7月28日、プロレスリング・ノアとDDTプロレスリングによる合同記者会見が行われ、その中で「株式会社DDTプロレスリング」、と「株式会社DDTフーズ」、そして「ノア・グローバルエンタテインメント株式会社」が経営統合し、新たに「株式会社CyberFight」が設立されることが発表されました。
「株式会社DDTプロレスリング」は、「DDTプロレスリング」、「東京女子プロレス」、「ガンバレ☆プロレス」を運営するプロレス運営会社。「株式会社DDTフーズ」は、新宿で「エビスコ酒場 新宿歌舞伎町店」、「プロレス&スポーツBarドロップキック」、「Bar Lounge SWANDIVE」の三店を経営している飲食会社。そして「ノア・グローバルエンタテインメント株式会社」は、言わずとしれた「プロレスリング・ノア」の経営母体。今年の2月にサイバーエージェントの傘下に入って世に衝撃を与えたでおなじみの会社です。
いきなりの記者会見発表、どのような内容かも明かされなかったため、すわ両国国技館退会決定か?とか、喧嘩別れでもするのか?とか色々憶測を呼んだわけですが、蓋を開けると互いの母体となる会社を合併させ、CyberFightという会社が全団体を統括。それぞれの団体はCyberFight内の事業部として事業を継続する、という内容でした。
2月にノアがサイバーエージェント傘下に入った時は、「経営の苦しかったノアが救われた」というイメージでしたが、その後のコロナ禍により、もれなく全プロレス団体が自粛の憂き目に。マット界には大きな渦が巻き起こります。
Wrestle-1はコロナ禍の前に活動休止を発表しますが、最終興行は無観客に。大日本プロレスはクラウドファンディングを行い、全日本プロレスも秋山準をDDTにレンタル移籍、という大鉈を振るうことに。格闘技ではRIZINもクラウドファンディングを開始するなど、本当に嵐が吹き荒れた印象。そんな中この記者会見。本当に「マット界再編」がこのコロナによってもたらされている、と実感します。
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株式会社CyberFightの役員構成はこちら
- 代表取締役社長 高木三四郎
- 取締役副社長 丸藤正道
- 取締役副社長 彰人
- 取締役 山内隆裕
- 取締役 武田有弘
ノアの経営陣からは、高木三四郎社長、丸藤正道副社長、山内隆裕取締役、武田有弘執行役員が役員に名を連ねています。役員としてこの日発表されたのはこのメンバーなので、DDTプロレスリングに名を連ねていた取締役の人々は関わらない、ということか。そうなると大分会社自体がスリム化される、ということになるでしょうか。高木社長もこの合併について
現状を乗り越えてウイズコロナ、アフターコロナの時代にしっかりアクセルを踏み込んでいくためにも、経営統合によって会社組織を盤石にする考えに至りました。
現状は3社分の会社管理コストが発生している状態でありますが、経営統合することによってこの部分を一本化しコスト効率化を図ります
とのこと。やはり相当のダメージがあったのは想像に難くない。そして多分高木社長が一番言っておきたかったのは
今後各団体は事業部という形で運営してまいります。NOAH事業部、DDT事業部といった事業部事に切磋琢磨してまいります。
もちろんこれによって団体が無くなってしまったり、いままでのカラーが変わってしまうということはございませんので、そこはご安心下さい
ここでしょう。ただでさえノアファンから警戒されがちな高木社長。あくまでそれぞれ事業部という形で会社は残す。「DDT」という言葉を会社に入れなかったのも配慮の一部だと思います。
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そして驚きだったのは彰人選手の副社長抜擢。もともとドロップキック店長経験もあり、ALLOUTでも参謀的存在。最近では高木社長に丸投げされることも多く、高木社長は「若返りに期待」と話してはいますが、かなり「デキる」印象の選手。「取締役副社長」ということでかなりの責任を負うことは必須ですが、ここは見守るしかないというか。とりあえずここ一年くらいはDDT、ノア、東京女子、そしてガンバレ☆プロレスが無事存続する、ということを祈りつつ、出来るお布施はしていこう。と私は心を新たにしました。そして高木社長のこの宣言。
将来的には東京ドーム大会の開催実現を目指していきたいと思っております。
目標はプロレス業界NO.1です。新日本プロレスを追い抜き、プロレス界の組織図を必ずや塗り替える事をお約束し、報告の結びとさせていただきます
はっきりと言った「新日本プロレスを追い抜き」という言葉。ハッキリと口にしたところに大社長の決意が伺えます。
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そして、会見に参加した選手がそれぞれ合併後の抱負を述べる中、選手たちの最後に言葉を述べたのが大家健。言葉は次第に熱を帯び、ガンバレ☆プロレス恒例の「集会」の様相を呈してきます。映像はこちらから。この息遣いを感じて欲しい。
ガンバレ☆プロレスという団体の大家健でございます。
ガンバレ☆プロレスというのは吹けば飛ぶような小さな団体ですが。
元々私一人で、プロレスをメジャースポーツにするために旗揚げした団体でございます。
えー、同じ会社の団体、他どれも大きいです。だからと言って俺はぁ!負けてるわけには、いかないと思います。
いや!他団体だけじゃなく!他のスポーツですよぉ!野球!サッカー!そういうものよりも!私はやっぱりプロレスが!一番凄いと思って!プロレスをやってきております。
こんなコロナの状況下でぇ、我々、世界中のみんなが!大変なことになっていますが!我々がプロレスをすることでぇ!皆さんに明日への希望!勇気を与えることができるんじゃないかと!わたくし、信じております!
