8・25東京女子プロレス後楽園ホール大会を観戦してきました。
個人的には久々の東京女子生観戦。1・4以来、今年二回目の後楽園ホール大会となります。上福ゆきはデビュー一周年。引退を表明した滝川あずさは赤井沙希と対戦、のどかおねえさんが新キャラで登場、我闘雲舞から参戦の里歩は中島翔子と対戦、そしてTOKYOプリンセスタッグ選手権では伊藤リスペクト軍対決、坂崎ユカ&瑞希vs才木玲佳&伊藤麻希。そしてメインは山下美優vs優宇。今東京女子が撃てる弾を全部打ち尽くす、というようなカード。では振り返っていきましょう。
- オープニングマッチ ヒカリ&ラクvsミウ&ヒナノ
- 第二試合 天満のどか&愛野ユキvsまなせゆうな&上福ゆき
- 第三試合 プリシラ・ケリーvsハイパーミサヲ
- 第四試合 赤井沙希vs滝川あずさ
- 第五試合 中島翔子vs里歩
- セミファイナル TOKYOプリンセスタッグ王座決定戦
- メインイベント TOKYOプリンセス・オブ・プリンセス選手権試合
後楽園ホールに貼られていたポスター。パステル調のポップなデザイン。左下の黒音まほが泣ける。
この日はここから。北は不使用でしたが、いい感じに埋まってました。もう少しで1000人。惜しい。
オープニングマッチ ヒカリ&ラクvsミウ&ヒナノ
◯ヒカリ&ラク
(8分36秒 変形グラウンド・コブラツイスト)
ミウ&✕ヒナノ
今年の1・4後楽園ホールでプロレスデビューしたアプガ(プロレス)。あれから8ヶ月経って再び4人でのタッグマッチ。
正直デビュー戦では打撃も当たりが弱く、技の形をなぞっているような感じだった4人、この日はしっかりと打撃も当てて、気持ちで技を掛けていた気がします。気がするんですが、私ことプロレス見てばっかりおじさんはまだ4人の顔と名前が一致しない。ヒカリはなんとなくわかるんですが他の3人がピンとこない。ラクとミウがいるのとヒカリとヒナノがいるのとコスチュームが色違いの同じデザインなのが覚えにくい原因かと思われます。
まあ、なんというか普通の団体だったらこの日の技量くらいでデビューさせると思うんですが、今日で4人とも改めてスタートラインに立ったという感じではないでしょうか。フィニッシュの変形グラウンドコブラはなんかツイスターの途中みたいな感じの技でした。なんというか、あんまり覚えてなくて申し訳ない・・・。そろそろコスチューもに差をつけたり苗字付けたりしてくれないだろうか・・・。
第二試合 天満のどか&愛野ユキvsまなせゆうな&上福ゆき
◯天満のどか&愛野ユキ
(7分22秒 キルスイッチ→片エビ固め)
まなせゆうな&✕上福ゆき
元のどかおねえさんこと天満のどか。新コスチュームでの初試合。愛野ユキとの姉妹タッグで登場です。いっそ苗字合わせればいいのに、と思ってしまったのは私だけでしょうか。あまり姉妹売りはしたくないのかな?と。
ゴーグルとセパレートのせいで太ったFFのコスプレイヤーっぽい天満のどか。
一方セレブ感出しつつ「叶姉妹みたいに闘いたい」とのたまうまなせ&上福組。上福ゆきはちょうどデビュー一周年。デビュー当時は「道程遠いなぁ・・・。」と思いながら見てたんですが、一年間で独自のスタンスで居場所を見つけ、地味にプロレスもしっかりしてきました。
