い1勝を挙げました。
セコンドのタンガ・ロアを上手く使った勝利。タマ・トンガはこのBブロック台風の目になってきそうです。そつのない試合運びといい、ガンスタンに入る流れといい、完勝、といっていい内容でした。
第8試合 30分1本勝負「G1 CLIMAX 28」Bブロック公式戦
後藤 洋央紀【1勝0敗=2点】
(13分38秒 GTR→片エビ固め)
SANADA【0勝1敗=0点】
SANADAVS後藤、序盤から場外戦に雪崩れ込む、二人のキャラクターを考えると珍しい展開に。SANADAのエルボー、後藤のチョップの打ち合い、後藤がエルボー、ミドルキック、浴びせ蹴り、バックドロップの連携で攻め立てるも、SANADAも冷静に打点の高いドロップキックからブランチャとらしさを見せる流れで反撃。ここはまず互いに様子見、という雰囲気で徐々にエンジンをかけていきます。
リングに戻ってからのエルボー合戦はさすがに後藤が打ち勝つもSANADAもエルボースマッシュ。しかしロープに飛んだSANADAに対して後藤が牛殺し!牛殺し出すの早いな!しかしSANADAもスカル・エンドをかけると見せて首をかかえたまま振り回し、掟破りの牛殺し!そしてスカル・エンドに!これを耐える後藤、ギブアップ取れない、と見切ったSANADAは一旦技を解いてラウンディング・ボディプレス!鮮やか!いつ見ても美しい!
しかしこれをかわす後藤!対角線を走ってのラリアットを炸裂させると何故か拝みポーズからのミドルキック。しかしこれを掴んだSANADA、ロープの攻防から後ろに回り、ジャパニーズ・レッグロール・クラッチと見せてスタンドでのスカル・エンドの体勢に、しかしこれをこらえ、ブレーンバスターのかけあいから頭突きを食らわせた後藤が裏GTRからの正調GTR狙い。ここはサムソンクラッチで丸め込まれ、セカンドロープからのムーンサルト式スカル・エンドを仕掛けられるもこれをこらえた後藤、ここからロープに足をかけての裏GTR、そして改めて正調GTRを食らわせて3カウント。後藤がGTR,SANADAがスカル・エンドを狙い続けたこの試合。とにかくGTRをかけ続けた後藤がゴリ押しというか、意地で勝利を掴みました。
一方負けたSANADAですが、ムーンサルトで相手の後ろに着地しながら首を捕らえてのスカル・エンド狙いなど、バリエーションに富んだテクニックを披露してくれました。今後の闘いにも期待できそうです。
第9試合 30分1本勝負「G1 CLIMAX 28」Bブロック公式戦
飯伏 幸太 【1勝0敗=2点】
(22分58秒 カミゴェ→エビ固め)
ザック・セイバーJr.【0勝1敗=0点】
ザックを警戒する飯伏、キック狙いで距離を取る展開からスタート。しかし弄ぶように組み付くザック。しかしNJCで翻弄された飯伏、今回は防御を固めて取られないようにしていきます。それでも関節を狙っていくザックですが、飯伏も力比べに持ち込もうとする。フィンガーロックの体勢で締め上げていくザックを巴投げで返し、ローキックの打ち合いに持ち込んでいく飯伏。エルボースマッシュ連打をミドルキック一発で返し、キックからのその場飛びムーンサルト。ザックを場外に蹴り出して三角跳びを狙った飯伏ですが、コーナーから引きずり倒されてヒールホールドを食らうハメに。ここらへんはザックの真骨頂。飛び技までも関節技で返していく、というエクストリームなスタイルに対応した関節技を繰り出せるところがザック・セイバーJrの凄さでしょう。
左足を押さえて苦しむ飯伏に追い打ちをかけていくザック。しゃがみこむ飯伏を上から蹴っていくザック、しかしそれに怒った飯伏がボディブロー。これを海野レフェリーが注意してましたが、新日本はボディブロー反則なのか・・・?この注意は謎です。
場外に蹴り出し、戻ってきたところをインディアン・デスロックからの吊り天井、そして足で首を極めていくザック。しかし飯伏も足を外して逃れ、蹴り合いに持ち込んでいく。こうなってくるとパワーで勝る飯伏。キック一発でなぎ倒し、相手の突進をかわしてフットスタンプ、ドロップキックで反撃。そしてブランチャ。あくまで得意な展開に持っていきます。
しかしあくまでザックはザック。飯伏のスワンダイブをかわし、レッグロックから腕も極めていく。ロープに逃れられるとキック連打、ラリアットで反撃されるもパワーボムはネックロックで返し、オモプラッタのような形で上になって最終的には逆エビで絞り込む。流れるような攻撃を見せてくれるザック。しかしロープに逃れた飯伏、カウンターのパワースラムで対抗。しかしムーンサルトをかわされたところにPKを連発で喰らい、フォールされるもカウント2。飯伏も完全に試合を支配されないように反撃していますが、さらにそれをさせまいとするザック。鍔迫り合いが続きます。
ローキックの蹴り合いを挑むザック。しかし待っていたかのようにキックをキャッチして足をロックしたままジャーマンに。しかしそれを着地した飯伏が掌底でダウンを奪う。
