緊急事態発生!緊急事態発生!11月29日、後楽園ホール大会を予定していたセンダイガールズプロレスリング。この大会のメインとなるのはマーベラスとの七対七全面対抗戦、のはずでした。
しかし、マーベラスの練習生がコロナウイルス陽性判定、選手たちが濃厚接触者となって出場自粛となってしまったため対抗戦は一気に白紙に。まさにツームストン・・・。
しかも里村不在の後楽園ホールでこの緊急事態。というわけで急遽、「戦場トーナメント」仙女の若手たちも総員参加のワンデートーナメントを開催することに。この緊急事態にDDTから赤井沙希も参戦。組み合わせはこの様になりました。
正直しばらく仙女を観戦してなかった私。若手の愛海、岡優里佳、金子夏穂、カノンはこの日初見。仙女ぼんやり層の私。結果、新人たちに目を奪われていくことに。まずはDASH・チサコによるカード変更についてのお詫びから。でもその後「でも仙女だからこそやれると思います!今日は一丸となって、このピンチを乗り越えます!」と一気にポジティブ宣言、そして所属選手が四方に礼。この危機にあって団結した感のある仙女。選手一人一人に切羽詰まったものを感じます。
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個人的に目に止まったのは岡優里佳。一回戦では先輩の愛海とぶつかりあった末に丸め込んで勝利。二回戦ではDASH・チサコと激突してダイビング・フットスタンプで敗退。二試合とも技をかけていくときの表情に感情がもろに出ていて引き込まれました。関節技を仕掛ける時、エルボーをガンガン打ち込んでいく時、決めてやる!獲ってやる!倒してやる!という気持ちが伝わってくるため応援できる。特にDASH・チサコにぶつかっていった時の気合いが表情に現れてました。もちろんまだまだ歯が立たない相手ではありますが、それでもやってやる!っていう気合。ドヤ!この表情。17歳、2019年9月デビューでこの闘いっぷり。頼もしい限りです。
そしてビックリさせられたのがカノン。なんと14歳。じゅうよんさい!そしてこの日がデビュー二戦目!にもかかわらず先輩の金子夏穂に物怖じしない堂々たる闘いっぷり。そしてなんとジャックハマーで勝利をあげることに。凄い!ビックリ!二回戦の相手はちっちこと橋本千紘!果敢にぶつかっていきますが、えげつなく極楽固めで締め上げられ、最後は厳しすぎる逆エビでギブアップ。期待の新人カノン。新人同士の鍔迫り合いが今後激しくなりそうです。金子、愛海はこの日負けてしまいましたが、4人の間の闘いが仙女を盛り上げていくはず。明るい未来の見える新人たちの闘いでした。
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そして、激しいトーナメントに一服の清涼剤というか、ちょっとした面白を提供してくれたのがアイガー&広田さくらのベテラン組。広田がアイガーのセコンドにつき、アイガーも広田に帯同。岩田美香にあっさり負けたアイガーでしたが、広田はKAORUを破る金星!しかも無駄に垂直に落とされたみちのくドライバーからくるりと丸め込む巧さ。準決勝でDASH・チサコに一瞬で負けましたが、一本調子になりやすいトーナメントの中で「いつも通り」を貫いたアイガー&広田さくら。肩の力を抜いて笑わせてくれました。一年に一回くらいこの二人を見てる気がする。来年も見れるといいな~。広田&アイガーといえばこの人を忘れてはいけない吉野レフェリー。この日は一人で全試合裁ききってました。硬軟とりまぜたレフェリング。流石です。長丁場を安心感あるレフェリング、お疲れさまでした!
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そしてこの日注目だったのが、仙女の緊急事態にDDTから駆けつけた赤井沙希と、長期欠場から復帰した岩田美香のトーナメント二回戦。両者蹴りを得意とするだけに互いに蹴りまくり、ミドルキック、サッカーボールキック、ビッグブーツ、エルボーと打撃の応酬で盛り上がる盛り上がる!!赤井の新人王も返して意地を見せる岩田。終盤には下から三角絞めに捉えて追い込む赤井。ほんとうに「両者譲らず」といった試合が続きます。
意地の張り合いを続ける二人にとって10分はあっという間で結末はドロー。引き分けの場合両者失格、というこのとき初めて知ったルールによってふたりともトーナメントから姿を消すことに。う~ん勿体ない、というか続きが見たくなる試合でした。続きはDDT?岩田美香は赤井沙希にとっても「好敵手」となりうる選手だけに、どんどんぶつかってほしい。それだけ熱い試合でした。そして結果、決勝戦は予想通りではありますが橋本千紘とDASH・チサコの決勝戦に。準決勝までは10分一本勝負でしたが、決勝戦は30分一本勝負・・・。と待ってたら、会場にはルイス・ミゲルの「オロ・デ・レイ」が。言わずとしれた北斗晶のテーマ曲でしたが、「何が始まるんだろ・・・。」と思いながら座ってたらまさかの登場!
