男マンの日記

マンガ、落語、お笑い、プロレス、格闘技を愛するCG屋の日記。

菊田早苗VS松澤チョロ勃発!「令和に推参!!紙プロ三銃士Vol.2『闘魂伝承座談会』出版記念座談会」観戦記

私、誕生日が2月8日なのですが、その次の日。2月9日に高円寺パンディットで行われたイベントに行ってきました。その名も

令和に推参!!紙プロ三銃士Vol.2『闘魂伝承座談会』出版記念座談会
<ゲスト:玉袋筋太郎 & 椎名基樹>

に行ってきました。

開場19:00,開演19:30でしたが仕事を終えて高円寺に向かったのが19:00。開演30分後に会場に着いたら客席は超満員。ステージには坂井ノブ、松澤チョロ、堀江ガンツの紙プロ元編集部員と椎名基樹&玉袋筋太郎というまさにあの頃の紙プロというメンツ。その5人が昔の紙のプロレス裏話をバンバンするんだから面白くないはずはないのです。

幻の雑誌「RINTAMA」でのまさかのおちまさと話、紙のプロレスRADICAL創刊号表紙をターザン山本にしてしまったために脅威の返本率になってしまった話、いきなりの取材拒否...。となかなかに今日び話しづらい話題を連発。会場ドッカンドッカン!とにかく矢継ぎ早に繰り出されるエピソード、玉ちゃんのウケと返しが凄かった!さすが芸人!

 

そして話は各編集部員の話に。とにかく全員、圧倒的な山口昇編集長のいいかげんさによりなんとなく紙プロに転がり込んでなんとなく編集をやることになるというなかなか一般社会では考えられない適当さでしたがここから徐々に松澤チョロさんエピソードが連発していくことに。

金がなくて当時付き合っていた風俗嬢に養ってもらってた話、編集部の面接に来た若者から金を借りる話、UFCに海外出張した上に原稿を落とした話、とにかく安定したクズっぷり&圧倒的面白さを発揮して会場ずっとドッカンドッカン。酒も入って本人にもガンガンスイッチが入り圧倒的盛り上がり。いやー大満足。来てよかった~!

 

と、そこにスペシャルゲスト登場!なんとグラバカ総裁!アブダビコンバット優勝経験もある「寝技世界一」菊田早苗!そしてただスペシャルゲスト、というだけではなく、松澤チョロさんと浅からぬ因縁がある関係なのです。詳細は「DROPKICK」のインタビュー記事で詳しく語られてます。こちらから。

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要は、紙のプロレスで初めてインタビューを受けた菊田早苗が誌上で「天山、小島、ろくな死に方しませんよ」と発言をしてしまい、一気にプロレス界の「天敵」となってしまったこと。

その担当が松澤チョロさんだったことでそのインタビュー掲載から20年ほどたったにも関わらず未だに菊田早苗が「原稿チェックはなかった」「紙プロにはめられた」と笑い話的にネタにしていることを忸怩たる思いを抱えていたチョロさん。まず未払いだった紙プロから菊田早苗へのギャラをチョロさんが自腹で茶封筒で渡して謝罪、そしてそこからそのインタビューの真相を徐々に明かしていきます。

菊田が「プロレスラーはろくな死に方しないって言ったかな~」「でも個人名にしたほうがインパクト強いかと思っ手変えたんじゃないか」と割と記憶が曖昧な中、チョロさんが「そもそも原稿チェックはファミレスで二人で何時間かかけて行っていた」「本当はプロレス側が格闘技を利用したような武藤VSオタービオ戦のあとだったから、武藤、蝶野ろくな死に方しない、って言ってたんだけどさすがに衝撃的だったので、せめて和らげようとして天山、小島になった」と衝撃発言(Dropkickで話してたことではありますが、さすがに会場どよめきに包まれました)よけいにタチ悪かったのかよ!

 

頭を抱える菊田、ただチョロさんも暴露したかったわけではなく、あのインタビュー自体は菊田早苗を紙プロ上で売り出そうという気持ちでやったということをわかってほしかった、ネタにされ続けてその気持ちがあったのに悲しかった、と心情を吐露。菊田も「性格には覚えてないけど」とこの件は水に流すというような話をして和解。チョロ三の思いが伝わり、会場には温かいムードが流れ、感動が生まれました。思わず叫びたくなりましたね。いいイベントだー!

