男マンの日記

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柳澤健「1984年のUWF」を読みました。プロレス団体としてのUWFに迫った力作!

今話題の柳澤健「1984年のUWF」を読みました。一気に読みました。面白かった! 

1984年のUWF

1984年のUWF

 

 目次はこちら

序章 北海道の少年
第1章 リアルワン
第2章 佐山聡
第3章 タイガーマスク
第4章 ユニバーサル
第5章 無限大記念日
第6章 シューティング
第7章 訣別
第8章 新・格闘王
第9章 新生UWF
第10章 分裂
終章 バーリ・トゥード

UWFという団体がどうやって成り立っていったのか、そしてどういう経緯を辿って第一次UWFから第二次UWFに、そしてリングス・パンクラス・藤原組・UWFインターナショナルと分裂していったかをレスラー、フロント、ファンの視点から描いたドキュメンタリー。

日本ではタブー感のある「勝敗が最初から決まっているか否か」にもしっかりと踏み込み、前田日明、佐山聡、高田延彦、アントニオ猪木、新間寿ら、UWFをつくりあげ、翻弄されて散り散りになっていった人々を細かく描写した力作となっています。ゴルドーが前田と闘った時の詳細、ヒクソンが安生を迎え撃った時の談話。まさにUWFが丸裸にされているような印象。

 

私の個人的なプロレス遍歴を書きますと、最初は全日本プロレス、全日本女子プロレスから入り、その後はUインターのファンに。高田VS北尾戦は日本武道館で観戦し、高田のハイキックで北尾が沈んだときにはとなりの知らないファンと喜んで抱き合ったものです。

それだけに安生のグレイシーからの敗戦はショックでしたし、高田が武藤に負けた時、ヒクソンに負けたときも本当に落ち込みました。まあ、今思えば掌で踊りまくっていたわけですが。

その後もリングスは観続け、WOWOWに入り、田村入団により山本とのシングルに燃え、そして高阪がUFCに上がったことに興奮。前田引退に涙しました。 

 なので、直接第二次UWFは知らないのですが、後追いでビデオを借り、週プロのバックナンバーを読んだりして学んだものです。私にとって第二次Uは「学ぶ」ものでした。しかし当時のファンも「学ぶ」ように第二次UWFを観ていたというのがこの本で証言されていました。「格闘技」というスタイルで既存のプロレスからの差別化を図っていったUWFにはどこか「真面目に観ないとダメ」みたいな空気感が漂っていました。

しかしそのUWFが格闘技興行によって追い落とされていく。元UWF系のレスラーがPRIDEに出て負ける、というのを繰り返していくうちに、格闘技に人気が移っていく。PRIDE旋風の片翼を担ったのは明らかにUWF系のプロレスラーでした。桜庭は勝ち続けましたが、安生、金原、田村らが格闘家に負けることでPRIDEはステージを上げていった部分があります。「格闘技」でプロレスからの優位を得たUWFがその「格闘技」にしっぺ返しを食らった時代でした。

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この本が主眼に置き、細かく描写しているのは第一次UWF。政治的な理由で偶然できてしまったUWFという小さな団体が、前田日明というスター候補生、佐山サトルという野心家、藤原喜明という職人らによって小さな渦を起こし、それが段々と広がっていく様は読んでいて燃えるものがあります。そして急速に崩壊への道をたどるUWF。新日への帰還、そして第二次UWF、それぞれのレスラーが全く違う絵を描き、それゆえに一旦団結し、そして別れていくこの人間ドラマ。結果、別れたことでUWFは広がり、格闘技に移行していく。これはプロレス、格闘技の歴史書であり、本当に分岐点となった時期を赤裸々に描いている。プロレス、格闘技、どちらが好きな人が読んでも楽しめる一冊となってます。 

 自分はプロレスをやり、世界の格闘技のショーケースを作り上げた前田日明は今、ドロップアウトした若者たちが集まる格闘技のリング「アウトサイダー」主宰。藤原喜明は猪木のプロレス団体IGFの新プロジェクトに参加。高田はタレント活動をしながら「RIZIN」の広告塔となり、鈴木みのるは「鈴木軍」を率いて新日本プロレスに参加。船木誠勝は電流爆破レガースを着けて田中将人と闘っています。船木・・・?

UWFには色々問題もあり、嫌う向きも多いですが、それでも圧倒的にタレントが揃っていたのも又事実。アクの強すぎる男達がそれぞれの夢を追いかけた季節のドキュメント。面白かったです。 

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