タカタイチマニア3後楽園大会・PPV観戦記。
1月10日に行われたタカタイチマニア3、後楽園ホール大会をPPVで観戦しました。この大会は新日本プロレスワールドでのPPVという初の試み。JTO勢大量参戦、そしてデスペラード、DOUKIというジュニア戦士がセミ・メインというタカタイチならではの色がついた後楽園ホール大会。どんな興行だったか振り返っていこうと思います。
第1試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
ファイヤー勝巳&SEKIYA
VS
夕張 源太&十文字 アキラ
若手らしい、常に動き回る試合の仲、それぞれが持ち味を発揮した上でファイヤー勝巳が勝利。終始目まぐるしいなか、誰か一人が極端に突出するほどではなく終わったので、もう少し技のやり取り以外の部分を見たかった気も。
金丸「まあ、これからじゃねえか?」
第2試合 女子6人タッグマッチ(30分1本勝負)
柳川 澄樺&rhythm&神姫楽 ミサ
VS
YAKO&ラム会長&石川 奈青
キャー!ラム会長!というわけで第二試合。基本的にラム会長組が仕掛けていき、JTO側が反撃する、という形。しかしさすがに自分の見せ方をわかっているラム会長組が主導権を握っていく。ラム会長のレインメーカーポーズにカメラが少し遅れてリアクションしたところは面白かったです。ラストは柳川が石川を極めてフィニッシュするも、目立ったのはそこだけだったので
金丸「いや、別に...。」
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第3試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
武蔵 龍也&イーグルマスク
VS
T-Hawk&新
T-HAWK以外私は初見ですが、新はガンプロからインディーJrを奪った選手として記憶してます。アピールに来たのは見たことある気がする。イーグルマスクはイーグルスマスクかと思ったらイーグルマスクでした。
T-HAWKがとにかく試合を献身的に盛り上げる。チョップ一つで沸かせるのはさすが。そのお膳立てに乗っかって他の3人が動いている、という感じ。JTO同士の攻防でミスったりと、さすがに経験値の差があらわになっていた感じでした。結果、イーグルマスクをナイトライド一発で仕留めて試合終了。完全T-HAWKの試合でした。
ちなみに解説席
「ずっとテンポが同じ」
「動き続けてるけど止まったほうが良い、間がない」
と、終始金丸辛口解説。村田アナの渾身のフォローが光る試合でした。
第4試合 女子タッグマッチ(30分1本勝負)
稲葉 ともか&Aoi
VS
雪妃 真矢&山縣 優
元ストリートダンサーで試合前にダンスを披露したAoi、何が凄いってこのためにバックダンサーが2人いたこと。
試合は雪妃&山縣組がどうしても引っ張る展開に。そして試合中にミラノさんと山縣優が同級生、同期デビューなことが判明することに。しかしAoi、山縣に一方的にやられ、フィニッシュ間近か?というところで稲葉ともかの蹴りのアシストを受けてからの「Aoi」でなんと山縣からフォール。正直そこまで一切負ける感じがしなかっただけに戸惑いましたが、試合自体は99%支配されていたと言うか、展開を作ってもらっていたのは確か。あまり稲葉、Aoiの二人の個性がわからないまま終わったという印象でした。
この試合後、アイドル「READY TO KISS」の歌のコーナーへ。こういう誰も歓迎してない歌のコーナー、嫌いじゃないです。
第5試合 スペシャルタッグマッチ(30分1本勝負)
KANON&綾部 蓮
VS
ザックセイバーJr&鈴木 みのる
ザックとみのるがなんか知らない曲で入場。版権料対策だろうか。ちなみにこの試合はオンリーギブアップマッチ。綾部デカい。しかし試合が始まるとさすがにみのる&ザック組が寝技で圧倒し続ける展開に。綾部が体格でみのるを圧倒する場面が一瞬あるもすぐに蹂躙されることに。JTO組もかろうじて終盤見せ場を作るも、ダブルの卍固めからザックの変形ストレッチに移行して勝利。まあそうだろう、という結果でした。JTO勢の印象が一切残らなかったのが凄い。
セミファイナル スペシャルシングルマッチ(30分1本勝負)
TAKAみちのくVSエル・デスペラード
ベテランTAKAみちのくとIWGP.Jrチャンピオンのデスペラードのシングルマッチ、これは期待。期待通りに渋い攻防が繰り広げられますが、現チャンピオンのデスペラードがジャベを駆使して優勢な展開。しかしTAKAもオーバーアクションの中でズルさを発揮する老獪さ。場外に逃れてデスペラードを誘い出し、戻ってきたところをロープ際でのドラゴンスクリューとか、やっぱり上手いんだよなこのひと、っていう動き。
