男マンの日記

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11・25 DDT後楽園大会、竹下幸之介VS伊藤麻希。不器用な23歳同士の不器用なシングルマッチ。

先日行われたDDTの後楽園大会。「DDT SPECIAL 2018」をAbemaTVで観戦しました。この大会は、DDT総選挙の結果によってカードが決まる大会。総選挙の順位によって参戦できるか決まります。

 

20位までが本戦出場、21位~24位までがアンダーマッチ出場。見事一位になった高梨将弘は、佐々木大輔とKO-D無差別級のタイトルマッチ。総選挙上位者はスペシャルシングルマッチが組まれました。カードは以下。

MAO(総選挙9位)vs葛西純(総選挙20位)

竹下幸之介(総選挙13位)vs伊藤麻希(総選挙3位)

彰人(総選挙2位)vs男色ディーノ(総選挙7位)

佐々木大輔(総選挙5位)vs高梨将弘(総選挙1位)

 この興行自体、高梨が「満員の後楽園ホールでKO-Dチャンピオンになりたい」という旨の発言をして大々的に宣伝活動を行っていました。

その切実さが伝わり、また高梨応援シートを作ったこともあり、正直DDTの後楽園大会としては久々に満員と言っていい入り(それでも北側結構潰してたし、空席もぽつぽつありましたが)。最近は一時より大分観客動員回復気味でしたが、その結果が出た結果となりました。

 

 

 

いざ始まってもダレずに楽しめました。いきなりのアイアンマン王座が甲田さんから竹下に移動、アントン、大鷲、赤井の3WAYはコンパクトに笑いを詰め込み、石井、今成のガンプロ勢は遠藤、高尾相手に意地を見せてくれたし、ストロングハーツ外国人勢の顔見世もインパクト十分。MAOもハードコアマッチで葛西とわたりあえることを示し、ディーノVS彰人はネタの宝庫のようなシングルマッチ。セミのDISASTER BOXvsSTRONGHEARTSはハイスピードの激戦&平田のダンスをCIMAが見るか?という変なスリルでも楽しめた。メインの佐々木VS高梨は文句なしのテクニック合戦。久々にDDTのいいところがギュッと詰まった興行となりました。

 

そう、竹下幸之介VS伊藤麻希を除いては・・・。

というわけで、この非常にいびつな試合になった竹下幸之介VS伊藤麻希について、思うことを書いていこうと思います。これから書きますが長文になる予感がするので覚悟してお読みください・・・。

 

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 DDT Special四大シングルマッチ~アイアンマンヘビーメタル級選手権試合

◯竹下幸之介<王者=総選挙13位>
(11分53秒 ザーヒー→K.O
✕伊藤麻希 <挑戦者=総選挙3位>

試合前に竹下がアイアンマン王者になったために自動的にタイトルマッチになったこの試合。記者会見でも互いの気合が感じられました。

竹下は「ライバル候補として竹下幸之介は伊藤麻希を見てる、ただリング上で中指を立てすぎ。俺の前で立てるなら、その指をヘシ折って、心もヘシ折る」と伊藤麻希をライバル候補として立てつつ挑発。

一方の伊藤は「ライバルと見てくれて嬉しい、当たれてよかったけど胸を借りるつもりはない、勝ちに行く」と謙虚かつ誠実なコメント。互いへのリスペクトを感じます。

 

静かに入場、ゴングが鳴ってにらみ合う二人。中指を立てようとした伊藤の手を竹下が払うとエルボー連打、効かないと見ると自らロープに飛んでのドロップキック連打。

しかしリングの中央に立ち、全く効く素振りを見せない竹下、その差が伝わったのか、観客がざわっとし始めたように感じます。

しかしここで竹下が無造作に伊藤を抱きかかえて容赦ないバックブリーカー三連発。観客からどよめきが起き、たまらず場外に逃げる伊藤。竹下はプランチャで追い打ちを狙いますが、セコンドを身代わりにかわす伊藤。しかしすぐに場外で捕まってしまい、引きずり回されてイスにぶつけられ、フェンスに叩きつけられます。

