DDTドラマチック総選挙が終了し、10月30日に開票発表が新木場1st RINGで行われました。自分もDDT UNIVERSEで見てたんですが、アクセス数が多かったために繋がらなくなり、急遽Twitter中継が行われました。それほどの注目を集めていたDDTドラマチック総選挙。簡単に結果を振り返っていきます。(DDT公式サイトより)
DDTドラマティック総選挙2018 開票結果
ユニット部門
1位 3,663票 酒呑童子(3)
※酒呑童子は興行プロデュース権を獲得。
2位 3,119票 DAMNATION (1)
3位 2,595票 ALL OUT (7)
4位 1,756票 ジ・コンプライアンス (-)
5位 1,515票 DISASTER BOX (-)
6位 863票 Moonlight Express(-)
7位 536票 豚ing2018(-)
(有効投票数14,065票)※()内数字は去年の順位です
ユニット部門はなかなか勝てなかった酒呑童子が悲願の初制覇。赤井沙希が表彰時に呼び込まれ、酒呑童子の一員としてその努力に感謝されて号泣、といういい場面もありました。正直鉄板でDAMNATIONだと思ってたんですが、去年優勝してプロデュース興行をやってたことで新鮮味が薄れたのか。ALLOUTも三位に入り面目を保った形。ジ・コンプライアンスは肝心のディーノが記憶喪失になったり、ユニット感のある活動が殆どなかったことから下位に低迷。MAOとベイリー2人ユニットMoonlight Expressは豚ing2018のおかげで解散をまぬがれました。ありがとう豚ing、さようなら豚ing
個人部門
1位 1,963票 高梨将弘(4)
2位 1,669票 彰人(8)
3位 1,412票 伊藤麻希(-)
4位 907票 HARASHIMA(2)
5位 853票 佐々木大輔(4)
6位 605票 遠藤哲哉(3)
7位 547票 男色ディーノ(1)
8位 438票 高尾蒼馬(6)
9位 430票 MAO(14)
10位 387票 石井慧介(13)
11位 377票 今成夢人(-)
12位 374票 アントーニオ本多(18)
13位 350票 竹下幸之介(7)
14位 328票 赤井沙希(9)
15位 304票 KUDO(11)
16位 272票 勝俣瞬馬(12)
17位 257票 樋口和貞(21)
18位 246票 平田一喜(20)
19位 243票 大鷲透(14)
20位 239票 葛西純(-)<アンダーボーイズ=11月25日後楽園ホール大会アンダーマッチ出場選手>
21位 238票 渡瀬瑞基(-)
22位 231票 伊橋剛太(29)
23位 224票 大石真翔(-)
24位 200票 上野勇希(24)<惜しくも届かなかった人達>
25位 189票 スーパー・ササダンゴ・マシン(22)
26位 178票 坂口征夫(19)
27位 133票 タノムサク鳥羽(-)
28位 83票 飯野雄貴(-)
※()内数字は去年の順位です
中間発表で独走一位だった伊藤麻希が三位に。一位は高梨将弘。これでユニット部門との二冠。DDTユニバースが選んだのは高梨、ということに。そして二位は彰人。去年八位だったことを考えるとかなりの大躍進。三位以降はHARASHIMA、佐々木大輔、遠藤哲哉、男色ディーノと「いつものメンバー」が並びます。
それ以外では、MAOが去年14位から9位とベスト10入り、そして11位には総選挙初登場の今成夢人が。ガンバレ☆プロレスの存在感を見せてくれました。
スーパー・ササダンゴ・マシン、坂口征夫が選抜落ちするなど世代交代が目立った個人部門。しかしとにかく伊藤麻希三位、がインパクトを残した総選挙でした。
今年の総選挙総括~伊藤麻希に始まり、高梨将弘に終わる~
システム面の変更による票数増加、それによる影響について
今年のDDT総選挙、とにかく有効票数が去年までより大きく増加しました。去年の有効票数が6251票、今年の有効票数が14065票。実に2・5倍になっているのです。これには大きく4つの原因が考えられます。
・選挙期間の長期化
今年の投票期間は9月4日から10月28日までの2ヶ月間。去年は8月25日(8月20日の両国大会から期日前投票が可能)から9月25日まで。選挙期間が倍になったことで票数が増大。選挙運動も長期化していきました。
・飲食票の追加
そして大きかったのが、今年からDDT直営店のドロップキック、エビスコ酒場、スワンダイブでの飲食費3000円で一票を投じることが出来るようになったことです。
