男マンの日記

マンガ、落語、お笑い、プロレス、格闘技を愛するCG屋の日記。

1・1ノア日本武道館メインイベント!中邑真輔VSグレート・ムタは一つの「作品」だった!

元旦「プロレス初め」のメインは中邑VSムタ!

1月1日に行われたプロレスリング・ノアの日本武道館大会。セミ(ダブルメインイベント1ですが、拳王の言を尊重してセミファイナルということにします)までの感想はすでに書きましたので、こちらをご参照ください。GHCヘビー級タイトルマッチは清宮海斗、拳王の覚悟が見える名試合。完成度の高い、迫力のある試合を見せてくれました。これを続ければノアに希望が持てる、そんなことを思わせるタイトルマッチでした

otokoman.hatenablog.com

そして、そのGHCタイトルマッチが終わるといよいよメインイベント。久々に生で見る中邑真輔の試合、そしてムタはどんな試合を見せてくれるのか。しかし、その想像は早くも入場から上回られました。

 

入場で「元を取れた」完成度。「表現」としての入場シーン

中邑真輔が「グレート・ムタは僕のアイドルだった」と語る煽りVが終わると、場内が暗くなり二人の入場へ。花道の脇には和太鼓があり、その和太鼓の演奏が始まる、しばらくその演奏が続き、そしてその音に合わせて中邑真輔のバイオリン担当、リー・イングランドJrのバイオリンが奏でられる。和太鼓とバイオリンの合奏。これがすでに中邑とムタのマリアージュを想像させる。そして耳慣れた中邑の入場曲とともに真っ白の衣装に身を包んだ中邑真輔が登場。イングランドJrと礼をしてから衣装のフードをとると笑顔の中邑真輔。見慣れたポーズをときにとりながら、ダンスをしながらリングの目の前まで来ると一旦正座、座礼をしてからリングイン。リングインしてから仰向けに倒れ、起き上がり、リングの中央でイヤァオ!

一瞬暗転し、流れ始めるHOLD OUTのムタバージョン。再び和太鼓が鳴り響く中、赤い装束、頭巾に身を包んだムタがゆっくりと花道を歩き、それをじっと見つめる中邑。二人にスポットがあたり、それが徐々に近づいていく。

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ムタがリングイン、頭巾を取ると赤黒で顔面を覆うマスク姿、一方の中邑が白いコスチュームを脱ぐとこちらも赤黒のタイツ姿。ざわめく観客。ここまでがもうすでに二人の「表現」であり、なにかしらの古典芸能を見ているような、それくらい存在だけで魅せられる二人がそのキャラクターを全面に出した入場シーン。もうこれだけでチケット代の元を取ったような気持ちになりました。ある種圧倒されたというか。凄すぎました。

 

 

究極の「キャラクター・プロレス」の試合テーマは3つ!

二人がリングで向かい合い、いよいよ見れるこの試合のテーマ、それは3つあったように思います。

一つ目はムタの毒霧をめぐる攻防。ムタがどこで毒霧を吐き、どこで中邑が返すのか。その攻防をどうやって魅せるのか。中邑のセンスが問われる要素でした。

二つ目は「シャイニングウィザードVSキンシャサ」似た形の互いのフィニッシュホールドの競演、その上でどちらが上回っていくのか。フィニッシュとして使うのか。

3つ目は「アントニオ猪木」去年亡くなったアントニオ猪木、その何かを継ぐ、それを魅せるということを猪木の弟子、武藤敬司、中邑真輔がどう表現するか。新日本の1・4ドームが猪木追悼を謳っているだけに、どういう表現で猪木を見せるのか。

 

ゴングが鳴ると同時にリングを一回りしてから手をたぐり合ってバックを取るムタ、腕を取って返す中邑、グラウンドになり上を取るムタ、返されかけるもがぶってアームロックを狙うムタ。しかしふたたびスタンドになり、今度は足を取って倒す中邑、髪をつかむムタ。一旦離れ、袈裟固めで抑え込む中邑。静まり返った中でグラウンドの攻防、両者離れたところに拍手が沸き起こります。

 

そして会場は手拍子。中邑はおどけてムタに毒霧を誘うポーズ、すると天に向けてムタが毒霧一発!ざわめく会場!いきなりここで最初の毒霧が発射。二人の技の欧州ではない、合間のムーブでのイニシアチブ争いが見えるような、これも一つの攻防と言えるでしょう。痺れた。

ここから奇行に走るムタ。場外に降り、リング下のなにかを探る。中邑が追撃するも顔面かきむしり、鉄柵に叩きつけて機材のコードで首絞め。機材で殴ってリング上に。

一気にペースを掴んだムタ。シャイニングウィザードからのSTFで締め上げてその上で髪をつかんでの噛みつき。しっかりヒールファイトを交えていきます。中邑がブレイクしても締め続け、静かにムタを表現していきます。この不気味さ...。

