東京プリンセスカップ決勝！中島翔子VS伊藤麻希！
８月１５日、東京女子プロレス後楽園ホール大会。メインイベントで東京プリンセスカップ決勝戦、中島翔子VS伊藤麻希が行われました。
前日の１４日に準決勝が行われ、渡辺未詩をロコモーション式ののノーザンライト・スープレックスホールドで降した中島翔子と瑞希を伊藤デラックスで降した伊藤麻希の対戦。詳細はこちらのレポを御覧ください。
勝ち方を見てみると、フィニッシュのダイビングセントーンを使わず、「奥の手」とも言えるロコモーション式ノーザンライトで勝利した中島、フィニッシュの伊藤デラックスに新しい形で入ってみせた伊藤。それぞれの選手が決勝戦への期待感を残したフィニッシュで勝ち上がってみせました。
準決勝は、個人的にはどうしてもメイン、伊藤麻希と瑞希の試合後のやりとりにぐっときたというか、試合中から涙腺崩壊状態でした。特に互いに座礼したあと、瑞希が伊藤にサムアップしたシーン、瑞希を呼び止めたものの絶句する伊藤を地声で励ますシーンはもう号泣寸前でした。
試合自体はセミファイナルの中島VS未詩も遜色ないものでしたが、今回はこの二人の瑞希参戦からのストーリーが浮かんできてしまったのでこれはもう仕方ないというか。今までのストーリーをしっかりと全部回収して一つの宝物として見せてくれた。本当に素晴らしい時間だったと思います。
２０１８年の一騎打ちのときに二人の歴史を振り返るエントリを書きました。今回伊藤麻希VS瑞希を見た方にはぜひ一読して頂きたい。この積み重ねがあってのあの試合、握手、座礼、マイクだった。そりゃぐっときます。そりゃ泣きます。
そんなこんなで迎えた決勝戦。私自身はこの日は大日本プロレスのクラウドファンディング出資者向け大会があってそちらに行っていたので生で見ることは出来ませんでしたが、休憩中にこっそりとスマホで見てました。そして伊藤麻希優勝を知ってメンタルがおかしなことになったまま後半戦を見ることに。結局帰宅してからWrestleUniverseで見返しましたが、改めてぐっとくる試合、そして試合後のやりとりでした。
ついに試合開始！中島翔子VS伊藤麻希！
いつも通りの入場をした二人。ゴングが鳴ると満を持してロックアップ。ロックアップからすかさずヘッドロックに取る中島、腕を取って返していく伊藤、伊藤が意地を見せて首投げからヘッドロックで締め上げるも、中島もスルっと抜け出してフロントネックロックに。寝技に定評のある中島にやられっぱなしにはならない、という伊藤の意地を感じます。
そこから伊藤が手四つを誘うも左手を踏みつけて右手の中指をムリヤリ立てさせてニヤリ。ヒール的しぐさで優位に立とうとしますが、中島も返してアームホイップから躍動感のあるドロップキック。徐々に試合に動きが出てきます。
しかしコーナーに駆け上がった中島をエプロンにハングマンDDTで叩きつけ、場外ボディスラム、鉄柵攻撃とラフに伊藤が畳み掛けていく。しかしリングに戻された中島も伊藤を場外に叩き落としてセカンドロープをすり抜けるプランチャ！「やらせるか！」という叫びが聞こえるような中島の意地を感じます。
ここからは中島の時間。コーナーに振ってのドロップキック、ネックブリーカー、倒れた伊藤にエルボーを落としストンピング。いつもより残酷さを感じるというか。左足にギロチンドロップからのインディアンデスロックで締め上げ、締め上げた後くるりと回ってフォールにいく工夫も。ロープに逃れられてからもそのままシーソー式のロープギロチン二連発、座り込んだ伊藤へエルボー、ヒザ、そして骨折した顔面を締め上げるフェースロックと非情な攻撃が続きます。
中島の攻め手は止まらず、走り込んでのネックブリーカーからバタフライロック。さすがに参ってきた伊藤ですが、ここは立ち上がってなんとか外し、エルボー合戦に持ち込み、中島が走り込んできたところをDDTで一矢報います。しかし依然として厳しい伊藤。中島に先に立ち上がられてロープを利用してのゆりかもめを食らってしまいます。とにかく次々と技を出していく中島。コーナーからのライダーキックを狙っていきます
しかしそれを見ていた伊藤、飛んできた中島を後ろに下がってかわし、両足をとって逆エビ固め。絶叫しながら締め上げていきます。技を連ねていく中島に対し、少ない技に気合を込めようとする伊藤。なんとか少しずつ反撃に移ろうと試みていきます。
