男マンの日記

マンガ、落語、お笑い、プロレス、格闘技を愛するCG屋の日記。

3・6 新日本プロレス「旗揚げ記念日」大田区大会。主役はスズキグーン!イチバーン!

1972年3月6日、大田区体育館で旗揚げした新日本プロレス。アントニオ猪木とカール・ゴッチの旗揚げ戦以外、藤波も長州も三銃士も出てこない、「ストロングスタイル」という言葉も出てこないオープニングVから興行は開始されました。

そして試合開始前に北村克哉が脳震盪のために欠場の知らせが。残念ですがここはゆっくり休んでいただきたい。というわけで新日本プロレスワールドでの観戦ですが、3・6新日本プロレス「旗揚げ記念日」大田区大会を振り返っていきます。

 


10人タッグマッチ 20分1本勝負

◯KUSHIDA&天山広吉&獣神サンダー・ライガー&タイガーマスク&田口隆祐
7分31秒 腕ひしぎ逆十字固め
✕海野翔太&永田裕志&岡倫之&八木哲大&成田蓮

永田プラスヤングライオンチームとベテラン組との10人タッグマッチ。最近あまり新日本見てなかったのでまだヤングライオンの顔と名前が一致しない・・・。一致するの岡くらいな私ですが、やはり若手のイキのよさは見てて気持ちいいものです。海野が気合と技が一致しててよかった。ただ試合はその海野がKUSHIDAの腕ひしぎを食らって敗北。まあよくやったと。あと岡は一度も試合権利無いままおわったような気がします。多人数タッグの弊害・・・。

あと永田のタイツの後ろには「BLUE JUSTICE Ⅶ」の文字が。Ⅶってなに?ブラックタイガーⅦとは関係・・・・ないか。

6人タッグマッチ 20分1本勝負

◯後藤洋央紀&矢野通&石井智宏[CHAOS]
7分41秒 GTR→片エビ固め
✕トーア・ヘナーレ&ジュース・ロビンソン&デビッド・フィンレー

ケイオスVS外人組の6人タッグ。後藤はあのバカでかい数珠はイービル戦限定だったんでしょうか・・・。「混沌の荒武者」という入場Vの文言が本人の現状を象徴しているような。あとフィンレーのコスチュームは安いブロディみたいで微妙でした。

試合は後藤がヘナーレを牛殺し→GTRであっさり勝利。やられはしましたが、ヘナーレも健闘。あとジュース・ロビンソンの元気さが目立っていました。ヘナーレも「トーア・ヘナーレ」とリングネームを変え、ポリネシアンらしさを強調したコスチュームにしたことで個性が出てきたし、打たれ強そうなので今後に期待。ちなみにジュース・ロビンソンのニュージャパンカップ1回戦は高橋裕二郎戦。3・9後楽園で勝利して二回戦に進出しています。相手は石井に勝利したマイケル・エルガン。分が悪そうですがどう出るか。

IWGPジュニアタッグ選手権試合3WAYマッチ 60分1本勝負

◯エル・デスペラード&金丸義信【挑戦者組/鈴木軍】
16分34秒 エルエスクレロ
✕SHO&YOH【王者組/RPG 3K】

※もう一組はBUSHI&高橋ヒロム【挑戦者組/L・I・J】
※第56代王者が初防衛に失敗。金丸&デスペラードが第57代王者組へ

 そして第三試合でタイトルマッチ。タイトルマッチで3WAYですが、ただ変わっているのが試合権利が二人の選手にしか無い、ということ。試合権利を得たかったら無理やりにでも敵の選手にタッチする場面が出てくる、ということで、これがゲーム性となっています。このルールあんまり新日本以外で見たこと無いんですが、海外だとメジャーなんでしょうか?

試合はSHO&YOHとロスインゴ組がやりあい、鈴木軍の二人が静観する、という前半戦。SHO&YOHが優勢に試合を進めます。

しかし、ロスインゴの二人を場外に追いやったSHO&YOHが場外にトボうとしたところを鈴木軍の二人が足を引っ張ってから場外戦に。個々から試合は荒れはじめ、リングに戻ってもBUSHIがSHOの首をTシャツで締め上げ、ロープに飛んだところを金丸がBUSHIにムリヤリタッチ。ここで試合権利が鈴木軍とSHO&YOHに移ります。

