もうわりと時間経ってしまいましたが、7月23日の東京女子プロレス後楽園ホール大会に行ってきました。私にとってはコロナ自粛後最初の後楽園ホール。コロナ対策としては
- エレベーター使用禁止、要階段使用(5階までマスクして階段登る苦行)
- マスク必須、入り口でのアルコール消毒
- 客席は2つ開けて使用、声援禁止
というわけで、観客数は三分の一になってしまうという団体には苦しいところ。しかしやはり後楽園ホールで興行を打てるようになった、という感慨もあります。しばらくの間はこのように手探りで進んでいくしかないんだろうな、という切なさもありますが、しかしとりあえず生で試合を見れる喜びを噛み締めよう、という気持ちで会場へ。
2つおきではありますが、試合開始時にはかなりの席が埋まっていた印象。観客発表は490人、ということでほぼこの規制の中では満員に近かったと言っていいでしょう。というわけで東京女子プロレス後楽園ホール大会そろそろスタートです。
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試合前にはリングアナの難波小百合さんによる前説。この度RIZINガールに選出されたでおなじみの難波リングアナ。毎回軽いウケを頂きつつ進行。今回は特に大声での声援禁止、マスク着用ということを強調していました。う~ん、仕方ない。
得意のタイタニックポーズの難波リングアナ。DDT系団体は動画撮影可なので、そのサンプルとしてこのポーズで一回転してました。
そして次はおなじみのアップアップガールズ(プロレス)の歌のコーナー。コールできないんで観客は手拍子とサイリウムで応援するスタイルです。新鮮。
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第1試合 宮本もかデビュー戦 タッグマッチ
○舞海魅星&汐凛セナ
(8分25秒 ラリアット→片エビ固め)
×宮本もか&鈴芽
第1試合でこの日デビューの宮本もか選手が登場。大学では日本文化を専攻する21歳。というわけでこのはいからさんが通るみたいなコスチュームで登場。そしてビックリすることにこのまま試合開始。動きやすいように袴短めではありますが、なんというかちょっと安いコスプレにも見えなくはない。アブドーラ小林的なニッカポッカ風のほうがいいのでは、とも思いましたがなにはともあれデビュー戦。
いろいろとやろうとするもまだ空回り気味。気合を入れて先輩二人にかかっていく場面もありましたがさすがにやられる展開が続き、結局は魅星につかまってしまいドロップキック、キャメルクラッチからのラリアットに沈んでカウント3。
デビュー戦での勝利はなりませんでした。そして最後は握手。まだこれ、と目立つところは見れなかった宮本。空手歴もあるそうなので、これから持ち味をガンガン出していってほしいところ。そして、第1試合に出たこの4人の中では舞海、鈴芽の二人には大いに可能性を感じるのでガンガントップ戦線に突っ込んでいってほしいところです。
第2試合 うなぎひまわり復帰戦 タッグマッチ
○原宿ぽむ&桐生真弥
(8分18秒 ぽむ・ど・じゃすてぃす→片エビ固め)
×うなぎひまわり&猫はるな
去年の10月、左肘を負傷してから欠場していたうなぎひまわりがこの日に復帰。入場してコーナーポストに登ってからこの表情!感無量さを感じます。
試合中も得意の逆立ち、そして原宿ぽむをぐいぐい蹴っていったりと、欠場中の鬱憤を晴らすような動き。ケガの影響を一切見せないようなイキイキとしたファイトを見せてくれました。明るい!
得意の「大ふへん固め」もガッチリと。これはあわてて桐生がカット。
しかし最後は原宿ぽむの「ぽむ・ど・じゃすてぃす」に沈んでカウント3。この技がちゃんと決まったの見たの私は初めてかも。うなぎひまわり選手、復帰戦を勝利では飾れませんでしたが、復帰の嬉しさから同期で抱き合う場面も。ともかく復帰おめでとうございます!
