1月28日、サイバーエージェント社がプロレスリング・ノアを運営する「ノア・グローバルエンタテイメント株式会社」の株式を100%取得し、完全子会社としたことが東京スポーツで報じられました。記事はこちら。
ノアがDDTに続きサイバーエージェント傘下に! 業界勢力図に大きな影響
というわけで、改めてプロレスリング・ノアの歴史を振り返り、サイバーエージェント傘下団体となった経緯、DDTで見る今後の懸念等について書いていきたいと思います。
- プロレスリング・ノアの歴史を振り返る
- ノア・サイバーエージェントグループ参画記者会見まとめ
- サイバーエージェントグループ参画以降のDDTについて
- まとめ
- 記者会見後・高木三四郎&丸藤正道&武田有弘インタビュー
プロレスリング・ノアの歴史を振り返る
プロレスリング・ノアといえば、2000年に三沢光晴をはじめ、全日本プロレスから独立下選手たちが旗揚げ。2004年、2005年には東京ドーム大会を開催するなど隆盛を誇ります。しかしその後は2009年に地上波中継が打ち切られ、リング上での事故で三沢光晴が死去。その後はタニマチとのトラブルなどで経営危機も噂されるほどに。トラブルについてはこちら参照。漫画化すると面白いです。
その後は新日本プロレスとの関わりを強め、多くのノアファンがトラウマ的に記憶してる鈴木軍時代を経て、2016年11月、株式会社プロレスリング・ノアは団体運営を元エストビー株式会社のノア・グローバルエンタテイメント株式会社に譲渡(株式会社プロレスリング・ノアは名称を株式会社ピーアールエヌに変更した後2017年に破産)2019年にはリデット・エンターテイメントの子会社となるなど度重なる体勢変更を繰り返していました。
一方、リング上では清宮海斗が2018年12月にGHCヘビー級王座となり、22歳の戴冠という最年少記録を樹立。リデット体勢になってからマットの色も緑→白になり、様々な仕掛けをしながら団体自体活性化していきました。ネットを駆使した広報戦略も功を奏したのか、今年の頭には新日本プロレスドーム大会の真裏、1・4,1・5後楽園ホールを両大会満員とし、今新日本プロレスを追いかける勢いのある団体として一番に挙げられるようになっていました。
そんなプロレスリング・ノアが急転直下、サイバーエージェントの子会社に。その事情について、今週発売の週刊プロレスで、武田元社長のインタビューが掲載されていました。
積極的にノアを復興してきたリデット社。しかし武田氏はノア・グローバルエンタテイント社社長となってリデット社を退社。その武田氏は次のように語ります。
正直に申しますとリデット社がNOAHを引き継いだ時点の負債がすごかったというのがあります。それを払い、そのあとコンテンツ価値を上げるために大きな資金を投入して二重にお金がかかる状態でした(後略)
その後も切迫した経済事情、プロレスリング・ノアへの思い入れなど、このインタビューはぜひ週プロを買って読んで欲しい。ノアファンならぐっと心のどこかを押されること必須の気持ちの入ったインタビューでした。
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ノア・サイバーエージェントグループ参画記者会見まとめ
そして昨日の18時から行われた記者会見。とりあえず1月30日深夜の時点でまだ見れますので興味ある方はこちらからどうぞ。
新しいプロレスリング・ノアの経営陣は以下の通り。”大社長”高木三四郎がDDTと兼務で新社長に。元社長の武田氏が執行役員として経営陣に残ることになりました。そして丸藤が副社長。山内氏はサイバーエージェント取締役。小林氏はどういう人かよくわかりませんでした。
- 社長 高木三四郎
- 副社長 丸藤正道
- 取締役 山内隆裕
- 取締役 小林友美
- 執行役員 武田有弘
役員陣の他にも潮崎豪、杉浦貴、小川良成、中嶋勝彦、清宮海斗が会見場に並ぶ中、武田氏、高木社長から敬意について説明がありました。
2019年11月中旬にノアの株式を取得し代表取締役社長となった武田氏。年末に高木社長とDDTとの協力体制について相談、その後高木社長の橋渡しによってサイバーエージェント藤田社長からグループ入りの打診があり、ノアを救済する形でグループ入りすることになったとのこと。そして今後もリデット社はスポンサーとして支援していくということについて語りました。
そして高木社長から、昔から若手をリングに上げてくれた仲田龍、三沢光晴への感謝が述べられましたがその後GPWA構想についてや「DDTの創成期に選手がNOAHに上がらせてもらったり、三沢さんにDDTに出て頂いたり、陽の当たらない団体が、ノアさんのおかげで陽の当たる団体になれた」と、明らかに1・4のアオリで新日本プロレスが飯伏を「陽の当たらない、観客も数人のこともあった団体から陽のあたる場所に出てきた」という不用意に、無意識にDDTをディスってしまった発言への意趣返し。
真面目な顔でどこまでネタかわからない発言してましたが、ノアの社長としてのスタンスはあくまでリング上には関わらず、経営部分をサポートするということ。事務や経理、そして映像制作については統合して経費削減をしていく方向ということでした。
そしてサイバーエージェント藤田社長はプロレスのコンテンツとしての魅力をあげ、DDTはおもしろいプロレス、ノアはカッコいいプロレスとボンヤリとしたこと言ってましたが、あくまで後方支援、というスタンスで応援する、とのことでした。
その他会見で気になった点を挙げていくと