そしてSHOの腰をデスペラードと金丸二人がかりで攻め込みます。

しかしここで再びデスペラードにムリヤリタッチしたヒロムが試合権利獲得。SHO&YOHが出ずっぱりでロスインゴ、鈴木軍が残りの試合権利を奪い合う、といいう展開になってきました。

ここで金丸の巧さが発揮されます。今まで攻めていたSHOの腰を雪崩式ブレーンバスターで叩きつけ、逆エビで絞り上げる。ベテランならではのツボを突いた攻撃で若いSHOを追い込んでいきます。

しかしなんとかYOHにタッチしたSHO。しかし金丸がペースを握ります。そもそも全日本プロレスで1996年にデビューした金丸義信は世界Jr、アジアタッグ、GHCジュニア、GHCジュニアタッグ、IWGPタッグと様々なタイトル遍歴を持つベテランレスラー。いつチャンピオンになってもおかしくない凄い選手なんです。

試合はSHO&YOHとロスインゴの闘いとなり、合体コンビネーションからの3Kを狙うが失敗。そしてここから怒涛の展開。

まずヒロムがレフェリーを抱き込みブラインドにしたところでBUSHIがSHOに毒霧を吹きます。しかし便乗して乱入した金丸がBUSHIに酒を吹きかけ、よろめいてコーナーにもたれかかったBUSHIにデスペラードがタッチ、そして毒霧を吐かれたSHOをデスペラードが丸め込んで3カウント!これで王座移動。金丸&デスペラード組が新チャンピオンとなりました。

まさにルールを利用した展開。ズルさに徹した鈴木軍ですが、金丸とデスペラードの確かなテクニックも光っていました。なかなか鈴木軍の中でも灯が当たりづらかった二人ですが、チャンピオンになったことで光を浴びて欲しい、そして金丸にはIWGPジュニア獲りにも乗り出して欲しい所。もし戴冠すれば世界Jr、GHCジュニア、そしてIWGPジュニアと国内3つのジュニア王座を総なめすることに。この偉業は丸藤正道以来二人目となるはずなので、是非狙っていっていただきたい。そして、いまいち地味だったイメージを払拭して欲しい。金丸義信は凄いんです!もちろんデスペラードも!

   

スペシャルシングルマッチ 30分1本勝負

◯SANADA[L・I・J]
17分38秒 ラウンディングボディプレス→体固め
✕YOSHI-HASHI[CHAOS]

普通にSANADAがラウンディング・ボディプレスで勝利。そう言えばW-1の3・14後楽園で武藤が「ラスト・ムーンサルト」と銘打った6人タッグマッチを行います。そこでは武藤敬司&浜亮太&SUSHI組VSKAI&大和ヒロシ&中之上靖文組という面子、様々な理由で武藤と袂を分かった選手が集まってきています。ここにSANADAも来て欲しかった、というのは難しいでしょうか・・・。SANADAはもともと全日本プロレスデビューの武藤敬司秘蔵っ子。その天才性をようやく新日本でも発揮しつつあります。あの体格で飛べて技も的確でスタミナもある、という非の打ち所のない選手。IWGP挑戦失敗で少しだけ後退しましたが、再びの挑戦、戴冠を見てみたい。そしてそのベルトを持って武藤のもとに会いに行く、というストーリーを勝手に描いてしまいます。

少しだけ試合についてですが、スカル・エンドに向けてSANADAが序盤からYOSHIHASHIの首を抱えて場外を引き回したり、スリーパーで痛めつけたり、という流れを作り、そして最後にスカル・エンドをしっかりと決めたことがSANADAの試合だったな、という印象を受けました。しかしスカル・エンドは汗で首が抜けがちなので、もう少ししっかりと極めてほしかったところではあります。でもまあ完勝、といっていいでしょう。さっさとシングルのベルト獲っちゃってください!

スペシャルシングルマッチ 30分1本勝負

◯内藤哲也[L・I・J]
14分7秒 デスティーノ→片エビ固め
✕タイチ[鈴木軍]

そもそもタカタイチマニア、タイチ15週年スペシャルマッチでシングル対決したこの二人、そのときに内藤がうながしたことでタイチがヘビー級転向宣言。そしてそれを汲んでの再戦となったのがこのカード。事実上、タイチのヘビー転向一戦目となります。

