男マンの日記

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武藤敬司ついに引退!蝶野正洋リングに立つ!2・21東京ドーム、最高の引退試合。

武藤敬司引退!当日券は一時間待ち!東京ドーム狂想曲!

2月21日、東京ドームでプロレスリング・ノア、武藤敬司の引退試合が行われました。日本のプロレスファンはほぼ知ってるくらいのお祭り騒ぎ。1990年代、2000年代と、今よりプロレス自体のファンが多く、地上波で露出していた時代に活躍していた武藤敬司だけに、今後しばらくこれほどのビッグネームの引退はないだろうということで、ノアもAbemaTVと組んでかなり宣伝に力を入れていました。

そのおかげか、平日にもかかわらず3万人超の観客でドームが埋め尽くされるという近年の東京ドームではかなりの埋まり方。グッズ売り場も長蛇の列となり、本当に祭りのような光景が繰り広げられたと言えるでしょう。

と、見たようなこと書いてますが実際に当日見に行った私。ちょっと仕事で結構ダメージを食らうことがあり、さらにイライラする事に見舞われたのでえいや!と当日券を求める列に並んでました。16:00に第1試合開始だったため14:00くらいに並んだんですがすでに長蛇の列。

結局、予約の当日引き換えと当日券の列が混ざっていたため長蛇の列になっていましたが、それでも結局一時間待ちで買えました。さすが武藤敬司というべきか。個人的にもドームでプロレス見るの久しぶりでしたが、掛け値なしに満員御礼、凄い人の波でした。結果アリーナ席に着席。客席は興行開始時点から外野席までかなりの数が埋まっていました。凄すぎる!

そして16:00からSTARTING 第1試合からGHCタッグチームが登場、第2試合が東京女子プロレス、DDT提供試合とSTARTING FIGHTがサクサク進み、17:00から本戦というべきMASTER STAGEへ。メインの武藤敬司VS内藤哲也は第8試合ですが、相変わらず異常にサクサクと進んでいきました。

前半戦の個人的ハイライトは東京女子プロレス・伊藤麻希の「世界一かわいいのは~?」「伊藤ちゃ~ん」パンチ。東京ドームでマイクを使って「世界一かわいいのは~?」と観衆に呼びかけたのも、結構な数の「伊藤ちゃ~ん」が帰ってきたのも良かった。当日ツイッターに動画貼ったかいがあったというものです(自意識過剰)次は東京女子プロレス単独興行のメインで見たい!ドームの満員の観衆全員からの「伊藤ちゃ~ん!」が聞きたい。夢が広がる光景でした。

 

 

オカダの「スタスタ退場」に長州力を見た!負けても主役の清宮海斗

そして、メイン以外では最も注目を浴びたオカダ・カズチカVS清宮海斗のセミファイナル。思えば1・8横浜アリーナ、新日本プロレスVSプロレスリング・ノアの対抗戦で清宮がオカダの顔面を蹴り上げてからこの試合へのストーリーが始まりました。無表情でオカダの顔面を蹴った清宮、今思えば覚悟を決めた蹴撃だったんでしょう。

その瞬間からこの日まで、ブレずにオカダを挑発し、対戦要求を繰り返してきた清宮海斗。正直この清宮の執拗な煽りがなければこのドーム大会、武藤の引退を味わうだけの「過去のプロレス」になっていたと思いますが、清宮が毎日SNS、マスコミを賑わしたことでこのドーム大会を「今のプロレス」に引き戻したと言っても過言ではないはず。それだけ清宮海斗はこの東京ドーム大会に貢献したんじゃないでしょうか。そして試合前日に「30分一本勝負」と発表され、当日に清宮が時間無制限一本勝負を要求、それが通るというおまけつき。

本当に興行開始まで緊張感を持続し、観客を引き付けた清宮海斗。全体的に巻き気味の空気が漂っていたこの興行、この試合もオカダが最初にレインメーカーポーズを見せたのは開始5分過ぎ。清宮もオカダに食らいつき、高くきれいなドロップキック、武藤譲りのシャイニングウィザード、タイガースープレックスとたたみかけてもう一歩まで追い詰める場面もありましたが、一進一退の攻防の末、最後はレインメーカー2連発に沈みました。

 

互いに短期決戦を狙ったような駆け足の一戦でしたが、清宮がオカダ相手に大いに見せ場を作った試合でした。しかし、鋭い目つきで清宮を抑え込んだ後、オカダが無言でスタスタと退場。試合中より試合後のこの振る舞いで清宮との「格の違い」を演出したように私には見えました。