エプロンまで引きずられてたどり着いた伊藤ですが、場外へのジャーマンを狙う竹下にこらえて金的!コーナーで蹴りの連打から踏みつけてなんとか反撃。

しかし、「世界一可愛いのは伊藤ちゃんパンチ」は叫んでるうちにかわされ、背中へのパンチからアルゼンチン・バックブリーカーへ、そのままヒザに落とすという徹底的な腰責め。伊藤が軽量のため、ふんわり浮いたように見えて余計に落差があるように見えました。のたうちまわる伊藤麻希。厳しい。

 

しかしコーナーに登った竹下をなんとかデッドリードライブで投げ、コーナーに登ってヘッドバット狙い。これを竹下がかわしますが、伊藤も頭からではなく足から落ちたため、なんかヘンな感じで自爆。思い切りの良い自爆、というよりヘナっと落ちたように見えたことから、観客からざわめきと一部笑いが起きる空気になってしまいます。こういう空気になってしまうとなかなか厳しい、見ながらそう感じました。

 

しかしこれを打開すべく、自らの頭をコーナーにブチ当てて気合を入れる伊藤。竹下に向かっていきますが、肩に抱え上げられワイルドスクラップで叩きつけられてしまいグロッキーに。そのスキにコーナーのパッドを外して金具をムキダシにする竹下ですが、伊藤を叩きつけようとした所逆に叩きつけられ、ついに「世界一可愛いのは伊藤ちゃんパンチ」が完成!「世界一可愛いのは~?」「伊藤ちゃーん!」のコール&レスポンス!よし!再び声援が戻ってきます。

ここでアイアンマンのベルトを持ち出した竹下、ベルトで殴りかかりますがかわした伊藤がベルトにDDTで叩きつけてカウント2。しかしその後の逆エビはロープに逃げられ、こけしはかわされてラストライドの体勢に持ち上げられてしまいます。万事休すか!観客からも「あ~」の声!終わった感・・・。

 

しかしここから伊藤の本領発揮!ラストライドを「やだ!やだ!」と叫びながらじたばたしてなんとか逃れ、ボディに頭突きからの逆エビ狙い。しかし足を抱え込み、裏返す前に竹下に蹴り飛ばされる伊藤。そのはずみでコーナーにぶつかり、その反動でのこけしが竹下の股間に激突!叫ぶ竹下!チャンス到来!その竹下をコーナーポストにぶつけ、すかさず全体重をかけて丸め込む伊藤!カウント2!ニアフォールでのどよめきが起こる!おおお!いい空気!

ここからよろめきながらもなんとか逆エビに、ロープに逃れられそうになったところでリング中央に引きずって抱え込み式の逆エビ固め!しかしさすがに体格差が大きいのか、抱え込むだけで精一杯。ロープに逃れられてしまいます。思い起こせばここが最大のチャンスでした。

 

ロープブレイクから立ち上がる竹下、今度はその竹下を睨みつけ、中指を立てる伊藤。しかし竹下は紳士的にその指をおさめてから強烈なエルボーパッド!もろに食らった伊藤はバシーン!と音を立てて崩れ落ちるます。おお・・・・とどよめく観客。

しかしこれでは折れない伊藤、竹下に「中指オレの前で立てるなオラ!」と叫びつつ立ち上がらされるとすかさず頭突き、再び右手中指を立て、掴まれると左手中指を立てる。両手を抑え込まれての踏みつけ、そして膝立ちになったところをランニングニーアタック!バチコーンとヒットして崩れ落ちる伊藤麻希。松井レフェリーがダウンカウントを数え始めます。

しかしここでアクシデントが。(たぶん)リングアナの井上マイク氏がゴングを一度叩いてしまいます。ダウンカウントは続きますが、一瞬ヘンな空気に。ダウンカウントが進み、観客からも「伊藤~!!」と声援が飛び、伊藤も竹下のタイツを掴んで立ち上がろうとしますが、カウント9で中指を立てながら崩れ落ちカウント10。K.Oという結果で11分53秒、伊藤麻希が竹下幸之介に敗れました。

 

   

 静かに始まり、最後には声援を集め、去り際には拍手で終わった竹下VS伊藤戦ですが、大いに盛り上がった名勝負、というわけではありませんでした。伊藤の自爆シーンでざわっとなったり、ところどころ意図せぬ笑いが起こった場面もありました。それは互いに様子を見てしまうためにモタついてしまったり、変な間があいたりしてしまったため。伊藤も懸命に向かっていき、竹下も懸命に試合を作り、観客も固唾をのんで見守る。三者がそれぞれ手探りのうちになんとか最後まで持っていった試合、という印象を私は受けました。

