もう開催から一ヶ月以上経ちましたが、12・16ガンバレ☆プロレス後楽園ホール大会を振り返っておきたいと思います。色々とあったこの大会ですが、観戦した自分としては、止まっていたガンバレ☆プロレスの時が動き出した、区切りと言っていい大会だと思っています。時間が経っているのであっさりめに行こうと思います。
この大会の前ですが、つるけんファイトクラブでのファンミーティングに参加しました。そのときに今成夢人に向かって「 後楽園が決まってよかった。決まらなかったらいつまでもガンバレって言いながらレスラーも客も年をとっていきそうな、そんな不安感があった」と言ってしまいました。
目的が見えないままアジテーションだけ空回りしていきそうな。団体が上にいかないままずっと同じ場所にいるような。そんな停滞感があったガンバレ☆プロレス。この後楽園が成功しようが失敗しようが、これで次に行ける。希望ばかりだった一回目の後楽園大会とは違い、色々な感情渦巻く二回目の後楽園大会。それでは振り返って行こうと思います。
- 第一試合 安部行洋&鷲田周平復帰戦
- 第二試合 聖地に咲き誇れ!ガンジョの華!
- 第三試合 スペシャルタッグマッチ
- 第四試合 ひとり四天王プロレス、乾坤一擲の大勝負
- 第五試合 宿命のPOWER OF DREAM対決
- 第六試合 ガンバレ☆プロレスvs戦闘民族 in Korakuen Hall!!
- 第七試合 ノーロープ有刺鉄線デスマッチ
第一試合 安部行洋&鷲田周平復帰戦
◯勝村周一朗&鶴巻伸洋&岡田剛史
(7分56秒 変形レッグロック)
大和ヒロシ&安部行洋&✕鷲田周平
長らく欠場していた鷲田と、そして同じくひっそりと欠場していた安部の復帰戦として行われたこの第一試合。しかし相手が勝村、鶴巻、岡田というなかなかに厳しい相手。
ゴングと同時に勝村と鷲田のマッチアップで試合開始しますが、いきなり勝村がスライディングから鷲田の足をとってアキレス腱固めからアンクルロック。長い間締め上げられ、なんとかカットに救われますが鷲田味方に引っ張られて自コーナーへ。そこから鷲田はリング下に落ち、しばらく戦闘不能になってしまいます。リングアナが来て診察する場面もあり、欠場明けでこれは心配なことに。
その間リングに上がった安部。鶴巻、岡田の蹴りを喰らいまくりながらなんとか大和ヒロシにタッチ。ミサイルキックなどで岡田を蹴散らしていきます。
しかし岡田のカニ挟みからのヒザ十字、鶴巻のアキレス腱でロープエスケープ、蹴りの連打を喰らいますが、ゼロ戦キックで反撃し安部にタッチ。
勝村と安部のマッチアップになり、勝村がキチンシンク連打で攻め込みますが、安部もコーナーからしゃがんだ勝村の背中にフットスタンプ。コーナーに押し付けて反撃。イキイキとしたファイトを見せていきます。
そしてようやく鷲田がリングに復活して再び勝村と。ブレーンバスター、得意の蹴りで攻め込んでいく鷲田でしたが前半と同様アキレス腱固めに取られ、これを逃れられるとハーフガードのような形から回転して足をとった勝村。そのままレッグロックで締め上げるとたまらす鷲田ギブアップ。勝村周一朗が勝利をあげました。
敗北を喫した鷲田ですが、190cm近い長身のため、得意の蹴りが映える印象的なファイトを見せました。長いこと休んでいたわけですし、これからガンガン試合をしていっていただきたい。安部もいい動きを見せていたので、今後はトップ戦線に絡んで行って欲しいところです。
しかし、せっかくの後楽園大会で勝村、鶴巻、岡田の第一試合、というのがもったいなくもあったのも確か。特に勝村には後ろの方でテーマのある試合をしてほしかった気がします。
GAORAで放送された、テレビの前でできるトレーニング番組がついにDVD化!勝村周一朗、伊藤盛一郎とともになぜか引退した希月あおいも参戦!らしいです。ボディメイクのためには必見!(たぶん)
第二試合 聖地に咲き誇れ!ガンジョの華!