 

しかし、和解モードになってからも酒と雰囲気でテンションの上がったチョロさんがノンストップトーク。和解モードにもかかわらず菊田のうかつな発言を指摘したり、当時の彼女から映画の主演を降りるよう言われたことなどを暴露、そしてYoutubeがハネてないことなどをイジリ続けて会場は爆笑に次ぐ爆笑とちょっと心配な雰囲気に。菊田も思わず苦笑い、チョロさん、玉袋筋太郎に「ちょっとチョロかっこよく見えてきた」と言わしめるくらいの大・大・大活躍でした。ずっと面白かった~!

そしてイベント後には記念写真タイムからの即席サイン会に。もちろん自分も購入しました。とにかく昭和~平成のプロレス界の「コク」を煮詰めたような一冊。適度にアクの残った面白さ。まさにこの日のイベントのようでした。

今回はとにかく菊田早苗VS松澤チョロが面白すぎましたが、それを見守る他のメンバーのあたたかさと「しょうがねえなぁ」の混じったまなざしとフォロー&罵声も良かった。イベントを通じて「紙のプロレス」の編集部を追体験できるような楽しいイベントでした。次回ゲストは吉田豪&原タコヤキくんらしいんでこれも紙プロ読者ならマストイベント!今回の配信も2月23日まで買って見れるらしいのでぜひ!面白かったです!

16万人が見た!「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」春日俊彰vsフワちゃんのシングルマッチ!

見ました!配信で!「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」!!

最近あまり聞かなくなってたのは確かなんですが、やっぱりさすがに東京ドームでラジオのイベントが行われる、というのは歴史的、ということでU-NEXTで購入しました。

 

そして集まった観客は5万3000人

ライブビューイングでは201会場で5万2000人

オンライン生配信では5万5000人が視聴

ということで16万人が視聴したイベントとなりました。凄い!

 

ちなみに2022年に行われた世紀の一戦、「THE MATCH2022」の観客数と収入は石井館長によれば興行収入合計50億だったらしく、今回のイベントもかなりの額を稼ぎ出したはず。グッズ売り場もそうとう混んでいたようで、本当に大きなイベントだったことが伺えます。

そして、本当にガチだな!と思ったのはこのイベントの大部分を二人が向かい合ってのフリートークが占めていたこと。例えばナインティナインのオールナイトニッポンはゲストを呼んでの「ナインティナインのオールナイトニッポン歌謡祭」というスタイルにしてますし、佐久間宣行のオールナイトニッポン0も「佐久間宣行ANN0presentsドリームエンターテインメントライブ」というライブイベントになっていました。

 

 

しかし「ラジオのイベント」ということへのこだわりが強いからか、見ているこっちが不安になるぐらいずっとフリートーク。若林がUberEATS初めてた、というヒキがあったり、春日が高校時代に通っていた中華料理店の味を再現して若林に食べさせる、といういつもよりイベント感強いトークではありましたがそれでもフリートークはフリートーク。ビトタケシやダブルネームのジョー、TAIGAらおなじみのメンツもちょい役で登場。サプライズで星野源も登場しましたが、あくまでラジオでのつながりを感じる人選でした。

最後の漫才はだいぶ長尺になり、二人だけ楽しい時間がだいぶ長かったような気がしましたが、でもそれもこのイベントならではのもの。5万人超えのドームで漫才、この時間を終わらせたくないオードリーと、その二人をまるごと楽しんでる観客たち。幸せな空間がドームいっぱいに広がってるのが見えるようなイベントでした。

そしてそのイベントの中で行われたのが春日とフワちゃんのシングルマッチ。去年行われた武藤敬司引退試合が観客3万人、今年の新日本プロレス1・4が2万7千人だったので、近年の日本では最も多い観客の中でプロレスの試合をしたということになりそうです。

試合はプロレスラーではない二人のシングルマッチでしたが、春日は試合前にプロレスリング・ノア道場で練習を積み、宮脇純太と大和田侑がセコンドに。フワちゃんにはスターダムから飯田沙耶と葉月がつき、なんと西永レフェリーが裁いてリングアナはケロちゃんこと田中ケロ。精一杯のリスペクトを込めた体制が整えられていたように思います。

 

