先日、書泉グランデに行って、松永光弘の「オープンから24年目を迎える人気ステーキ店が味わった、デスマッチよりも危険な飲食経営の真実」をサイン本で購入しました。
松永光弘といえば、W☆ING、FMWで活躍したみんな知ってるデスマッチファイターのレジェンド、人類で一番最初に後楽園ホールのバルコニーからダイブしたでお馴染みの「伝説のデスマッチファイター」。2009年の12月23日に引退してからは「デンジャーステーキ」のオーナーとして今に至ります。この本は、主にプロレスラーを引退してから。「デンジャーステーキ」開店から今に至るまでの苦労、失敗、危機について綴られています。
目次はこちら。ここからなんとなくどんな内容かは類推出来るかと思います。
序 章 コロナとの闘いは「デスマッチ」にしてはならない
第1章 ステーキ店はどんなデスマッチよりも辛かった!
第2章 狂牛病騒動をも撃退した『どうしよう』?即『こうしよう! 』
第3章『金』よりも『人』を大事にすれば、いつかは救われる!
第4章 倒れてもカウント10までに立ち上がれば生き残れる!
最終章 令和2年春、コロナと向き合った繁盛店が下した『ふたつの決断』
いきなり最近のコロナ禍に触れ
「コロナとの闘いを「デスマッチ」にしてはいけない」
「デスマッチで本当に大事なことは、死ぬかもしれない状況になっているリングの中から生きて帰ってくることなのだ」
と、いきなりデスマッチの核心を突く名言から、レスラーをやりながらステーキ修行、そして開店して1週間で10キロ減った大変さ、狂牛病での閉店危機など「デンジャーステーキ」をこの2020年まで続けてきた体験を綴っていくのです。
そもそも全体的にぶっちゃけているというか、プロレスラー生活についても「ある程度のポジションに立ってしまえば、こんなに割の良い商売もない」とズバリ。90年代、プロレスがいい時期だった時の話ではありますが、月の半分オフで試合時間は10数分、時給換算したらえらい額になる、とかなりシビアな視点を向けていく松永。
それだけに、それから繰り広げられる「デンジャーステーキ」の苦労話しにも説得力が生まれてくるというもの。そもそもこの「デンジャーステーキ」本店、「有名人の店」と考えると衝撃的な立地の悪さ。私も行ったことありますが、公共交通機関を使うとかなり時間がかかる場所にありました。
デンジャーステーキは立花本店は東武亀戸線南あずま駅から200M。特に繁華街でもない、住宅地の一角に店を構えています。この場所でいかにデンジャーステーキを繁盛店にしてきたか。
安い部位を買い、処理に手間を掛けることでやわらかいステーキにする、ご近所トラブルへの対応、アルバイトを雇い続ける心がけ、そして「続ける」ことへの執念。
プロレスラーの本、有刺鉄線を額に巻いた表紙からなにか過激な本のように見えますが、実際はどのように一つの飲食店を経営してきたか、わかりやすいエピソードとともに丁寧に紐解いていく堅実で、誠実なビジネス本として読めます。
そして、これは以前紹介した川田利明の麺ジャラスKとも共通する部分ですが、とにかく飲食店をやっていくのはとても大変で開店時の初期投資などリスクも多く、やっていくうちに色々事件も起こっていく。
脱サラして飲食店をやろうとする人に「本当にやっていけるか、まずは今もらっている給料と労働時間を時給計算し、見つめ直したほうが良い」、「料理がうまい、というより経費を見ることの出来る経営者じゃないと失敗する」と、軽率に「退職したら脱サラして喫茶店とかやりたい」とか言ってる人に真っ先に読ませたい本。本当に、相当な覚悟がないと飲食店など始められない、ということをしっかりとした根拠とともにガンガン叩き込まれていく本でもありました。
もちろん続けていくことでの喜び、最大売上を上げた日(金額もしっかり書いてあります)のこととか、アルバイトの店員さんとの絆、支えてくれる客への思いなどは読んでいてもぐっとくるものがありますし、だからこそ続けている、というのも伝わってきます。
プロレスラーを辞め、第二の人生として選んだ「デンジャーステーキ」に人生を賭けた松永光弘。その第二の人生で学んだ事を余すところ無く書き綴った衝撃のビジネス本。W☆INGに熱狂したプロレスファンが読んでも、脱サラを考えているサラリーマンが読んでも、そしておそらく飲食店を経営している人が読んでもその熱さ、辛さ、リングを降りても闘っているその魂が伝わってくるような読後感でした。文章も上手く、スルスルと読めてしまうので通勤時にスルっと読むのもオススメ。カバーはしといたほうが良いと思いますが。私は一気に、面白く読みました。
というわけでオススメのこの本。書泉グランデで購入したらデンジャーステーキ本店の割引券がついてたので近いうち行ってみようと思ってます。この本読んでから行くとまたステーキの味わいが変わってきそうな。ズン!と人生を感じる一冊でした。
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