衝撃乱入からの衝撃記者会見。高橋ヒロムの分厚さを見た!
先日2月15日、プロレスリング・ノアの2・21武藤敬司FANAL、東京ドーム大会の記者会見が行われました。
会見の予定としてはノアVS新日本プロレスの団体対抗戦シングル二試合、高橋ヒロムvsAMAKUSA、オカダ・カズチカvs清宮海斗の記者会見が行われるはずでした。
特に、衝撃的な乱入劇があったオカダと清宮の掛け合いは両者何を話すのか、上から目線でスカし続けたオカダがついに行動を起こした2・11から4日、記者もファンもそれを待っていた、と言っても過言ではないでしょう。
乱入についてのエントリはこちら!
しかし、今回の記者会見、インパクトを残したのは高橋ヒロムでした。AMAKUSAとの一騎打ちを前に、自らの心情、海外遠征時代の思い出を語り始めたのです。
まず初めにこの試合は新日本プロレスvsNOAHではありません。
皆さん、AMAKUSA選手、ちょっとだけ昔話を聞いてもらってもいいでしょうか。
2013年の6月に俺はイギリスに旅立ちました。まぁ海外遠征ですよね。その後にみちのくプロレスから、剣舞選手という選手がイギリスにやってきました。
その後一緒に、まぁ3か月間ぐらいですかね。共に生活をしたんですよ、同じ部屋で。
(AMAKUSAを少し見て)…覚えています?色んなとこ行きましたねぇ。色んな試合を一緒にしました。色んな事を話しました。
1か月間の長いツアーみたいな。いろんなね、会場回って、1日3試合することもあったんですよ。朝起きて移動してリング組み立てて試合して、リング片付けてまた次、移動してリング組み立ててまた試合して。そんな生活を1か月やっていた時もありましたよね。あれは楽しかったなぁ~。剣舞選手といる時は本当に楽しかったです。
でもまぁある時、その途中かなぁ~1か月の中間ぐらいのときに、剣舞選手と別になってしまう事もあったんですよ。後半はずっと別だったかな。まあその時は...。剣舞選手と回らないで、他の選手と回っていたんですけど、その選手とは顔を合わすたびに日本に帰れだの、お前は新日本プロレス優遇されているだの、他の選手に対してね、“いいよ、コイツは面倒見ないで。大丈夫、大丈夫”みたいな感じで言われていたんですよ。いやぁ~しんどかったなぁ~あの時。辛かったですよ。グッとこらえましたよ。新日本プロレスとしてね、変な問題を起こすわけにもいかないですし、グッとこらえました。
その後、剣舞選手と合流して…まぁ俺の顔がおかしかったのか、表情に出ていたのかもしれないですけど
「高橋さん、一緒に頑張りましょう!」
何も言わずそう言ってくれたんですよ。俺はこんなことがありましたなんて話していないですよ。でも剣舞選手は俺に対して「高橋さん、一緒に頑張りましょう!」何も考えていない一言だったのかもしれないです。でも俺にとってはあの一言で本当に救われたんですよ。うれしかった。
その後ですかね、自分たちの遠征先の4FWという団体の(剣舞選手が)チャンピオンになったんで、その剣舞選手に挑戦したんですよ。まあ結果は惨敗です。何もできませんでした。本当に、初めての、人生初のタイトルマッチだったんですけど本当に何もできなくて。本当に悔しかったんですよ。今でも覚えています。
だからその試合の後、剣舞選手に
「タイトルマッチじゃなくていいです。いつかどこかでもう一度俺とシングルマッチで戦ってください」
と約束しました。
片手でスマホをね、こうやっていじって。
欲しい情報は手に入りますよ、だいたい。今の時代色んな事の情報量が多すぎて。こうやって操作して得た情報は何も残らないですよね。
こうやって得た情報はすぐ忘れちゃうんですよ。
だから俺は今日、本当は言いたくないんですよ、試合前にね。全ての情報を俺の口から言うのは美しいとは思えません。でも話したかった。聞いてほしかった。知って欲しかった。
この話を知ったうえでこの試合を観てほしかった。
決して美しくないかもしれないですけど、絶対に俺が今話したことを忘れないでください。忘れないで当日の試合を観てください。
だからこの試合は新日本プロレスvsNOAHではありません。
デーブ、カノー、アンジェリーン、ダン、JD、4FWのみんな、みちのくプロレスさん、見てますか?