フェアリー水道橋&◯夏すみれ
(14分3秒 妖乱→片エビ固め)
春日萌花&✕HARUKAZE
私、初見のフェアリー日本橋。試合前に「本日、フェアリー日本橋選手が欠場となり、フェアリー水道橋選手が代わりに出場します」という茶番アナウンスがあり、巨人のユニフォームを着たフェアリー水道橋登場。まあそれはともかく夏すみれ入場。本日もお美しい。肩のテーピングが心配ですが。
試合が始まり、一瞬まじめに試合しますが、すぐにフェアリー水道橋タイム。
HARUKAZEに握手を要求し、応じられると蹴りでボコボコに。追い打ちで野球の応援グッズでボコボコに。そしてしまいには魔法を使える、と主張し、魔法をかける動作にノーリアクションなHARUKAZE、春日に説教してからの茶番魔法がバッチリと決まる。観客なぜか拍手。
ガンジョ軍も、HARUKAZEがスリーパーで夏をエスケープさせる→春日がダイビングフットスタンプ→HARUKAZEがスピアー、という連携を見せ、そこから夏が腕ひしぎから腕がため、という流れで夏を追い込む場面もありましたが、フェアリーのカット、誤爆からHARUKAZE腕十字。しかしそれを持ち上げてブン投げた夏すみれ、すかさずかかと落としからの妖乱で3カウントを奪いました。わりとあっさり風味。
しかしながら正直面白かったです。さすがフェアリー日本橋。どこが「ガンジョの華」だったのかはわかりませんが笑った。笑った笑った、という第二試合でした。
第三試合 スペシャルタッグマッチ
◯佐野直&カーベル伊藤
(10分54秒 垂直落下風ブレーンバスター→片エビ固め)✕力&三富政行
試合前に、力のデビュー5周年を記念して俳優の奥野瑛太さん(映画版「3月のライオン」、大河ドラマ「おんな城主・直虎」などに出演)から花束贈呈。花束贈呈だけのはずがこんなことに。一緒に「パワー!!」
そして今回、エプロンにも「カーベル」と入っていることでおなじみのカーベル伊藤、佐野直登場。カーベル伊藤はいつものように(?)プレゼントを観客に巻きながらの登場。しかも、プレゼントがあまり行き渡ってないところにはカーベルの社員さん(たぶん)が低姿勢に配ってまわるという配慮付き。まあ撒いたプレゼントはでっかいバンドエイドだったりタオルだったりするわけですが、レスラーが何かを撒いてそれをわーわー言って奪うってのは楽しいもの。けっこうな時間撒き続けてたのでわりと観客に行き渡ったんじゃないでしょうか。
試合自体は、最初から力を挑発していったカーベル伊藤。力も完全にそれに乗っかってとにかく試合権利関係なくカーベル伊藤に突っかかっていく展開に。「お前はバカか!」、「ルール知らないのか!」、「力道山から何を学んだんだ!」と言葉でも力を攻撃していくカーベル伊藤。力のチョップにキックで対抗、ジャイアントスイング、ノータッチトペコンヒーロとやりたいことを全部やるスタイル。そのお守りを三富と佐野直がする、という構図に。
結果、試合は力のセイバーチョップ誤爆から場外に逃れた三富にカーベル伊藤のノータッチ・トペコンヒーロ、リング上では佐野が力へDDT。カーベル伊藤がフロッグスプラッシュ、佐野が垂直落下式ブレーンバスターでカウント3。試合後もカーベル伊藤が力にストンピングを叩き込む荒れようで試合は終了しました。
まあ、スポンサー枠というか。個人的には力の荒ぶりが見えたので満足しましたが、この後の三富政行のツイートが印象的でした。
#ガンプロ 後楽園ホール大会終了!
— 三富政行 (@Tooomuch_3103) 2018年12月16日
プロレスの試合でこんなにも哀しい気持ちになったのは久しぶり。
2年前のホールは選手の熱量とお客様の熱量がシンクロして、満員になった。
“席を埋めるためのプロレス”は、やっていて苦しかった。
もう一度このリングに熱い熱を持ち込みたい。
継続参戦希望! pic.twitter.com/Z8yt7onFSj
この試合へのいろんなモヤモヤを表現しきっているツイート。継続参戦希望!!