北斗晶!
久々に見た!仙女のピンチに駆けつけた、という北斗。「もっとガラガラだと思った」という北斗、会場の観客への感謝を述べ、不在の里村、その中で頑張る仙女メンバーへの激励を呼びかける。とにかく「さすが芸能人」というか、もともとでもありますがほんとに喋りが巧い。「決勝戦までの時間稼ぎ」と言いながら、観客へのお礼として、「家の中を探してたら出てきた」というレイナ・フブキ(北斗が一時期マスクマンとして活動していたときのリングネーム)のマスクをかけたジャンケン大会に。太っ腹!さすが「女子プロレス伝説の試合」の主役になったレジェンドレスラー。私も生で見てたそんな試合のエントリはこちら。すごかったんですマジで。
ジャンケンを終え、当選した観客にマスクを渡し、観客に手を振りながら去っていった北斗。役者でした。特に後輩に対する優しいまなざしが印象的でした。三田英津子、下田美馬を事あるごとにブン殴ってた昔とは違(以下略)
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そしていよいよ決勝戦。DASH・チサコVS橋本千紘。この日の仙女で一番強いカードが決勝戦、メインイベントに。
ガッチリ組み合って始まったメインイベント、とにかくスピードで翻弄して飛び技を狙っていくチサコ、圧倒的パワーで畳み掛けていこうとする橋本、それぞれのせめぎあいで一進一退の試合。当然のようにいい試合に。
コーナーから追いすがる橋本へのフットスタンプ、ドロップキック、コーナーからのスタナー、と攻め込むチサコでしたが、橋本もバックドロップ、強引に抱えあげてのジャーマン、ぶちかましラリアットと反撃する橋本。ノンストップで畳み掛け合う二人!
互いにエルボー合戦で消耗し、殴り合い、削り合って消耗する二人。フラフラと立ち上がるチサコ、雄叫びを上げて立ち上がる橋本。まさに魂の削りあいに。なんとか立ち上がり続けるチサコ・・・。決め手になったのは、パワーボムを狙って抱え上げた橋本に対して渾身の抵抗をするチサコ。すごい音のするヘッドバットを連発してなんとか浴びせ倒し、ヘッドバット連打、コーナーからのフットスタンプとたたみかける。そしてその余勢をかってホルモンスプラッシュでカウント3!DASH・チサコが戦場トーナメント優勝を飾りました!
11分という短い試合時間でしたが、この日ばかりは身体能力より仙女の責任者としての精神力が勝利したような一戦でした。熱いというか、大人としての責任感をビンビンとチサコから感じました。
勝ったチサコと負けた橋本がしっかりと抱き合う。嬉しさ、悔しさ、この日を乗り切った安堵、連帯感、安心、色んな感情を共有しているように見えたこの二人。「戦友」という言葉が相応しい抱擁でした。良い光景・・・。
マイクを取ったチサコ、「あきらめないで良かった!!」と絶叫!マーベラス勢の不参加からの急遽のトーナメント、そこから新人たちの闘い、ベテラン勢の活躍、そしてメインを占めることの出来た安堵。力強いマイクで「マーベラス勢との対抗戦は必ず実現してぶっ潰す」と宣言。今日対戦した橋本に対しても「やっぱり強いな」と認めながらも「橋本は新しい仙女を作ると言ったけど、私は15年仙女を守り続けてる」と、改めて橋本の持ってるベルトへの挑戦意思を顕にしつつ
「コロナにいまのところ負けてるんで、絶対負けないよう、これからも頑張ります」
と締め。緊急事態の後楽園ホール大会。DASH・チサコの力強い言葉で締めました。
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いろいろあったワンデートーナメントでしたが、最後には団体を背負うものの矜持を見せつけられた興行でした。岡優里佳、愛海、金子夏穂、カノンといった新人がのびのびと闘い、アイガー、広田が役割を果たし、赤井沙希、岩田美香がバチバチを見せ、と見どころ満載の興行でしたが、終わってみれば「DASH・チサコ興行」と言っていいくらいの存在感と責任感。「団体を背負う」という言葉の重さをリング上の喋り、試合、立ち振舞で見せてくれました。里村不在の緊急事態を乗り切った仙女。団体としての「強さ」を感じる11・29後楽園ホール大会でした。