加えて、私はAbemaTVで見ていたんですが、解説の大鷲透、ゲストの松木安太郎がこの試合をわりとコミカルに捉えていたフシがあり、ところどころ笑いながら見ていたのが気になりました。鷲関が叫ぶ伊藤を「新宿で酔っ払ってる女みたい」と例えて松木が笑う、という場面があり、そこから松木も「これはそういう目で見ていい試合だ」と思ったのかもしれません。それもありますが、一見さんに伝わりきらなかった、というのは確かでしょう。う~ん、難しい。

 

なぜこういう試合になったのか。私は見ていてぐっとくるものがあったし、竹下を少し好きになったし、伊藤麻希を応援しよう、投票してよかった、とも思いました。

中指立てた姿には心の強さを感じたし、渾身の押さえ込みには「あわや」と思わせた伊藤麻希。折れない心、勝ちへのこだわりを後楽園ホールで男子相手に見せてくれたのは凄かった。

竹下も試合を作って受けに回りつつも、バックブリーカー連発や最後のヒザはさすがの説得力。さすがは元KO-Dチャンピオン。現在無差別ベルトに絡んではいませんが、いつでもいける強さを見せてくれました。

 

とにかくしかしまた同時に、文句なくもっとバンバン湧いて満足する試合になって欲しかったとも思います。意図せぬ笑いが起こったり、ざわざわする時間があったりして観客の熱が逃げていってしまう場面があったのがなんとも惜しい。場面場面がうねりを生みきれなかった。

試合が終わって思ったのは、竹下も伊藤も、プロレスが好きで真面目にこの試合に取り組んで、真面目すぎたために中だるみしてしまった。

竹下としては、短時間で伊藤をボコボコにして終わらせればインパクトも強く、ボロも出ずに終われたでしょう。そして特に誰からも不満は出ない。しかし、なんとか伊藤と戦う意味を見つけ出し、そこをきっかけに伊藤のすべてを引き出そう、とした結果長引いてしまった。伊藤も技を全部出そうとして、技を出すことが目的になってしまってボロも出てしまった。互いの真面目さが裏目に出たのかなと。これが私が思うこの試合についての感想です。

 

両者は試合後、こんなコメントをしています。(以下、DDT公式サイトより)

竹下 まあ、伊藤麻希とのシングルマッチ、いろんな見られ方があったと思いますよ。DDTを応援してくれてる人の中にも僕が嫌いな人もいれば伊藤麻希を嫌いな人もいる。もちろん好きな人もいてくれてると思います。それは、まだ誰も作っていない、新しい道を作って、そこを歩いてるからだと思います(後略)

 

伊藤 これが今の私ですよ。もういいんです私、自分の弱さを受け入れて前に進むって決めたから。でも上に進むって気持ちだけはまったく折れてないし、これからもずっと、大好きな手の中心の指を、中指を立てて。誰にでも立ててなんと言われようと立てて。友だちなんかいらないですよ。自分のプロレスを突き進みます。

―男子のトップ選手と闘ってみて。

伊藤 やっぱ凄いっすね。……自分が男だったら絶対、プロレスラーとしてお金持ちになれてたと思うんですけど、自分が運動神経のない女に生まれてきたのを受け入れて、たくさん努力して前に進みます、それだけです!

 

竹下幸之介は1995年5月生まれの23歳、伊藤麻希は1995年7月生まれの23歳。同い年の二人が繰り広げたこのぎこちない試合は、ぎこちないがゆえに二人にとって大事な試合になったのではないかと思います。互いに互いが持っていない要素を持っているこの二人。近い将来トップに立ち、再びリングの上で向かい合うのか、共に闘ううのか、闘わず競い合うのか。若者の将来に期待しつつ、このエントリを終わろうと思います。最後までお付き合いいただいた方、ありがとうございます。長文失礼いたしました!

 

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  この興行のもとになったDDTドラマティック総選挙。ここでの伊藤の存在感の大きさは凄かった。男女のミックスドマッチについての考えも書いてあります。

 

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 伊藤麻希最初の男子とのシングルマッチはVS男色ディーノ。この試合を見た後だとディーノの巧さが光ります。まあ、ディーノが普段から「強さ」をウリにしていないから女子と闘っても勝敗への興味が持続する、というのもありますが。