前回に引き続き昭和元禄落語心中第八話をNHKオンデマンドで視聴しました。「与太郎再び」編が続きます。今回は結構原作ではバッサリいかれてた部分が使われてたり、ユン版が入れ替わっている部分がありました。今回入れて残りいよいよ三話!とりあえず今までの感想はこちらから。
第七話「誕生」
小夏妊娠!与太郎スキャンダル!の衝撃で終わっていった第七話。そして今回はその続き。写真週刊誌に背中の彫り物を暴かれた与太郎ですが、八雲の言葉で立ち直り、そしてストーリーは小夏の父親探し。いろいろ情報を集めた結果、以前自らが所属していたヤクザ組織の組長のもとに直撃!対峙することになっていきます。
この七話は原作六巻の「与太郎再び編」其の三~其の五の内容となっています。一話で一巻分の内容。しかし、原作とは大きく違う部分が2つあります。
一つは、小夏の息子である信之助がまだ生まれていないこと。原作ではドラマ版六話、与太郎の真打昇進時にはしれっと生まれてましたが、ドラマ版ではこの七話の終盤で生まれることになります。このことにより、終盤、橋の上で小夏が与太郎を受け入れるシーンではまだ信之助はいない。個人的には、ここは信之助が生まれていたほうが、子供も一緒に受け入れる、という覚悟が絵的に見えたんじゃないかと思いました。
そして二つはラストの出産シーン。このために信之助が生まれるのを引っ張っていた、というのがわかる小夏の熱演。思わず与太郎が引く、というシーンもあるくらい迫力がありました。命の誕生をしっかり描きたい、という意図を感じる迫力でした。
組長と対決、小夏を孕ませたんじゃないかと詰める与太郎。しかし親分に料亭の池に投げ込まれ、思い込みで突っ走ることをたしなめられ、小夏のことを考えろと諭される。頭から血を流しながら大声で落語を演り、其の場と自分の感情をおさめる。
昭和元禄落語心中、与太郎の成長、真実の意味、大人の世界のグレーさを見せる名シーンでした。その後小夏に受け入れられ、夫婦となっていく与太郎と小夏。これで解決、ハッピーエンドかと思いきや、まだ助六とみよ吉の死に引っかかっている小夏。
殺したいけど、子供に落語を聞かせたい、と小夏。殺してほしいとボヤく八雲。生むのが怖いと呟く小夏に、与太郎の襲名披露を見に来るように告げ、八雲は去ります。そしてその夜、八雲は与太郎の家を訪れ、最後の稽古として「芝浜」を与太郎に教え、去っていくのです。
ここからは怒涛の展開。与太郎の落語を演る姿に助六を見る小夏。そして産気づく小夏!慌てて病院に!おろおろする与太郎!迫力の出産シーンを経て無事に子供を授かる小夏。
そして助六となった与太郎。八雲亭で小夏と子供と共に暮らしたい、と八雲に告げ、松田さん号泣、幸せそうな光景が広がりました。
しかしその後、八雲と2人きりになった松田さんが「助六とみよ吉が亡くなった夜のこと、小夏に嘘をついたままでいいのか」と八雲に話します。不穏な空気が漂ったところで第八話「誕生」は終わっていきました。
怒涛の展開を見せた第八話。しかしここでもう一つ原作との大きな違いがありました。ラスト近くで八雲が与太郎に教えた落語、原作では「居残り佐平次」でしたが、ドラマでは「芝浜」でした。
原作で「居残り佐平次」を与太郎に教えた理由は、落語を演る理由を問われた与太郎が「落語が好きだから、自分の我はどうでもいい」と話したところ、「お前さんは我がない。居残りという噺は我を出すにはもってこい。演じ分けを演ってごらん」と、そのまま居残り佐平次の稽古をつけてあげる、という流れ。ただドラマでは「教え忘れていた」という理由だけを付けて「芝浜」を教えました。
この大きな違い。落語のドラマだけに、この芝浜にどういう理由があるのか。今後どう生きてくるのか。そんな事も考えながら、あと二話のドラマを楽しみたいと思います。それでは今日はここまで。おあとがよろしいようで・・・。