去年まではチケット、グッズのみからの投票だったため、会場に行かないファンはなかなか投票しづらかった(グッズ通販でも投票出来たと思いますが、そんなに大量にグッズが欲しいものでもないでしょう)ですが、今年は特に要らないものを買ったり行きたくない興行に行かなくても投票が出来たため、ライトなファン、毎回会場に行かないようなファンでも投票しました。多人数で飲食すると、一人で3000円消費しなくても数票分にはなるでしょうし、投票目的じゃない客もふんわりとした印象で誰かに入れる、ということもあるでしょう。
そして、ドロップキックなどでは選手の選挙活動イベントが行われて売上&集票に一役買うなど選手たちも利用し始めました。リング上での選挙活動が禁止なため、SNS以外で直接集票が期待できるイベントは大きかったはず。10月にはいろんな選手、ユニットがイベントを行っていました。
・両国大会の時期変更
今年の「両国ピーターパン」大会は例年の8月から10月末に移動。これによって、以前は「期日前投票」としてさほど選挙がクローズアップされない時期に行われていた両国大会が、選挙期日前最後の大会場イベントとして重要度を増しました。4000人超が観戦したこの大会、有効票数の四分の一の人数を集めたわけですから、影響も大きいはず。選挙前の両国と選挙期間ラストの両国での重みは大きく違うでしょう。
・伊藤麻希の躍進
そして、この3つに加えて選挙のムードを決定づけたのが伊藤麻希の躍進。東京女子プロレス所属で、DDT本戦にはほぼ出場していなかった伊藤ですが、9月10日、最初の中間発表で一位、しかも二位の高梨(68票)をぶっちぎりで引き離す244票を獲得。選挙開始直後ですでに二位に200票近くの差をつけて圧倒的な強さを発揮しました。
そこでDDT観客全体に「推しに投票しないと伊藤に全部持って行かれる」というムードが加わったのか、10月10日の中間発表では一位(627票)ではあるものの、二位の高梨は514票、三位の彰人は504票と大分僅差(それでも100票差ありましたが)になりました。去年の個人部門一位、男色ディーノの最終各得票数が587票のため、この時点で伊藤はそれを超えていた、ということになります。
東京女子プロレスとDDTのファン層は、ある程度かぶっているところはありますが、それでもやはり別物。DDTしか見ないファンにとって、あまり知らない伊藤麻希は外様であり、彼女が総選挙ぶっちぎりの一位として現れたときに「共通の外敵」になったのではないか。そしてその危機感、「DDTにほぼ上がってない選手が一位になってしまう」、「自分の推しがよく知らない選手に負ける」という感情が全体の票数を押し上げていったのではないかと思います。
高梨の勝因、伊藤の敗因~最後に票を突き動かした「DDT愛」~
上記4つの票数増加要因が何をもたらしたか。このルールを最大限に利用したのはドロップキック店長の彰人。本人もコメントしていますが、彼は店長として誰のイベントでも直接客と接触できる立場にいます。あまり投票意思の薄い人に「じゃあ自分に入れて」とアピール出来る立場でもあるわけで、そこは明らかにプラスに働いているでしょう。順位的にも去年の8位から2位にジャンプアップしているわけで、これは去年29位から22位になった伊橋に次ぐジャンプアップ、18位から12位となったアントーニオ本多と同じランクアップとなっています。
そして、飲食票の増加によってか、あまり本隊に出場していない選手もある程度の結果を残しています。今成夢人が11位、伊藤麻希が3位。この2人の主なファン層はそれぞれガンバレ☆プロレス、東京女子プロレスのファン。彼ら、彼女らが投票するためには、去年までは会場に行ったり通販でグッズを買ったりする必要がありましたが今年はエビスコ、ドロップキック、スワンダイブで飲食するだけでいい。この差は大分大きいのではないかと思います。
わざわざ(推し以外は)興味ない興行を見たり、不要なグッズを大量に買ったりしなくても自分の満足のために金を使ってそれで投票を出来るわけですから、ハードルはだいぶ低くなっているはず。これも大きく票を動かしたのではでしょうか。
ではなぜ高梨が優勝し、酒呑童子がユニット一位になったのか、というと、陳腐な言葉ではありますが、それは高梨がファンの間で「DDT愛を背負う存在となった」からじゃないかと思います
