男マンの日記

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令和のフリーレスラーに必要なのは人気の可視化?ウナギ・サヤカが売れる理由

団体を股にかけるウナギ・サヤカ!ひつま武士とは何か?

今日のテーマはウナギ・サヤカ選手。もともと2019年「うなぎひまわり」として東京女子プロレスでデビュー、その後スターダムに移籍してフューチャー王座、アーティスト王座に着くなど活躍、現在はスターダムとは距離を置き、フリーとして全日本プロレス、GLEAT、Merverousをメインに参戦しています。

さらに最近では女子レスラーながらZERO1のシングルリーグ戦、火祭りに参戦、他にもガンバレ☆女子プロレス、井上貴子35周年、天草プロレスなどのイベント、ローカルプロレスにも闘いの場所を広げ、海外遠征も定期的に行うなどとにかく常に精力的な活動を続けています。

ウナギ選手がなぜいろんな団体に出続けているのか。個人的には2つの大きな理由があると思ってます。

 

 

ストーリーを自分で作り宣伝「SNS時代の申し子」

ウナギ選手のSNSを追っているととにかくいろんなレスラーとのやりとりで埋まっているのがわかります。twitterでは最近では全日本プロレスの諏訪魔、青柳優馬、そして対戦するEvo女の面々。そしてMerverousの彩羽匠、KAIRI、GREAT勢、花園桃花、青木いつ希ら、とにかく対戦の近いレスラーや対戦しそうなレスラー以外にもレジェンドの井上京子、長与千種らともレスバを繰り広げていたりと常に戦争状態。

twitterで8万人のフォロワーを持つウナギ選手。これはスターダムの中野たむ、岩谷麻優らのトップレスラーと同じレベル。その巨大な発信力で対戦相手を挑発し、接点があまりない選手相手でも戦う理由を作り出していく。

普通、団体がストーリーを作っていく過程を考えると、所属選手同士が地方大会、小さな大会で前哨戦を行い、ビッグイベントまでの流れを作ってそこで決着戦、と言うのが昔からの流れ。メジャー団体のやりかたになります。

しかしインディー系、スターダム以外の女子団体は興行数が少なかったり所属選手が少なかったりすることもあり、日に日にSNSでのストーリー作り、宣伝は重要なものになってきています。その中でtwitterのフォロワーを8万人持ち、今までの経験を活かしてゼロから構想を生むことができるウナギ選手が重宝されるのは自然なこと。令和のSNS時代に必要なスキルを持っている、と言えるでしょう。

ファンをブランド&可視化、ウナギ・サヤカの功罪

そして2つ目の理由はわかりやすく「自分のファンを団体に連れてくる、それを可視化出来ている」ということ。ウナギ選手は自分のファンを「ひつま武士」と呼び組織化。twitterで#ひつま武士 #ひつま武士集合写真 で検索すると黄色or黒のウナギTシャツを着たファン同士の集合写真がたくさん出てくるはず。元週プロ編集長ターザン山本!氏も

と、ひつま武士を自称して動画撮影をしています。

ファンを可視化するだけではなく、実際にMerverousの2022年11月博多大会では大規模なひつま武士へのチケット販売キャンペーンを行いかなりのチケット販売を行いました。

このように確実にSNS上で自らにとどまらずファンも発信を行い、会場に行ったことをアピールすることにより、プロレス団体からしてみるとウナギ選手を呼ぶ具体的なメリットがわかりやすい。ゆえに呼びやすい、ということになるわけです。

 

この「SNSによるストーリー作り」「ファンのブランド化&可視化」がフリーレスラーウナギ・サヤカが色々な団体に出ている理由のように思います。

今年に入っても土井成樹、阿部史典ら実力者がフリー宣言していく流れがあり、フリーのレスラーは増加しています。ただその中での生き残り戦争が激化していくのは必然。もちろん彼らや鈴木みのるレベルの選手なら生き残っていけるでしょうが、2019年デビュー、キャリア4年目(!)のウナギ・サヤカが生き残るためにはこのような手段が必要になってくるということ。スターダムを離れてもフリーとして生き残っている背景を分析してみました。

ここのところは全日本プロレスに参戦、色々と叩かれているウナギ・サヤカ選手。しかし話題を作り続けていることは確かだし、全日本参戦初期は色々無理やり噛み付いていたのがここにきてEvo女&諏訪魔とのストーリーがはっきり出来てきたのでこれからの流れをどう作っていくのか。