だからこそぉ!団体の大きさ!そういうのを関係なく!リング上で!自分たちの戦いを、見せていければと、思っております!!
(苦しそうに息を整えながら)
会社変わってもぉ!会社大きくなってもぉ!リング上でやることは変わりません!!
我々みんな、頑張っていきます!
皆様!!よろしくお願いいたします!
この暑苦しい、熱い言葉!正直映像見てると大社長、彰人、遠藤にとっては軽い「笑ってはいけない」になってた気もしますが、でもこういう状況で真正面から誰よりも強い意志を我々に届けてくれた言葉だと感じます。そういう突き抜けたところ、強い、笑えるくらい強い言葉を発せるところがガンバレ☆プロレス、大家健の魅力なんです。
というわけで過去のガンバレ☆プロレスエントリを並べておきます。一読いただき、WrestleUniverseから動画を探して見ていただけると幸いです。
ガンバレ☆プロレス最初の後楽園大会レポです。大仁田厚と有刺鉄線マッチ!
そして衝撃の発表が待っていました。
ガンバレ☆プロレス最大の事件、元スマップこと新しい地図の面々が乱入。
このことによってガンバレ☆プロレスは別の嵐に巻き込まれることになりますが、それはまた別の話。
DDTから石井慧介が加入、という後から考えるとターニングポイントになった大会。
大家と今成の暑苦しすぎるやりとりも素晴らしい
ガンバレ☆プロレス二回目の後楽園大会。上り調子一辺倒だった第一回とは違う、産みの苦しみを感じるほろ苦い大会でした。それも人生劇場
今年の2月に王子で行われた、一日4興行!まるごとガンバレ☆プロレス漬けだった一日のレポート。とにかくバラバラの大会が、それぞれ濃度を保ったまま行われる。楽しすぎる一日でした
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そして質疑応答の後、記者会見は幕を閉じました。
しかし、この会見、前列に並んだ面々は取締役、役員ですが、後列に並んだ選手たちを観ると
- 坂崎ユカ(東京女子プロレス/プリンセス・オブ・プリンセス王者)
- 中嶋勝彦(プロレスリング・ノア/ナショナル王者)
- 潮崎豪(プロレスリング・ノア/GHCヘビー級王者)
- 秋山準(全日本プロレス・DDTプロレスリングレンタル移籍中)
- 遠藤哲哉(DDTプロレスリング/KO-D無差別級王者)
- クリス・ブルックス(DDTプロレスリング/DDT UNIVERSAL王者)
- 大家健(ガンバレ☆プロレス代表)
このバラエティに富んだ面々。団体は違えど彼らが一つになってプロレス界の頂点を目指す。状況は厳しい中ですが、その中でも希望を持った船出でもある。大社長は各団体には変わりないとは言いますが、頂点を目指す中で必然的に変化も生まれてくるし、それにはあるファンにとって好ましくないものもあるでしょう。私はある程度覚悟してます。
とにかくこれからどうなるか。コロナ禍という、誰も未来が見えない中で何を見せてくれるのか。そしてファンとして何ができるのか。とにかく前に進んでいくCyberFight。これからの飛躍、ドーム大会開催、期待してます。マジで!ほんとマジで!大社長、お願いします!