もちろん自分から技で試合を作っていくことは稀ですが、その代り喋りや自由なアクションで観客をどよめかせ、笑わせ、そして少しだけ「おお!」という技を見せる。彼女なりのスタイルをこの一年で作りつつあるのは凄い、東京女子以外では成立しないような気もしますが、確実に団体内に居場所をキープしていることは確かです。
地味にニューコスチュームの上福ゆき。やっぱりスタイルの良さが際立ちます。ちょっと高級感アップ。
まなせゆうなはいつもとおりの「保護者感」というか、まなせが出てくると安心感が。そろそろえいやっと腰を上げて一気にトップに絡んでいって欲しいところですが、この安心感、安定感は前半戦に捨てがたい。悩ましいところです。
そして愛野ユキはまだまだ全体的にリアクションが薄いというか。流されてる感を感じてしまうので、もっと色んな意味で自己主張が欲しい。地味でいいのならもっと上手くならないと厳しいのでは、という感じ。まだデビューして数ヶ月なんですが、「プロレスやりたい」みたいな欲があまり見えづらいのは損かな、という気がします。
試合はまなせと上福の合体攻撃に苦しめられた天満のどかがキルスイッチで上福を抑えて勝利。なんというか、平和で華やかで楽しい、そしてとことん呑気なプロレスが繰り広げられた第二試合。多幸感溢れる試合でした。
第三試合 プリシラ・ケリーvsハイパーミサヲ
◯プリシラ・ケリー
(6分41秒 アスティーオパローシィスエビ固め)
✕ハイパーミサヲ
1月の後楽園では葛西純とのシングルで狂気が目覚めた感のあるハイパーミサヲ。プリシラ・ケリーとの試合でもマイペースにマイクから。しかし英語出来ないので特別通訳を。そしてなんと翔太登場。
ガンプロ後楽園開催前に後楽園ホールのリングに登場の翔太。さすがの場馴れ感。
ハイパーミサヲの挑発セリフを全部平和に訳し直し、すべてを勘違いしていくケリー。なんというか、よく出来たすれ違いコントみたいな感じの光景が繰り広げられて面白かったです。ミサヲの作戦としては、握手を求め、そのスキに相手を丸め込む。そして失敗した時のため、相手を舐め回す習性のあるケリー対策としてマスクにワサビを塗りたくっており、それを舐めて苦しんでいるスキに倒す、というもの。
プリシラ・ケリーは相手を舐め回したがる変態的なキャラクターですが、試合自体はしっかりとしたもの。ワサビ攻撃は喰らいますが、ミサヲが隠し持っていたわさびチューブを奪い取って反撃。最後はトップロープからのネックブリーカーで3カウント。ごくごくあっさりとミサヲに勝利して去っていきました。
勝ち名乗りを上げるプリシラ・ケリー。腕を怪我したのか不機嫌そうに去っていきましt。小顔!
コンパクトにまとまったコメディマッチを制したプリシラ・ケリー。外国人選手相手ということを最大限に活かした笑いを生んだミサヲ、それに一役買った翔太、そして付き合ったケリー。3人のアンサンブルで生み出されたコメディ空間、堪能しました。笑いの完成度、高かったです!