第3試合 アップアップガールズ(プロレス)シングルマッチ
○乃蒼ヒカリ
(7分24秒 裏投げ→体固め)
×らく
第3試合はアップアップガールズ(プロレス)同士のシングルマッチ。渡辺未詩はセミファイナルでタッグのタイトルマッチなので、ヒカリ、らくともにタイトルマッチに絡めなかった同士、ということに。ここで存在感を見せたいところですが、ともかく二人共入場。
試合は同期ながら初勝利、タイトル挑戦と常にリードしてきたヒカリが主導権を握る形で進みます。一方今年の2月で初勝利を飾ったらく。
得意技の「おやすみエクスプレス」も改良型を決め、ネックブリーカー、河津落としを決めていくなど積極的に攻めていきますが、ヒカリもドロップキック、コブラツイストで反撃。意地を見せます。
しかしコーナーに登ったヒカリを投げ落としたらく、一進一退の中、ロシアンスイープからのドクターイエローを狙うもラリアットで返されてすかさず放たれた裏投げに沈みカウント3。いい流れを作ったかに見えたらくですが、流れを切られた途端にたたみかけられてしまいました。
らくも勢いを見せましたが、裏投げという軸となる技をものにしているヒカリが貫禄の勝利。しっかりと強さを示した一戦でした。
2018年の1・4でデビューしたアップアップガールズ(プロレス)の3人ももう3年目。そろそろトップを狙う時期になっているはず。渡辺未詩が現在タッグ王者としてタイトルマッチをこなし、同じ時期にデビューした愛野ユキがメインイベントで坂崎ユカに挑戦しているのに比べ、二人共立ち遅れているのは確か。そろそろシングルタイトルなども視界に入れてほしいところです。
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第4試合 シングルマッチ
○白川未奈
(8分20秒 GSS→片エビ固め)
×上福ゆき
この日のメイン、坂崎ユカに挑戦する権利をかけて愛野ユキと闘い敗れた上福ゆき。しかしその試合内容、試合する姿に嫉妬した白川未奈が一騎打ちを申し込んだことから実現したこの一戦。一つ前の第3試合とはうってかわって「女の戦い」といった風情の試合。二人共グラビアアイドルをやっていることもあり、入場から華が凄い。
デビュー以来、かなり寝技、ルチャを研究している白川、一方長い手足を生かしたドロップキック、ビッグブーツに磨きをかけている上福。互いに意地をぶつけ合う試合展開に。
白川が早めにロメロスペシャルを狙うも上福が抵抗して解いた後に顔を踏みつけ、リバースのインディアン・デスロックに。ドロップキック、フットスタンプと手足の長さを生かした攻撃で攻め込んでいきます。
しかし白川も反撃に転じ、得意のロメロスペシャルが決まる!映える!
しかし上福も張り手合戦を制するなど気の強さをあらわに。一進一退の攻防が続きます。まさに「女の戦い」と言いたくなる大人の女性同士の気持ちがぶつかり合う試合に。アプガ同士のシングルとはまた違う見所がある試合に。
見ごたえのある意地の張り合いでしたが、最後は白川未奈が上福ゆきをアルゼンチン・バックブリーカーの要領で担ぎ上げて、回転して旋回させながら叩き落とす荒業で勝利。試合終了後は握手、肩を組んで帰っていきました。女の友情再び・・・。
第5試合 まなせゆうなレギュラー参戦ラストマッチ
○山下実優&万喜なつみ&瑞希
(16分6秒 クラッシュ・ラビットヒート→体固め)
まなせゆうな&伊藤麻希&×天満のどか
そして次はまなせゆうなレギュラー参戦ラストマッチ。もともとフリーのまなせですが、東京女子プロレスにはもはや欠かせない存在でした。最近ではインターナショナル・プリンセス王座を一時期保持していたこともあり(去年の9月、万喜なつみの試合中負傷による戴冠だったため、号泣のままの戴冠だったことが印象的)安定したポジションを築いていました。
しかし7月7日、レギュラー参戦にピリオドを打つことを発表。この試合がまなせゆうなの現状、東京女子プロレスレギュラー参戦ラストとなりました。
というわけでまなせゆうなの大事な試合ではありますが、まずは伊藤麻希ギャラリーからどうぞ。入場から。このドヤ顔!ドヤドヤー!