試合内容もまず春日がピンクの革ジャンを着て登場するという1999年4月、蝶野正洋と対戦した大仁田厚のオマージュ。試合中も1999年1月4日、小川直也VS橋本真也で小川直也が披露した「キーン」走りを披露。春日の「2000年代プロレスファンっぷり」が炸裂していました。

一方プロレス初体験の春日に比べて安定した技量を発揮していたフワちゃん。ドロップキックやブレーンバスターとしっかりとした技術を見せていましたのはさすが。

「フワちゃんが勝利したらラーメンに味玉を付けていい」という、これもラジオで話題になったネタから生まれた条件での試合でしたが、毒霧からのチョークスラムで勝利した春日が解説席のクミさんを呼び込み「東京ドームに味玉の雨が降るぞ!」とレインメーカーポーズで叫ぶとHEY!たくちゃん経営の渋谷「鬼そば藤谷」で本当に使える味玉無料券が降ってくる、というハッピーエンド。「プロレス」というツールを使いつつ、しっかりとオードリーのオールナイトニッポンワールドを表現していました。

もちろんほぼ素人同士の試合ですし、ぎこちない部分やちょっとグダるところもありましたがそれでもオードリー春日とフワちゃんの関係性、そしてなによりオードリー、フワちゃん、そしてスタッフがプロレスを大切にしているのも感じさせるシングルマッチでした。よいプロレスだった!

今回コールしたケロちゃん。コロナ後遺症のためかまだ呂律が怪しい部分もありましたが、でもやっぱりぐっときました。がんばれケロちゃん!

そしてセコンドについた葉月のツイート。もちろん選手としてリングで試合出来なかった無念さはどこかにあるとは思いますが、いつかスターダムが東京ドーム大会を開催するか、新日本プロレスの東京ドームに葉月が上がった日、この日のことを思い出すのか。もちろん飯田沙耶やノアの宮脇純太と大和田侑もなにかしら思うことがあったはず。

 

 

とにかく多幸感あふれるイベントだった「オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム」その中で春日俊彰VSフワちゃんのシングルマッチが行われたのは嬉しい。これを機にリトルトゥースにプロレスファンが増えるといいな、と思った2月18日の夜でした。プロレスを愛してくれて、ありがトゥース!

全日本プロレス、三冠ヘビー級、世界タッグ選手権の記者会見で見えてきた選手の「人」

今日は小ネタ。先立っての2月7日、全日本プロレスが世界タッグ選手権、三冠ヘビー級選手権の記者会見が行われ、どちらも違うベクトルで面白かったので紹介したいと思います。

 

 

世界タッグはネタ満載!正統派おもしろ記者会見!?

まずは2月25日の京都大会で行われる世界タッグ選手権、斉藤ジュン&斉藤レイの斉藤ブラザーズvs宮原健斗&青柳優馬のビジネスタッグ。個々のキャリア、格を考えると明らかにビジネスタッグが上。斉藤ブラザーズとしては正念場になります。

まあそれはともかく、会見冒頭からネタを仕込んでくるビジネスタッグ。宮原は斉藤ブラザーズが掲載されているスポーツ新聞、雑誌を持ち込んで「斉藤ブラザーズのファンになった」とアピール。一方の青柳優馬は会見開始直後に後ろを向いて髪をセット、サングラスを掛けて斉藤ジュンのモノマネで喋り始める。二人とも斉藤ブラザーズをイジるネタを持参しながら互いに全く絡まず勝手にやってるのが二人らしくてまた面白い。

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それを受けて斉藤ブラザーズはいつものように一蹴しますが、青柳は「オレ達が勝ったら斉藤ブラザーズは好物のあんことビールを一年間禁止!そしてオレがフォールしたらお前らのキメのフレーズ”DOOM”を商標登録するからな!」とエスカレート。

一方の宮原も斉藤ブラザーズにサインを求め、楽屋から団子を持ってきて振る舞うサービスなどとにかくビジネスタッグの二人が周到にネタを用意してきた記者会見。最後の方は斉藤ブラザーズ笑ってたし。とにかくネタ満載のおもしろ記者会見でした。

 

 

三冠ヘビーは闘魂禁止!?中嶋勝彦、笑ってはいけない記者会見!