なんとかロープに逃れた中島をコーナーに振ってエルボー、再びコーナーに登ってのフェースクラッシャー、コーナーに振られ返すも突っ込んできた中島を迎撃、そのままコーナーに登ってのスイングDDTと徐々にペースを掴んでいく伊藤、「いくぞー」とアピールして再び逆エビの体勢に入ります。
しかしここから上手かったのが中島翔子。足を取られた瞬間に身体を反転させ、自分の足と足を鍵のようにひっかけて逆エビを外していく。そこからすかさずヘッドロックに捉えてコーナーに叩きつけ、そのままコーナーからのライダーキック、フォールを返されたところでバタフライロック、そこからくるっと反転しての無人在来線固め（ゆりかもめ）これは伊藤苦しい。リング中央で長時間締め上げられますがなんとかロープ。中島翔子が止まりません。まさに今まで習得してきた技を全て放出しようとするような中島翔子の闘い。いつもの親しみやすい、楽しんで闘うような中島にどこか非情な、伊藤を叩き潰しにかかる念のようなものも感じる戦いっぷりです。
フェースクラッシャーからのノーザンライト・スープレックスはスイングDDTで返した伊藤、再びボストンクラブで捉えます。ここで１５分経過。とにかく攻め続けられていた伊藤ですが、執念のボストンクラブ、ずっしりと腰を落として追い込んでいきます。１分ほどギリギリと締め上げ続けますがなんとかロープに逃れた中島。ここからはめまぐるしく攻守が入れ替わる展開に。立ち上がった伊藤をフランケンシュタイナーでカウント２からのノーザンライト・スープレックス！しかし腰の痛みからブリッジが崩れ、抑え込むもカウント２。すかさずダイビング・セントーンもこれは伊藤がかわし、立ち上がった中島に正面から飛びついてのDDT、雄叫びをあげる伊藤！コーナーに登るも追いかけた中島もコーナに上り、雪崩式フランケンシュタイナー！倒れ込む両者！ダブルダウン！
なんとか状態を起こし、互いに睨み合う二人。ここでダウンカウントは止まります。静寂の中、座り込んだ二人のエルボー合戦。伊藤の髪をかきあげ、髪を掴んで思い切り肘を叩きこむ中島。ゆっくりと後ろに倒れる伊藤。ゆらっと元の体勢に戻り、エルボーを叩き込む伊藤。返す伊藤、徐々に立ち上がり互いにエルボーを叩き込む両者。互いに何度目か。先にエルボー連打で打ち勝つ伊藤、しかし踏みとどまりエルボー連打で返す中島。打ち勝ったか？と思ったところで叩き込んだエルボーをヘッドバットで迎撃する伊藤！！
そして改めてヘッドバット！そしてDDT！雄叫び！さらに雄叫び！２０分経過！
シーソーゲームからの勝利！そして涙！握手！伊藤麻希優勝！
すかさずコーナーに上り、ダイビングヘッドバットを狙う伊藤！しかし自爆！今度は中島が吠える！ダブルアーム式DDT！セコンドの坂崎ユカが「いけ～！しょこた～！」と叫ぶ中しっかりとノーザンライト・スープレックス・ホールド！今度はきっちりホールド！１・２・伊藤が弱々しく肩を上げる！カウント２！
ここで伊藤が脱力状態で起き上がれないのをムリヤリ起き上がらせる中島ですが、中指を立てて挑発する伊藤、すかさず伊藤のアゴにエルボーをブチこんで倒す中島、吠えながら再度ノーザンライト・スープレックスを狙います。しかしこれを踏ん張った伊藤が相手の背中にヒザを立てての逆エビ、「伊藤パニッシュ」の体勢に！
吠えながら、体を思い切りそらしながら締め上げる伊藤！「諦めるな！諦めるな！」とセコンドの坂崎の声。苦悩に歪む中島の表情！しかしずる・・・ずる・・・と這い進みなんとかロープブレイク。立ち上がる両者！
しかしここで先手を取ったのが中島翔子。飛びつきフランケンで伊藤をロープに飛ばし、もたれかかった伊藤に６１９をブチこみにかかります。坂崎の「いけー！」の声！
中島が勝利に近づいた、と思った瞬間、なんとこの６１９を伊藤がキャッチ、中島を仰向けに倒して足を４の字に組み、リング中央に引きずってから、そのまま中島をひっくり返さず、そのまま押しつぶすような形で変形テキサスクローバーホールド「伊藤デラックス」の体勢に。そのままズリズリと上から押しつぶすように中島の身体を反らし続ける！中島の顔がいよいよ苦悩に歪み、たまらずギブアップ！伊藤麻希勝利！伊藤麻希優勝！！！！！！
泣きながら勝ち名乗りをあげた伊藤、リングに倒れ、リングサイドから去ろうとした中島翔子に駆け寄った伊藤。一度握手しますがしゃがみこんでしまった中島、改めて立ち上がって伊藤に向き合い両手で伊藤の手を握る中島。感極まる中島に伊藤、一度は「ありがとうね！」とこえをかけるも改めて「本当に・・ありがとうございました！」と深々と頭を下げました。それにうなずき去っていく中島。先日の瑞希も、この日の中島もよりそっていたのはセコンドについていた坂崎ユカでした。