第四試合 赤井沙希vs滝川あずさ
◯赤井沙希
(11分31秒 新人賞→片エビ固め)
✕滝川あずさ
ちょうど一年前の後楽園ホールでは伊藤麻希とシングルマッチを繰り広げ、なんというか伊藤麻希ブレイクの踏み台となってしまった滝川あずさ。 その後NEO美威獅鬼軍入り、アズサ・クリスティとして試合をしていましたが先月正気に戻り、10・27新木場大会での引退を発表。そして今回赤井沙希との一騎打ちが実現しました。
握手を求めに言ったあずさに対して赤井は応じずに試合スタート。キックで様子を見る赤井に対し、レッグロックで対抗するあずさ。とにかく赤井に向かって持ち技を懸命に出していくあずさ。逆にレッグロックで捉えられた時にはお得意のニセアナウンスでロープエスケープを装って技を解かせ、ロープに赤井の顔を擦り付け、コーナーで踏みつける。独特のズルさを全面に出したファイトで赤井に対抗していきます。
しかし相手は赤井沙希。脚でのネックロックで締め上げ、顔面を蹴り上げ、サッカーボールキックで悶絶させられる滝川あずさ。しかし諦めずに立ち向かっていき、バイオニック・エルボー連発、コーナーでのビッグブーツを喰らうもエルボーの打ち合いでは引かず。踏みつけられ、蹴飛ばされてもなんとか赤井を場外に落としてエプロンからの婚活エルボー!そして新人王をかわしてからのクリスティ・アガペーであわやの場面を作る大善戦。
しかし二発目を狙った所を返され、張り手をハイキックで迎撃されたあげくに新人賞をガッツリと叩き込まれて3カウント。ついに力尽きました。
敗れはしたものの勝利への気持ちを見せたあずさ、それを優しくも厳しく受け止めた赤井、両者への拍手に包まれて退場。引退を控えたあずさへの餞、いい試合でした。
滝川あずさを気遣って退場する赤井沙希。二人の絆を感じるシーンでした。
第五試合 中島翔子vs里歩
◯里歩
(11分42秒 蒼魔刀→体固め)
✕中島翔子
そして個人的お目当ての試合。その安定感から最近は前半戦出場も多かった中島翔子。後楽園のカードを運営に直訴、里歩とのシングルマッチを獲得しました。今まで全力で周りを活かしてきた彼女へのプレゼント的カードかもしれませんが、テクニック合戦が期待されるこの試合。中島新コスチュームで入場。テープに包まれます。
モフモフ感強まるコスチューム。楽しそうな表情がいい!紙テープ凄いです。
試合開始からテクニック合戦に。ロックアップからロープに振っての中島ショルダータックル、里歩お返しにアームホイップ、ランニング・ボディアタックも中島が反転して返し、フォールをブリッジで返した里歩がアームホイップ、脚のすくいあいから一旦間をとって観客拍手。ここまでのくだりですでに今までの試合とはちょっと違う緊張感、スピード感を感じさせます。
こういうのやりたかった、という喜びが感じられる中島、平常運転の里歩。中島がネックロックでギリギリと締め上げると、側転からのハイキックを見せ、髪を掴んでのヘアホイップという女子ならではの技で反撃。レッグロックで締め上げ続け、里歩がペースを握っていきますがなんとかロープに逃れた中島、すかさずセカンドロープをくぐるトペ・スイシーダで反撃。コーナーからのライダーキックでカウント2。突進をかわしてロープを使ったゆりかもめ。イキイキとしたファイトを見せていきます。
しかしここからは互角の展開。619をかわしあいなんとか里歩がヒット、フェイスロックは回転エビ固めで返した中島ですが、ここで「なめんなコラー」と叫びつつのランニングエルボーからノーザンライト・スープレックスを見せた里歩。中島のフィニッシャーでもあるこの技で先に投げられた中島、蒼魔刀を狙った里歩をフランケン・シュタイナーで投げ、すかさずノーザンライト・スープレックス!
