男マンの日記

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6・13 小川良成vs清宮海斗に見た「三沢光晴メモリアル2021」37分40秒の幸せな空間

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6・13 プロレスリング・ノア 三沢光晴メモリアル

6月13日、AbemaTVの配信用大会として、「三沢光晴メモリアル大会」が開催されました。三沢のメモリアル大会としては、5月30日に行われた後楽園大会。もともとは大田区体育館で行われるはずだった大会が中止になり、振り替えとして5月30日に行われました。そのときの観戦記がこちらになります。山あり谷あり、激闘あり裏切りあり。起伏に飛んだ、エンタメとして優れた大会になりました。 

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そして6月13日、Abema配信で三沢光晴メモリアル大会が行われました。ただ、その日はRIZIN.28があり、配信を買っていた私はそっちを見ていたためノアは横目でチラチラ見ていました。

 しかし、RIZINの配信が終わったと同時くらいにセミファイナルの小川良成VS清宮海斗が始まり、おっ!と思って見始めたらしっかりと釘付けになっていました。というわけでこの試合を振り返ろうと思います。

   

37分40秒の「方舟伝承」小川良成VS清宮海斗

この日の大会はテーマ曲で闘う選手が分かる、という形式。なのでこのカードだということは入場時に判明しました。まずは清宮海斗登場。首のフサフサがなんとなくセレブ感を醸し出しているというか。貴公子感が凄い。 

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そして入場は小川良成。Rob Zombieの「Scum of the Earth」に乗って入場。ドヤ!54歳にしてこのカッコよさ!

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この顔合わせということで、「小川教室」が繰り広げられるのは当然というか。腕の取り合いから小川が回転しての切り返し、ロープワークで伏せた清宮にフットスタンプ、清宮もタックルで倒してからのエルボードロップと基本技の応酬。ヘッドロックを軸にしたグラウンドの応酬。清宮もしっかりと小川のテンポでついていく。小川が切り返しても切り返してもヘッドロックに捉えるこだわり。小川相手に主導権を握っていく清宮。小川も何度も丸め込みでフォールしますが、そのたびに返してヘッドロック。互角の攻防を繰り広げていきます。

しかしここは試合巧者の小川。ヘッドロックに捉えられたままスルスルと場外に降りた小川、エプロンに清宮を叩きつけ、鉄柱に股間を打ち付ける。大人のレスリングで一気に戦況をひっくり返していくところはさすが。

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リング内に戻った小川が両足で腕を引っ張る形のアームバー。今あまり見せる選手が居ないこの技。何度も返そうとする清宮を許さずに腕を締め上げ、その後アームロックへとつなぐ腕攻めへ。しかし清宮もヘッドシサーズで切り替えして締め上げる。一進一退の攻防が続きます。

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ヘッドシサーズを返してレッグロックにいった小川ですが、清宮も反転して足を伸縮して返していく。クラシックなテクニックをものにしていることがわかります。24歳にしてこの攻防が出来る。このレスラーとしての幅を持っている清宮。今悩んでは居ますが、トンネルから抜ける日が来る、という安心感のようなものを感じさせます。

その後も清宮はヘッドロックを軸にして組み立てていくグラウンド中心の試合。ヘッドロックで散々締め上げた後のジャンピング・ギロチンドロップが大技に見えるのが凄い。そこからもひたすらスリーパーで締め上げる清宮。しかしスリーパーで倒れた小川めがけてコーナーから飛んだ清宮に対して倒れ込みながらの急所打ち。少しずつラフを交えていく小川。回転エビ固めをロープを掴んでこらえる小川、ここはレフェリーに手を払われて丸め込まれます。ここでなんと15分経過。

