男マンの日記

マンガ、落語、お笑い、プロレス、格闘技を愛するCG屋の日記。

2・21引退!飯塚高史引退によせて。人格なきヒール道の終焉。

※2019・2・22、引退試合を見ての感想を追記しました。
追記分は最後のほうをご参照ください。

 

2019年2月21日、もうすでに今日ですが、飯塚高史の引退試合が行われ、1986年から33年間続けていた現役生活に幕を閉じることになりました。

後楽園ホールで行われる「NEW JAPAN ROAD~飯塚高史引退記念大会~」のメインイベントで行われる飯塚高史引退試合のカードは

タイチ&鈴木みのる&飯塚高史
vs
矢野通&天山広吉&オカダ・カズチカ

となっています。

鈴木軍メンバーとタッグを組み、一時期タッグを組んだ天山、G.B.H、CHAOSで共に闘った矢野通、オカダ・カズチカとの対戦。今のスタイルになってからの飯塚の総決算的なカードとなりそうです。まあ、基本的に客席回って登場、ウガウガ言いつつ闘ってアイアンフィンガーフロムヘル、という鉄壁のパターン。しかしそのパターンに飯塚の凄みがあるのではないか、と思ってます。

 

飯塚の凄さはほんとうに全く喋らない上に「人格を感じさせない」このスタイルをもう10年ほど続けているということ。マスクもペイントもなく、素顔のままでこの「無」の状態のままプロレスラー生活を続けている、というのは他に例がないと思います。

たとえばマスクマンだったり、ヒールのペイントレスラーだったらキャラクターとしてわからなくもないですが、飯塚は本名のまま活動をしつつ喋らない、主張しない、ただ唸りながら徘徊するというスタイル。愚直にこれを続けるあたり恐ろしく真面目なのか。

プロレスラーという職業についた以上、目立ちたいとか主張したいとかトップに立ちたいとか色んな欲望や野望があるのが普通だと思うんですが、ストイックにこのスタイルを貫き続け、一切自己主張を行わない飯塚高史。このスタイルになってからの10年、飯塚は他のどのレスラーも辿ったことのない唯一無二の道を辿っている、といえるでしょう。

 

こうなると、飯塚がどのような形でレスラー人生に幕を下ろすのか。これまでの伏線としては、天山広吉が飯塚を「かつての姿」に戻そうと、等々力渓谷で魂を探し続けている状態。この東スポ魂溢れる素晴らしい記事はこちらから。

www.tokyo-sports.co.jp

まあ、正直今までも試合で当たる機会はあっただろうし、今更感はありますが試合中に天山が飯塚の魂を取り戻すことが出来たら、「人間・飯塚高史」として引退を迎えることがあるかもしれません。

あるいは、それがかなわなくても引退セレモニーに家族が現れ、プロレスラーとしての飯塚から一人の人間としての飯塚高史に戻るような演出がなされるのか。例えばそれかバックステージで鈴木みのるから飯塚高史へ労いの言葉がかけられたりするのか。

そのように、「人間・飯塚高史」として引退するのか、それともあくまで今の、サイボーグのような「プロレスラー・飯塚高史」として引退するのか。新日本プロレスが今の飯塚にどんなオチをつけてくれるのか。今から引退試合&セレモニーを楽しみにしておきたいと思います。

   

 

 思えば、飯塚高史というレスラーについて最初の印象は「ピンクのタイツの若手レスラー」という認識でした。

デビュー早々に長州力と組んでIWGPタッグ王座に輝き、「ブリザード・スープレックス」という必殺技(ボディスラムの形で抱えあげ、ブリッジを効かせて後ろに投げるスープレックス技)を駆使し、サンボ修行によるビクトル投げからのヒザ十字などを駆使する通好みなレスラー。