鉄柱地獄から足四の字地獄へ。TAKAみちのくも明らかにプロレスの教科書を持っている。TAKA、ジャストフェースロックに捉えるもデスペラード、マフラーホールドに返すという匠を感じる攻防。続いてヒザへの関節蹴り合戦という渋さ。互いへの信頼感を感じます。
TAKAのジャストフェースロックからのクルック・ヘッドシサーズ&アームロックという攻撃も飛び出し、丸め込み合戦からのTAKAが再びクルック・ヘッドシサーズで極めにかかるもなんとか逃れるデスペラード、関節技から逃れたデスペラードは投げ技に活路を見出し、ギターラー・デ・アンヘルでカウント2,サミングからのヒザ、パンチで反撃されてスーパーK。しかし追い打ちのスーパーKをかわしたデスペラードがロコ・モノからのピンチェ・ロコでフォール勝ち。なんとかデスペラードが勝利したものの、TAKAの技術も存分に発揮された一戦でした。
試合後もベルトに手を伸ばし、「やりましょうよ」と呼びかけるデスペラード。ネクストを感じさせる一戦でした。
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メインイベント スペシャルシングルマッチ(30分1本勝負)
タイチVSDOUKI
そしてメインはDOUKIとタイチのこれも洞門対決。しかし、この二人にはそれ以上の絆があることが試合前、村田アナ、ミラノコレクションATから改めて語られます。
ミラノの引退セレモニーが行われた2010年2月14日に初めて会ったミラノとDOUKI。高校3年生だったDOUKIは高校時代の貯金を手にメキシコに渡ろうとしていました。その相談を受けたミラノはアドバイスをし、当時メキシコに渡航中だった元パートナー、タイチにDOUKIを託す、そこからDOUKIのプロレスラー人生が始まった。それから10年、この後楽園のメインイベントでそのタイチと向かい合うDOUKI、解説席に恩人のミラノ、セコンドにメキシコ時代世話になった下田美馬。これはもうDOUKIのプロレス人生が詰まったメインイベント。人生劇場、と言っていいくらい。もう泣ける。
試合は静かな立ち上がり、互いを確かめ合うような攻防から動いたのはDOUKI。場外へのトペから場外戦へ、持てる技を出し尽くす勢いで手数を出して攻め込むDOUKIですが、そこはジュニアとヘビーの差。タイチのキック一発で倒され、立ち上がってもまた倒される。コブラツイストも全体重を浴びせられ「まいったか!」と檄を飛ばされる。力量、キャリアの差もあり攻め込まれる時間が徐々に増えていくDOUKI。
しかしミラノの技、イタリアン・ストレッチ No.32でタイチを締め上げて追い込み、ミサイルキックからのブレーンバスター、すかさずフットスタンプと、手数とスピード、関節技と全てを出し尽くして対抗。緊張からか、場外へのラ・ケブラーダは距離が足りず失速するも、下を向かずにとにかく向かっていく。タイチに仕掛けられた断崖式喉輪落としも回転して返し、ラリアット合戦も食らって倒れ、倒れながらも最後にはなぎ倒す。ただただ意地を見せるDOUKIに会場も思い入れていき、一体になっていくのがわかります。
エプロンからリング内のタイチに飛びついてのイタリアン・ストレッチ No.32で締め上げるDOUKI、タイチが逃れても捕らえなおして締め付ける、締め続けるDOUKI、なんとかロープに逃れるタイチ。ここで大きなチャンスを逃してしまったDOUKI、耐える展開が続きます。
聖帝十字陵で締め付けられ、こんなもんか、立ってこい、と挑発されてのエルボー合戦。突き飛ばされ、喝を入れられ、二人の師弟関係そのままの構図が浮かび上がります。ミドルキックで倒れ、なんとか立ち上がり、弱々しくなっていくエルボー。しかし何度も立ち上がり、何度もエルボーを打ち込んでようやく盛り返し両者ダウンに持ち込む、ここからエンジンを掛けたタイチ、ロングタイツを思いっきり叩きつけて天翔十字鳳狙い、しかしこれをかわしたDOUKI、ラリアット合戦ではアックスボンバーで叩き落され、しかしこれも起き上がってラリアットでタイチをなぎ倒す!!
そして!ダウンしたタイチが立ち上がったところにスーパーキック!ミラノを指差す!そしてバックに回ってヴィクトリア・ミラネーゼ!タイチの技でとどめを狙うもカウント2!続けてドラゴン・スープレックスでカウント2!いける!と会場全体が思ったところに非情!タイチのデーンジャラスバックドロップ!
ここで!ミラノが興奮してリングサイドに駆け寄る!残り3分、タイチ式ラストライドを着地してイタリアン・ストレッチ No.32に捉えるも喉輪落とし、タイチ式ラストライド!しかしDOUKI、2で返す!全力でマットを叩き続けるミラノ、観客全員が手拍子を送る!DOUKIも最後のあがき、ブラックメフィストをホルヘ・リベラ・スペシャルで切り返すもカウント2!悠然と立ち上がったタイチ、今度こそブラック・メフィストでDOUKIをマットに叩きつけ、レフェリーが1・2・3,カウント3を叩いて試合終了!!