第四試合 ひとり四天王プロレス、乾坤一擲の大勝負
◯秋山準(全日本)
(11分39秒 スターネスダストα→体固め)
✕石井慧介
DDTでのデビュー前に全日本プロレスに所属していた石井慧介。デビュー後も全日本プロレスに参戦し、アジアタッグ(パートナーは入江茂弘)、世界ジュニアのタイトルを獲得しています。
2018年はガンバレ☆プロレス所属となり、インディペンデントJrのベルトを守り続けてほぼメインで活躍してきた石井慧介。その石井にとって思い入れのあるカードが後楽園ホールで実現しました。その相手は秋山準!四天王に続く存在として現在も強さをいかんなく発揮する49歳。33歳の石井とは一回り以上違うレジェンドです。
そして、試合が始まると秋山準の怖さが炸裂。石井のソバット、キック、エルボーにキレた秋山、ゴツゴツとエグい音のヘッドバット、石井を場外に投げてニーパッド連発、リングに戻してジャンピングニー、走り込んでのヒザを連発。とにかく「怖さ」を観客に叩き込む。他団体に出てきた時のお手本のような滑り出し。問答無用に自分の強さ、怖さで持っていく秋山準。さすがとしか言いようがないいきなりのインパクト。
石井も多彩な技で食い下がっていきますが、やはり秋山に目が行ってしまうこの試合。野球チョップ、ビッグブーツと反撃していく石井を、その上を行くインパクトでことごとく返していく秋山。全日本プロレスの練習生でもあった石井のファイトスタイルが全日本プロレス的であることも手伝い、余計に全てで上回っていく秋山が際立つ結果となっていきました。
それでも石井も意地を見せ、試合終盤にはフランケンシュタイナー、ジャーマン、スライディングニー、ダブルアームDDTとたたみかけて追い詰めていきます。そして秋山のニー連打からのエクスプロイダーも返した石井。そしてそこで秋山が出した技が幻の
スターネスダストα
諸説ありますが、2009年以来解禁したこの技で石井から秋山が3カウントを奪いました。倒れ込む石井慧介。健闘をたたえた秋山は、倒れた石井の胸を叩いて去っていきました。
しかし、コレは同時に秋山準の余裕を奪い去れなかった証左であることも確か。秋山が現役感あるまま試合をできるのは後2~3年だと思うので、まだまだしつこくステータスを上げつつチャレンジしていって欲しいところ。石井の「ひとり四天王プロレス」完結というか。最終回をハッピーエンドで締めくくって欲しい。ガンバレ☆プロレス所属の石井慧介、団体とともに弾けてくれることを期待します。いや、でもいい試合でした!
ガンプロ後楽園大会終了。石井選手はリスペクトを持って試合に臨んでくれたのがよくわかる。
— 秋山準 (@jun0917start) 2018年12月16日
なので、その返礼をさせてもらいました。最後の技は何年振りなんだろう…
石井選手、またどこかで!#ajpw#ガンプロ
フィニッシュはスターネスダストα…。僕の記憶が正しければ秋山さんがスターネスダストαを出されたのは9年7ヶ月ぶり。
— 石井慧介 (@ddt_ishii) 2018年12月16日
体はボロボロですが、憧れの人との試合、最高でした。秋山さん、ありがとうございました。
また、よろしくお願いします。 https://t.co/sENyFPsUhv
本人に向かってスターネスダストα情報を発信する石井慧介。その姿勢で行け!
第五試合 宿命のPOWER OF DREAM対決
◯ジェイク・リー(全日本)
(11分18秒 バックドロップ→片エビ固め)
✕岩崎孝樹
全日本プロレスのジェイク・リーと今年ガンバレ☆プロレスに加入した岩崎孝樹。特に共通点が無いように見えますが、実はヤマケンこと元UWFインターナショナル、山本喧一のジム「パワー・オブ・ドリーム」出身同士。全日本プロレスで一度2011年にデビュー、一度退団し、2015年に再デビューしたジェイク・リー、2014年に今は亡きDNAでデビューし、2018年にガンバレ☆プロレスに入団した岩崎孝樹。いろいろとあった二人がガンバレ☆プロレス後楽園大会、という舞台で向かい合う。人生。
試合は予想通りバチバチの蹴りあいに。ビッグブーツの応酬、そして岩崎のミドルキックラッシュ、戦場を場外に移しても膝蹴り、ローキックとたたみかけますがジェイクもミサイルキック、サッカーボールキックとバチバチファイト。互いの団体の、というより、パワー・オブ・ドリームの門下生としての意地をぶつけあうような展開。火花散ってます。
リング上に戻るとジェイクがチョンチョンと爪先蹴りで挑発、そこで火がついた岩崎とエルボー合戦、サッカーボールキック、岩崎も逆襲のジャンピングニーととにかく打撃戦。互いの意地がぶつかり合う熱い試合となりました。
サッカーボールキック、キチンシンク、ミドルキックと互いにやるとやり返す。10倍返し的なバチバチが続いた試合。ジャイアントキリングからのバックドロップ一発でジェイク・リーが3カウントを奪いました。
爽やかな風のような第五試合。試合後一瞬見つめ合ってからリングを降りた二人。次交わる舞台はいつになるのか。大きい舞台での再戦か、それともどこかでタッグを組むのか。未来を感じさせてくれる一戦でした。
第六試合 ガンバレ☆プロレスvs戦闘民族 in Korakuen Hall!!
