男マンの日記

マンガ、落語、お笑い、プロレス、格闘技を愛するCG屋の日記。

武藤敬司発言から考える。CyberFightのコンプラ問題について。

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橋本宗洋氏、Cyberfightの取材を控えることに

ライターの橋本宗洋氏が2月22日のツイートで以下の文章を投稿していました。

サイバーファイトの武田有弘取締役と話をしまして、サイバーファイト全団体の現場取材を控えることとなりました。原因としてはスポーツ紙での武藤敬司選手の発言を批判したことです。

橋本氏は、DDT系、女子プロレス団体、格闘技と幅広く取材しているライターで、サイバーファイト系の記事も多く手掛けていました。特にAbemaTimesの格闘技系記事、プロレス系記事で名前を見ることが多かったです。

その橋本氏がサイバーファイトの現場取材を控えることになったきっかけ、東スポの記事がこちらです。

www.tokyo-sports.co.jp

記事内では東スポの記者側が森元首相についての話をもちかける形になっていて、武藤から主張した記事ではないですが、森元首相が失言で東京オリンピック・パラリンピック組織委員会から辞任することになった直後のこのタイミングでこの見出しの記事が出たことにはさすがにファンの間でも話題になりました。プロレスリング・ノア側もこの記事をリツイート(後に削除)していました。

 

個人的には、そもそも森首相も犯罪を犯したわけでもないですし、東京スポーツ側も記事の取り下げとか謝罪とかをしていない以上、ノア側が特にこの記事について謝罪するとかいう必要はないとは思いますが、ただ、「なんで今この記事出るの許したの?」という感想は浮かびます。しかも武藤がプロレスリング・ノア入団直後の記事。この記事の「主犯」は東京スポーツだとしても、それを遮ることはノア側も出来たんじゃないか?と思うわけです。世間にケンカ売ってまで森元首相をかばう義理があったのか?という疑問です。

そして、それをうけて橋本氏が「Number Web」に書いた記事がこちらです。

number.bunshun.jp

この記事の構成としては、2ページ目までは武藤が潮崎からGHC王座を奪取したタイトルマッチについて、3ページ目がサイバーファイト入団記者会見の様子。そして4ページ目が東スポの記事への批判となっています。

そして記事の締めが、東スポの記事をリツイートしていたノアに対して

 このまま“ツイ消し”で幕引きなのか。差別に対する厳しい姿勢およびSNS活用のアップデートは必須ではないか。あまりにももったいないことだ。

となっており、(見出しはライター権限ではないにせよ)この見出しで読みだした読者は結構面食らうんじゃないか、というものでした。

2月24日時点でこの記事は読めますし、特に修正された形跡もありませんが、この記事の公開が2月20日、橋本氏の件のツイートが2月22日なので、全く無関係、ということは想像しづらい。この記事きっかけで何らかの話し合いがあったと考えるのが自然だと思います。

   

CyberFightのこれからのコンプライアンスについて。

実際、どういう理由で橋本氏がCyberFightの取材を控えるようになったのか。取材拒否なのか、橋本氏側の意思なのかも現時点ではわからないですし、これからも判明はしないと思うのでこの件については言及しません。ただ、この件を表面上だけ見ると、「CyberFightが女性問題について言及したライターを排除した」となるでしょう。

CyberFight側も、今回の件に直接コメントをしないのであれば、これからの表現について、コンプライアンスについて何かしらの指標を設け、それを表明して欲しいと思います。実際、今回の件、その前の武藤の武道館前会見での「子宮をうずかせる試合」発言も含めてノアの、CyberFightのコンプライアンスについての基準はザルというか、穴があると思います。差別、女性問題についての表現の基準は日に日に厳しくなっているというか、先日の宇崎ちゃんの一件でもわかるように、それぞれの業界内で「当然」、「なあなあ」で済まされていたものがいきなり世間にさらされて断罪される、ということも増えています。プロレス業界も例外ではなく、「業界内常識」として定着している事柄、レスラーのマスコミ一体となった「破天荒な発言」についても定期的に見直さないといつか痛い目を見るでしょうし、現状でも、自分のフォロワーさんでノアから離れていくファンがいるのも確かです。

 

海外でのプロレスセクハラ問題 #speakingoutについても報じたのがネットメディアのDropkickのみだったのもこの業界の意識が女性問題、人権問題についての意識を象徴している用に思います。

ch.nicovideo.jp

個人的には、意識をアップデートすることが必ずしも100%善ではないでしょうし、アップデートについても年齢、性別による温度差はあると思います。また、SNS上で当然とされている言説が世間でも同じ温度差で受け入れられているとも限らないと思っています。

ただ、そうであるからこそ、世間に対しての表現については最新の注意を払うべきだし、安心してファンが応援できるような環境を作ることがCyberFightの役目なんじゃないでしょうか。選手たちの全力ファイトをレスラーの不用意な発言や、AbemaTVの不用意な企画で(膝舐めとか)で潰してしまうことのないようにお願いしたい。人間の価値観なんて急に変わるものではないと思うので、その分会社がしっかり管理して、選手とファンを守って欲しい。

今回の件きっかけで以前から考えていたことをまとめさせてもらいました。CyberFightさん!よろしくおねがいします!

 

また、今回の件についてメルマガ「Dropkick」ジャン斉藤氏が語っているニコ生がありますので貼っておきます。あと2周間くらいは無料でタイムシフトが可能なはず。冷静な語り口でプロレスと差別、表現について。今回の橋本氏の件について語っています。

live.nicovideo.jp

考えさせられるし、色々初めて知った知識もありましたので、この件を掘り下げたい方、考えたい方はぜひ聞いてみてください。興味深かったです。