男マンの日記

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赤井沙希ついに引退。11.12 DDT両国国技館大会。リングを埋めた惜別の紙テープ。

11月12日、DDT両国国技館大会に行ってきました。この日はいよいよやってきた赤井沙希の引退試合の日。そもそも引退会見を行ったのは今年の5月24日。

私は強く気高く美しくをモットーにリングに立ち続けて参りましたが、10周年を迎える節目の年にけじめをつけることでそれが完成されるのかなと思いました。

私、赤井沙希はデビュー10周年を迎える今年2023年11月12日、デビューした場所でもある両国国技館にてプロレスラーを引退することを決意いたしました

と引退を宣言、そして同席した大社長、高木三四郎に

DDTを好きになってくれてありがとう。あなたは本当にDDTの家族の一員です。引退しても家族の一員だから。だから赤井さんの引退ロードはDDTが責任を持って美しく送り出したいと思います

と言葉を贈られて大粒の涙を流した赤井沙希。

そして、そのときは永遠に来ないように思われた11月12日の引退試合がいよいよ来てしまいました。

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しかし、赤井沙希の「引退試合」はこの日だけではなく、11月3日。まずDDT新宿FACE大会では平田一喜とのシングルマッチ。TOKYO GOを踊り、DDTの選手たちからメッセージを受け、最後はケツァル・コアトルで締めた一戦。どうしても「華やかなセレモニー」になることが確定している引退試合より、「DDTの選手たちとの別れの試合」の意味が深い一戦でした。

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そしてその日の夜、同所新宿FACEで行われた東京女子プロレス。ここでも赤井沙希東京女子ラストマッチ。赤井沙希&上福ゆきvs辰巳リカ&ハイパーミサヲの試合後、辰巳リカのビンタからvs全選手の展開に。参戦していた選手全員だけでなく、OBの天満のどか、ミウラアカネ、そして甲田代表も参戦(甲田代表は返り討ち)にあう展開に。

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こうして東京女子プロレスにも別れを告げた赤井沙希。11月3日こそ、赤井沙希がDDT、東京女子プロレスとの決別の1日だったように思います。

 

数々の「引退試合」はありますが、このようにきっちりと団体との別れを積み重ねていった選手はあまりいないんじゃないでしょうか。ここには赤井沙希という存在がそれぞれの団体の中でどれだけ大きかったか。どれだけ愛されていたかが現れているように思います。そして、いよいよ迎える11月12日。DDT両国大会...。

DDT両国大会は最近のDDTではかなりの盛況。赤井沙希引退試合に加え、黒潮”イケメン”二郎改め黒潮TOKYOジャパン、新日本プロレスから高橋ヒロム、AEWからクリス・ジェリコが参戦するという気合の入れよう。ここにも赤井沙希引退試合に向けてのDDTの気合が感じられました。

 

 

試合は進んで第八試合、赤井沙希引退試合~強く、気高く、美しく~

赤井沙希&坂口征夫&岡谷英樹 vs 丸藤正道&樋口和貞&山下実優

煽りV、入場、もうすでに出来上がっている空気、引退試合ということでまずはイラプションでの記念撮影、そして試合開始で先発は赤井沙希と山下実優。東京女子プロレスでも何度も肌を合わせている二人。ともに10年間闘い続けて来た同期の二人の手合わせから試合はスタートしました。

そしてその後は樋口VS岡谷、新旧イラプションの二人のぶつかり合い、そして坂口と樋口。イラプションの組み合わせ、赤井の故郷のユニットでの空間が続きます。

しかしそこで丸藤がリングイン。いきなり飛びつき三角絞めを極める坂口。一気に空気が張り詰めたところで現イラプション3人での合体攻撃。3人でのサッカーボールキック、ロープへの磔、イラプション最後の刻を味わうようなひととき。しかし他の二人がカットに入り、場外戦になってから空気は一変します。

山下のエプロンを走ってのキックを食らい、リング内に呼び戻された赤井は丸藤と対峙。その強烈なチョップを喰らいまくる展開に。引退試合にもかかわらず過酷な状況の赤井に観客からは赤井コール。顔面蹴りから山下にタッチした丸藤、山下もサッカーボールキック、髪を掴んで立とうとする赤井に蹴りの連打。蹴りまくった上に片羽締め、カットに入った岡谷を場外に蹴り出し、寝かせた赤井にローリングキック。そして樋口にタッチ。

赤井の前に立ちはだかる樋口、アバラッシュ・ホールドでカウント2、檄を飛ばす坂口、それに答えるようにヘッドしサーズホイップからのビッグブーツで樋口を倒してようやく坂口にタッチ。この時間、とにかく相手の技を受けまくった赤井、だいぶグロッキーになりながらリング下に転がり落ちる疲弊ぶり。そして坂口VS樋口、坂口VS丸藤と繰り広げられるバチバチの打撃戦がリングでは繰り広げられる、赤井沙希を送るだけじゃなく、闘いを最後まで見せるという気概を感じるファイト。特に最も若手の岡谷が果敢に丸藤に挑んでいき、なんとか成長を見せようという意地。それをコーナーで起き上がって見つめる赤井沙希。岡谷を見て頷きタッチ。再び山下実優と対峙します。

 

そしてこれからは互いの10年間を確かめるような攻防。赤井のコーナーからのクロスボディ、山下の三角跳び延髄斬り、赤井のジャンピングミドルキック、膝立ちの山下にバズソーを決めてからのケツァル・コアトル!これはカットされリング上は乱戦となりますが、赤井が丸藤にスーパーマンパンチを決めて排除すると再び山下との一騎打ちに。互いに雄叫びを上げ、ミドルキックの蹴り合い。互いにミドルを掴んでからのハイキック交錯、ビッグブーツから坂口、岡谷二人で山下への新人賞!

