男マンの日記

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突然突きつけられた動物的本能!船木誠勝VS藤田和之、顔面蹴りのフィニッシュが観客に提示したもの。

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充実のプロレスリング・ノア、9・26後楽園ホール大会!

9月26日、プロレスリング・ノアの後楽園大会が行われ、AbemaTVで放送されていたので見ました。ノアは今シングルリーグ戦「N-1 VICTORY 2021」の真っ最中。この日は最後の公式戦だったため、A~Dブロックのトップ4人が進む準決勝の顔ぶれが決定。かなり重要な大会でした。ちなみにこの日までの得点状況はこちら。

Aブロック

  • 清宮海斗<2勝=4点>
  • 武藤敬司<1勝1分=3点>
  • 杉浦貴<1敗1分=1点>
  • 征矢学<2敗=0点>

Bブロック

  • 望月成晃<2勝=4点>
  • 拳王<1勝1敗=2点>
  • ケンドー・カシン<1勝1敗=2点>
  • 稲葉大樹<2敗=0点>

Cブロック

  • 田中将斗<1勝1分=3点>
  • 桜庭和志<1勝1分=3点>
  • 中嶋勝彦<1勝1敗=2点>
  • 鈴木鼓太郎<2敗=0点>

Dブロック

  • 藤田和之<2勝=4点>
  • 船木誠勝<2勝=4点>
  • マサ北宮<2敗=0点>
  • 齋藤彰俊<2敗=0点>

 

そしてこの日の試合は進み、ケンドー・カシン、田中将人がそれぞれ稲葉大樹、鈴木鼓太郎に敗れるという波乱で優勝争いから脱落。後半の4試合の勝者がリーグ通過、優勝決定戦に進むことになりました。

 

まずCブロック公式戦、中嶋勝彦を蹴り、インサイドワーク、関節技で翻弄し、4点ポジションからのヒザを見せるなど、ギブアップ手前まで追い込んだ桜庭ですが中嶋のヴァーティカル・スパイク一閃でカウント3を許して脱落。中嶋勝彦がCブロックを通過して準決勝に進みました。このN-1でかなりシングルマッチで「やれる」ところを見せた桜庭でしたが惜しくも通過ならず。ただ存在感は示したと思います。50歳を超えてどんどんプロレスに順応していく桜庭恐るべし。 

 

そして、Bブロック公式戦、拳王VS望月成晃はこちらも望月が大健闘。拳王の脇腹に狙いを定めて攻め続け、さらにハイキック連発で追い詰める。さらに丸め込み連発であわや!の場面を作りますが、なりふり構わぬ拳王が胴締めスリーパーに捕らえてから粘って締め続け、たまらず望月ギブアップ。拳王がなんとか準決勝に進みました。 

 

そして、今回個人的に楽しみだったDブロック公式戦、船木誠勝VS藤田和之を迎えます。「事件」はこの試合で起きました。

   

突然突きつけられた「暴力」!旋律の顔面蹴りで船木勝利!

手四つにはならず、相手の間合いを蹴りで計る二人。船木が左ミドルを連打するも、船木の足を掴んで倒し、上になる藤田。しかし船木もニーオンザベリーを許さずにガードポジションに。総合格闘技経験のある二人らしい試合の立ち上がりとなりました。

横四方でとりあえず押さえ、仕掛けようとする藤田、しかしガードに戻そうとする船木。したから船木が三角絞めを狙っていくも藤田もリフトで持ち上げ、立ち上がったところでエルボー、しかし船木も持ち上げられようとしたところを切り替えして脇固めから腕十字に。なんとか腕をロックして逃れる藤田。腕を伸ばされたところを藤田エスケープ。UWF的展開に客席も緊張感に包まれます。

しかしここから一気にギアを上げてきた藤田。船木の左ミドル連打を喰らいますが、すかさずバックに回ってジャーマン、パワーボムから顔面蹴りをねらうもこれはかわされ、エルボー合戦からラリアットを狙ったところを丸め込まれ、立ち上がろうとしたところにすかさず船木の顔面蹴り炸裂!

これでカウント3!戦慄の顔面蹴りで船木誠勝が準決勝進出を果たしました。試合時間にして5分5秒。強烈なインパクトを残す一撃でした。

 

そして、メインイベントはAブロック公式戦、清宮海斗VS武藤敬司。武藤の執拗な足攻めからの足4の字、シャイニングウィザードで何度も追い詰められますがなんとか時間切れ引き分けに持ち込み、得点差で準決勝進出。これにより、10月3日に行われる準決勝の組み合わせは

  • <Aブロック1位>清宮海斗vs拳王<Bブロック1位>
  • <Cブロック1位>中嶋勝彦vs船木誠勝<Dブロック1位>

となりました。

   

プロレスは格闘技、という原点回帰を見せた船木誠勝のメッセージ。

この日勝利した船木誠勝は、コメントでこう語っています。

www.tokyo-sports.co.jp

今リーグ戦では優勝とともに「形じゃない、何が起きるか分からない」という“昭和プロレス”の体現を目指している。

現在のプロレスへのメッセージが込められており「最近はパターン化し過ぎていると感じる。総合格闘技なんかはちょっと前にはやったカーフキックは対策が立てられ、今では通用しなくなっている。本当にサイクルが早くその意味で(プロレスは)先をいかれている」と危機感を抱くからだ。

と東スポに書かれているように、この試合は改めて「プロレス=格闘技」ということを思い出させる一戦でした。

 

この日は昼はDDT、夜は新日本プロレスとノア、というように3興行配信で見た私ですが、完全にインパクトでは完全にこの試合が一番でした。

それまで竹下幸之介VSクリス・ブルックス、飯伏幸太VSザック・セイバーJrなどの高度な駆け引き、切り返しあいのプロレスを堪能していて、いきなり突きつけられた顔面蹴りという「暴力」のインパクト。

プロレスの攻防が高度化し、複雑化し、観客も「プロレスは相手の技を受けて光らせるのが本質」と言い出す昨今、格闘技の原点ともいえる、スキあらば相手を倒す。倒してとどめを刺す、という動物的本能を感じさせる結末を見せつけられた衝撃。藤田だけでなく、こちらが「脳を揺らされた」船木の顔面蹴りでした。

 

ノア生え抜きの選手だけでなく、元新日本プロレスの選手、総合格闘技経験者、インディーレスラーと様々な色を持った選手が参戦している今のプロレスリング・ノア。この「顔面蹴り」で、さらにプロレスが面白くっていく。そんな予感と震えを覚えたこの後楽園ホール大会でした。船木も藤田も凄い!

この試合のロングハイライト。前半の緊張感溢れる攻防も必見です!

www.youtube.com

船木、桜庭、柴田インタビュー掲載のKAMINOGE。このときはまさかNOAHに上がっているとは思わなかった船木と桜庭でした。