このオカダの「試合後そっけなく怒気を含んでスタスタ帰る」ムーブを見て長州力を思い出しました。長州も東京ドームでの安生戦、ZERO-ONEでの橋本戦など、勝っても負けても相手を一顧だにせずスタスタ歩いて帰ることでそれまでの試合を無力化するというか、一見拮抗していたように見えたとしても実は余力があることを見せる、ある意味どんな必殺技より有効な強さの表現をした。この行動で「オカダ圧勝」の印象を観客に植え付けることで成功したんじゃないでしょうか。

 

そして一方清宮、結局最後までこの試合の主人公は清宮でした。試合のビジュアル通り、巨大な敵に立ち向かい、全力を尽くして散った清宮。先程のツイート参照ですが、このビジュアル、RPGなら魔王がオカダ、勇者が清宮。オカダはこの試合ではあくまで清宮海斗という勇者の「巨大な敵」でしかなかった、とも言えるでしょう。

この試合後、オカダ圧勝、ノアファンため息、という記事をノアの公式アカウントがリツイート。ノアもこの「物語」に乗っかったわけで、これから清宮が再び立ち上がり、冒険の末にいつの日か再び魔王オカダに辿り着く。そして新日本プロレスとともに魔王を倒し、ノアがプロレス界を覇権を取り戻す。2023年2月23日は、その物語が始まった日になったはず。「魔王」をまっとうしたオカダ、これからの「勇者」清宮海斗に期待、そんな試合でした。

 

 

この日真の功労者、武藤の「キャンパス」となった内藤哲也。

そしていよいよメイン。メインでの内藤哲也勝利、その後のサプライズでの蝶野正洋登場にはさすがに泣かされました。こうなってくると自分が見てきたプロレスを思い出し、時の流れを感じてしまいます。

学生時代に闘魂三銃士を見始め、四天王プロレスにどっぷりとハマり、その後格闘技に傾いたりDDT、マッスルでまたプロレスに戻ってきたりした自分。大阪でゲーム会社に就職して転職で東京に、その後さらに転職、会社が潰れてまた転職、一時期心を病んだりしながらなんとか今も働いてる自分ですが、プロレスを見て勇気づけられたり、そのおかげで友人ができたりしなかったら壊れていたんじゃないかという気さえします。そのプロレスの中で常に光を放ってきた武藤敬司。最後に盟友、蝶野正洋とともにタイガー服部に手を挙げられる武藤敬司。なんというか、こうなってくると走馬灯じゃないですが、いろんなことが頭をよぎる。そんな武藤の引退試合でした。

 

そして思い起こせば結局武藤敬司の「白いキャンパス」となった内藤哲也。武藤の袈裟斬りチョップ、エメラルド・フロウジョンを受け、ディスティーノで試合を決めるも武藤に促されて早々にリングから退場。その後のマイクで「オレ、まだ燃え尽きてねえんだよ」と言われる内藤。結局最後まで自己主張をし続けた武藤敬司。

内藤哲也がいたからこそこの感動的な武藤の引退劇が演出され、ドームの観客が涙したという意味ではこの日の立役者は内藤哲也だった、と言ってもいいんじゃないでしょうか。見事に自分を「消した」内藤のプロとしての仕事が光りました。

そして、武藤が会場から去ってからのこのメッセージ。試合中のアクシデントでこの世を去り、引退できなかった三沢光晴、病で倒れ、志半ばのうちに亡くなった橋本真也、そして試合をできるコンディションじゃなかった蝶野正洋。同世代のスター3人まとめてこの東京ドームで「区切り」をつけてみせた武藤敬司とプロレスリング・ノアからのメッセージにもう一度泣かされました。

そして祭りは終わり、規制退場で長い間待たされてからようやく帰路に。東京ドームから出たとき、なにか祭りが終わったような。大きな穴が空いたようなそんな気持ちにもなりました。ただ、武藤敬司という存在のおかげでこの未曾有のビッグイベントを行うことが出来たプロレス界、そしてノア。これを踏み台にしてさらなるステップアップをしなければ武藤も引退の甲斐がないというもの。たくさんの懐かしさがあり、これからの希望も沢山見えた。プロレスはこれからも大丈夫!そんな気持ちにさせてくれる武藤敬司引退興行でした。