2009年6月13日。ノアの創始者三沢光晴の命日ですが、プロレスリング・ノアはこの日付をずっと大事にしてきました。三沢光晴追悼興行を行う日として、去年もエディオンアリーナ大阪で三沢光晴没後10年、メモリアル興行を行いました。
そして今年、コロナ禍のなか色々あった結果か、日程的な都合もあってかプロレスリング・ノアのTVマッチが6月14日に行われました。
そのメインイベントがGHCヘビー級選手権。チャンピオン潮崎豪に齋藤彰俊が挑むタイトルマッチとなりました。ご存じの方も居るかとは思いますが、この二人は三沢光晴が倒れた試合、三沢最後の試合となった三沢光晴&潮崎豪VSバイソン・スミス&齋藤彰俊のそれぞれ参加選手。潮崎は最後のパートナー、彰俊は最後の対戦相手。そして、バイソン・スミスは2011年に亡くなっているのでこの対戦は本当に「三沢光晴最後の試合」の登場人物によるシングルマッチということになるわけです。
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メインイベント、無人のスタジオに静かに入場してくる二人、何かを決意したような彰俊に比べ、潮崎はいつも通り静かな表情での入場。そして静かにゴングが鳴りました。
最初はしっかりロックアップで組み合う二人。互いの力を確かめ合うような押し合いの末、彰俊が潮崎をロープに詰めてブレイク。ロープワークからのショルダータックル合戦も彰俊優勢、しかしロープに飛んだ彰俊に潮崎のチョップ、反撃のショルダータックルで彰俊が潮崎を倒し、一度場外エスケープする潮崎。一旦間を取ります。
再び今度は手四つに組む二人。渾身の力比べに二人の顔も歪み、ここでも彰俊が優勢に。なりますが、挽回した潮崎がダブルリスト・アームサルトで投げ捨てる。力強い、一進一退の攻防が繰り広げられます。
その後彰俊のローキック、潮崎のチョップの打ち合い。チョップで彰俊を倒した潮崎がロープに振ってのエルボーからフォール、ニードロップ連発と少しづつ流れを引き寄せていきます。そしてチンロックで締め上げる。彰俊もボディブロー連発、コーナーから飛んだ潮崎へのヒザ、場外戦でコーナーにブチ当てるなど打撃で潮崎を圧倒し始める。
やはり潮崎より彰俊のほうが最初から気迫を全面に出しているところが出てきたのか。どこかいつも受け身というか、スロースターターの潮崎を攻め立てていきます。
そして場外では潮崎の右腕を攻めていく。ラリアット、チョップ封じに鉄柱攻撃、鉄柵攻撃と執念を感じる攻め。ここから「鬼の齋藤彰俊」が顔を出してくることに。
なんとかリングに上がった潮崎の右腕をとにかく蹴りまくる彰俊。もがき、のたうちまわる潮崎。しかしおかまいなしに蹴り、踏み、非情な攻めでダメージを与えていく彰俊。腕をロープに絡めて絞り上げるなど様々なバリエーションで攻め立てていきます。
潮崎もその攻められた腕でチョップを打ちますが、すかさずキャッチされアームブリーカー連発で喰らい、さらに苦しむことに。それでもチョップを打っていくも、肘への袈裟斬りチョップで反撃され、コーナーにもたれかかったところをラリアット。ブレーンバスターはなんとかこらえて投げ返しチョップ。ロープに振られたところをカウンターのショルダータックルと、なんとか潮崎も反撃に出ていきます
彰俊をコーナーに詰めてのチョップ連打、右肘を抑え、苦悶の表情を抱えながらの袈裟斬りチョップ、フィッシャーマンバスター。肘を気にしながらも攻め込む潮崎。しかしカウンターの裏落とし。これがカウント2に終わると怒涛の裏落とし連発。すごい形相で倒れた潮崎を引き落として裏落とし。これもなんとか潮崎も返します。
さらに彰俊はその場飛びニールキックからの投げ捨てジャーマン連発、潮崎も立ち上がってラリアットから両者ダウン。勝ちに行くというより互いを削り合う、ぶつけあう意地の闘いに。
そして場外に逃れた彰俊、場外に飛ぼうとした潮崎にカウンターの袈裟斬り、エプロンに立った潮崎にマッケンロー、そして場外マットへジャーマンで叩きつける厳しさ!潮崎もグロッキーになり、なんとかカウント19でリングに。そこからも彰俊容赦なし!
