遅くなりましたが、今月の5月3日、東京女子プロレスの後楽園ホール大会をDDT UNIVERSEで観戦しました。ここのところ年3回行うことが恒例となっている東京女子プロレスの後楽園大会。今回も観客がよく入っていて公式発表は1110人。大盛況で大会を迎えました。
試合も、TOKYOプリンセスタッグ選手権試合、坂崎ユカ&瑞希組に挑んだ万喜なつみ&乃蒼ヒカリが意地を見せて健闘、そしてなんといってもメインイベントではTOKYOプリンセス・オブ・プリンセス選手権試合。絶対王者山下実優に、初期メンバーながらも戴冠経験のなかった中島翔子挑戦してついに勝利。新チャンピオンに輝くなど、見どころの多い大会となりました。
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中島翔子のタイトル挑戦もですが、個人的注目だったのはこの日に行われた伊藤麻希VSアジャ・コング。伊藤の挑発で始まったこの二人の対戦を振り返っていきます。
伊藤麻希はこの日から新コスチューム&新テーマ曲。自ら新入場曲を歌いながらリングイン、そしてコーナーポストにふてぶてしく座ってアジャを待つ伊藤。
一方、いつものテーマで一斗缶を持って悠々と入場してくるアジャ。さすがの貫禄。何者にも動じない、ラスボス感がすごい。
両手で握手を求める伊藤ですが、これはアジャが拒否。「おいコラ!伊藤の目を見ろ!アジャコング!」と挑発されると髪を掴むアジャ。ここでゴング。
いきなりコーナーに頭を打ち付けられますが、伊藤も自ら頭をコーナーに打ち付け、アジャにの頭も叩きつけ返してからの「世界一可愛いのは~」ナックルを狙おうとしますが、ひと睨みで退けるアジャ。
「ふざけんな!伊藤の世界一かわいいエルボーを!」とエルボーを打ちながら詰めていく伊藤ですが、平然とコーナーに詰められ、逆水平を叩き込んでいきます。いや鉄壁。ロープに振ってのボディアタックで倒し、倒れた伊藤を踏みつけていくアジャ。踏みつけて蹴りつけ、エルボーをなんとか返す伊藤にエルボー一発で倒し、ジャンピングエルボーを見舞ってカウント1で引き起こす。アジャの余裕の攻めが続きます。
アジャはチンロック、羽根折り固め、ボディシザースと攻め込み、倒れた伊藤の尻を蹴り上げてサッカーボールキック。しかし串刺しボディアタックは攻撃はかわして伊藤エルボーで反撃、そしてここでコーナーポストに登っての「世界一可愛いのは~」、「伊藤ちゃ~ん」パンチを繰り出すことに成功!アジャ相手に!
しかしコーナーから投げ落とされ、うずくまった伊藤の腹に強烈な蹴り一閃!場外に叩き出され、観客席に投げ飛ばされ、背中をイスで一撃!アジャ・コングの洗礼を浴びせていきます。
伊藤をリング内に放り投げ、コーナーにかけたタオルで顔を拭く余裕を見せるアジャ、ついにトレードマークの一斗缶を取り出して頭を一撃。倒れる伊藤、しかし立ち上がる伊藤、また一斗缶、倒れる伊藤、しかしまた立ち上がってくる伊藤の頭に一斗缶を投げつけるアジャ、再び倒れる伊藤。しかし、よろよろと立ち上がっていきます。なんとか一矢報いて欲しい、観客からは伊藤コールが沸き起こります。
そこにヘッドバットを見舞うアジャ。しかし、頭の硬さでは負けない、というか、そこくらいしか活路がない伊藤、お返しにヘッドバット!少し聞いたか動きが止まったアジャにすかさずDDT!そしてコーナーに登り、ダイビングヘッドバット!しかしカウント1!カウント1!
すかさず中指を立てながらのスリーパーで締め上げる伊藤、一瞬ぐったりするアジャですが、胴締めにいった伊藤をおんぶする形から後ろに倒れて下敷きに。ショートレンジラリアットから踏みつけフォールにいきますが、これは返した伊藤、雄叫びをあげながら立ち上がり、中指を立てた伊藤、ニヤリと笑ったアジャはアッパーカット張り手、とどめは垂直落下式ブレーンバスター。これで伊藤麻希から3カウントを奪いました。
スペシャルシングルマッチ
◯アジャ・コング
(10分47秒 垂直落下式ブレーンバスター→体固め)
✕伊藤麻希
スタスタと歩いて去っていくアジャ、そして、しばらくうずくまっていた伊藤麻希はマイクを握ってからようやく状態を起こし、それでもうう・・・と嗚咽をもらしていましたが、ゆっくりと喋りだし
伊藤:伊藤はそれでもね!この負けはただの伏線なんで!絶対回収するんで!伊藤は令和を代表するレスラーになるから!絶対負けないから!
そしてヨロヨロと立ち上がり
伊藤:もうちょっとほしい?人生ってハードだなって思った。なんでかっていうと・・・。
伊藤:伊藤ね、小顔整形したの、80万かけて!
観客:(大きなどよめき)
伊藤:でもみんな分かってくれなくて。アジャ・コングより顔が大きいって…。
観客:(笑)
伊藤:伊藤、借金まみれだけど幸せになる。伊藤は令和を引っ張るレスラーになる! お前らも連休明け、電車に飛び込むなよ! 死にたくなったら80万の借金がある伊藤を見に来い!