しかしこれをカウント2で返されると里歩ペースに。コーナーに登った中島をアームホイップで投げてフットスタンプ。蒼魔刀はかわした中島は背後から619、ダブルアーム式DDTとつないで雪崩式セントーン!しかしこれをかわした里歩が背後からの蒼魔刀!続けて正面からの蒼魔刀と繋いで3カウント!里歩がテクニシャン対決を制しました。
悔しがる中島、一回握手を拒否される中島ですが、改めて里歩から握手を求めて改めて握手。爽やかな風が吹くような勝負は里歩の勝利で終了しました。twitterにも書きましたが、互いの引き出しを開け合うようなテクニックの攻防。ルーツの違う2人がギクシャクしながらも宝物を見せ合うようなプロレスを見せてくれました。ありがとう里歩、ありがとう中島翔子。
最後には握手。笑顔の二人の間に爽やかな風が吹くシングルマッチでした。
セミファイナル TOKYOプリンセスタッグ王座決定戦
坂崎ユカ&瑞希vs才木玲佳&伊藤麻希
坂崎ユカ&◯瑞希
(15分59秒 キューティースペシャル)
才木玲佳&✕伊藤麻希
タッグチャンピオンだった小橋マリカが肩負傷のために欠場、ベルト返上。そしてその後のワンナイト・タッグトーナメントで優勝した坂崎&瑞希組が優勝賞品としてチャンピオンベルトを要求しましたが甲田さんがチャンピオン決定戦の開催を提案。そこに名乗りを上げたのが伊藤麻希。才木玲佳をパートナーに指名したことでこの試合が実現しました。
伊藤リスペクト軍対決・・・。
そもそも去年、瑞希が初めて東京女子プロレスに上がったときの相手が伊藤麻希。当然のようにフォール負けを喫した伊藤ですが、「私は負けたんじゃない!肩がリングに3秒着いただけ!」と言い張り、強引に伊藤リスペクト軍を結成。最初の会員として瑞希を指名。その後はCDを出し、PVも出し、TOKYOプリンセスタッグトーナメントでも組んで出場。その後瑞希が才木玲佳に挑戦したときには伊藤がセコンドに付いて激を飛ばしていました。プロレス的にも感情を爆発させて突進していく伊藤を上手く瑞希がサポートし、インタビュー、トークでは伊藤のワガママに困りつつ最後はペースを瑞希が持っていく。東京女子きっての名タッグ、名コンビとなっていった伊藤リスペクト軍。見ていて多幸感のある二人でした。
そして、才木玲佳と小橋マリカが持つTOKYOプリンセスタッグのタイトルにも一度挑戦し、惜しくも涙をのんでいます。
伊藤リスペクト軍団バックステージコメント
— 高木三四郎 SanshiroTakagi (@t346fire) May 19, 2018
「いくらプロレスが伊藤の事を振り向かなくても伊藤は絶対に振り向かせてみせるから。伊藤がプロレスで一番の女になるから、今は二番目で愛人のような関係かもしれないけど、必ず夫婦のような関係になるから」
瑞希選手はすごいなあ。#tjpw#DDTUNIVERSE pic.twitter.com/nlteaoKLIq
慟哭する伊藤、よりそう瑞希。この二人の結びつきを感じさせるシーンでした。しかし、この日は対角線に立って闘う二人。そして闘ったあと、伊藤リスペクト軍はどうなってしまうのか。どちらが他のパートナーを従えてチャンピオンになった後にこの関係性が壊れてしまうんじゃないか。なんとも言えない気持ちになりつつ、この試合を見ていました。
複雑な気持ちで見てましたが、伊藤麻希は新コスチュームで登場。そして早速のタイタニックポーズ。女子レスラー、コーナーに登ってタイタニックポーズしがち。
タイタニックポーズ。赤ずきん風のマント的なものを羽織っての入場。
ちなみにマント脱いだらこんなかんじでした。セーラー&サンタ的な。アイドル感増した!