万喜なつみに中指立てて挑発する伊藤麻希。山下実優のこの顔!このあと指掴まれてすかさず逆襲されてました。因果応報。
定番のムーブ「世界一可愛いのは~?」「伊藤ちゃ~ん」「ありがと~(パンチ連打)」、今回は声援を送れないためセルフで全部自分で言う、というムーブに。
天満のどかに「おっぱい押し付け攻撃」をリクエストされ準備するまなせ、その横で胸アピールする伊藤麻希。まなせのあとに押し付けられるも「かた~い」と言われてキレル、という展開に。
そしてここからはまなせゆうなに。東京女子ラスト、とはいえ笑顔で入場。別れ、というより今の試合を見せよう、という雰囲気。どこか優しい空気が漂います。
アクトレスガールズ時代の後輩であり、東京女子プロレスでもベルトを掛けて闘った万喜なつみとも激しいエルボー合戦。
他にも山下実優、瑞希と今まで何度となく闘ってきたメンバーと肌を合わせたまなせ。互いを味わうような攻防、特に山下とは激しい蹴り合いを繰り広げたのち、山下が天満を一度はかわされたものの、クラッシュラビットヒートからしっかりとおさえて勝利。
試合後、相手コーナーの選手たちと握手&抱き合うまなせ。山下実優と笑顔で握手
瑞希とも笑顔で抱き合うまなせ。互いの気持ちが周りに伝わるようです。
そして万喜なつみと握手からしっかりと抱き合うまなせ。前の二人よりもしっかりと握手してから抱き合う二人。
そしてマイクを取ったまなせ。改めてその思いを観客席に伝えます
痛いよ~。
でもやっぱりすごい楽しかった。
東京女子のリング大好きだから、次また闘うときにもっとやれるようになるから、また絶対に戻ってくるから、だからバイバイは言いません。
これからも東京女子プロレスとまなせゆうなをよろしくお願いします!
またねー!
このあとガンバレ☆プロレス入団、そしてスターダム、アクトレスガールズ参戦が決定しているまなせゆうな。今後の活躍を期待してます!
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セミファイナル プリンセスタッグ選手権試合
○辰巳リカ&渡辺未詩
(13分50秒 ミサイルヒップ→片エビ固め)
中島翔子&×ハイパーミサヲ
※第6代王者組が3度目の防衛に成功
セミファイナルはタッグ選手権。辰巳リカ&渡辺未詩のチーム「白昼夢」に挑むのは中島&ミサヲのタッグ。そして冒頭にミサヲがマイク。ヘンな提案をスルと思いきや普通にこの大会が行われたことへの感謝と試合への意気込みを語って試合開始。
ミサヲが喋っている間暇だったのか、観客席に愛嬌をふりまく中島翔子。かわいらしいですな。
試合は中島翔子のテクニック、渡辺未詩のパワー、辰巳リカのテンション、そしてハイパーミサヲの狡猾さが入り交じるタッグマッチに。めまぐるしく展開が変わる試合となりました。終盤には渡辺未詩のジャイアントスイングと辰巳リカのエアプレーンスピンの合体も。声出して良かったらジャイアントスイングの回数カウントしたかった。
そして終盤、得意のドラゴンスリーパーでミサヲを捉える辰巳リカ!気合入ってます
フィニッシュはトップロープからのダイビング・ヒップアタック!チーム白昼夢がしっかりと防衛を果たしました。
ベルトを持って互いに労をねぎらうチャンピオンチーム。渡辺未詩の弾ける笑顔が眩しい。完全に長期政権、安定したチームになってきました。
メインイベント プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合
○坂崎ユカ
(18分0秒 魔法少女にわとり野郎→片エビ固め)
×愛野ユキ
※第7代王者の3度目の防衛に成功
そしていよいよメインイベント。上福ゆきとの挑戦者決定戦を勝ち上がってきた愛野ユキが坂崎ユカに挑戦。後楽園ホールという大舞台ですが、いつものとおりのユカッチ入場!キメッ!
一方の挑戦者愛野ユキはさすがにちょっと緊張のおももち。表情に硬さが見られます
そして試合開始。いきなり寝技の攻防で優位に立つ坂崎ユカ。マウントを取って相手をコントロールしていく。体制もですが、心理的にもマウントを取りに行きます。
しかしそれに愛野ユキはパワーで対抗。重いエルボーを中心に反撃していく。技の数、テクニックではかなわないぶん気持ちをぶつけていく挑戦者。挑戦者らしいファイトをくりひろげていきます。
ダイビング・ショルダー、そしてサイドスープレックスとたたみかけてのキャメルクラッチ式フルネルソン!ガッチリ決まってあわや!という空気を一瞬作り出してみせます
担ぎ上げて投げつける荒っぽい攻撃も。とにかくパワーで押していく愛野ユキ。持ち味を発揮して攻め込んでいきます。
しかしこれを耐えきった坂崎。エルボー、マジカルメリーゴーランド、ショートレンジ・ラリアットと攻め込んだ後にロープに登り、誰もが魔法少女スプラッシュかと思ったところで・・・。
°450スプラッシュ!スワンダイブ式初めてみた気がする!当然のようにこれでカウント3!いや~ビックリした!プロレス見てて久々にビックリしました!マ・ジ・で!