キャリア4年目ということで試合については荒く見えたり対戦する選手によってはぎこちなかったりする部分もありますが(チーム200Kg、SAKIらと比べられるのも苦しいところ)Evo女勢に対してはしっかりと壁になっていたし、個人的にはガンバレ☆プロレス大田区大会でデビュー3戦目のリアラ選手に対してしっかりと試合を成立させたことなどもプロレスラーとしての実力がある証拠。テクニシャン、技の綺麗さというより気持ちで持っていくファイターなのだと私は思っています。

これからのウナギ・サヤカと全日本プロレスを考える

そして、先日の全日本プロレス代々木大会では、KAIRI&安納サオリvsSareee&ウナギ・サヤカという女子プロレス随一といえる豪華カードが実現しました。

速いテンポで技を積み重ねて観客を掴み、湧かせていくのはさすがの完成度の4人。このなかではキャリアの劣るウナギ・サヤカの見せ場は必然的にKAIRI、安納サオリの技を受けまくることになり、結果KAIRIの裏拳を連発で食らった後にダイビング・エルボーに沈みますが、最後までスピード感溢れ、全日本プロレスファンに「ザッツ女子プロレス」を魅せ、湧かせたいい試合でした。

自分の「強さを見せる」意識が強かったSareee、他の3人に賢明に食らいついていたウナギ、ウナギと張り合い、Sareeeにもガンガンやりあっていった安納サオリと他の3人もいいところを見せていましたが、やはりKAIRIは役者が一枚上。この試合を包み込む確かな技術、試合のコントロール、唯一無二の存在感を見せて去っていきました。

そして試合後も凄かった模様。この光景は、この日の観客1675人のうち、この試合目当ての観客、この試合で魅了された観客が相当数いたことの証明でしょう。全日本プロレスに女子はいらない、爆破はいらない、という意見もよくSNSで聞きますが、いい試合してファンを集めたらまた呼ばれるのは普通のことのように思います。

まあ自分は全9試合の中で1試合見たくないものがあってもまあ見とくか、と思うし、他の試合で全日本らしさは見れてるからいいか、と思っちゃいます。今後もウナギ・サヤカは試合が組まれてるんで嫌われるんでしょうが、この試合は配信ながら「見れてよかった」試合でした。そして、個人的にはこう思っています。

ウナギ選手の活躍、特に全日本プロレスでは1女子選手が男子団体の中でどうやって居場所を確保していくか、どうやって継続参戦し、話題を振りまき、ストーリーを作っていくかという挑戦のように見えます。

 

ウナギ選手が他の団体でやっているように、SNSで女子選手との因縁を生み、対戦後もそのストーリーを続けていく、という手法は全日本プロレスで取ることは出来ない。だから「三冠挑戦してやる」「今の王者は話題を生んでない」「女子の試合が凄かったら世界タッグに女子枠を」というような発言がことごとく「全日本プロレスの伝統を汚す」的な反感を買い続けているのが現状です。そして諏訪魔、石川修司が指導する「Evolution女子」との抗争を通じて諏訪魔にケンカを売っていく、というところに一旦の活路を見出したように見えます。一旦ウナギ選手の負傷で中断してしまいましたが、個人的には再開を楽しみにしています。

拒否反応を示すファンも多いですが、全日本が呼び続ける以上ウナギ・サヤカ参戦は続くでしょうし、全日本プロレスの新しい姿が見れるかもしれません。個人的にはウナギ選手のSNS戦略、ファンの組織化、可視化については全日本プロレスという団体も学ぶところが多くあるはず。「素朴にいい試合を繰り返す」ことが美徳とされるむきがある全日本プロレスですが、いつまでもそれだけだとなかなか難しい。

そこにウナギ・サヤカという劇薬をブチこむことで選手たち、フロントの意識が変わってくる可能性もある。試合は確実に面白い全日本プロレスに必要なエッセンスが「ウナギ・サヤカ」の中に詰まっているように思います。というわけで

全日本プロレスはこれからも
ウナギ・サヤカを使い続けるべき!

と宣言してこの記事を終わります。おあとがよろしいようで!

アメリカで立ち上げられた注目団体「SUKEBAN」にもイチゴ・サヤカとして参戦!

2022年のガンバレ☆プロレス参戦にともなうまなせゆうな&YuuRIとの舌戦&SNS戦争。二人の戦いへのスタンス、戦う意味が見えてくる凄い煽りっぷりでした。

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2022年年末の仙女後楽園大会でチーム200Kgと対戦決定するも「X」としたタッグパートナーを連れてこず、2vs1の試合となった伝説の興行。凄い空気でした。

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