8・23「両国ピーターパン2015~DDTより愛をこめて~」観戦記まとめです。
先週の新日本プロレス、G1クライマックス決勝戦の両国大会が決勝戦一本勝負、というようなカード編成だったのに対し、DDT両国は本当にいろんなプロレスの可能性を提示するようなカード編成でした。
前半は腹を抱えるほど笑わせ、中盤も激しい試合あり笑いあり。終盤はしっかりと試合を見せるという編成。それぞれベクトルの違う試合でしたが、しかしそれぞれしっかりと完成された試合でした。正直、メインのために他の試合をあっさり目にしていた新日本に比べ、第三試合以降は後楽園のメインでもおかしくないような試合を連発してきたDDT。ここにも興行に対する考え方の違いがはっきりと出ていました。
それではダークマッチから。このブロックは「てのりタイガー」渡瀬のデビュー、そしてLiLiCoのプロレスデビューが話題でしたが、なんだかんだでアントン&マサが凄すぎました。爆笑に次ぐ爆笑。アントンが燃え尽き症候群に陥るのもむべなるかな、という名勝負でした。南キャン山ちゃんの使い方!
▼ダークマッチ キング・オブ・ダーク選手権試合
<王者>●伊橋剛太 vs “ハリウッド”S・市川○<挑戦者>
5分15秒 横入り式エビ固め※第3代王者が8度目の防衛に成功
▼オープニングマッチ 井上麻生&渡瀬瑞基デビュー戦
ヤス・ウラノ&○彰人&中津良太vs梅田公太&井上麻生&渡瀬瑞基●
10分7秒 サソリ固め
▼第二試合 時間差入場タッグバトルロイヤル
○アジャ・コング&大石真翔 vs LiLiCo&宮武俊●
16分41秒 片エビ固め※垂直落下式ブレーンバスター
▼第三試合 ウチコミ!presents DDT EXTREME級ブラインドフォール・ブラジャーストリップ・タイガートラップデスマッチ
<王者>○アントーニオ本多vsマサ高梨●<挑戦者>
15分10秒 ブラジャー剥ぎ取り※第33代王者が初防衛に成功
遠藤哲哉復帰戦、天龍源一郎引退ロードという話題性で持ってきた中盤戦。しかし全てを持って行ったのは里村明衣子だった、という話。凄すぎました。
▼第四試合 遠藤哲哉復帰戦
○竹下幸之介 vs 遠藤哲哉●
13分32秒 ジャーマン・スープレックス・ホールド
▼第五試合 天龍源一郎引退ロード第16戦
天龍源一郎&○高木三四郎&赤井沙希vs石川修司&樋口和貞●&里村明衣子
13分9秒 エビ固め※シットダウンひまわりボム
この日1番の盛り上がりを見せたKO-D6人タッグ。DDTの「エンタメ団体」としてのエッセンスが全部ブチ込まれたような試合でした。笑った笑った!これのワンマッチ興行でも見に行きますよ!

DDT公式ファンブック THIS IS DDT (双葉社スーパームック)
- 作者: 株式会社DDTプロレスリング
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2015/08/22
- メディア: ムック
- この商品を含むブログを見る
▼第六試合 KO-D6人タッグ選手権試合
<王者組>石井慧介&入江茂弘&○高尾蒼馬vs男色ディーノ&スーパー・ササダンゴ・マシン&大家健●<挑戦者組>
12分35秒 エビ固め※ジントニック。第19代王者組が5度目の防衛に成功
そしてDDTVS大日本のレベルの高さを見せつけたKO-Dタッグ。これも凄すぎた。
▼第七試合 KO-Dタッグ選手権試合
<王者組>●関本大介&岡林裕二vs飯伏幸太○&佐々木大輔<挑戦者組>
21分33秒 片エビ固め※フェニックス・スプラッシュ。関本組が5度目の防衛に失敗、飯伏組が第52代王者組となる
一方、試合後の描写で長くなってしまったセミファイナル。棚橋のタチの悪さが試合後に発揮されてしまうという結末。結局誰も得してない感じです・・・。新日ェ・・・。
▼セミファイナル ドラマティック・ドリームマッチ
●HARASHIMAvs棚橋弘至○
19分0秒 片エビ固め※ハイフライフロー
そして大団円。酒呑童子の友情ストーリーからのエンディング。DDTの両国でのエンディングへの力の入れ方はちょっと凄い。多幸感に溢れるエンディングでした。
▼メインイベント グッドコムアセットpresents KO-D無差別級選手権試合
<王者>●KUDO vs 坂口征夫○<挑戦者>
21分20秒 片エビ固め※神の右膝。KUDOが初防衛に失敗、坂口が第54代王者となる
興行全体としては、全部のパーツが素晴らしかった。前の週の新日本プロレス両国と比べるとDDTの方向性がはっきりと見える興行でした。
新日本プロレスの試合は、基本的には「プロレス」を逸脱しない範囲での味付け(矢野、裕二郎等)を入れながらメインを邪魔しない範囲で次シリーズへの伏線を張っていくイメージ。(ドームで第一試合だったジュニアタッグが休憩後に持ってこられていることでもわかる通り、「メインを邪魔しない」ことを重視している構成であり、試合内容でした)
一方、DDTはそれぞれの試合に対して違うテーマが存在し、各試合がそこに対して全力を尽くす、というイメージ。それこそダークマッチのキング・オブ・ダークもOPへの導入になっていたり、バトルロイヤルはLiLiCoデビューに絞るためにアジャ組との一騎打ちにしていたり。その場その場で全力で客を楽しませる、ということに徹底していました。
しかしそれだけに、セミ、メインになると客が結構疲れていたのもまた事実。棚橋VSHARASHIMAが予想よりハネなかったのもそれが原因かと思います。セミ前にもう一度休憩が欲しかったくらいのKO-D6人タッグ、KO-Dタッグの二試合でした。
ただ、こういう構成にしていると、メインが一番面白くなるとは限らないもの。実際、単体の試合だけで並べると、一番客が沸いたとは言い難いメインでした。しかしその後のマイク、坂口にぴったりのエンディングがあることにより、みんながハッピーな雰囲気の中でエンディングを迎えることができました。
しかし、これはいかにもDDT的発想。一人に興行を背負わせることはせず、試合、演出、構成ともに全部の要素を使って客を楽しませようとする。言い方を変えると「プロレスに頼りすぎない」興行を行っているといってもいいでしょう。
あくまで「プロレス」にとどまり、そこでクオリティを上げようとする新日本プロレス、一方、映像、演出、試合、すべての力を使って「プロレス」をつくりあげていこうとするDDT。二週続けて両国大会を見ると、その差がはっきりと見えたように思います。
今年後半もDDT総選挙あり、来年3月に両国大会もありと攻め続けているDDT。これからも追いかけていきますよ!期待してます。
関連記事