~テキサス・トルネード・シンガポールケイン・タッグマッチ
◯今成夢人&翔太
10分44秒 ぽっちゃりへのヒザ蹴り→片エビ固め
関根龍一&✕下村大樹
※公認凶器として竹刀の使用が認められ、全員が同時にリングに入っても反則とならないルール。
今成革命を推し進めてきた今成夢人、しかし戦闘民族との対抗戦では劣勢。敗北を重ねた上でのこの試合。竹刀使用可能のシンガポール・ケインマッチとして行われます。
というわけで両者竹刀を振り回しながら登場。なんというか、武器を手にしてどことなくハイテンションな4人。どことなく楽しそうな雰囲気の中、試合はいきなり関根&下村が今成&翔太を奇襲してスタート。いきなりはてしない場外戦が繰り広げられていきます。全日本プロレスの若手が観客を制する中(秋山、ジェイクが参戦してたため)互いに後楽園ホールの「東」、「西」パネルにぶつけ合う攻防。いきなり荒れる展開からスタート。
そしてリングに戻った戦闘民族の二人は翔太に的を絞って合体攻撃。しかしすかさず両手に竹刀を持った今成がカット。奇声をあげながら二人をメッタ打ちに。しかしすぐに二人につかまり、下村の野球式フルスイング竹刀に悶絶。連携プレイで戦闘民族が優位に立ちます
その後も竹刀で今成の首を締め上げる関根。翔太がカットに入りますが竹刀で撃退。下村の竹刀、関根のサッカーボールキックという連携も見せつつ攻勢の戦闘民族。関根のカミカゼ→下村のスワントーンボムで今成を抑え込むも翔太がカット。ガンプロ勢の苦戦が続きます。
しかしここで戦闘民族の竹刀が互いに誤爆。再び両手に竹刀を持った今成が関根をメッタ打ちに。そこから二人揃ってのネックブリーカー、リング下から大量の竹刀をリング上に持ち込んだ今成と翔太の二人が竹刀をフル活用して関根、下村をメッタ打ちに。そこから翔太のサンダーファイヤーパワーボム→今成のダイビング・ヘッドバットの連携。今成のアシストで翔太が場外へのトペコンヒーロ。これで今成と下村が1VS1に。
下村のドロップキックから延髄斬りでよろけたとみせてロープに飛んでのラリアット、竹刀を叩きつけ、2つに折って自らの頭をメッタ打ちにしてからのランニング・ニーアタック(ぽっちゃりへのヒザ蹴り)が決まり、そのまま抑え込んだ今成が3カウント。戦闘民族に一矢報いる勝利をあげました。
今回も狂気を感じられた今成、翔太のアシストで勝利を掴みました。竹刀より本当に怖いのはヤバい人間、というのを証明したようなこのセミファイナル。ヤバさで勝利を掴みました。
第七試合 ノーロープ有刺鉄線デスマッチ
◯藤田ミノル
(19分51秒 変形SAYONARA→片エビ固め)
✕大家健
そしてここで休憩。このタイミングでリングのロープが外され、有刺鉄線が貼られていきます。作業が進んでいくにつれて張り詰めていく緊張感。休憩が終わると同時に流れた煽りVでは、あの例の国民的アイドルがリングに上ったシーンから、それを機にガンプロを去った藤田。そして戻ってきた時の辛辣なマイク、それでもガンプロをたたむ訳にはいかないと吐き出す大家。どうにもうまくいかないガンバレ☆プロレスを象徴するような煽りVから両者入場。ちなみに国民的アイドルが来た時のマンガはこちら。はっきりと浮かれてたのは私も一緒でした。
そして、初めに入場したのは大家健。さすがにバッコミに乗って登場の大家に大声援。団体代表なのに先入場、というところになにかの決意があったのかもしれません。
その後、フジタブクロをかぶり、戦闘民族を従えた藤田ミノルが入場。さすがのふてぶてしさ。ギロリと大家を睨みつけたところでゴング。互いに睨み合いから試合が始まります。
