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吉田豪「吉田豪の”最狂”全女伝説」感想。全女=管理の杜撰なサファリパーク!

遅ればせながら、吉田豪「吉田豪の最狂全女伝説」を読みました。

 

これは、「BUBKA」で連載していた全日本女子プロレスのレスラーへのインタビュー集をまとめたもので、ミミ萩原インタビューは初出となります。インタビューの人選はこちら。

 

【登場レスラー】
ブル中野
長与千種
ダンプ松本
マキ上田
神取忍
赤城マリ子
クレーン・ユウ
立野記代
ナンシー久美
大森ゆかり
ロッシー小川
井上京子
影かほる
志生野温夫
堀田祐美子
ボブ矢沢
ミミ萩原
松永高司  

吉田豪の

吉田豪の"最狂"全女伝説 女子プロレスラー・インタビュー集

 

  この中で今現役選手なのは神取忍、井上京子、堀田祐美子の3人。これより下の世代、高橋奈苗らは入っていないわけですが、それ以外の世代は概ね網羅した人選と言えるでしょう。レスラーに加えて松永会長、ボブ矢沢レフェリー、志生野アナ、ロッシー小川現スターダム社長からも声を聞き、「全日本女子プロレス」という団体を浮き彫りにした一冊となっています。

 

昭和43年に旗揚げした全日本女子プロレス。その旗揚げ時期を知る赤城マリ子から、ビューティーペアのマキ上田、クラッシュ・ギャルズの長与千種、その永遠のライバルダンプ松本、そして対抗戦ブームを巻き起こしたブル中野、神取忍ら、本当に「歴史」を感じる人選。

その40年間の歴史に通底するのは、オーナーの松永ファミリーの適当さ、ダイナミックさ。その管理の杜撰なサファリパークというべき環境の中でレスラーたちが闘い、派閥を作り、淘汰され、蹴落とし合い、その中で揉まれに揉まれた一握りの人間がスターになる。その修羅場をくぐり抜けてきた人たちのインタビューが面白くないはずはないわけで。

緊張感のあまり、アジャとの試合後に失禁していたと語るブル中野、リングの中で人を殺してもいいかと確認していたというダンプ松本、しかしその中でもただただ楽しかったと語る大森ゆかり等、人によっていろいろな捉え方があると思わせられます。レスラー同士の派閥についても、ある人がある人を評する、しかし別の人は違うことを言う、というようにインタビューが集まっていることで複雑な人間関係が浮き彫りに。読めば読むほどわからなくなってもくる。パズル的な楽しみもありました。

 

そして、ロッシー小川、ボブ矢沢らによって語られる全女のシステム、ストーリーの作り方。専属のダフ屋がいたという話、突如行われる押さえ込みマッチによる序列など、独特すぎる全日本女子プロレスのルールというか松永ルールによって隆盛を極め、滅んでいく団体の栄枯盛衰が色んな人たちのインタビューによって浮き出てくる。恐るべき団体であり、昭和から平成初期の一時期を彩った一つの文化遺産ともいえるでしょう。

   

現在は「豆腐プロレス」などAKBがプロレスをやるということが賛否両論あったりもしますが、これを読むと、松永ファミリーは絶対今いたらこれに関わってただろうし、この試合の結果で賭けとかしてただろうな~と思わせる。それほどのアクの強さ、ヤマっ気のある商売人だった松永ファミリー。そんな彼らが作り上げた全日本女子という帝国の歴史が詰まっているこの本。プロレス史としても、文化史としても貴重な本。必読です。

2017年の女子プロレス入門(仮)

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