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ケガとスタイル。スポーツ報知のケニーVS棚橋舌戦記事で感じた違和感。

10・8新日本プロレス両国大会の感想は前日書きましたが、その翌日会見を扱ったスポーツ報知の記事を読んでだいぶ違和感を感じた部分があったので、今回はそのことについて書きます。記事はこちら。これを書いた記者は中村健吾氏、とあります。

 

www.hochi.co.jp

 

基本的には10・8両国大会を受けての翌日会見でのケニー・オメガと棚橋弘至の舌戦をもとにした記事。ちなみに二人の会見での舌戦は一時間近くに及ぶほど。YOUTUBEで無料公開されてますが、引くほど長いので要注意。

 

www.youtube.com

 

一時間見るのダルいし長い、という方には全文訳が新日本プロレス公式サイトに載ってますのでこちらをご参照ください。

 

www.njpw.co.jp

 

 

 

そこからケニーの言い分、棚橋の言い分を載せていく記事なんですが、この記事を書いた記者の方は棚橋の方に思い入れがあるようで、まあ日本の新聞でプロレスを取材してくればだいたいそうだろうと思います。そしてケニーへの思い入れはさほどないようで。本文中の「2009年の来日後、あっという間に流暢な日本語を身につけたインテリ・オメガ」という記述でもそれはわかります。DDTにビデオを送り、日本に住んでプロレスをやりながら日本語を覚えていったケニーを「インテリ」の一言で片付けるのはどうかと思うのですが。そしてこの記述からどんどん疑問が残る展開に。

 

 そんな「エース」が支え続けてきた新日は、来日前に路上プロレスで鳴らしてきたDDT組、オメガや飯伏幸太(36)といったアスリート系レスラーの参入で明らかにハイスパートな戦いが時間の限り続く激闘路線に舵を切った。 

 

ケニー・オメガが新日本プロレスに初めて参戦したのは2010年、BULLET CLUB入りして本格参戦したのは2014年。この記事では「明らかにハイスパートな戦いが時間の限り続く激闘路線」と表現してますが、そこまで劇的に新日本プロレスのスタイルが変わったのか?というとちょっと疑問が。

 

 オメガの必殺技「片翼の天使」「蒼い衝動」に代表されるように、フィニッシュホールドには相手を頭からマットに叩きつける荒業が主流に。90年代の全日本プロレスで故・三沢光晴さんや川田利明らが「四天王プロレス」として激しい技の応酬をエスカレートさせていったように、ぎりぎりの戦いこそが売り物になっていった。 

 

ここは明らかに言い過ぎ。「相手を頭からマットに叩きつける荒業が主流に」なんてなっていないし、むしろ垂直落下系の技は減っているのが今の新日本プロレス。むしろ「四天王プロレス」とは遠い方向に行っていると思います。ちょっとこれは「来日前に路上プロレスで鳴らしてきたDDT組、オメガや飯伏幸太(36)といったアスリート系レスラー」に過大な責任をかぶせているように読めます。そもそもケニーも飯伏よりも団体の方向性を左右しているのは所属レスラー達とスタッフだと思うんですが。

 

   

 

そもそもケニーにしても片翼の天使を乱発しているわけでもないし、飯伏にしてもシットダウン式パワーボムやカミゴェなど、「頭からマットに叩きつける荒業」以外の部分で勝負していることは明白。「四天王プロレス」という、今プロレスを見ていない人たちに響くワードを使用してケニー、飯伏を貶めるような論調になっているように読めます。そしてこの論調で記事は続きます。

 

 その結果、昨年だけで本間朋晃(今年6月に復帰)、柴田勝頼らの人気レスラーがリング上で負った大ケガのため戦線離脱。今年もIWGPジュニア王者に輝いたばかりだった高橋ヒロムが首の大ケガのため、長期離脱中だ。

 激闘、死闘のエスカレートの末に何が待っていたか。2009年、バックドロップを受けた際の頸髄離断のため、リング上で即死した三沢さんの悲劇は、まだ記憶に新しいのではないか。 

 

さすがにこれは無理がある。そもそも本間のケガは2017年3月。邪道のハングマンDDTを受けてのケガ。大会の前半戦でもあったし、ケニーらのせいでスタイルが変わったから、というのは無理があるでしょう。

柴田が欠場の原因となったのは2017年4月のオカダとのIWGP戦。高橋ヒロムのケガは今年7月のドラゴン・リー戦でのもの。それぞれのケガにそれぞれの原因はあるとは思いますが、このケガを「死闘のエスカレート」とくくるのはあまりにも乱暴というもの。これらの原因はもっと複合的な、例えば過密日程や移動の多さ、そして選手のケアなども問われるべきでしょう。ヒロムのケガに関しては過激な攻防で売っていたドラゴン・リーとの戦いの末なので、「死闘のエスカレートの末」と言えなくもないですが、そもそも三沢の死因についても、長年のダメージの蓄積に加え、誤った首のケア(首を思いっきり引っ張って伸ばすなど)や社長業をこなす中での練習不足など、様々な原因があることが分かっています。

 

このようなケガについてはプロレス界全体、マスコミも含めて原因究明しながらその防止に努めていかないといけない重要事項のはず。それを、この記者のストーリにはめて「ケニー、飯伏が新日本プロレスに入ってきたからスタイルが過激になって怪我人が多発した」みたいな論調でまとめてしまうと見えるものが見えなくなってしまう。実際、YAHOOニュースのこの記事についたコメントは、ボンヤリと棚橋の意見に賛成し、ケニーは過激な技を使うから怪我が多い、としているものも多数見受けられます。もちろんきちんと見て意見しているものもありますが、やはりそんなに熱心に今の新日本を追っていない人たちがこの記事を見た時に、ケニーと飯伏が新日本のケガの元凶で、三沢が死んだようなことが起こるかもしれない、と思ってしまっている。

headlines.yahoo.co.jp

 

もちろんケニーと棚橋の1・4東京ドーム大会でのIWGP戦は楽しみですし、それを盛り上げるマスコミの役割も大きいことは分かっています。しかし、それとリングでのケガについてはまた別の問題。無理やりケニーに「外敵」の印象を植え付け、それを選手のケガと結びつけるこの記事の手法には大きな違和感を感じました。

 

この記事自体、最終的にはケニー、棚橋ともに絶賛し、「プロレスの現場取材に復帰して3年。これだけ中身の詰まった言葉の応酬が聞けたのは初めてだった。」とし、「私がそこで見たのは、プロレスを心から愛し、日々、プロレスについて考え続け、命を削ってリングに立ち続ける2人の“ザ・レスラー”の美しい立ち姿だった。」と締めているものの、だとしたらケニーと無関係のところで起こったケガを粒立てるのではなく、二人のこの日の会話から盛り上げる部分を作るべきだった。レスラー達への敬意を感じる記事であるだけに、そこを残念に思いました。

 

まあ自分は「パパはわるものチャンピオン」、「情熱大陸」の棚橋回も見た上でのケニー派ですが(まあDDT時代から見てるのでこれはそういうもんだと思ってください)そのことを別にしてもやはりこの記事はよくない。盛り上げるならきっちりと、棚橋とケニー両者の主張から拾ってきて欲しかった。特にケガに関しては慎重な報道を望みます、以上。スポーツ報知、中村健吾氏の記事への感想でした。

 

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