野上彰(現AKIRA)とのJ.J.ジャックスを組むなど見た目の派手さはありましたが、ファイトが地味なのとアクのなさからトップより1段下の位置に甘んじていました。

一時期小川直也VS橋本真也があってから村上和成との因縁が生まれ、「魔性のスリーパー」を駆使してストロングスタイルを強調したりしましたが、トップを取るまでいかず。その頃から私はプロレスを見なくなりました。

 

そしてプロレスに戻ってきたら鈴木軍でウガウガ言いながら暴れ続ける。なんかアレな薬でも飲んだのか?というような変わりっぷり。しかしそのように変わり、自己主張せず、いわばプロデュースを完全に他人に委ねたからこそ飯塚の今の位置があるのも確か。極端に主張しない、という主張。「無」というキャラクター。これが最後に行き着いた飯塚高史のプロレスラーとしての選択だったのかもしれません。 

飯塚高史 「IRON FINGER FROM HELL」 Tシャツ XL

飯塚高史 「IRON FINGER FROM HELL」 Tシャツ XL

 

 とにかくそのプロレスラー人生も本日まで。飯塚高史のレスラーとしての幕引きを見届けよう、その一心で明日の試合を見守ろうと思います。プロレスラーとして辞めるか。人間に戻って辞めるか。そこに飯塚の最後の主張が見えるのではないか。泣いても笑っても今日!飯塚高史引退試合!セレモニーも含めて、楽しみです! 

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※2019・2・22追記

飯塚の引退試合見終わりました。

入場時には野上アナのTシャツを引きちぎり、試合中に再三天山に「昔に戻れ』と諭されるも拒否。しかしながら、オカダにはビクトル投げからのヒザ十字固めを決めて悶絶させ、そしてブリザード・スープレックスを狙うなどして過去の技をバンバン出していきました。

観客が一時飯塚コールに包まれる場面もありましたが、最終的には天山に「友情タッグ」Tシャツをかけられてのムーンサルト・プレスで3カウントを喫しました。

 

しかしその後、執拗に握手を求める天山に、苦悩を示しながら一瞬握手をする飯塚。ハッピーエンドか?と思いきや次の瞬間には攻撃を加え、鈴木軍総出で押さえつけてのアイアンフィンガー・フロム・ヘル、最終的にはイス攻撃で天山を蹴散らして雄叫びを上げ、あくまで「鈴木軍」としての飯塚高史を最後まで貫き通しました。

 

最後はタイチの「自分の言葉で引退するって言えよ!」の言葉にも従わず、マイペースで観客の中を徘徊する飯塚、そんな中鈴木みのるの手による10カウントゴングが鳴らされて引退セレモニー(らしきもの)は終了。リングに残されていたアイアン・フィンガー・フロム・ヘルをタイチが手に取り、一瞬はめるしぐさをするものの辞め、持ち去っていきました。

そして観客は満面の「飯塚」コール。「戻ってくるのではないか」と期待も込めての飯塚コールは5分・・・10分ほど続きましたが誰も戻らず。飯塚コールの中、飯塚高史引退興行は幕を閉じました。

 

飯塚孝之~飯塚高史の歴史を試合中の技で振り返り、最後は鈴木軍の飯塚高史としてのキャラクターを全うして去っていく。「らしい」引退試合だったと思います。天山と握手するさじ加減。鈴木軍最後の連携攻撃。飯塚をこのキャラクターとしてフル活用した鈴木みのるによる10カウントゴング。飯塚のプロレスラー人生が、今のこのスタイルで終わる、という強い決意のもとに行われた引退試合&引退興行でした。

 

   

 

そして、見れる方はぜひ見てほしいんですが、鈴木みのるのインスタグラムに貼ってある写真が素晴らしかった。いつも通りの飯塚、そしてそれを追う鈴木みのるのなんとも言えない表情。この鈴木みのるのインスタ込みでの引退試合。「飯塚高史」を堪能させてもらいました。33年の現役生活、お疲れ様でした!

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