一方の三冠ヘビー級選手権試合は2月20日、後楽園ホール大会での中嶋勝彦VS斉藤レイ。記者会見ではまず斉藤レイが吠え、「このオレが必ずこいつをぶっ倒してやる!」と勢いをつけるも様子がおかしい勝彦。いきなり「なんでレイひとりなの?」と訝しげ。確かに前回の世界タッグ選手権で斉藤ブラザーズに敗北、レイの挑戦を受けてから「二人で来い」と言ってましたが今回もその主張を継続。

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しかし、喋り続けて「このオレの闘魂スタイル...」といいかけたところで身体を弄り、何かを探し始める勝彦。一通の封筒を取り出しました。それは猪木元気工場からの「1・2・3・ダー」を使用したことと「闘魂」を使用することへの警告書。その趣旨を読み上げて謝罪。反省しているかと思いきや雲行きがあやしくなっていきます。

「猪木元気工場」の名前を何度も噛み、あげくは「オレは闘魂、猪木さんとも一言も言ったことはない。オレの生き様、闘魂スタイルを使えないと言われて困惑してるんだけど...。どうしたらいい?レイ?」といきなり斉藤レイに無茶振り。

当然「訳わかんねえこと言いやがって!」と一蹴されるも終始真顔の勝彦を見てると段々面白くなってくる。記者も一人吹き出してたし、こっちはこっちで世界タッグ会見とベクトルの違う笑いが繰り広げられてました。

その後も「闘魂スタイル」について「時が経てば使えることがあるかもしれない」と発言する勝彦、そしてあくまで「斉藤ブラザーズ二人とやりたい」と真顔で言い続ける勝彦。「二人でやりたいとか、ナメてんのか!」と吠える斉藤レイにすかさず真顔で「ナメてないよ」と答える勝彦は終始反省ゼロ。一切噛み合わない二人でしたが、終始ある種の緊張感が漂う会見ではありました。これはこれで面白かった。ちなみに勝彦が着ていたTシャツはこれっぽいです。

対称的だった2つの記者会見。三冠ヘビーの会見での中嶋勝彦は難解でしたが、どちらも選手のサービス精神が発揮された、というかいい感じにふざけた会見だったように思います。

正直ガチガチにマジメな雰囲気で定型文みたいなことしか言わない会見より自分はこういうほうが楽しめます。退団者が相次ぎ、会社には不安が絶えない全日本プロレスですが、興行自体は面白いし、選手の性格や考え方、いわゆる「ニン」がどんどん出てきていて見ごたえがある団体になっているのが不思議なところ。勝彦がもう少し観客に受け入れられたら爆発するような気もします。

 

あと一つだけ。今回猪木元気工場の抗議には、個人的な感想はこちら。

「闘魂」とかはアントニオ猪木を象徴する単語ですし、商標上まあ仕方ないと思いますけど「1・2・3・ダー!」はあくまで締めの掛け声。

確かに最初に使ったのは猪木かもしれないけど、ガッチリ権利で固めていくのは個人的にあんまり好きになれないなぁ、っていうのが感想です。今回は中嶋勝彦が不評なので猪木元気工場側の意見が多かったですが、たとえばこれから観客に支持され、猪木に心酔しているレスラーが出てきて「何で猪木さんの1・2・3・ダー!使ったら抗議されるんだよ!猪木元気工場よりオレのほうが猪木イズム持ってるよ!」とか言ったら一定の支持を得そうな気もします。まあ、個人的に好きになれないっていう程度のことなんで流してもらって大丈夫です。

 

いろいろありますが、結局なんだかんだで週プロ表紙になってる全日本プロレス。
タイトルマッチも楽しみです!

ロッシー小川電撃解任!開戦か?スターダム冬の陣!

2月5日、スターダムの創設者であるロッシー小川氏が現在の運営会社、ブシロードファイトから解雇されるというリリースが出されました。

wwr-stardom.com

ご関係者各位 ファンの皆様

いつもスターダムを応援していただき、誠にありがとうございます。 

このたび、株式会社ブシロードファイト(以下「当社」といいます。)は、ロッシー小川氏との業務委託契約(以下「本契約」といいます。)を、2024年2月4日付けで解除いたしましたことをご報告いたします。

当社は、2019年より、スターダムの創立者であるロッシー小川氏と本契約を締結し、同氏をエグゼクティブプロデューサーとして迎え、スターダムに関する業務を委託して参りました。しかしながら、この度、同氏による多数のスターダム所属選手・スタッフに対する引抜き行為があったことを覚知し、本契約を解除するはこびとなりましたので、ご報告いたします。 