そして定番の
伊藤:世界一可愛いのは~?
観客:伊藤ちゃ~ん!
から、アカペラでウルトラソウルを歌いながら、最後に観客の「ヘイ!」で締めました。しかし整形でビックリしすぎて他の要素があんまり残ってない・・・・。
ちなみに、試合後バックステージでのコメントでは整形内容までカミングアウト、こういうことしたらしいです。70万だとこれくらいか~。
今回はフェイスラインをきれいにして。エラの筋肉がすごく発達してたから、その筋肉を弱める手術とここ(フェイスライン)の脂肪をメチャメチャ取りました。たぶん70万ぐらいかかっているんですよね。エラで10万ぐらい。もっとかわいくなるから。頑張るから。
そして、その「小顔整形」は当時まあまあの話題になり、ツイッターなどでも取り上げられていました。
【緊急速報】伊藤麻希、80万円かけて小顔整形していた…!!
— DDT UNIVERSE【VIDEOS】 (@ddtuniverse) May 3, 2019
【超絶悲報】伊藤麻希、それを誰にも気づいてもらえない…。https://t.co/S3ryuEVBPl#ddtuniverse #tjpw pic.twitter.com/pRHrL9f73X
伊藤さんの整形公表の影響は凄まじく。プロレス全く見ない友達の女の子が「整形って本当なの!普通は目をいじるとかなのにいきなり顔削るって凄いよね!」と。本人に聞いたところ『いや、目はいじる必要無いんですよ!昔から自信あるから』だそうです! pic.twitter.com/YahiTw7wsK
— 木曽大介 (@kisotaro) May 6, 2019
そしてバックステージでのアジャのコメント。なんというか大人のコメント。さすが48歳。そして、もうちょっとやってくれると思ってた、というようなニュアンスもコメントを見て感じたんですが、それは考え過ぎかもしれません。
ケンカ売ってきた根性だけは認めてやるけど、それ以外はね。どうにもこうにもでしょ。最後のあれぐらいできるんだったら、もうちょっと試合中になんとかしろって思うけど。まだまだ。こっちの甘さが出たかな。あんだけしゃべくりまくれるだけの余力が残っちゃったわけでしょ。もうちょっとコテンパンにしてもよかったんだけど、そこまでのものでもねえかなって。(中略)
ヤツに負ける要素は一つもないよ。やっぱりアイドル業界からプロレス業界に最初は中途半端というか嫌々だった部分もあるかもしれないけど、プロレスラーになってこの業界で生きていくんだ、食っていくんだ、やっていくんだというハングリーさをちょっとだけ、1ミリもないかなあ…それぐらいは感じたから。
普通の人って技術があっても結果が伴わないことがあって、ここ(ハート)はすげえあると思うけど、技術が伴ってないから、そこをどうにかしないと正直ぶっ壊されるぞと。次もあの伊藤だったらぶっ壊すよ。まだ今日はやさしかった。
平成30年駆け抜けて令和の時代になっても、まだ続けていこうと思っているので、そこにはいろんな人たちが現れてくると思うので、自分の中の一つのいい経験にはなったと思うけど、あとはもういいかな(苦笑)。
冷静なままだったアジャ・コング、小顔整形で話題を集めた伊藤麻希、二人の意図はすれちがったまま終わっていった試合だったように思います。結果、試合が小顔整形カミングアウトの前振りに終わってしまった感があったのが残念。試合が文句なく凄ければ・・・。と思ってしまいました。
試合についてはDDT UNIVERSEで解説を務めたプロレス記者の須山浩継さんが試合後に言った言葉が印象的でした。
須山:まあ、ボク一つは、ダイビングエルボーを出させることができればかなり頑張ったな、と。だいたいあの、後輩の選手とシングルで対戦する時ダイビング・エルボーでフィニッシュすることが多いんですけど・・・。(出さなかった)
村田:まあ、強いというのは誰もがわかっていたことなので
天満:でも、昭和はお前らが幅きかせてたけど令和は私がって、伊藤も煽っていきましたけど、何かを残したと思います
須山:僕は、残したと言うほどのものは、厳しい言い方だけど残せなかったと思います。
村田:生き様は見せつけましたね
※試合結果、コメント等はDDTオフィシャルサイトから引用
フォローはされていましたが、伊藤がアジャに明確な爪痕を残せなかったのも確か。実際、この10日後、ディアナ女子プロレスのSareeeがシングルマッチでアジャ・コングを下しています。
2011年デビューのSareeeはキャリア8年目、伊藤はデビュー3年目なのでキャリアは離れていますが、同い年のレスラーがアジャ・コングに勝っている現実。正直面白いんで、これからも東京女子プロレス、伊藤麻希を見ていくし、応援していきますが、やはりレスラーとしてはどうしたらアジャ・コングに勝てるのか、里村明衣子に勝てるのか、は追求していって欲しいと思います。
ファンとしては、伊藤麻希がアジャ・コングに勝てるというレスラーとしての「絵」を今後見せていって欲しい。伊藤麻希の言葉は強く、多くの人の背中を押す力を持っていると思いますが、そこにリング上の説得力を上乗せすれば、もっと大きな渦ができる。そういう思いにさせられたこの試合でした。結果面白かったけど!っていうね。