試合はいきなり坂崎&瑞希組が奇襲によりペースを握りにかかります。二人を座らせてのドロップキックからのラリアット、場外に落としての二人同時のプランチャ。さすがの連携。組んでから間もないのにしっかりと用意してくるところはさすがです。
しかしそうはいかないとばかりに才木玲佳がパワーで反撃。瑞希のクロスボディをキャッチし投げ飛ばし、倒れた瑞希をタッチした伊藤が蹴りまくる。しかも挑発するような蹴り。蹴りというより足先で突くような、いつもクールな瑞希を自分のペース、感情のぶつかり合いに引き込もうとする伊藤。しかし「世界一可愛いのは~」「伊藤ちゃーん」のコールは瑞希がスカしていって付き合わず。駆け引きが続きます。
しかしそこから捕まってしまった瑞希。伊藤にはボディスラム連発からスリーパーで締め上げられ、才木にもキックの連打を喰らい、タワーブリッジ、ドロップキック、キャメルクラッチと攻め込まれるもなんとか坂崎がカット。その後も連携を喰らうもなんとか坂崎に瑞希がタッチ。ここから坂崎ユカタイムが開始することに
いきなりコーナーからのテーズプレス、カウンターのフランケンシュタイナー、コーナーに登ったところを向かってこられた所を側転でかわしてのドロップキック。いままでの鬱憤を晴らすような動き、躍動感。エンジョイっぷりが伝わってきます
その後合体の丸め込みを出す瑞希、坂崎ですが、才木はパワーで脱出して伊藤にタッチ、そしてなんと伊藤を才木がタワーブリッジしてブンブン回転するという二人タケコプターみたいな恐ろしい合体技が炸裂。坂崎はふっとばしますが瑞希には避けられ、伊藤はフラフラに。偶然倒れたこけしが坂崎にヒット。結果オーライとはこのことでしょうか。
そして試合は再び伊藤と瑞希のマッチアップに。ドロップキック、「世界一可愛いのは伊藤ちゃん」パンチを繰り出す伊藤。DDTをこらえてフットスタンプ、ロープつたいふとスタンプ、ドロップキックとたたみかける瑞希。
ボディスラムで投げた伊藤、セカンドロープからのフットスタンプを初披露。瑞希の得意技をぶつけてくるところ(しかも初披露)に伊藤のこの一戦に気持ちを感じます。
しかしここで才木が入ってきてふたりがかりのブレーンバスター。しかし!ここで坂崎が入ってきて投げられた瑞希を受け止めて才木を場外に追い払う。再び瑞希が伊藤を丸め込んでからのフットスタンプ、そこに坂崎がスワンダイブ式ボディプレスを見舞いますがこれは伊藤がヒザで迎撃。コーナーに登った瑞希は落とそうとする才木にネックロックで迎撃しますが才木はパワーで持ち上げてブレーンバスター!飛びつきフランケンシュタイナーを仕掛けてきた坂崎を受け止めて逆エビに!バケモンか!そしてすかさず伊藤も抱え込み式逆エビ固めに!逆エビ二重奏!
逆エビ二重奏!手をつなぎ、ロープに貼って行く瑞希&坂崎のタッグチーム感!ドラマを感じます
ギリギリと締め上げ続ける二人ですが、ここでなんとかエスケープに成功した二人。再び伊藤と瑞希がリングに残される。あくまでこの二人の決着になる予感。
ヘッドバットを連発する伊藤、しかし瑞希もヘッドバットで対抗。しかし頭の硬さには一日の長がある伊藤、ヘッドバット連発、こけしで反撃。そしてダイビング・ヘッドバットを狙いますが坂崎に掴まれたこともありかわされてしまいます。そこに坂崎がスワンダイブ式ボディプレス、瑞希がコーナーからのフットスタンプとたたみかけると伊藤は虫の息。一旦立ち上がって雄叫びを上げるも倒れてしまい、突っ込んでいた所をカウンターのキューティースペシャル!瑞希が伊藤から3カウントを奪いました。
勝利を奪い、ベルトを抱えて抱き合う瑞希、坂崎。嬉しさを爆発させました
そして伊藤に向き合う瑞希。覚悟を決めたような感じで伊藤に歩み寄ります
握手を求める瑞希、立ち上がる伊藤。緊張が走ります
伊藤は瑞希を睨みつけ、2・3言言葉を交わした後に突き飛ばして帰っていく、すれ違ったまま。