皆様におかれましては、ご心配をおかけすることとなってしまい、誠に申し訳ございません。当社としては、今後も、スターダムの更なる発展を目指し、ファンの皆様に感動をお届けできるよう、選手・スタッフ一丸となって努力して参る所存ですので、従前と変わらぬお引き立てをいただけますと幸いに存じます。

何卒よろしくお願い申し上げます。

2024年2月5日 株式会社ブシロードファイト 

これが全文。ロッシー小川氏が解任されたのは2月4日。この日はスターダムの13周年記念大会が大阪・エディオンアリーナ第一で行われていました。興行の最後にはロッシー小川を中心にしてレスラーたちの記念写真。レスラーたちも知っていたんでしょう。どこか卒業式のような空気さえ感じられます。敵も多く、好き嫌い分かれる性格ではありますが、レスラー達からの人望を感じる一枚です。

https://pbs.twimg.com/media/GFitB85akAA_W88?format=jpg&name=large

wwr-stardom.com

この大会時は一切マスコミにはロッシー小川解雇は発表されず、次の日のリリースでマスコミも知ることになったよう。

(2024/2/8追記)フォロワーさんからお知らせいただいたところによると、2月4日の大会時、マスコミにはロッシー小川の契約解除が知らされるも、翌日の団体リリースまでは箝口令が引かれていたとのこと。ただ、当日知らされたのは「ロッシー小川契約解除」のみで、引き抜き行為などの詳細は翌日のリリースで初めて語られた、とのことです。

それほど急な解雇だったようで、さらにこの

同氏による多数のスターダム所属選手・スタッフに対する引抜き行為があったことを覚知し、本契約を解除するはこびとなりました

というリリースの一文が気になる。引き抜き、ということは新団体設立?それともWWEに流してた?アメリカではすでにロッシー小川はWWEに所属している、という予測もチラホラ。様々な憶測を呼んでいました。

しかしその次の日、我らが東京スポーツにブシロード側、ロッシー小川側の言い分を聞くインタビューがそれぞれ掲載してました。これは東スポ動きが早い。

 

 

まずはブシロード側から。

www.tokyo-sports.co.jp

インタビューに応えたのは就任したばかりの岡田太郎社長。木谷オーナー直々に指名された、スターダムの立て直しを任された人物。

要約すると以下の通り。

・12月頃、ロッシー小川が引き抜きをしているという噂を耳にして本人を説得。このときは一緒にやっていく方向で話していた。

・その前からロッシーより退団の意思を示され、何度も説得していた。1月21日の高田馬場大会で選手、スタッフ、社員にロッシー小川が3月で退団と説明。

・しかし、その後も引き抜き行為が止まらなかったため企業として決断。

という流れ。岡田社長が就任したのが12月1日なので、就任当初からロッシーの引き抜きの噂が合ったことに。また、引き抜きを受けたのはタイトルホルダー含む人気選手。そして、新団体設立の噂については

「自身で新団体を興すかどうかにかかわらず、当社との契約が継続している最中に『スターダムを辞めて、別のところでやらないか』という趣旨の勧誘を行ったことが、引き抜き行為として重大な契約違反」

とのこと。あくまでロッシーの契約違反が発覚下という理由での解雇、という姿勢は崩しませんでした。

 

そしてロッシー小川インタビューはこちら。

www.tokyo-sports.co.jp

冒頭から2月4日の様子を

「寝耳に水ですよ。突然、試合が終わってから『今日で契約解除です』と言われただけ。そのままタクシーに乗せて帰らされたんですよ」

と、いきなりの解雇だったことを話し、そのやりかたへの不満を吐露。

そして経緯をまとめると

・去年の11月から、今年の3月で退任することを団体側には伝えていた。

・その理由はブシロードファイト前社長の原田氏の強引なマッチメイク、ハラスメント

・一部の選手やスタッフから「団体をやってくれ」という声があった

と述べ、改めて新団体設立に動いていることを名言。

引き抜きについては「こっちからはしてない、向こうから(選手たちが)来た、というスタンスを崩さないロッシー小川氏。そして自らを解雇したブシロード側に対しても

「ただ、岡田(太郎)社長は(新団体を)〝容認〟してましたよ。『(横浜)BUNTAIにオファーしますよ』『2年後の15周年で対抗戦をやりましょう』と言っていたから。それをいまさら何を言ってるの?という感じですけど」