そして優勝者トロフィー、パネルを受け取った伊藤が改めてマイクアピール。
「おい・・・おい、優勝しましたぁ～！！！」
「あ～なんかもう、なんか長かったここまで、ホントに。伊藤さぁ、なんか別に不幸自慢じゃないけどさ、ずっと踏んだり蹴ったりの人生を歩んできたわけ！」
「何かさ、なんでもかんでも成功しているように見えるかもしれないけど、いろいろあったんだよ！ アイドルクビになったりとか、小顔整形しても全然小顔にならなかったりとか、借金とかいっぱい背負ったし！もう何ならトーナメント中に顔面骨折するしさ！ でも！でも、こんなことってあるんだなって思ったのぉぉぉぉぉ……。」
「へへ...なんか...こういうことあまり言いたいないけど、でもハッピーエンドって本当にあるんだなって、思った。」
「これはさぁ、これはね？中島翔子にとってのハッピーエンドじゃなかったかもしれない。瑞希にとってのハッピーエンドじゃなかったかもしれない。でもバットエンドなんかなくてさぁ…それはただの物語の途中なだけであって、ハッピーエンドって絶対存在すると思う！ だって伊藤麻希が伊藤麻希のハッピーエンドを今すごい実感してるからね！」
「うん！本当に皆さん、応援してくれてありがとうございましたぁぁ！」
会場は拍手に包まれ、そしてセコンドの山下実優を呼び込んだ伊藤。改めて山下の持つプリンセス・オブ・プリンセスのベルトへ挑戦表明。山下もそれに応え、舞台を１０・９の大田区体育館大会に指定しました。
東京プリンセスカップ終了、そして１０・９大田区体育館へ
そして再びマイクを持ち、締めにかかった伊藤麻希
「じゃあ伊藤麻希、第8回東京プリンセスカップ編はハッピーエンドで終わったっていうことで、次は伊藤麻希vs山下実優編のスタートだね！そして東京女子プロレスは10月9日大田区総合体育館編に突入！」
「よ～し！みんな！全員まとめてついてこいよ！そして、いいか！世界一可愛いのは？ 伊藤ちゃーーーん！ありがとうございました～～～！！」
そして笑顔で観客に応え、「ありがとう！」と感謝の言葉を返しながら去っていった伊藤麻希。こうして今年の東京プリンセスカップは伊藤麻希の優勝で幕を閉じました。
トーナメント開始前、自分はトーナメント予想をしていて、決勝は中島翔子VS伊藤麻希、優勝は中島翔子と予想していました。
中島翔子優勝、と思っていたのは２つ理由があり、１つは中島翔子の最近の充実っぷり。一つ一つのムーブのキレ、多彩な技とここにきてレスラーとして一つ完成形に到達しているんじゃないか、と思っていたから。大技を開発した、とかそういうわけではありませんが、決勝でも見せたバタフライロックから無人在来線固めへ流れるような移行だったり、細かい技を積み重ねて相手に主導権を握らせない戦いっぷりなど、素晴らしい完成度を見せてくれました。試合後は悔しがっていた中島ですが、自身のプロレスラーとしてのレベルの高さを誇ってほしい。胸を張ってほしいと思った今回のトーナメントでした。
もうひとつは伊藤麻希VS瑞希が今回は実現しないと思っていたこと。準決勝で実現したこの二人の闘い。圧倒的なエモさというか、あの闘いを制し、瑞希の思いを背負ったことで一気にこのトーナメントが「伊藤麻希のもの」になったように思います。試合以外のエモさを自らの背中に背負ったことが、今回の決勝での伊藤麻希の勝因だった、敗者の思いを背負い、それを表現し、そして感謝する。全てをやりきった。素晴らしい勝者の姿でした。
色々とあった、ほんとに色々とあった伊藤麻希の今までのレスラー人生。ここでなにか一つのピリオドを打ったように思います。そして１０・９大田区大会へ。と言いたいところですが、これだけは言っておきたい。
伊藤麻希選手、中島翔子選手、素晴らしい決勝戦をありがとうございました！
伊藤麻希選手、東京プリンセスカップ優勝おめでとうございます！
以上です！最後に今までの伊藤麻希エントリを並べておくので、是非振り返ってみてください。
今年の伊藤麻希振り返り。色々とありすぎました！
VS辰巳リカ戦。 相容れない感じが痺れました
衝撃のAEW初登場！マジでビックリしました！
今年の１・４VS山下戦。色々と振り切ったような一戦でした
WrestleUniverseで見てほしい伊藤麻希名勝負集です。前・後編に分かれてます
それ以前の過去記事はこちらにまとめています！いや、伊藤麻希は面白い！
