G1クライマックス30、17日目。両国三連戦の初日となった10月16日、新日本プロレス両国国技館を新日本プロレスワールドで観戦しました。
去年のG1クライマックスでは最終日にKENTAが柴田勝頼を裏切ってBULLET CLUB入り、大きな衝撃を与えたわけですが、今年はさらに!公式戦以外のアンダーカードが削られていることもあって、またそもそもコロナ禍で外国人選手を呼びづらいからか続々とユニット再編の動きの予兆が出ています。何かが起きる両国。というわけで今回の大会を振り返っていきます。というかG1公式戦のみです!あしからず!ちなみに興行前の予想はこちら!ズバリ言ってはずれてます!
第二試合 G1クライマックスAブロック公式戦
○高橋裕二郎
(10分30秒 ピンプジュース→体固め)
✕ジェフ・コブ
これまで全敗だった裕二郎ですが、ここにきて初白星。小狡いファイトでペースを握り、徐々にジェフ・コブのパワーに押されていった裕二郎、アスレチック・プレックスからのその場飛びムーンサルトを食らって追い詰められますが、レフェリーを使っていつもの杖での凶器攻撃からのインカレスラム、マイアミシャイン、ピンプジュースとフルコースを畳み掛けてカウント3.ジェフ・コブからカウント3を奪いました。
う~ん、正直ジェフ・コブの扱いどうなのか、というと不満の残るG1クライマックスでした。裕二郎の初勝利っていうところは新日本の内部の選手で賄って欲しいところではありましたし、PWGで初めてジェフ・コブ見てアガった自分としては、この日の裕二郎はちょっとジェフ・コブ倒すには説得力が足りなかったようにも思います。微妙な試合。
第三試合 G1クライマックスAブロック公式戦
○鷹木信悟
(12分29秒 ラスト・オブ・ザ・ドラゴン→片エビ固め)
✕鈴木みのる
はからずも先日の神宮大会、NEVER無差別級選手権の再戦となったこの試合。いきなりのエルボー合戦、場外戦、リングに戻ってもドツきあうなどテンションの高い試合開始なのはこの二人の嗅覚か。そこからは一進一退の攻防。剛腕ラリアット、サッカーボールキックからの踏みつけでペースを握った鷹木、顔面へのステップキックで挑発。しかし鷹木から挑んだエルボーの打ち合いでは二人共すごい音を立てながらの打撃戦。鷹木の渾身の右のエルボーは鷹木が自らの腕をおさえ、みのるがフラ付くほどの威力。
ロープワークでの攻防からスリーパー、ゴッチ式パイルにいくみのるですがこれは返した鷹木、ラリアットで倒してからのパンピングボンバーは飛びつき腕ひしぎで返され、その後三角絞め、脇固めと鈴木みのる関節技地獄。これをなんとかロープに逃れた鷹木、パンピングボンバー、ダブルチョップ、パンピングボンバーと連発するも倒れないみのる、ビンタ連発で反撃しての一本足頭突き。しかし鷹木も頭突きで返し、ロープワークからゴッチ式パイルを狙うみのるをかわすもスリーパーで捉えられ、ビンタ狙いのみのるにナックルで反撃。いきなりのラスト・オブ・ザ・ドラゴンでカウント3.唐突でしたが鷹木が鈴木みのるからカウント3。神宮の雪辱を果たしました。
右手を痛がりながらもパンピングボンバーを放ちまくり、鈴木みのると打撃戦を演じた鷹木。鈴木みのるとは手が合うというか、テンション高い打撃戦を演じてくれるのでまた、今度またタイトルマッチでも見たい、というか再戦はタイトルマッチっぽいのでまた見れるでしょう。G1前半戦なんであっさり風味ではありましたが、鈴木みのるを鷹木信悟が生かした、というような試合だったように思います。面白かった。
第四試合 G1クライマックスAブロック公式戦
○ウィル・オスプレイ
(17分04秒 ストームブレイカー→エビ固め)
✕オカダ・カズチカ
いきなりドロップキックでオカダを場外に追いやりサスケスペシャルで追い打ち、オスカッターまで狙うオスプレイ、お返しとばかりに場外に追いやり鉄柵からエプロンに足を乗せてのDDTでお返しするオカダ。いきなりハイスパートな試合開始。
場外でしばしダウンした後リングに戻ったのはオカダ、今度は一転落ち着いた試合展開に戻していきます。ネックブリーカー、エルボー、じっくり間をとって攻めていくオカダ。オスプレイもその場飛びシューティングスター、オカダもバックエルボーからのDDTと徐々にテンポが攻防のテンポが上がっていき、コーナーでのドロップキックをめぐる攻防からオカダを場外に落としたオスプレイ、ここで流れを一気に変える場外へのコーナー越しのノータッチトペ・コンヒーロ!凄い!
