先日2月5日、GCW新木場大会を観戦してきました。
GCWとは「Game Changer Wrestling」の略。デスマッチ主体のアメリカインディー団体。去年初めて日本興行を行ってその過激さ、狂った試合っぷりで評判となり、めでたく今回の新木場2月3,4,5日の3DAYS興行となりました。その注目のカードはこちら。
GCWメンバーと大日本プロレス、FREEDOMSのデスマッチレスラー、大日本プロレスのストロングレスラーが集まった「デスマッチ・オールスター」的布陣!日本では一緒に見れないレスラー達も同一興行で見れる!カード表もかっこいい!
自分もマット・トレモント、シュラックらまだ見ぬレスラー達を見たい!ということでぴあで5日だけ予約。チケットも速攻で売り切れる人気っぷりでした。それだけ前回大会が「伝説」になっているということで、自分も大会を楽しみにしてました。
しかし、その3連戦の初日、2月3日に出場レスラーの一人、竹田誠志が包丁ボードに落下したときに怪我を負い、救急搬送されるという事故が起きました。
そしてその後の竹田誠志のツイートはこちら。
そして沢山のメッセージやLINEなど本当に皆さん気にかけて頂き感謝です。
— 竹田 誠志 (@crazykid0813) 2020年2月4日
皆さんの気持ちを裏切らない様に復帰に向け精進致します。欠場期間は未定ですが今月は全試合欠場になるかと思います。各団体関係者の皆様申し訳ありません。宜しくお願い致します。
そして4日から竹田自身は欠場となりましたが小高イサミ、佐々木貴らがその穴を埋める参戦。そして竹田エイドとして全選手撮影会が行われるなど、竹田誠志というレスラーの人望、デスマッチファイターたちの結びつきの強さを示す展開になりました。
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そして迎えた2月5日、会社帰りで新木場に向かい、途中からの観戦に。観客パンパンの満員状態の新木場1stRINGに入ると、関本大介vsクリス・ディッキンソンのシングルマッチの最中でした。
大日本プロレス・ストロングBJの象徴、関本大介に真っ向の打ち合いを挑むディッキンソン。ふたりともこの肉体で殴り合い、蹴り合うだけにすごい迫力。近くで見ていただけに、重い打撃音が響いてよけいに痛さが伝わる!
関本に対して蹴りで反撃するディッキンソン。鋭い、というより重い蹴りがズシン、ズシンと関本に食い込んでいく。体格的に上回るディッキンソンの蹴りを受け続け、さすがの関本も苦悶の表情。デカいは凄い!
ゴツゴツやりあった二人ですが、最後は関本のジャーマンが鮮やかに決まってカウント3。関本大介がさすがの勝利を上げました。しかしディッキンソンもいい選手!混じりっけ無いぶつかり合いを堪能しました。
そして最後は爽やかに握手で締めくくり。大日本の一騎当千とかに出てほしい!と思わせる選手でした。デカくて動けて好青年!完璧かよ!関本もさすがに疲れを見せてました。途中からの観戦だったことが悔やまれる。いきなりいい試合を見せてもらいました。
そして次に始まったのは伊東竜二&佐久田俊行&ドリュー・パーカーvsジミー・ロイド&マット・ジャスティス&オーリン・ヴァイトの6人タッグマッチ。ここからは本格的にデスマッチとなります。
いきなり蛍光灯持参の伊東竜二!デスマッチ・レジェンドだけに蛍光灯が絵になる!個人的には伊藤のテーマが流れてくると「大日本来たな~」という気分になります。
そして最近デスマッチでめきめき頭角を表してきた佐久田。蛍光灯を持って突っ込んでくるオーリン・ヴァイトを蹴りで迎撃!飛び散る蛍光灯!
佐久田が吹いているのは毒霧かと思いきや「レモン汁毒霧」全身に傷があるデスマッチファイターにはてきめんの効果!(自分の口の中も沁みそうですが)こういうふうに工夫のあるアイテムを持ってくるところがさすが。過激なだけがデスマッチじゃない、というところを見せてくれました。
そして最後は伊藤のドラゴンスプラッシュwith蛍光灯の束でフィニッシュ。10分弱という短い時間のなかにアイディアの詰まった6人タッグマッチでした。
そして休憩。アイテムもいちいちイカすGCW。さっそく過去DVDとTシャツ購入。どこで着るんだこれ。
前回日本大会DVDと絶対外で着れなさそうなTシャツ購入!
— 男マン (@otokoman) 2020年2月5日
#GCW pic.twitter.com/oDk5XtyIKJ
過去DVDはこちらで発売中です。
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そして休憩後はアブドーラ小林VSシュラックのシングルマッチ。ロープ4方に蛍光灯がセットされた状態から試合開始。しかしシュラック、マッチョ・モヒカン・全身タトゥー・ヒゲというキャラの4冠王。凄いインパクト!
そしていきなりフォーク刺されるシュラック!キャー!
と思ったらアブドーラ小林も!ギャー!