- 1・30NOAH後楽園大会はDDT UNIVERSEで無料配信
- NOAHとDDTの交流は現場に任せる(高木社長談)
- NOAHの試合中継については日テレG+、サムライTVは継続。AbemaTVとDDT UNIVERSEでも配信していく予定。月イチ位を予定している
- 11月21日にDDT,22日にNOAHの大会を両国国技館で行う
とのこと。団体としてリング上ではある程度現状維持しつつ、経理、運営、映像などについて統合していく、という方向がなんとなく示されました。
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高木社長といえば、2015年、武藤敬司に頼まれてWrestle-1のCEO職についたこともあり、そのときはプロレス総合学院についての構想や、大会スケジュール作成、運営企画、経費の調整などに関わる、という話をしていました。
ただ、選手としてもWrestle-1に登場したり徐々にリング上でも関わったりしつつ2017年退任。DDTも2017年にサイバーエージェントのグループ会社となり現在に至っています。そして今度はNOAHの社長兼任。ほんとうに「大社長」なんだな・・・と思ってしまいました。感慨深いと言うか。
サイバーエージェントグループ参画以降のDDTについて
そしてちょっと不安点もあります。昔、DDTがAbemaTVで週に一回「DDTマジ卍」という中継をしていたことがあり、その時のDDTが鳴り物入りで始まったわりにはかなりまあ滑っていたというか。観客動員も減っていき、バラエティ的演出が全部外した上に徐々に白々しい空気が流れるようになり、あげくはサイバーエージェント社員の態度がファンの反感買ったりと、正直期待していた分幻滅していた覚えがあります。
今はそこから脱出して観客動員も戻りつつあり、試合も面白くなってきていますがあの頃に戻ってほしくない。心の底からそう願ってるし、ノアがAbemaTVで放送するとしても安易にイジられて悲しいことにならないでほしいとも願ってます。
あとDDTのホームページがサイバーエージェントになってから画期的に使いにくくなったし、DDTUNIVERSEの操作性もイマイチ。とネット企業らしからぬ弊害もあり、正直サイバーエージェントってそんなにネットに強くないんじゃないか、とも思ってます。ここはぜひ頑張ってもらってリデット時代より良かった、と言わせて欲しいところ。
ただ今日の後楽園がDDT UNIVERSEでの無料中継、というところに一抹の不安が。ノアファンとしてはDDTのサイトに行かないと見れない、ということに抵抗がある人もいるだろうし、DDTUNIVERSEのLIVE中継って止まったりサムネイル上手くツイッターに貼れなかったりとあまりできが良くないので「YOUTUBEがよかった」と言われかねない気がします。
それにそもそも現在、DDT自体が赤字なので高木社長、Wrestle-1との兼務時代よりもっと踏み込んだ、DDT本体込みでの予算削減に踏み出しそうな気がします。
まとめ
まあ色々書きましたが、それでもノアが救われたことは確か。しかし今後ノアがどういう方向に行くのかはまだまだ未知数。ただよりグッズ販売、ファンサービス(課金できるもの)に力を入れていくような気がします。たとえば
- ツーショットチェキ解禁
- アクリルキーホルダー、バースデイポートレイト販売
- 板橋グリーンホールなどで「昼ノア、夜DDTのハシゴ開催」
みたいな未来が見える・・・。そして、ギャラ高めの選手達がフリーに・・・。みたいなことも予想されます。怖いですが。でも大事なのは団体が続くこと。潰れては元も子もないので、なにはともあれそこについては一息ついていいかと思います。
1月29日、まずは一歩踏み出したノアの新体制。これから見ていくしか無いんですが、とりあえず私は今日の後楽園ホール「小川良成VSディック東郷」を楽しみにしてもう寝ます。ノア続いて良かった~。おやすみなさい!
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記者会見後・高木三四郎&丸藤正道&武田有弘インタビュー
※2020/2/1追記
Abema格闘Timesに、記者会見直後のノア首脳陣インタビューが掲載されていたのでアップしました。これからのノアの方針について話している三者鼎談ですが、個人的に気になっていたSNS戦略については
――ノアは昨年からSNSでの細かい映像配信を行なっていて、ファンに好評です。そこは続けられますか?
武田 (高木に)そこも「丸投げ」で大丈夫ですか?
高木 はい、丸投げで(笑)。逆にノアのSNSスタッフのみなさんにはDDTもお手伝いしてもらえたらと。
武田 中継も「G+」、「サムライ」に「AbemaTV」と「DDT UNIVERSE(DDTの映像配信サービス)」が加わるので充実すると思います。
ということなので、ノアの現スタッフが継続してくれるのであればいい方向に進むんじゃないかと思います。現にDDT UNIVERSE初のノア中継で一時サイトが繋がりにくくなったときも、ノアスタッフの臨機応変な対応で携帯からのPeriscope中継がTwitterから見れるようになっていたので、この柔軟性は継続して欲しいところです。
ノアスタッフのいい仕事といえば、1・30後楽園での拳王の感動的なリデット・エンターテイメントへの感謝のマイク。これをすぐに次の日YOUTUBEにアップ!DDT UNIVERSE中継が定着しても続けて下さい!スタッフ有能!