オカダをリングに戻して背後からのスワンダイブ式ダイビングエルボー、ストームブレイカーはこらえられますが顔面へのステップキック、オカダもエルボーで反撃し打ち合いに。その後ドロップキック、その場飛びムーンサルトと互いにスカしあい、オカダのドロップキックをキャッチしたオスプレイがキャッチしてシットダウン式パワーボム。読み合いが続いた後にオスプレイ、丸藤ばりのトラースキック連打、ストームブレイカーを着地したオカダがラリアットからマネークリップへ!ガッチリと極まったかと思ったところでなんとかオスプレイ、ロープエスケープ。ハイスピードな攻防から一転
オカダ張り手からジョン・ウー、ツームストンはこらえたオスプレイ、蹴り、エルボーからラリアットに行こうとしたところをキャッチしてその場飛びスパニッシュフライ!
ストームブレイカーをかわされ、ロープワークからついに決まったオスカッター。再びストームブレイカー狙いのオスプレイにスタンドでのマネークリップへ。立ってロープに逃れようとするオスプレイ、丸め込もうとしたところにストームブレイカーを狙ったオスプレイをかわして再びマネークリップへ。いよいよオスプレイ大ピンチ!
しかししかし!そしてここでリングサイドに現れたのはビー・プレストリー。オカダが一旦マネークリップを外してツームストン、再びマネークリップにいったところで岡倫之ことグレート・オーカーンが乱入!顔面を掴んでのスラムでオカダをグロッキーに追い込んだところですかさずオスプレイのストームブレイカーでカウント3!ウィル・オスプレイが勝利を挙げました。オカダ脱落!しかも試合後にヒドゥン・ブレイド炸裂!ヒドい!
【#G1CLIMAX30 🅰️ブロック最終戦】
— njpwworld (@njpwworld) 2020年10月17日
オスプレイがオカダ @rainmakerXokada を裏切った⁉️
試合中、突如オスプレイのガールフレンドで女子レスラーのビー・プレストリー @BeaPriestley が乱入!
さらに続けてリングに姿を現したのは…
イギリス修行中のグレート―O―カーン @O_Kharn だった! pic.twitter.com/EJlLbO5RNa
最後こそ乱入で試合が終わりましたが、それまでの切り返し合いは目をみはるものがありました。私は少しリコシェVSオスプレイ的な違和感を感じてしまいましたが、運動能力的に二人共すごいのは確か。この結末でも観客を納得させる試合でした。
この試合を機にオカダを裏切り、オスプレイ、オーカーン、プレストリーのユニットが始動するよう。ちなみに岡倫之はオカダ・カズチカの奥さんこと三森すずこの大ファン。このツイートからもわかると思いますが・・・。キャラ変しても消してないところに業の深さを感じます。しかし、大ファンの声優のダンナをボコしても罪にならないプロレスラーという職業。今の岡にはこれ以上向いてる職業はないでしょう。
みもり〜〜〜ん💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕
— グレート-O-カーン (@Great_O_Khan) 2018年1月6日
最高に可愛いよぉ😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍
少女☆歌劇レヴュースタァライト #スタァライト pic.twitter.com/QTJBilSzls
これはまあ面白系の話ですが、個人的に気になるのはウィル・オスプレイとビー・プレストリーは女子レスラー達が男子レスラーのセクハラ、性犯罪を告発した #SPEAKINGOUT運動で告発されていること。詳しいことはこちらから。
オスプレイの友人が暴行した女子レスラーの試合をとオスプレイが団体に働きかけて中止にした、という告発。これについては本人否定していますが、新日本プロレス自体は特に反応はしていません。
海外で告発された選手たちは何かしら団体によって対処されているのに比べ、日本の団体は黙殺した、と言って過言ではない状態。今回オスプレイ、プレストリーを呼んでヒールユニットを組ませたことで他の外国人選手に影響を与えないか。#SPEAKINGOUTをストーリーに使ってないか。そこが少し気になってしまいました。
なにはともあれストーリーは動き始めたのでこれからどうなるか。両国最終日でなにかしらの展開があると思われますが、BULLET CLUBの蠢動も含め、ヒールユニット再編成が起こる予感。試合内容がそこに流されてしまったのが残念な、そんなオカダVSオスプレイ戦でした。
セミファイナル G1クライマックスAブロック公式戦
○飯伏幸太
(17分12秒 カミゴェ→体固め)
✕タイチ
オカダ脱落により、飯伏とジェイに絞られた優勝決定戦進出。そんな決定戦がかかった試合ですが、とにかく飯伏、タイチ、ひたすら蹴りまくる試合になりました。