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会場にいる全員がDOUKIに声援を送る中、タイチがDOUKIを沈めました。号泣するDOUKI、しかし周りは温かい目でDOUKIを見つめ、観客が拍手を送る。DOUKIがはっきりと何かを勝ち取った一戦でした。
ミラノ「だってアイツ、オレの技ばっかりやりやがって・・・。」
そしてマイクを持ったタイチ、優しい目で、ゆっくりとDOUKIに語りかけます。
悔しいか。DOUKI、いや、タツヤ。タツヤ。悔しいか。
オレからしたら、いつまでも、お前はタツヤだ。
お前、立派だよ。よくここまで来たよお前。
12年前か、12年前。ちょっと長くなるけどいいのか?明日の朝まで喋るかもしれないけどいいのか?
12年前、お前はプロレスラーになりたくてよ。どうしたらいいかもがいて、何のツテから知らねえけどミラノに頼み込んでよ。メキシコでプロレスラーになりたいんですって頭下げて。その時ちょうどオレがメキシコにいて、それでミラノが、お前のこと、オレに託したんだよ。
あのとき高校卒業して、お前プロレスラー目指すことだけ考えて、高校生の時バイトで溜めた金だけ握りしめて俺のとこ来たな。言葉も何もしゃべれない。スポーツも何もやったことない。バイトで溜めたカネだけ。夢とカネだけ握りしめてオレんとこ来たな。
まあ、それから色々あったよな。お前のこと、イチからトレーニングから全部教えた。プロレスラーとしてどうしたらいいか、全部教えてやったな。お前と色んなとこ行ったな、メシ食ってな。いろんなとこ遊び行ったよな。キツい練習してな、楽しかったな。
そしてよ、オレが一番、嬉しかった・・・。いや、よく覚えてるのはよ。オレは6月、アレナメヒコ・ビッグマッチ、マキシモとカベジェラ戦やって、オレは負けて、ハゲになった。そしてお前は客席に見に来てた。その客席16000人の中で一番大号泣してたのお前だったな。
会場ただ一人、大号泣してたよお前一人だけ。
そのまま帰りの宿舎まで、泣いて帰ったらしいじゃねえかよお前。周りの人にボクどうしたの?って声かけられて。
そして、宿舎に帰っても大号泣してたなお前。悔しいです悔しいですって、泣いてくれたなお前
そしてオレが帰るときも玄関先で泣き崩れたな。オレがいなくなるの寂しいって、ヘヘ。
そんな可愛くてマジメだったお前が、そのあとオレと入れ替わりでやってきたYOSHI-HASHIとともに生活してからお前はすっかり変わった!こんなんなっちまったのは全部YOSHI-HASHIとライガーのせいだ!むしろライガーが悪い!ライガーにいろいろやられたんだろ?だからこんなひねくれ者になっちまってよ。
でもお前こうやって今もみんな助けてくれたじゃねえか。でも悔しかったもんな、新日本の看板があるからって、憧れのアレナ・メヒコに次から次へと出てな。お前は名も知らねえ会場で名も知らねえ相手とデビューして、誰も知らねえまま10年経って。
そして今どうだ。堂々と新日本プロレスのスーパージュニア出て、後楽園ホールのメインイベント立ってるじゃねえか。
他の誰よりも、オレからしたら立派だよタツヤ。
オレには出来ねえ。18でメキシコ一人で渡って、それから10年間一人ぼっちでやり続けることなんて。
お前は立派だよ、尊敬してるよタツヤ。
いや、こんなん泣くでしょ。あのメインのあとでこれは泣く。DOUKIの人生劇場の第一章がここで完結したくらいの空気感でした。
このあとタカが締め、サプライズであべみほハッピーバースデー、鈴木みのるのサプライズ顔面ケーキとあってファミリー感、多幸感のあるエンディングを迎えました。
とにかく今回はDOUKIのプロレスラーとしての今までの決算。歴史を全て振り返り、全てを昇華するようなメインイベントでした。今日前半に出たJTO勢も数年後にはDOUKIのように花を咲かせるのか。そんなことを考えさせられる今回のタカタイチ興行でした。
これをやってしまったら次何しても強い意味付けが出来ないんじゃないか?くらいの濃厚な。一人のプロレスラーの人生を感じさせてくれた興行。胸が一杯になりました。PPV3000円ほどでしたがそのくらいの価値はあった。DOUKI情熱大陸、DOUKI人生劇場。そんな今回のタカタイチマニア3、後楽園ホール大会でした。泣きました。