男マンの日記

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諏訪魔VS秋山準のマイクアピール合戦を見て、本当の口喧嘩について考えた。

リアルな口喧嘩は噛み合わない?秋山準VS諏訪魔のマイクから考える

8月13日のDDT後楽園ホール大会、メインが赤井沙希10周年記念試合だったこともあり、メイン後は多幸感に包まれた大会となりました。

そんなDDT後楽園ホールの中で唯一全く上手く行かなかったのが諏訪魔の乱入激。そもそもきっかけになったのは秋山準が大仁田厚との電流爆破参戦を決めたことでした。

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大仁田の度重なる働きかけ、高木大社長の交渉もあり、DDTのビッグイベント、9・9東京・大田区総合体育館大会で大仁田厚&ヨシ・タツ&小嶋斗偉組VS秋山準&高木三四郎&岡田佑介が電流爆破マッチで決定。そこで東スポ上で挑発したのが諏訪魔。ちなみに全日本プロレスはDDT大田区の前日、9・8代々木体育館第二競技場大会が控えていることに注目。徐々にそこに向けての流れができていきます。

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諏訪魔が秋山に噛み付いたのは、秋山が全日本プロレス社長時代に電流爆破に反対していたのになぜ今電流爆破をするのか、ということ。とりあえず秋山が電流爆破するのはDDTのリングだし、諏訪魔関係ないやん、っていうのは誰もが思うことだとは思いますが、予想通り秋山はそれを一蹴。ここで垣間見えるのはなんとか代々木に秋山を引っ張り出したい、という全日本プロレスの事情。ということはなかなか集客に苦しんでいるんだろうか...。という予想をどうしてもしてしまいます。

 

 

ちなみに全日本プロレス時代、諏訪魔は大仁田と電流爆破デスマッチで対戦しています。それも全日本プロレスの興行内ではなく、根岸の工業地帯で行われた大仁田興行内。諏訪魔を見るためにJR根岸駅に降り立ち、とぼとぼと歩いていくと工場に囲まれた空き地に到着、屋台が開かれ、リングが置かれた空き地に人が群がって興行が始まる光景は、プロレスの原点みたいなものを見ているな、という印象。素敵な光景でした。

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そして迎えたDDT後楽園ホール大会。事前に乱入を予告していた諏訪魔が客席に座り、第二試合で行われた秋山準&納谷幸男&岡田佑介vs樋口和貞&石田有輝&正田壮史を観戦。試合は正直相撲出身の樋口、納谷のぶつかり合いに目が行く展開。石田もやられまくるなかで光り、自分の立場を獲得しているように見えました。その影に秋山、岡田は隠れているというか、強い印象は残していないような印象でした。

そして試合後、というか試合が終わり、スポンサーの勝利者賞贈呈、記念撮影が終わってから満を持して乱入していったEvolutionメンバー。行儀良すぎて心配になるくらいの感じでしたが、そこからとにかく噛み合わないやりとり。

結局なんとなく9・8代々木に秋山と岡田が行く、みたいな結論になって終了。その後の試合で大いに湧いたのでこの話題は引っ張ることなく興行が終わっていきましたが、とにかく二人の食い合わせが悪いことが明らかになったマイク合戦でした。

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リング上ではまったくスイングしなかった諏訪魔と秋山ですが、Evolution勢が去ってからのバックステージ(?)コメントは3人共面白かったんで、結局食い合わせが悪かったんだと思います。ちゃんと佐藤光留、田村男児に喋らせてあげる諏訪魔のいい上司っぷりが光ります。ボソボソ喋り続ける田村に佐藤光留が助け舟を出してまとめようとしたところにいきなり「プロレスなんかしねえよ!」と大声で叫ぶ諏訪魔がとにかく最高でした。

一方の秋山と岡田。岡田のお通夜みたいな表情にとにかく目が行きますが、秋山の「社長に確認取っとけ」とか、とにかく普通のコメントがなんというか、プロレスラー諏訪魔との差を感じます。正しいこと言ってても面白くなければ意味がないわけで。その点では諏訪魔の圧勝だったように思います。

巨星を継ぐもの

マイクアピール=口喧嘩?「マイク合戦のフォーマット」を考えた

改めて二人のマイク合戦を振り返ってみると、令和のマイクアピール合戦としては異様な光景になっているのがわかります。それは「互いに相手の台詞に対してかぶせていく」ということ。

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この「かぶせていく」というのはほぼほぼ今のマイク合戦ではなくなっている手法であり、基本的にはどんなに片方が乱入してマイクを握ったにしても、交互に喋ることがほぼほぼ全てになっています。

まあかぶせられると聞き取れませんし、ケンカごしのマイクアピールだと最初の方はかぶせあったりしますが、最後に重要な伝達事項(互いの試合の日程とか)に関しては単独で喋るのが基本。最近はそもそも「チャンピオンがタイトルマッチを終え、その次の挑戦者が登場してマイクアピール」とかが多いので、完全にゴールが決まっているマイク合戦が多く、観客もそういう認識をして見ているのが普通のように思います。

 

そう考えるとこのマイクアピールは異常ではありました。諏訪魔がとにかく早めに(第二試合でしたし)9・8代々木で秋山準と対戦する、という結論に持っていきたいのに対し、それだけだと説得力に欠けると考えたか秋山がいちいちまぜっかえす展開。しかもそれが最初だけではなく最後まで続きごちゃごちゃっとしたまま終わってしまいました。

諏訪魔が「勇気あるなら代々木に来い!」とか、「あんたの今までの罪を償う場を用意する」とかとにかく秋山が代々木に来るための理由付けを色々と投げかける(秋山がこれに「わかったよ!」と言えば終われる)のに対し、秋山が「勇気とか言うならお前が一人で来い」とか自分の流れに持っていこうとする。ただ諏訪魔が先の見えない秋山のマイクにうまく切り替えせないこともあってぐだぐだっとなってしまう。秋山も自分の言葉で「9・8代々木に行ってやる」という理由まで持っていけないから互いに決め手を欠いてしまった印象です。

 

正直見る側としては「どうせ9・8に秋山と諏訪魔やるんだろ」と思って見てるわけですし、どうせだったら気持ちいい感じで「やってやる」「かかってこい」っていう締め方で終わってほしいと思ってました。ただ、ここがDDTで9・8全日本の宣伝を何で見せられるのか?っていうのは引っかかってましたが...。

 

 

ただ逆に、この言い合いの中に諏訪魔の人柄(不器用だけど行動を起こし、周りを巻き込んでいくタイプ、ヒール的な行動を起こすけど憎めないし可愛げがある)と、秋山の人柄(正論で攻めていくけど正直支持しづらいしレスラー的な破天荒さを見せない。人間的な可愛げがあまりない)が浮き上がってきたのもまた確か。令和のマイクアピールとしては失敗作だったとは思いますが、二人の魅力が伝わるマイク合戦だったように思います。

我々プロレスファンは互いの台詞をたてあって盛り上がるようなマイクアピールに慣れきっているし、マイクアピール、マイク合戦には目的があってファンとしてそれを汲み取るものだ、という見方が定番になっているというのをこのマイク合戦を見て改めて感じました。

 

ハッキリ言って噛み合わなかったマイク合戦ですが、そのおかげで自分がファンとしてどうマイク合戦を見ているのか。今のマイク合戦に対してどこか物足りない、予定調和を感じていることをしっかり自覚させてもらったように思います。そんな噛み合わない二人がたたかう9・8全日本プロレス代々木大会、9・9DDT大田区体育館大会、注目していきたいと思います。