男マンの日記

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ぼくらは格闘探偵団~阿部史典VS野村卓矢に見た闘いのワンダーランド

2023年10月12日に新宿FACEで行われた「ぼくらは格闘探偵団」を観戦してきました。私達が待ちに待っていた阿部史典の自主興行。阿部史典のファイトスタイルから、また師匠が澤宗紀ということもあり、どことなく昔、1995年から2001年まで活動していたプロレス団体「格闘探偵団バトラーツ」感じさせる興行になるんじゃないか、と思い即購入。

バトラーツと聞いてどういうファイトを思い浮かべるか、というといわゆる「バチバチ」スタイル。もともとUWFから分派した「藤原組」のメンバーだった石川雄規を中心に若手レスラーが立ち上げた「格闘探偵団バトラーツ」

UWF系ではありましたが先行のUWFインターナショナル、パンクラス、リングスのように有名選手が全くいない現状でサヴァイブしていくためにとにかくハードヒット。藤原組長の求道的なレスリングをベースに過激さをプラス、とにかく頭を蹴りまくり、ダウンしても立ち上がり、掌底でボコボコ殴り合う。と思えばロープワークやトップロープからの攻撃もOKなど、ハードコアUWFとも言うべきファイトを繰り広げた特異な団体でした。

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そして、その過激なファイトスタイルの割に、新日本プロレスでJrチャンピオンになる田中稔、WWEでKAIENTAIの一員として活躍するショー・フナキ、PRIDEで一躍ブレイクしたアレクサンダー大塚、今もプロレスリング・ノアで活躍すrモハメド・ヨネ等格闘系だけでなく幅広くスターを排出している特殊な団体でもあります。

 

そして、そのバトラーツの一員だった澤宗紀がきっかけでプロレス入りした阿部史典。その阿部史典が自分の中のバトラーツを令和の今再現するべく開催したのがこの「ぼくらは格闘探偵団」ちょっと出遅れて入場したら観客は超満員!すご!

入場したのが第二試合の途中でしたがWrestleUniverseで配信してるので第一、第二試合は配信で見ました。全カードはこちら。

○第1試合 30分一本勝負
鈴木秀樹(フリー) vs 飯塚優(GLEAT)

○第2試合 30分一本勝負
佐藤光留(パンクラスミッション)&“brother”YASSHI(ダブプロレス) vs 日高郁人(ショーンキャプチャー)&タノムサク鳥羽(フリー)

○第3試合 30分一本勝負
スーパータイガー(ストロングスタイルプロレス) vs 矢野啓太(プロフェッショナルレスリングワラビー)

○セミファイナル 30分一本勝負
石川雄規(フリー)&関本大介(大日本プロレス) vs 池田大輔(フーテンプロモーション)&藤田ミノル(フリー)

○メインイベント 30分一本勝負
阿部史典(格闘探偵団) vs 野村卓矢(大日本プロレス/格闘探偵団)

第1試合の鈴木秀樹VS飯塚優からいきなり面白い。爽やかUWF系ファイターの飯塚がキックベースで正攻法で攻めていくところを鈴木秀樹がCACCのテクニック、えげつない頭突きや突然のドロップキックなど、あくまでUWFはルール、俺は俺、というファイトで迎撃。しかし飯塚も卍固めを狙ったり三角絞めで締め上げエスケープを奪ったりと対抗しますが、腹固めの体制から側頭部にエルボー連打というえげつないフィニッシュで鈴木秀樹勝利。いきなりピンポイントでバトラーツをブチこんでくる鈴木秀樹、流石です。

第2試合はバトラーツ生え抜き日高郁人含むタッグマッチ。意外なYASSHIのテクニック、佐藤光留と日高郁人のUWF的攻防も面白かったですがここに入った鳥羽さんの説得力!パンチガンガン入れまくり、YASHHIもガンガン頭突きで対抗。UWFとプロレスの境界が曖昧なしばきあい&極めっこが続くタッグマッチ。脇固めで光留が勝利したものの、この試合も濃厚な時間が過ぎていきました。

 

そして第三試合。スーパータイガーVS矢野啓太!異色過ぎる対決!しかし意外にも手が合うこの二人。矢野のねちっこいレスリングに対して「剛」のスーパータイガー。

ゴツゴツとしたスーパータイガーに、矢野啓太はUWF&アメリカンスタイルで対抗。ネッククランクで見せるプロレス。とにかく何度でも見たいような試合。

序盤から中盤は互いを確かめ合うようなグラウンドの攻防から終盤一気に打撃戦に、キックで何度もダウンを奪い、起きあがろうとする矢野の顔面にサッカーボールキックを叩き込んでスーパータイガー勝利!最後はタイガーの怖さが際立った一戦でした。強者同士の試しあい、という趣の一戦でした。