いきなりロックアップから有刺鉄線に追い詰められる大家、しかしそこから逆に藤田を追い詰める。藤田もそこはなんとか押し返す。早速有刺鉄線マッチならではの攻防。そして有刺鉄線への振り合いもこらえあう展開。場外に降りた藤田がイスを取り出すと大家も取り出し、イスチャンバラ開始。これは大家が打ち勝ちますが、イスでぶん殴って有刺鉄線に振ろうとしたところを振り返されて有刺鉄線を食らう羽目に。すかさずイスで頭をブチ抜かれ、場外戦ではエルボー合戦。しかし次第に押されていく大家。勢いの違いか、リングに戻されてもボコボコにされていく大家健。うめき、あえぎ、叫びながらやられていく姿に切なさを感じてしまいました。
しかしそれでも藤田の突進をかわして鉄柱に激突させ、イスブチ抜きの殴打。しかしやはり場外でのエルボー合戦になると、どうしても圧倒される大家。叫びながらエルボーを打っていきますが、一発で逆転されてフェンスに叩きつけられる。なんというか、やられるために立ち上がっているような大家ですが、その展開は続きます
有刺鉄線に頭をこすりつけられ、イスを踏み台にしたドロップキック、相手を持ち上げてのDDT。ブレーンバスターはこらえてお腹からロープに投げつけ、馬乗りになって藤田を殴っていく大家。しかし引き起こされた藤田は延髄斬りで逆襲。すかさずリング下から脚立を取り出して登っていく藤田、ヘッドバットで叩き落とされるもよろよろと登っていく大家。エルボーを連打するも再びヘッドバットで落下。しかし取り憑かれたように再び登っていく大家。もうすでに二人の顔面は真っ赤に血で染まっています。今度は登りきった大家がヘッドバットからのブレーンバスターでキャンパスに叩きつけてカミカゼ狙い。スリーパーで返されるも有刺鉄線に叩きつけて再びカミカゼ。大家も意地を見せていきます
しかしここから再びエルボー合戦。互いに吠えながらエルボー連打、大家がヘッドバット連打からのバックドロップ、そして足踏みからの炎のスピアー、一度ヒザで迎撃されるもめげずにスピアー!バッチリ決まりますがカウント2、すかさずの垂直落下式ブレーンバスターもカウント2。意地で藤田を追い詰めていく大家。再びの垂直落下式ブレーンバスター狙いも今度は藤田がツームストン、膝立ちでのエルボー合戦からヘッドバット、ラリアットで今度は藤田が大家をダウンさせ、そのスキにセコンドから受け取ったペンチで有刺鉄線をカット!自らの身体に巻き付けていく暴挙。蘇生した大家を再びぶっ倒し、脚立からのダイビング・ボディプレス!!
これはなんとか2で返した大家ですが、藤田が有刺鉄線で自らの身体を切り裂いて気合を入れてからのスピアー!垂直落下式ブレーンバスター!掟破り連発からのフォールはカウント2で返されますが、ここで満を持してのサヨナラ!しかしこれもカウント2!すると今度は大家の足を抱える形の変形サヨナラ!これでついに3カウント!藤田ミノルが大家健に引導を渡す勝利。メインイベントを制しました。
勝った藤田は大家を踏みつけたポーズでマイクを取り、ふてぶてしく話し始めます
おう、いい眺めだなあ!!
拍手が少ないみたいだな?まさか・・・。大家健を応援してた人、恥ずかしいと思うけど、手を挙げてもらっていいですかぁ!?
(そこそこ、という感じの人数の手が挙がる)
絶妙に微妙!
おい、大家健。これで、あの、後楽園の、後楽園からの、二年間の、答え合わせ。出来たできたんだよなぁ!二年前よりお客さんが少なくなってるじゃねぇかぁぁぁ!
まあそれは、ゲスト選手を省いて、R(関根)と下村先輩を省いて、ガンバレ☆プロレス、大家健、そして俺の二年間がこの程度だったってことだよ。
二年間で、増えてねぇ!!