前回のシングルマッチからまだ1月ちょっと、というこのタイミングで組まれた再戦ということで、前回負けているタイチがいきなり奇襲を仕掛けます。

入場してきた内藤に襲いかかり、場外でのパワーボム。これでペースを握ったタイチは寝転がって内藤ばりのポーズを決めてみせます。

チョップ合戦でも引かず、スピンキック、顔面かきむしりからのラリアットを狙うもかわされ、個々から徐々に内藤も反撃。場外戦も交えて攻め込んでいきます。

そもそもタイチは内藤より背が高く、体格もしっかりしているため、正直ヘビー級転向したからといってさほどの変化は見られませんでしたし、内藤に重さで見劣りするということも特にない印象。現在の新日本プロレスのヘビー級選手もほぼ100キロ前後なので、違うのは毎日試合していく上での相手の重さくらい、そしてスーパーヘビー級以外のヘビー級戦士とも現状でほぼ体格的には互角と言っていいのではないでしょうか。

タイチのバズソー、内藤の三角跳びDDTと互いの技が交錯する展開。内藤が雪崩式フランケンを放ってディスティーノを狙っていきます。

しかしそこからタイチが反撃。バックドロップでディスティーノを返し、アックスボンバー二連発、そしてラストライドからの川田式押さえ込み。カウント2で返されますが、この全日本プロレスを感じさせてくれる一連の流れ。もともと全日本プロレスデビューのタイチ。技でルーツを感じさせてくれます。

しかしこれを返した内藤が畳み込み、グロリアを放ちますがカウント2。そして個々からがこの試合の肝になります。レフェリーを突き飛ばしての金的、それを返されてからあびせ蹴りを食らうとタイチが持ち出したのは入場時に持ってくるマイクスタンド。しかしそれを防がれ、内藤がレフェリーをTAKAみちのくと衝突させたスキにマイクスタンドでタイチを殴打。そこからのディスティーノで3カウントを奪いました。

 

ヘビー転向初戦のタイチに凶器攻撃からのディスティーノというある意味最高の「おもてなし」で勝利した内藤。全然余裕の勝利ではない、紙一重のところにいる、という内藤からのメッセージともとれます。そして内藤にも見劣りしなかったタイチ。これからのヘビー級戦線での活躍も期待できます。鈴木みのる&タイチ組、という組み合わせも充分ありえるし、完全ヒールのヘビー級戦士が誕生したことで新日本のヘビー級戦線も広がりを見せることでしょう。GO!GO!タイチ! 

ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン〈新日本プロレス〉 (スポーツアルバムNo.60)

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 IWGPインターコンチネンタル選手権試合 60分1本勝負

◯鈴木みのる(パンクラスMISSION)【王者/鈴木軍】
19分4秒 ゴッチ式パイルドライバー→体固め
✕真壁刀義【挑戦者】
※第17代王者が初防衛に成功

セミファイナルはIWGPインターコンチのタイトルマッチ。鈴木みのるが真壁を相手に初防衛を目指したこの試合。みのるの蹴りから始まったこの試合はゴツゴツとした展開に。エルボーの打ち合い、場外戦では一時的に真壁が優勢になりますが、みのるがヒザ責めでペースを握ります。ヒザへのイス攻撃、ヒザへの前蹴り、膝十字固めと一点集中攻撃で攻め込んでいきます。

そもそも新日本プロレスでデビューした鈴木みのる。ストロングスタイルを標榜する時代に育ったレスラー。一点集中攻撃はその時代からの代表的な試合運びのセオリーです。あくまで基本に忠実に、やる技を絞って研ぎ澄ませていくという鈴木みのるのスタイル。今の新日本プロレスでは異色に映る時もありますが、これこそがアントニオ猪木が標榜したストロングスタイルを継いでいる、とも言えるでしょう。

 真壁も久々にスパイダージャーマンを出すなどして抵抗しますが、その後のニードロップはかわされ、ゴッチ式パイルドライバーはなんとかこらえてケサ斬りチョップの連打で反撃。しかし最後はゴッチ式パイルドライバーで3カウント。鈴木みのるは鈴木みのるのまま、今回は一度も危ない場面を見せないまま勝利してみせました。強い!

そして、鈴木みのるは観客にもその牙を剥き、感情を叩きつけます。

おい大田区に集まったクソ共、まだ何か俺に文句あるのか?

まあいい、お前らの意見なんかハナから聞いてない。
さあ・・・いるだろう?俺のアタマ、踏んづけてるやつ。テメーのとこ、かならず行くぞ。首洗って待っとけ!