とにかくローキック連打、相手がフロントキックで来たらこちらもフロントキック、ソバットを売ってきたらソバット。ほぼよけたりかわしたりせず純粋に蹴り技のみで構成されたプロレス。互いにキックに自身のある選手でもあり、ただただ蹴り合う。一度タイチがバックドロップを仕掛けたときも着地した飯伏、「蹴ってこいよ!」と挑発。
10分経過からローキックのダメージで互いに足を止めて蹴り合う展開に。ダメージありながら、そのダメージある左足にローを蹴り続ける二人。ロープに頼って立ち上がり、軸足をフラつかせながら蹴り続ける、異様な試合になりました。
この試合の中で、徐々にタイチを見る観客の目が変わってきたように思います、ヒールではなく正々堂々勝負する、純粋に戦う姿に観客が拍手を送っている。
そしてタイチの渾身の蹴りをキャッチした飯伏、逆にローを炸裂させてからバズソー!カミゴェ!カウント3!初めてのカバーでカウント3。計160発(テレ朝のスタッフ調べ)の激闘は飯伏幸太に軍配が上がりました。
タイチのズルさ、巧さを一切排除し、ファイターとしての気持ちの強さ、純粋さを引き出した飯伏幸太。飯伏幸太なりの「巧い」試合だったように思います。
しかしどこか飯伏の蹴りが「プロレスの蹴り」だったと感じたのも確か。もっと頭おかしい蹴りだったような・・・。と記憶をたどってみると・・・。
昨日の飯伏幸太vsタイチ戦見て少しモヤモヤしたので飯伏とタノムサク鳥羽のドつきあいを再鑑賞。うん、ちゃんと頭おかしい。 #njpw #ddtpro #G1CLIMAX30
— 男マン (@otokoman) 2020年10月17日
KO-Dタッグ選手権試合 <王者組>柿本大地&飯伏幸太 vs MIKAMI&タノムサク鳥羽<挑戦者組> https://t.co/14Hg3oLa7g #ddtpro
うん。ちゃんと頭おかしい。ちなみに飯伏の格闘技遍歴はこの本に詳しいです。
この本もついでに!定期的に人に勧めざるを得ない。それくらい濃厚な本です。
メインイベント G1クライマックスAブロック公式戦
○石井智宏
(24分35秒 垂直落下式ブレーンバスター→エビ固め)
✕ジェイ・ホワイト
飯伏は勝ちましたが、ジェイはこの試合に勝ちさえすれば決勝進出が決定(飯伏には勝ってるので)というわけでいつも通り、余裕たっぷりの態度で試合開始。観客を煽っていきます。
その後の場外戦でも外道に気を取られた石井に鉄柵攻撃。リングに上がっても石井のテーピングしている右膝中心に攻め、ジェイが試合を有利に進めていきます。
石井も逆水平、エルボー、パワースラム等で攻め込む場面もありますがヒザを蹴られると動きが止まってしまう。ロープへのスタンガン、DDTで首も攻められて石井が徐々に追い詰められていきます。
しかし石井も開き直り、エルボーを打たれても打たれても、ヒザにエルボーを食らっても向かっていく強さを見せて観客の歓声を浴び、コンプリートショット、ジャーマンを食らっても立ち上がり、コーナーマットにハーフハッチで叩きつけられてもジャーマンで叩きつけ返す。ジェイの試合巧者っぷりをパワーと我慢強さで上回ろうとする石井。とにかく意地が凄い。
雪崩式ブレーンバスターでジェイを投げつけてから徐々に石井も盛り返し、ヘッドバット連発で攻め込みますがグラウンドでのドラゴンスクリュー連発で苦悶、裏四の字固めで悶絶しますがこれはなんとかロープブレイク。その後ブレードランナーをかわした石井、ドラゴンスクリュー、ニークラッシャーとヒザ攻め返しに。レッグロック、ヒザ十字と攻め込み、乱入した外道も蹴散らし、ジャーマン、スライディングラリアットと波状攻撃。その後のブレーンバスターはジェイが切り返して急所攻撃。抱え式バックドロップホールドはカウント2。ここから一進一退の切り返し合いからスタナー、再び入ってきた外道を蹴散らし、ラリアットからの垂直落下式ブレーンバスターでカウント3を奪いました。ジェイ脱落!飯伏優勝!
この試合、負けたけどとにかくジェイ・ホワイトが巧かった。あらゆる手で石井の膝攻め、後半の大技ラッシュ、絶妙の間で相手の技をかわしていくスタイル。そのズルさも含めてこのG1で一番試合運びが巧いレスラーなんじゃないでしょうか。
そしてその緻密さを意地と根性で乗り越えた石井。かなり攻撃を喰らい続けてましたが、それをあえて受け続けた後の一発。キャリア発、という両国国技館のメインイベントをしっかりと締めてくれました。いい試合!
というわけで飯伏幸太が決勝進出となったこの日のG1クライマックス。もちろんオカダを襲って裏切ったオスプレイ、岡倫之、ビー・プレストリーが今後どうなるか。今後に向けての伏線も色々と張り巡らされた大会でした。飯伏は三年連続の決勝進出。凄い!そしてBブロックはどうなるか。濃密な大会となった両国三連戦初日目でした。