実際、伊藤独走の一度目の中間発表から二度目の中間発表の間で最も票を伸ばしたのは高梨。そもそも去年も4位に入っている高梨は古参のファンからも人気が高く、プロレス技術も高く評価されています。KO-D無差別のベルトも巻いており、最近は地味ながらもしっかりと仕事をする、安定感のあるレスラーとして知られています。
その高梨が7月に行った自主興行を満員にして高評価を受け、総選挙への決意をtwitterやコメントで表明。サイバーエージェントのグループ会社になり、マジ卍が始まり、以前のDDTとは変わってしまった、と思うファンも多い中、自分の意志をしっかりと持ち、酒呑童子の解散を打診した会社への違和感もはっきりと口にする。「変わりゆくDDTの中で変わらない意思を持つ選手」であり、だからこそ外様の伊藤麻希への対抗馬となり得た。そして中間発表を経て、外様代表の伊藤麻希に対してDDT生え抜き代表、という図式が生まれた。高梨のもともとの人気の上にその要素が加わって一気に票がブーストした。その効果もあり、結果的に一位になったのではないか、というのが私の印象であり、分析です。そして佐々木大輔VS高梨将弘。楽しみです。これこそDDTらしいカード、という気もします。
個人的選挙感想~伊藤麻希に投票した私の思い~
この選挙、私は伊藤麻希に5票入れました。しかしそもそもDDT総選挙、というからにはDDTのリング上での姿、活躍をもとに投票しなければいけない、と思っているファンは多くいるでしょう。それは正しいでしょうし、その気持もよくわかります。(まあ、参加を許可したのは団体側ですから、投票するのには何の問題もないわけですが)
ただ、私は東京女子を見ていて伊藤麻希は人間として面白いし、プロレスへの思いも強い。試合、技はまだ未完成ではありますが、それをとびきり大きな熱量で補ってあまりあるレスラーだと思いました。また、DDT本隊で伊藤と同じような熱量を発散しているレスラーはいないと思っていた(入江選手は退団してしまいましたし、今成選手もガンプロでの活躍だった)ので伊藤麻希に投票しました。
しかしながら、投票しつつ矛盾も感じていました。それは、「自分は果たしてKO-D無差別級のベルトに挑戦する伊藤麻希が見たいか」ということ。それはある程度他のファンも感じていたとは思うんですが、例えば佐々木大輔と、入江茂弘と、男色ディーノと闘って勝つ。それが現実的かはともかく、果たして女子選手、アイドルレスラーである伊藤麻希のDDTでのゴールがそこなのか。我々がそれを望んでいるのか。そこで少し投票を躊躇してしまったというのはあります。伊藤麻希VS佐々木大輔よりは高梨将弘VS佐々木大輔のほうが見たいしな・・・という。
もともと女子レスラーのミックスドマッチは私はあまり好きではありません。基本的に女子レスラーのほうが体力、筋力的に不利でしょうし、そもそも女子レスラーは男子レスラーに勝つために闘っているのか。
女子ならではの闘いを女子同士で見せるのが女子プロレス、男子プロレスに勝つのなら、その闘いのクオリティで男子に勝つ、というのが女子プロレスの勝利であり、女子と男子との闘いは女子プロレスでも男子プロレスでもない違う何かなんじゃないか、というのが私の考えです。
しかし、DDTの総選挙で、DDTのリングに影響を与える選挙なのだから、KO-Dのベルト抜きにすると意味がズレてくる、という考えもわかります。「DDT女子王座」があればいいのかもしれませんが、そもそもそこまでの頭数がいるわけでもない。難しいところです。
例えば、東京女子プロレスの選手が一位になったら、東京女子プロレスのタイトルマッチをDDTの大会のメインで行える、一位の選手がそれに挑戦できる、とするとDDTと他の団体との闘い感が出るし、大舞台で試合ができる達成感もある。今成が優勝したらガンプロの・・・まあ、それはKO-Dでいいのか。赤井沙希が優勝したら・・・などなど。ある程度選手がご褒美の試合を選べるようにしてもいいのではないか。文化系プロレス、を名乗っているのだから、どんな人が来てもゴールをその人達なりに考えておいてもいいのではないか。来年も出たい、と伊藤麻希は発言していますが、来年総選挙があって伊藤麻希が参戦するのであれば、そのへんも考えて欲しい、と思ったDDT総選挙2018でした。ただ、推しのいる選挙は面白い!つくづくそれを感じました。ありがとう総選挙、ありがとう伊藤麻希、そして参加したレスラーの方々、投票した方々、本当にお疲れ様でした・・・。そしてまた来年!(たぶん)。
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