When watching Japanese Joshi pro-wrestling, choose TJPW.
— 東京女子プロレス (@tjpw2013) 2020年8月4日
Our entire August tournament will air LIVE on #wrestleUNIVERSE; everyone worldwide can watch together simultaneously.
We promise that our second-to-none tournament will be your ultimate pro-wrestling experience.#tjpw pic.twitter.com/uugqJMuilE
というわけで王座防衛した坂崎ユカ、喜ぶかと思ったら涙を流すユカッチ。客席もざわ・・っとする中マイクを取ります。
飛んだぞ、バカヤロー!
こんな状況の中で・・・。停滞しているわけにはいかないから、進化しなきゃってみんな考えて今この後楽園に立っていました。
まだまだ私たち発展途上なので、皆さんの応援とか声援とかないとちょっとだけ心細いこともありますが、姿勢や身振り手振りで応援してくれたことがとてもうれしかったです。
またいつみんなと会えるか、会えなくなるかわからないから。
今を大事にして未来を信じて歩んでいきましょう
そしてマジカルシュガーラビッツの相方、瑞希を呼び寄せて抱擁。最後は二人で
ハンバーグ食べてー、ハピハピー!
でシメました。マジラビ一番!
こうして幕を閉じた東京女子プロレス後楽園ホール大会。坂崎ユカが流した涙がどういう涙だったのか。あまり自分語りをしない人なので真相はよくわかりませんが、久々に客入りでの後楽園ホール、そしてその中で後輩相手のメインイベント、と緊張感溢れる試合の後で何かが開放されたのか。試合内容に思うところがあったのか。これから明かされることはなさそうですが、坂崎ユカがかなりのプレッシャーを感じていたのは確かのように思います。
声援なし、客が間引かれた中で行われたこの大会、声援がないことで色々見えてくることもありました。前半戦では打撃技のアタリの弱さを感じることもありましたし、声援でカバーされないだけにミスが際立ったり、じわじわ盛り上がっていくのが難しかったり。 より試合にぐっと引き込むような工夫が選手たちにも求められるのでは?と感じました。
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今までの東京女子プロレス後楽園ホール大会、今まで5回記事にしていますが、行くたびに選手が増え、大所帯になっていっています。ただ、今回感じたのは、バラエティ多彩な団体になっている東京女子ですが、いわゆるトップ所の「強さ」という点で以前から進化しているのか?という疑問でした。ここで過去自分が見た東京女子プロレスの後楽園ホールを振り返ってみると
2017年8月の後楽園ホール大会では才木玲佳が強さを見せ、また里村明衣子に山下実優が立ち向かって大きな歓声が上がりました。
2018年のイッテンヨン後楽園ホールでは男色ディーノvs伊藤麻希と同時にメインイベントとして才木玲佳vs山下実優。プリンセスタッグでは坂崎&中島に里歩&瑞希が挑むスペシャルマッチも。
2018年8月の後楽園ホールメインは優宇vs山下実優。17分超えの試合で山下実優がなんとか勝利。優宇の強さも際立った一戦でした。
2019年のイッテンヨン、ついにメインに上り詰めた伊藤麻希。山下実優にボコボコにされて負けますが生き様見せてくれました。
そして今年の2020年イッテンヨン、メインイベントは山下実優vs坂崎ユカ。坂崎ユカが防衛を果たしました。
と、振り返って見ましたが、東京女子プロレストップの闘い、というところでは大きな底上げがなされていないように見えます。個人的にメインイベントで「強さ」を感じたのは2018年8月の優宇vs山下実優、そしてメインではないですが2017年の里村明衣子vs山下実優は凄かった。今回坂崎ユカvs愛野ユキは、底上げの意味はあるにせよ、そこまでの鍔迫り合いには及ばなかった、という印象を覚えました。
2017年から考えると、才木玲佳がレギュラー参戦を終了し、優宇が退団、そして今回まなせゆうながレギュラー参戦を終了します。
東京女子初期メンバーの坂崎ユカ、山下実優、中島翔子に加え、瑞希、万喜なつみ、伊藤麻希。そして生え抜きの天満のどか、愛野ユキ、アップアップガールズ(プロレス)のメンバーと、トップを狙えるメンバーは揃っているので、願わくばメインイベント、セミファイナルで「凄え!」と圧倒されるようなシングルマッチを見せてほしい。
楽しみながらもそういう印象も持ってしまった、そんな後楽園ホール大会でした。