しかし、樋口、丸藤が二人を排除すると一点赤井が丸藤、樋口を相手する展開に。丸藤のトラースキック、樋口のヘッドバットを食らった赤井は大ピンチ!山下のアティテュード・アジャストント、クラッシュ・ラビットヒートを連発で喰らうもなんとかカウント2でキックアウト、絶体絶命の中、他の4人はあえてリングを降りて二人きりに。

 

山下実優、フラフラと立ち上がる赤井沙希に向けて渾身のスカルキック!

かかとが側頭部に見事にヒット!

フォールする山下!

1・2・3 木曽レフェリーがマットを叩く!

 

赤井沙希引退試合、こうして終演を迎えました。

倒れながらも坂口、岡谷に感謝を告げている(であろう)赤井沙希。

山下実優もスカルキックという難しい技を、一度しかない赤井沙希最後の瞬間にしっかり決めて赤井をしっかり「介錯」した。大役を果たした、素晴らしい瞬間でした。

そして引退試合から引退セレモニーに。今までの歴史をたどるVTRが流れてからドレス姿の赤井沙希が再び入場。いろんな選手からのメッセージが流れ、関係者からの花束贈呈がありましたが、個人的にやはりぐっときてしまったのは坂口征夫からの花束贈呈。深々と頭を下げる坂口征夫、感極まる赤井沙希、本当に父親が娘を送るような絵。私も関係ないのに思わず涙していました。

そしてセレモニー終了、テンカウントゴング後の紙テープ、すごかったです。

こうして赤井沙希は無事、引退していきました。

これからも裏方としてDDTに関わるという赤井沙希ですが、レスラー赤井沙希はこの日が最後。この日は本当に観客へ向けての引退試合。4000人を超えた観客が赤い酒の引退を見守り、そして最後に大量の紙テープでリングを埋め尽くした。最後に素晴らしい空間を演出したDDTとこの日集まった観客、彼ら、彼女らに愛された赤井沙希。本当に心に残る引退試合、引退セレモニーでした。

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そして、このあとバックステージでの会見。ここで観客誰もがちょっと気になっていたであろう父「赤井英和」への質問が飛び、その答えで赤井のDDTへの思いが伝わってきました。そのコメントはこちら。

直接父に電話しました。

電話出て、最初は誰かわかんなかったみたいですけど...。

娘の沙希です、10年間プロレスをやって、今度の日曜に引退してリングを降ります、って報告しました。

お疲れ様でしたでええんちゃうか、って言われました。

 

皆さんが考えるように、現実は美談じゃないです。

改めてそれを感じて、私は電話してよかったと思うし、この人生で良かったと思ってます。

この思いがなければ人が優しくできなかったし、DDTのみんなとも出会えない人生だと思うんで、この人生で良かったと思ってます。

 

DDTのみんなは家族なんで、改めてそれが全てじゃないな、と思いました。

上手くいっていない父との関係性、「家族」と話すDDTとの関係性。赤井沙希をというプロレスラーを産んだのはこのような環境があったかと思うと複雑な気持ちになりますが、それでも本人の感情は色々あるにせよ「プロレスラー赤井沙希を見せてくれてありがとう」という気持ちも生まれてきてしまうほど。

それだけDDT、東京女子プロレス、そして見ていた自分にとって赤井沙希というレスラーの存在は大きかったように思います。図抜けた身体能力やガツガツとした野心があるわけではなかったけれどその美意識、凛とした表情、全体に溢れる品格に圧倒されるようなレスラーでした。「赤井沙希がいる」という大きさを、我々はこれから知ることになるはず。

 

赤井沙希選手、10年間お疲れ様でした!
DDTで闘い、華でいてくれてありがとうございました!

 

ちなみに赤井沙希、現在DDTへの恩返しクラウドファンディングを開催中。天使かよ!協力したい方はぜひ。目標額600万!もうすぐ100万円に到達しそうな状況です。

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そして少々宣伝ですが、本日発売(会場売りはありましたが、書店では21日発売になります)の赤井沙希選手自伝「強く、気高く、美しく 赤井沙希・自伝」ですが、私データ収集で少々お手伝いしています。

インタビューした尾崎ムギ子さんいわく、かなり赤裸々に赤井選手が語っているということなので「人間・赤井沙希」を知りたい方はぜひご購入を!よろしくお願いします!