しかしここで中邑も反撃。ミドルキックの連打からコーナーに詰めたムタに顔面滾りウオッシュ、ムタもすかさず足をつかんでドラゴンスクリューからアキレス腱固め。中邑もキックで脱出するもロープに走ったところをムタ低空ドロップキック、そして四の字固め!闘いのギアを徐々に上げながら、ムタワールドが広がっていきます

 

なんとか逃れた中邑にすかさずニーアタック、シャイニングウィザードはガードされてスピンキックを喰らい、キックでコーナーに詰められロープに足をかけられてのスープレックス、コーナーからのライダーキックとたたみかけられますが、キンシャサ狙いで突っ込んできた中邑に毒霧!

中邑の顔が真っ赤に染まり、場外に逃れていくも追い打ちのムタはコスチュームの上を脱がせ、そのコスチュームで首締め。いっきにヒールファイトでムタ全開!パイプ椅子で殴り、レフェリーを突き飛ばす。リングにも椅子を持ち込んで中邑を痛めつけようとします。

しかしその椅子攻撃をグーパンチで迎撃した中邑、グーパンチ、というより猪木のナックルパートのような一撃、ガッツリと顔面を捉えてグラつくムタ、ここで一気に中邑が攻め込んでいきます。蹴りでムタを追い詰め、エプロンに出たムタにロープ越しのスリーパー、そして花道に倒れ込んだムタに入場ゲートから走り込んでのラリアット!ここは魔性のスリーパーからの猪木VSムタ戦でムタが猪木に食らわせた花道ラリアットのオマージュか。

リングにムタを戻して腕十字で攻め込む中邑。苦しむムタ!腕を引っ張る中邑!腕が伸び切るムタ!しかしここで上体を起こしたムタが中邑に顔を近づけて毒霧!

前回は赤、今度は緑の毒霧が中邑の顔面に広がり悶え苦しむ中邑!すかさずのシャイニングウィザードはカウント2!一度目はカウンター、二度目は腕十字からの脱出に毒霧を使用したムタ。続けて背後からシャイニングウィザード、再度狙ったところに今度は中邑が起き上がってキンシャサ!イヤァオ!からのキンシャサを再び狙うも防がれた中邑、すかさず毒霧をふこうとするムタ!そのときに!

 

ムタノクチを口で塞ぎ、毒霧を吸い取った中邑がムタに掟破りの毒霧!怯んだムタに走り込んでキンシャサ!1・2・3!カウント3入る瞬間に緑の毒霧を吹きあげた中邑真輔、グレート・ムタからカウント3を奪いました!

花道から静かに去ろうとするムタ、リングの真ん中でマイクを取った中邑

奇跡を...奇跡をありがとう!

バイバイ・マイ・アイドル・ムタ!

イヤァオオオオオオ!

立ち止まって聞いていたムタ、再び帰ろうとするところに中邑が肩を貸して入り口まで戻り、二人で毒霧ポーズ&イヤァオ!元旦の日本武道館に、プロレスファン至福の時間が流れていました。

 

 

試合を超えた「作品」だった中邑VSムタ。元旦から凄かった!

結果、中邑真輔VSグレート・ムタに心を全て奪われたような元旦になりました。結局何が凄かったか、というと、試合時間18分19秒の中だけではなく、入場から試合、試合後のマイクから退場、そして最後の二人の揃い踏みと、全てが作品として成立していたこと。

 

もちろんこの日の清宮VS拳王はすごい試合でした。しかしあくまでもこれは試合としての凄さ。入場から退場まで、全てがパッケージとして作品として成立していたかというと、中邑VSムタのような完成度ではなかった。入場は入場だったし、試合は試合、マイクはマイクだった。しかし中邑VSムタは全てがまとまった作品として昇華されているような、二人がアスリートとしては全盛期ではないからこそ、一つ一つの所作を見せる、伝統芸能のような洗練された一つのショーを見せてもらったような一戦でした。

 

プロレスリング・ノアが日本武道館を行い、武藤引退のタイミングでムタが中邑真輔と試合ができたと言うのは本当にいろんな奇跡が積み重なってのことなんだと思います。久々にあった友人とその軌跡を元旦から見ることが出来た。本当に奇跡のような一日を過ごすことが出来ました。ありがとう、中邑真輔。ありがとう、ムタ、そしてありがとう、プロレスリング・ノア。本当に楽しい「プロレス初め」でした。改めて

今年もよろしくお願いいたします!プロレス最高!

そして表紙はもちろん中邑VSムタ!ノアの関係者は捲土重来を期して欲しい!次の武道館はノア表紙になるようにお願いします!