今回は飯伏が仕掛け、ビンタの張り合いに。そしてコーナーに持ち上げてキック。引きずり下ろしてジャーマン。ここで試合の流れを掴みに来た飯伏がカミゴエ狙い。ザックが何とかかわすも飯伏がその手を掴んだままシットダウン式パワーボムに。これを2で返したザックがすかさず卍固め、返されるとコブラツイストからザックドライバー狙い。しかしこれも飯伏が返してジャーマンからバズソー。再びカミゴエを狙うもジャパニーズレッグロールクラッチからのヒザ固めで返していくザック。しかしバックを取り返す飯伏。これもヒザ十字で返されるも再びバックを取り、クロスアーム状態に腕を掴んだ飯伏。そのままクロスアーム式スープレックス、これを2で返されるもその手を離さずについにカミゴエ炸裂!カウント3!飯伏幸太がザック・セイバーJrから勝利を奪いました。
書いててわけわかんなくなる技の応酬。しかし今回はことごとく技を返されながらも攻防の最後には打撃、スープレックスで反撃して一方的なムードを作らせなかった飯伏。そしてカミゴエにいくために両腕を掴んでからの攻防。工夫を見せた飯伏がザックを上回ってみせました。
しかし次やったらわからない、というくらい均衡した試合。ザックもこれで落ちていくこともないでしょうし、二人共完全に優勝戦線に食い込んでくることは間違いないでしょう。プロレスの技の展開を見せる、いい試合でした。
第10試合 30分1本勝負「G1 CLIMAX 28」Bブロック公式戦
ケニー・オメガ【1勝0敗=2点】
(23分19秒 片翼の天使→片エビ固め)
内藤哲也【0勝1敗=0点】
入場時から早くも「入場遅いよ」と時計を見るアクションのケニー。ゴングからの内藤コールですが、ケニーも内藤のアクションをものまねするなど挑発する流れ。しかしすかさずモノマネし返す内藤。ここらへんで心理戦が繰り広げられます。
しかし試合はヒザの悪そうな内藤を尻目にケニーペース。キック、エルボー、バックブリーカー、キャメルクラッチとじっくりと相手の腰を攻め立てるケニー。チョップを食らうとようやく内藤もエルボー、チョップで反撃。ヒップトスからドロップキックといつもの動き。やられつつも要所は締めていく内藤の闘いが今日も繰り広げられていきます。
ここで内藤の時間に。とはならず、ケニーのカミカゼからセカンドロープからのムーンサルト、場外に逃れた内藤ですがエプロンへのバックドロップ。ここでケニーが場外マットを外しにかかりますが、ケニーがマットを持ち上げたところに内藤がドロップキック。リングに上げ、コーナーに座らせたところをロープを利したドロップキックのいつものムーブ。しかしケニーもウラカン・ラナ、場外に逃れた内藤、ケニーが飛ぼうとするところをリングに戻りロープを利した三角跳びDDT。鍔迫り合いが続きます。
しかしケニーが一気に攻勢に。内藤を場外、鉄柵の外に追いやってからのスワンダイブ式ブランチャ。凄い飛距離のブランチャで内藤をグロッキーに追いやります。インパクトある飛び技でペースを握るケニー、違いを見せていきます。
しかし内藤もコーナーから飛ぼうとしたケニーは阻止。雪崩式フランケンを狙うもケニーは逃れ、コーナーに内藤の顔面を打ち付けて高速ドラゴン、サイドに持ち上げてのパワーボム。Vトリガーは一度はかわされますがなんとか後頭部に極め、片翼の天使をねらっていきます。しかしここは逆フランケン・シュタイナーでかわす内藤。決定打は打たせない内藤。雪崩式フランケン、グロリアでフォールを迫るもカウント2。
しかしディスティーノは防がれ、カウンターのVトリガーを喰らうも片翼の天使狙いでケニーが担いだところをかわしてディスティーノ。正調ディスティーノを狙ったところをジントニックで返される内藤。コーナーにもたれかかるところを改めて後頭部へのVトリガーを喰らい、雪崩式の片翼の天使をパワーボムで返してスイング式のディスティーノ!しかしカウント2!
とどめを刺したい内藤が正調ディスティーノを狙うも返されたところを裏投げ。ビンタ、浴びせ蹴り、改めて正調ディスティーノを狙ったところをパイルドライバーで返され、垂直落下式タイガードライバー、Vトリガー、片翼の天使と畳み掛けられて3カウントを許しました。ケニー勝利!
あくまでディスティーノを狙う内藤がことごとく返されて敗れた形。自分から試合を動かしていったケニーに対し、常にリアクションする形だった内藤が気になりました。初戦にしては元気がないというか。ディスティーノも返され続けるのが定番になってきたので、対策が必要な時期なのかもしれません。
内藤さんが非常に素晴らしい試合をやってくれたので、と日本語で話し始めたケニー。内藤が進化していないのが残念、頑張ればこの会社で3番目、私とイブタン(ほんとに言ってた!)と上からダメ出しをして去っていきました。
バックステージでも「内藤はずっとあのスタイル、飽きられている」、「もっと強い内藤と闘いたい」と内藤を煽っていくスタイルだったケニー。なんだかんだでセミ、メインは前の3試合とは違うテンションの白熱した試合だったので、これだけ言う資格もあろう、というもの。それにしてもまだ初日のBブロック公式戦。ブロックごとの完成度の争いもありそうなこのG1クライマックス。落ち着いた、渋めのAブロックと現在進行系の新日本、激しさを見せるBブロック、とテイストの違いも別れてきそう。2日目以降が楽しみになるBブロック初日でした。いや、面白かった!