こうして瑞希と伊藤は元の関係に戻ることなく、伊藤はリングを去っていきました。そして坂崎と喜びのポーズを取る瑞希。この一年近く伊藤リスペクト軍を見てきた自分にとっては複雑な感情もありますが、だからこそこの試合は素晴らしかった。伊藤麻希と瑞希の感情の交錯をしっかりと試合に昇華し、坂崎ユカも才木玲佳もそれぞれの持ち味を発揮した。感情という縦糸をしっかりと技術という横糸で補った。タッグマッチの楽しさと激しさ、そして気持ちのぶつかり合いを堪能させてもらいました。
これからの伊藤麻希、瑞希がどうなるのか。伊藤リスペクト軍というユニットはなくなってしまうのか。伊藤もまたベルトを狙っていく上で瑞希とぶつかっていくこともあるでしょう。この二人の関係性のストーリーをまだ見たい、と思わせる試合。ぐっときました。
メインイベント TOKYOプリンセス・オブ・プリンセス選手権試合
【王者】山下実優 vs 優宇【挑戦者】
◯山下実優
(17分9秒 クラッシュ・ラビットヒート→体固め)
✕優宇
そしてメインは山下実優vs優宇。煽りVで優宇が「私はOK revolution になれない」と謎の悩みを告白。強いと色々悩んだりするんだろうか。強いだけでいいのに。試合は優宇のチョップ、山下のキックのどつき合い。最後まで立ってた山下勝ち。 #tjpw pic.twitter.com/F1erPqiMSR
— 男マン (@otokoman) August 25, 2018
東京女子プロレスで数少ない「強さ」だけで説得力を持たせていける選手である優宇。正統派の強さを持った選手だからこそ、他のキャラクターを持ったレスラーへの羨望があるのかなとも思います。しかし、そこで思い悩む優宇。そのナイーブさが優宇の魅力でもあり、あやうさでもあるんでしょう。
紙テープの量!観客の期待感が伺えます。優宇を睨みつけた山下、テープに体を持ってかれてました。
ゴングが鳴り、試合開始から5分間続いたのはグラウンドの攻防。バックを取り合うプロレス的なグラウンドに加え、優宇が山下をタックルで倒し、ガードを越えてサイドポジションからマウントを取りに行く動き、それを山下が返してガードからマウントを取りに行く、それを返した優宇のバックを山下が取りに行く。そこから抜けた優宇がヒザで山下を制す。優宇が下からオモプラッタ的に腕をとって十字を狙うなど格闘技的な動きを取り入れた寝技の攻防。それを固唾をのんで見つめる客。すでにこの段階で「闘い」で客を引き込んでいる二人。思わず「存在意義あるよ!」と優宇に心の中で叫んでました。
そして一転、場外戦を経てからはゴツゴツとしたドツきあいに。優宇のチョップに観客がどよめき、山下のキックも徐々にエグいものになっていく。女子の試合で殺気すら漂うドつきあいが繰り広げられる、打撃音にどよめき、そのどよめきが広がり、興奮状態がつくりあげられていく。混じりっ気のない女同士のぶつかりあいがそこにあり、それが後楽園ホールを興奮の渦につつんでいるこの空気、この現実。それがまさに優宇の存在であり、それを受ける山下の凄み。後楽園ホールの真ん中で「わたしはここにいるぞ~!」と全身で叫んでいるような。身を切るような存在証明。優宇のプロレスがそこには確実にあったように思います。
アティテュード・アジャストメント、バズソー、しがみつく優宇を踏みつけてヒザ一閃、スピンキックとたたみかけ、最後はクラッシュ・ラビットヒートで勝利したのは山下実優。
ただ、ほんとうに結果として勝った、それは大事ではありますが、二人のぶつかりあい、その結果山下が立っていた、というそんな試合だったように思います。ただただ過剰なぶつかりあい。過剰な打撃の繰り返された闘い。後楽園ホールを二人がねじ伏せたようなメインイベント。凄い試合でした。
うずくまる優宇、勝ち名乗りを上げる山下。凄いもの見ました。ありがとう二人。
その後ボーナストラックとしてプリシラ・ケリーが登場して山下に挑戦、上福ゆきが適当に通訳して会場笑い、という場面がありつつも山下が「限界を決めるな~!」で締め。こうして充実の東京女子プロレス後楽園ホール大会は幕を閉じました。全体のパッケージとしての完成度、そして後半3試合のクオリティの高さ。満足感の高い興行でした。DDTグループ内でも、女子プロレス界でも最も勢いがあると言っても過言ではない東京女子プロレス。来年1・4の後楽園ホール大会も決定。ますます今後に期待です。