あの時の約束、果たして来ますよ。必ず、この俺が勝ちます
痺れる一人語り。ここだけでも実際に聞いてほしい。
もちろん武藤敬司引退試合、というシチュエーションの中で行われるこの試合、その中で流されてしまうこともあるはず。ただそこにしっかりと楔を打ち込むというか、意味合いを伝えた高橋ヒロムのこのコメントは凄かった。
その後の質疑応答では、互いに通じ合っている高橋ヒロムとAMAKUSA、キャラクター的に「その質問、愚問ですよね」で通さざるをえないAMAKUSAですが、その手前の表情、やりとりでヒロムの言葉が響きまくっているのは伝わってきました。
思えばヒロムは前の対抗戦から覇王への思い入れをチラ見せしてたり、ちょっかいをかけたりしてました。3ヶ月とはいえ、2013年、高橋ヒロム23歳のときの海外での3ヶ月は重いし、後々の人格形成、レスラーとしての骨格を作るのに大きな影響を及ぼしたはず。剣舞というか覇王というかAMAKUSAというかさときゅんとの絆をここでヒロムが出したことで、一気にこの記者会見の意味が立ち上がってきました。
例えば、AMAKUSAが本名で出てきていて、キャラクターを乗せずに喋れたとしたら何を語ってくれたのか。正直、まだまだ喋り方が板についてない状態だったのが勿体ない、という気にもなりますが、その分試合で見せてくれるはず。見る側が試合への期待感を上げ、AMAKUSAへの興味を新日本ファンも持てるような会見になりました。楽しみです。
まさかのオカダ・カズチカはドタキャン!清宮海斗吠える!
そして一方の清宮海斗とオカダの会見、席に清宮海斗がついたものの、司会の市川アナがオカダを呼び込み、テーマ曲が流れても入ってこないオカダ。ざわつく記者たち、怪訝な表情の清宮、スタッフから説明を受ける市川アナ。明らかに異常事態であることが演出されていきます。
そして曲が止まり、市川アナが「本日はオカダ・カズチカ選手出席の予定でしたが、欠席の連絡がありました」とアナウンス。
清宮が
「来ないんですか?大事な記者会見来ないってどういう事なんですか?」
と吠えるなか、
「2月18日のタイトルマッチに集中したいから本日は欠席します」
と市川アナがコメントを代読。
それを聞いた清宮
いやちょっと待ってくださいよ!ふざけないで下さいよ!
大事な記者会見ですよ!
ボイコットってどういう事なんですか!
だいたいそもそも大阪大会だってアイツが勝手に入ってきて、土足で乱入してきて試合後に後ろから奇襲してくる。そんな卑怯なチャンピオンに俺は負けるつもりはないですよ。
オカダさん、いやオカダ!
東京ドームは逃げんなよ!絶対にぶっ潰してやるからな!
と叫び、机を叩いて去っていきました。
会見ボイコット、という手段を取ったオカダ、ただ自分はこれはこれでいい、と思っています。
今までの一連のやり取りで見えてきたのは、オカダも清宮も「言葉のプロレス」があまり上手い方ではないのと過去の関係性、因縁も薄いこと。故に、ここで何かを語るより試合への期待度を上げていくにはとことんオカダの上から目線、清宮を相手にしていない、というスタンスを観客に見せ続ける事が大事、そのことを踏まえた上でのドタキャン、という選択だったのでしょう。
そこに真っ直ぐ怒りを表明した清宮。ヒロムvsAMAKUSAとは全く対照的な手法で試合への期待度を高める記者会見。今回会見を行った二試合が、試合への盛り上がりに対してまったく正反対のアプローチを取ったことが興味深い。結果、2・21が楽しみになる会見となりました。会見ボイコット、いいと思います!