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 清宮の攻撃を受けてもすぐにロープに打ち付け、場外戦に持ち込んで形成を逆転していく小川。海千山千、という言葉が似合うファイトっぷり。散々場外でいたぶってから変形のカベルナリアで締め上げる小川。かなり長い間締め上げてかなり清宮もぐったりとしたところでコブラツイストに繋いで締め上げる。顔面かきむしり、ロープを使っての顔面こすりつけ、コーナーにたたきつけてからの顔面こすりつけ。一気にダーティーモードに入った小川。しかし、54歳と思えぬ小川のスタミナ。瞬発的なパワーや打たれ強さは衰えた小川ですが、試合をコントロールしながらスタミナをキープしていく技術は一流のものを感じます。
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 そしてここから一気に試合がスピードアップ。ブレーンバスターを仕掛けた小川ですが投げ返す清宮。ロープに振る清宮、そこをネックブリーカーで返し、バックドロップで投げる小川、カウント2、ロープに振る小川、ジャンピングショルダーで返した清宮。両者ダブルダウン!

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 起き上がってさすがに若さを魅せる清宮。エルボー連打から、コーナーからのミサイルキック、カウント2!裏DDTからコーナーに登るもすかさず小川がロープを揺らして清宮股間を痛打!さすが!いぶし銀すぎる!25分経過!

 

しかしロープに振られたところをジャンピングニーで返した清宮。しかし更に突っ込んでいったところをショルダースルーで場外に落とされ、再び小川のターン。着地で痛めた清宮のヒザをコーナーポストに打ち付けていく。エプロンにも打ち付け、リングに戻ってもロープを利用したヒザ攻め。グラウンドでのレッグロック。清宮もパンチの応酬からエルボースマッシュで返しますが、場外に逃れた小川がロープに清宮の足をひっかけてストンピング。足攻めのバリエーションが止まりません。

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その後も片逆エビ固めで締め上げる小川、マットに打ち付けるニークラッシャー、しかし清宮もドラゴンスクリューからの足4の字で反撃。しかし小川もそれを裏返して反撃。清宮が仕掛けたクラシックな攻防を小川がしっかり切り返す。そして改めて小川が足4の字をかけたところで30分経過。Abemaドローンカメラによる天井からの足4の字固め!

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4の字の攻防から試合を動かしに行く清宮。エルボーの連打で小川をコーナーに追い詰めエルボースマッシュ、パンチを食らうも小川にカウンターのドロップキック、しかし再びロープに飛んだ小川がDDT。清宮返す刀でパワースラム。一気にフィニッシュが見えてきます。

ここで小川がスパート。清宮を鉄柱に打ち付けてのDDT、バックドロップでフォール、しかしこれもカウント2。フィニッシュポーズを見せてからのバックドロップは清宮が返してのチキンウイング・フェイスロック。ここはなんとかロープエスケープ。すかさずリバースDDTを決めた清宮ですがこれは小川がレフェリーの腕を掴んでカウントを阻止!ヒール殺法!

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攻勢に出る清宮。ジャーマンで小川を投げ捨て、タイガースープレックスを狙うもヒザを蹴られて阻止されるもスリーパー。しかしこれは丸め込まれ、ジャンピングニーからジャーマンを狙うも丸め込まれます。

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これを返してドロップキックを狙うも小川がかわし、4の字式に丸め込んで抑え込み。1・2・3!!カウント3!瞬間の抑え込みで小川良成が勝利を収めました。

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小川良成の上手さを存分に見せ、それに清宮が食らいついていった37分40秒。珠玉の時間というか。本当に見ごたえのある試合でした。 生前の三沢の横に立っていた小川良成、24歳の清宮海斗とこの37分40秒を我々が味わえたことに感慨がある。本当にずっと見ていられる。そんな試合でした。

 試合後のコメントで「純粋に今日、プロレスが楽しかった」と息絶え絶えになりながら話した清宮。小川への感謝を話したことで、なにか迷いが吹っ切れるきっかけになったように見えました。清宮には戻るところがある。そう思わせてくれた試合。本当にプロレスの奥深さ、脈々と流れるレスリングの歴史を感じさせてくれました。10カウントゴングやセレモニーなしでも「メモリアル」リング上のファイトで表現しきった試合。小川良成の凄さ。三沢光晴の残したものの凄さを堪能させていただきました。この試合、永久保存版です!