ヘッドバッドWITH蛍光灯で飛び散る破片。しかし結構平気なシュラック。頑丈さが凄い。
しまいにはシンプルに蛍光灯を投げつけるアブドーラ小林。さすがのシュレックも蛍光灯まみれの血まみれに。激しい肉弾戦&流血戦の末、アブドーラ小林のバカチンガーエルボーでフィニッシュ。
ドヤ!この背中!デスマッチの歴史が詰まった背中。男が惚れる背中と言ってもいいくらい。さすがです。
そしてメインは小高イサミ&佐々木貴&吹本賢児vsダニー・ハボック&アレックス・コロン&マット・トレモント!出場予定の竹田の代わりに吹本登場!思わぬプレゼント!
マット・トレモントのこの風貌!典型的ダメなアメリカ人オッサン的ビジュアルが素敵すぎます。これで軽快に動くからまた凄い。
有刺鉄線ボード。全体に漂う雑さがいかにもアメリカのアイテムっぽい。国民性が出てる気がします。
コーナーポストに詰めてのキックwith蛍光灯!蛍光灯は衝撃を可視化するというか、格闘ゲームのエフェクト的な効果があるな、と。痛みと血を代償として音とエフェクトをデスマッチに加える。それが蛍光灯!
トレードマークのラダー持参のイサミ、首にひっかけてのグルグル攻撃!「ラダー使うレスラーあるある」みたいな攻撃になってますが。
竹串の束を額にぶっ刺したアレックス・コロン!ウギャー!竹串がぱっと広がって綺麗だよ~!痛そうだよ~!
最後はラダーからのダブルニーから抑え込んでイサミ勝利!この日、後半戦は日本人全勝!途中で佐々木貴が「葛西純~!」、「竹田誠志~!」と叫びながら技を放っていたのが印象的でした。
イサミが締めるも、いつのまにかGCW勢がリング上に勢揃い!2・10後楽園ホールでのFREEDOMSでGCWとの全面対抗戦を佐々木貴が宣言して興行を締め!バカさと激しさとで見ていてIQ下がりまくったGCW新木場大会、テンション高く終了しました。
後半3試合のデスマッチ、時間は全体的に短めでしたが、その中に激しさとアイディアがギュっと詰まった試合。興奮しながら楽しめました。
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竹田の怪我により、デスマッチについて色んな意見がtwitter上でも飛び交いましたが、残念だったのは普段デスマッチを全く見ないプロレスファンからの「デスマッチなんて邪道」、「死者とか出たらプロレス界全体に迷惑がかかる」、「肉体と肉体のぶつかり合いこそがプロレスなのに誤解される」、「普通のプロレスやればいいのに」などの当事者性ゼロの意見が散見されたこと。
自分も年に数回しかデスマッチ会場で見ない「デスマッチボンヤリ層」の一人ではありますが、それでも彼らデスマッチファイターが「俺達にはこれしかない」、「これがやりたい」と思ってやっていることは伝わってきますし、血を流して互いを傷つけ合うデスマッチ、という形態の中でそれでも安全に気を使っていることは伝わってきます。
デスマッチとはいえ、本当に命にかかわる怪我をしてしまうと観客も引いてしまうし本当に団体や興行が存亡の危機に瀕してしまう。なにより死亡事故はプロレスラー、プロレス団体として最も避けなければいけないものです。
だからこそ、デスマッチで使う凶器にしても、大仁田厚がFMWを旗揚げし、W★INGが誕生した30年前から色んなものが試され、試行錯誤の果てに今のような有刺鉄線ボード、ラダー、画鋲、蛍光灯などの凶器が多用されるように。本当に危険だった時代にはファイヤーデスマッチで大火傷、マムシに刺される、熱した鉄板で炙られるなど本当にヤバいものもたくさんありました。そんな時代から観客が熱狂する派手さ、血を流しながら闘う緊迫感、危険をいとわない勇気を争う今のデスマッチが出来上がってきたのだと思います。単純に「殺し合いのショー」、「プロレス出来ないからやってる」などの批判はあたらない。デスマッチという表現は30年かけて洗練されてきて今があるのです。
しかし、色んな凶器を開発して挑戦していく中で行き過ぎてしまうときもある。それが今回の竹田の事故だったのだと思います。失敗は誰にでもあるとはいえ、下手したら命に関わる事態になったことも確か。人ひとりの命、加えてジャンルを守ることも含めると、今回の事故は起きてはいけないものだったでしょう。だからといってデスマッチを全面否定し、プロレスを守ろう、という姿勢は自分はとれませんでした。
これからもデスマッチを闘うレスラーたち、団体、スタッフには細心の注意を払いながら試合をしていってほしいと思います。しかし、そこに試合があって熱狂があるかぎり自分は足を運びたい。彼らの生き様、覚悟、そしてバカになる強さ。デスマッチを見る喜びを知ってしまった以上応援していきたい。これが今回私がGCWを観戦して、この事件に関わる言説を見て思ったことです。以上、最後までお読み頂きありがとうございました!