 

 

ここで休憩、そしてセミファイナルはいよいよ「あの頃のバトラーツ」石川雄規と池田大輔が対決するタッグマッチ、石川雄規&関本大介vs池田大輔&藤田ミノル。

「格闘探偵団バトラーツ」の2大エースとして並びたち、競い合った二人。今や石川56歳、池田55歳となりながら今なりの「バチバチ」をやっていく姿には宗が熱くなりました。脇を固める形の関本、藤田ミノルの的確な試合作りも功を奏し、石川と池田の過激すぎる同窓会というか。

存分にしばきあった石川と池田、最後は石川が変形のレッグロックで池田からギブアップを奪って試合終了。バトラーツ同窓会のラストは車座になってのグータッチ。バトラーツもですが、関本大介VS藤田ミノルも見たくなりました。爽やかなハッピーエンド!

 

そしていよいよメインは阿部史典vs野村卓矢。試合前にはバトラーツ初代リングガール、宮内美穂さんからの花束贈呈からスタート。「アストロノーツ」としてタッグで活躍している二人、気心知れた、志を同じくする二人による一騎打ち。

 

ゴングが鳴り、ヘッドしサーズ、ヘッドロックからの腕の取り合いという立ち上がりだったものの、すぐさまパンチ、噛みつき、張り手とバチバチモードがオンに!しかもスタンドだけでなく相手が倒れても蹴りまくり、踏みつけ、膝を落とす!とにかく相手の身体を痛めつけ合うファイト。信頼感があるからこそとはいえ、シンプルに寿命が縮みそうなファイト。観客ガンガン湧く中でなんか見ててヘンな物質湧き出るファイト。これが...バトラーツ...。

 

そしていつのまにか阿部が流血、野村がバチバチ蹴っていく中でドラゴンスクリューで返す阿部、それでも蹴りの連打から踏みつけでダウンを奪う野村、立ち上がる阿部、バトラーツルールはダウンカウント取ってても立ち上がりそうだったらガンガン試合再開して蹴っていくのがスピード感あって良かったです

しかしその打撃戦もエスカレート、顔面パンチの応酬から頭突き、しまいには膝立ちになっての頭突き合戦。脳揺れまくり、客湧きまくり。10分経過、15分経過とテンションも上がっていき、伊良部パンチからのお卍固めと阿部史典得意のコンボ!しかし野村が逆エビで返す!懸命に這ってロープを目指す阿部!しかし中央に引き戻す野村!そころすかさず前転して返してアキレス腱固めを決める阿部!ぎりぎり締め上げ、懸命に野村が張り手で挽回しようとするもさらに締め上げたところでついにタップ!阿部史典が20分近い攻防を制し、自らの興行のメインで勝利を飾りました!

 

試合後にマイクを持った阿部はこの興行をやれたこと、そして観客と野村卓矢についての感謝を述べました。

本日、バトラーツ興行楽しかったですか?

これがバトラーツか結局わからないですけど、自分は....あっ、

バトラーツって勝手に言っちゃいましたね

自分はこれがやりたくて、ちょっと時間がかかったかもしれないんですけど、本当に色んな人のお陰でこんなにたくさんのお客さんが来てくれて...。

ちょっと泣いちゃおうかな、と思ったんですけどまだ大丈夫でした。

 

今日が集大成って野村さんが言ってましたけど...

今日が集大成なんかじゃなくて、始まりだよ野村さん!!!

1つ、プロレスラーになって本当に良かったのは野村さんに出会ってここまで来れたこと。野村さんがいなかったらこの大会出来なかったので、本当にありがとうございます!

そして野村は

阿部さん!こんなに殴られて負けて、最悪な気分だよ!

ただ、アンタは最高のプロレスラーだ!

今日はありがとう!

二人はガッチリ握手、去っていきました。

こうして終わった「ぼくらは格闘探偵団」興行。全編に「格闘探偵団バトラーツ」への経緯とこだわりの見える、楽しい興行でした。シリアスな闘いではありますが、その中にバカ騒ぎというか、カラっと明るい殴り合いプロレスというテイストがしっかりと感じられたのが楽しめた原因かも知れません。

正直またやってほしいけど参加選手の寿命が縮むのが心配なんで適度なペースでお願いしたい。それにしても阿部史典と野村卓矢、志を同じくして信頼できる仲間がいる、って素晴らしいなと改めて感じさせられました。ずっと青春で痛くありたい。ありがとうございました。