誰だ?って・・・お前プロレス知らねーだろ!(観客笑)

うるせーよ!いちいち騒ぐんじゃねー!はしゃぐんじゃねー!うるせぇ!うるせぇ!お前たちにな、わざわざな、応援してもらおうなんざこれっぽっちも思ってねーんだよ。うるせぇよ、お前ら全員、車にでもひかれちまええっ!

それとも全員まとめてかかってくるか全員!全員ぶっ殺してやるこの野郎。こねーんだな、わかったよ、そう、お前たちに教えといてやる。

俺たち鈴木軍、イチバーン!

 多彩な技を使うレスラーが揃っている新日本の中で、鈴木みのるは一人逆行している用に見えます。技を絞り、研ぎ澄ませ、「強さ」をリング上で表現していく。その姿に、今の新日本プロレスが使わなくなった「ストロングスタイル」を勝手に見てしまうのは、一観客としてのわがままなんでしょう。そんなものとは関係なく鈴木みのるは闘い続け、今後も第一線に居続けるために自分をブラッシュアップしていくのだと思います。いや、鈴木みのるの「強さ」をしっかり見せてもらった。そんな試合でした。

   

「旗揚げ記念日」スペシャルシングルマッチ 30分1本勝負

◯オカダ・カズチカ【第65代IWGPヘビー級王者/CHAOS】
25分25秒 レインメーカー→エビ固め
✕ウィル・オスプレイ【第80代IWGPジュニアヘビー級王者/CHAOS】 

 そして本日のメイン。IWGPヘビーとジュニアのシングルマッチ。一つ気になったこととしては、この試合はオカダがオスプレイを買っていて、オカダが望んで実現したマッチメイク。オカダがオスプレイを認めていて実現したのであれば、IWGPヘビーのベルトを掛けても良かったのではないかと思います。そうしなかったことで、少しエキシビジョンというか、互いのための試合という意味合いになってしまったかと思います。

試合はじっくりとグラウンドから始まる展開。オスプレイが主導権を握り、それにオカダが返していく、という展開。ただそれまでの試合であまりグラウンドが見られなかったため、このじっくりとしたレスリングは新鮮に見えます。

ただ、オスプレイのレスリングがイギリス流の腕の取り合い、関節をメインにしたものなのと比べ、オカダのレスリングは丸め込み、跳ね起きなどのルチャ的な要素が混じったもの。ここにきて新日本プロレスの旗揚げ記念日らしい、というか、プロレスのレスリングをしっかりと見せてくれました。

そしてここから試合は加速、オスプレイがジュニアならではのスワンダイブエルボー、サスケスペシャルなどの飛び技で攻めていくも、オカダもコーナーに座ったオスプレイにドロップキックで迎撃するなどオスプレイに順応したファイトを見せつつオスカッターはしっかりと阻止。3回オスカッターにトライしたオスプレイですが決めることは出来ず、最後はレインメーカーの前に沈みました。

そしてマイクを取ったオカダ。

3つ、言わせてください!

ひとーつ!オスプレイ、やっぱりお前最高だな!レスラーとしても大好きだし、弟としても大好きだよこの野郎。

ふたーつ!おかげさまで、新日本プロレス、46周年を迎えることができました。明日から、47周年目が始まる。棚橋・・・違うな。内藤・・・違うな。ケニー・オメガ・・・・違うな、オカダ・カズチカに任せなさい!

みっつ・・・・特ににありません。

そして今日は、外道さんがいません。でも!外道さんと、俺との付き合いは、46周年、今日までです。(観客ざわつく)

嘘に決まってんだろこの野郎!

48年49年50周年51525354周年!一生俺と外道さんのペアで金の雨を降らし続けてやるからな!

まだまだこの新日本プロレスに、47484950515253周年永遠に!かぁぁぁねの雨がふるぞぉぉぉぉ!

 ちょっとオカダ自身の喋りにも外道が入ってきてるんじゃないか、というくらいのゴキゲンなマイクで大会は締め。記念日らしいハッピーな雰囲気で興行は終了しました。

セミとメインで真逆の世界観を表現した新日本プロレス、昔からプロレスを見てる私のような人間はどうしてもセミのような試合を新日本に求めてしまいます。参戦から一年、IWGPインターコンチ、IWGPジュニアタッグを獲得した鈴木軍。タイチもヘビーとして充分な闘いを見せ、こうなったらベルト独占を狙っていただきたい。新日本プロレス創立記念日だからこそ、こう叫んで締めたいと思います。 

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スズキグーン・イチバーン!