エルボー連打、しかも最後は振り抜くタイプ!そして起き上がろうとする潮崎にヒザ!パワーボムからしっかり抑え込み!カウント2!スタンドからの延髄斬り!カウント2!そして彰俊、フィニッシュポーズ、首切りポーズから天を指してデスブランド狙い!しかしコレを潮崎こらえ、ゴーフラッシャーで返す!カウント2!
彰俊はゴーフラッシャーのダメージでなんとかロープを掴んで立ち上がり、それを待つ潮崎。彰俊の髪を掴みラリアットを狙うも延髄斬りで返した彰俊が裏落とし!そして!
左手で天を指してからあの!あのバックドロップ!そう、三沢光晴に齋藤彰俊が最後に放った技、バックドロップを潮崎に出したんです!座り込んだ潮崎に走り込んでの延髄斬り、カウント2から立たせての対して潮崎もエルボー連打からバックエルボー、ローリングエルボー!そして立ち上がらせた彰俊を抱えあげてエメラルドフロウジョン!三沢の技を、魂を彰俊に叩き込む!
なんとか立ち上がる彰俊に豪腕ラリアット!カウント2!さらに剛腕ラリアットを叩き込んでカウント3.チャンピオン潮崎豪が防衛を果たしました。
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ダメージでしばらく立ち上がれない二人、そして、倒れたままの彰俊にマイクを渡す潮崎。彰俊はダメージに耐えてなんとか語り始めます。
GHCヘビー級チャンピオン、潮崎豪殿
いや、シオ!ベルトはお前を選んだ
しかし、負けはしたけど、効いてるけど一言だけ言いたい
シオ!ありがとう!ありがとう!ありがとう・・・。
これで、負けたけど、オレ、次に進むよ
またどこかで接点があったら闘おう
お前は最高のチャンピオンだよ潮崎
ありがとうーーー!
そして去っていく彰俊。その背中に語りかける潮崎
齋藤彰俊!斎藤さん!
6月に、そして、この日にあなたとこのベルトをかけて闘えたこと
誇りに思います!
魂感じました!
ありがとうございました!
そしてTVの前の観客に向き直し、画面に向かって宣言します
ノアには、魂のこもった闘いがあります!
その魂を消さないよう、このリングは今後も、これからもずっと
動き続けていきます
画面の向こうのみんな
ノアを、ノアを、見ていてくれ!
今日はありがとう!
みんないいか?用意はいいか?
このリングには、ノアの選手、この俺、潮崎豪がいる!
アイ・アム・NOAH!
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試合自体は今の時代にそぐわないような泥臭さ。試合も互いの技を不器用にぶつけ合う展開でした。その分ドキドキハラハラ、手に汗握る、というよりゴツゴツとした魂ごと削り合う、ややもすると単調に見えるような「果し合い」。そして、なんといっても齋藤彰俊、潮崎豪、互いの「三沢光晴」を叩きつけあった試合に見えました。
そして、彰俊のマイクにあった「これで、負けたけど、オレ、次に進むよ」という言葉。三沢逝去から11年、齋藤彰俊が今までずっと三沢光晴にとらわれていたと思うと背筋が伸びる思いがします。それだけショッキングな出来事だったし、想いが消えることがなかったということ。重い荷物を背負って闘っていた齋藤彰俊。それを振り切る闘い。潮崎豪のラリアットで。三沢の技ではないラリアットで3カウントを奪われ、次に進むことが出来た。改めて命の重さを感じざるを得ない・・・。
そして「アイアム・ノア」と叫んだ潮崎。これからのノアは彼に掛かっていると言えるでしょう。他団体も、というか新日本プロレスも無観客試合を始め、客入れの興行も予定に入れてきました。ノアも後楽園大会が決定し、この自粛機関でもストーリーを積み上げてきたプロレスリング・ノアの底力を爆発させて欲しいところ。そんな助走を、大事な大事な助走を終えた潮崎豪。
本当の「潮崎豪時代」を築けるか。正念場はこれからです。ユーアーNOAH!