お前はどうせ『それでも頑張ってる』とか言うんだろ?お前も、日々を、頑張ってるって言うんだろ?なあ。そう言わねぇと惨めだからよ。
お前らも、俺たちも、頑張ったかも知れねえ。でもな、見ろ!
頑張りきれてねえからこんな結果になってんじゃねぇか!
メインイベントで勝っても、結局は、見たかったんだろ?大家健の、勝つところを。そういう訳には行かねぇんだよ。頑張りが足りなかろうがよぉ、俺も、俺らしく生きるしか、ねぇんだ。お前からガンバレ☆プロレスの主役の座を奪い取ることは出来なかった。この悔しさは、もうここじゃねぇよ。
俺たち、プロレスリングBASARAで果たしてやる。オイ!ハッキリ言ってやるぞ。
俺たちは、もう、ガンバレ☆プロレスに用はねぇ
相変わらず刺さるマイク・・・。なんというか、脳天気に応援してた観客たちにも、そしてなんというかボンヤリと社会人生活を送っている中年男性にもズシリと響くマイク。頑張りきれてねえ・・・。なんともいえん気持ちになったところで今成夢人がリングに。絞り出すマイク。
ちょっと待ってくれ!藤田ミノルぅ!
アンタがこのリングに用がなかろうが、俺はアンタに用があるんだぁぁ!一年前!このガンプロのリングでぇ!アンタに見せた光景はぁ!アンタに対して非常に罪深いものだったかも知れねぇ!
俺はぁ!
草彅剛さんにピンフォールされたA級戦犯だぁ!
でもなぁ!A級戦犯の十字架を背負ってぇぇぇ!
一年間んんん!!俺はこのリングで息したんじゃああ!!
(倒れたままの大家を蹴飛ばしながら)立ち上がれ!立ち上がれ!立ち上がれコルルァ!!
凄い返し!面白凄い!狂気と意地と本音が混ざりあったマイクアピール!A級戦犯!
藤田ァァァァ!俺は!俺は!俺は!お前らに用があり続けるぅ!
1月6日!ガンバレ☆プロレス!北沢タウンホールで興行やるよ!藤田ミノルと俺!シングルマッチ!やってくれ!
A級戦犯の俺を殺しに来てくれ!
そしてこのマイクにバカ負けした藤田ミノルがこれを了承。1月6日での再戦が決定。去っていく藤田を尻目にヒートアップする今成、続けて観客に語り続けます。
ガンプロ、二年前よりお客さん・・・。減ってるかも知れませんが、でも二年かけてまたここ後楽園ホールで興行が出来ました!一枚一枚のチケットの重みを感じて!今日に挑みました!僕らは!もう弱いことを見せるとか、そういうことがしたいんじゃないんですよ!生き続けてるってことを見せたいんですよ!お前どうなんだよ?!お前も!弱いってなんなんだよ!弱いってことを見せ続けてナメられて!そんなんじゃいけねぇだろ!俺たち強くなっていいですかぁ?!強くなるんですよ!!ヴァーーッ!!絶対また後楽園ホール戻って来たいです!!絶対ガンバレ☆プロレス戻ってくるから!
俺がガンバレ☆プロレス引っ張ります!!
そして感動の締め、We Are ガンバレ☆プロレ~ス!からのバッコミ大合唱で幕を閉じたガンバレ☆プロレス後楽園ホール興行。確かに 観客数は公式発表769人。1000人超えの最初の後楽園ホール大会からは後退した数字ですが、とにかく時計の針は動いた。一歩踏み出したガンバレ☆プロレス。そして何より今成夢人の熱量。振り切れた大人の叫びを聞かせてもらいました。
なんだろうな、こう、ままならない社会に日々生きている大人でも生きていかなきゃいけない。俺たちも生きていかなきゃいけないんだよ、という力湧き出る叫び。そういうものに満ちた興行だった気がします。
もちろんこれが超満員で面白かった!と言い切れればハッピーエンドなんですが、空席の目立つ後楽園ホールで行われたメインイベント、終わった時の澱んだ空気。そしてそれを切り裂く狂気。バッコミで踊る選手たち。リングを叩く観客。でも不思議に明日からまた生きていこうと思える。どこか背中を押されるような興行だったように思います。いつの日からかルーティンの「ガンバレ」になっていたような気がする締め、また新たに「頑張れ」と叫べたのが嬉しい。現実にもがきながら夢を見る、もうちょっとガンバレ☆プロレスを見続けようと思いました。