と、独立しての団体設立を認めていた、という見解。「泥試合はしたくない」と言いつつも新団体設立に動いているのは確実のようでした。

 

改めて二者のインタビューを見てみると、ブシロードファイト前社長、原田克彦解雇→岡田太郎社長就任。この原田社長末期にロッシー小川は新団体設立を決意していたよう。そこに不満を持つレスラー、スタッフが集まっていった。(ただ、ロッシーの「引き抜きはしていない」は、どこまで本当かは少し怪しい、と思ってます。著書でも「スターダムは引き抜きはしてない、向こうから言ってきたから引き抜きじゃない」というスタンスを貫いているので、そこに全く引き抜き要素がないってことはないはず。)

 

当初は黙認していたブシロード側も調べていくに連れてことの重大さに気付き、慌ててロッシー小川を解雇した。ロッシー小川のインタビューからはそんなストーリーが浮かんできます。ただここらへんも話のニュアンスが両者で異なっている可能性もありなんとも言えないところです。

実際、自伝とも言えるこの「【実録】昭和・平成女子プロレス秘史」を読むとロッシー小川の凄みが伝わってきます。全日本女子プロレスに潜り込み、上り詰めていくも退団してアルシオンを設立、しかしここもあえなく解散になると車中生活を経て愛川ゆず季のプロレスデビューに関わったのをきっかけに再びプロレス界に復帰してスターダム設立。とにかく執念で女子プロレスをやり続ける人生を送っています。

 

そして、ロッシーの今をはからずも予言しているようなのはこのさくらえみとの対談動画。もう2年前になりますが、スターダムをやっていく上でのロッシーの考えが色々と語られています。

www.youtube.com

そして、その中でロッシーは以下のような発言をしていました。

・(女子プロレス団体を)3団体つくってるのはさくらえみだけ。2団体作った人は何人かいるし、自分も2団体作ったけど3団体は凄い。

・なんでもいいから一番になった方がいい。二番は生き残れないから

・(全女は)ナンバーワンだったけど、スターダムはちょっと違う。それは競い合ってないから。全女のときはみんな上へ上へって行ってる中でそびえ立っていたけど、今は違う。野望がある人がいないのかな?

・私は(相手がいないから)競争したい。

2年前の時点でトップだったスターダムですが、ロッシー小川自身はそこに満足している風はなく、このようなガツガツした発言を繰り返してました。

 

 

実際、スターダムもHPに載っているレスラーだけで38人の大所帯。正直2つに割っても成立しそうな規模になっています。正直、今の自分はロッシー小川新団体が楽しみですし、正直ブシロードファイトが作り上げるプロレスとロッシー小川が作り上げるプロレスを比べたらそれはロッシーに期待度があるでしょう。スターダムの選手契約が3月更新ということも考えるとそのへんに動きがあるんじゃないかと思ってます。

これがブシロードとロッシーが描いた絵なんじゃないか、という想像もTLで見かけましたがそれはそれで楽しい。こうして無責任に想像している時間が一番楽しい。

まずジュリアがどうするか。岩谷麻優は?林下詩美は?しばらくこの「乱」の余波は続きそう。色々想像しながらスターダムを見守ろうと思います。

福田社長インタビューから今の全日本プロレスを考える。

ここしばらくの間、選手の退団が続き、闘魂スタイル、アクトレスガールズ参戦と激震が続く全日本プロレス。特に団体のクリエイティブ部門を担当していたとみられる木原リングアナ、石川修司、ブラックめんそーれの退団と、内部で「内紛」が起こっているんじゃないか、福田社長のバカ殿ルック動画が公開されるなどわかりやすく迷走しているように見えるのが気になります。ただ興行内容は充実しており、最近の後楽園ホールは安定して1000人以上の動員をマークしている好調っぷり。SNSで見られる団体の迷走と興行の好調さがいまいち噛み合わない。それが今の全日本プロレスなんじゃないかと思ってます。

実際1・3後楽園は面白かった!芦野祥太郎のマイクが凄かったです!

otokoman.hatenablog.com

 

 

そんな中、ネットメディア「ENCOUNT」で福田社長の独占インタビューが公開。まあ、独占もなにもそこまで福田社長が引っ張りだこな印象もないですが。そしてインタビュアーを一部(特に紙プロ界隈)での安定した低評価っぷりでおなじみの”Show"大谷氏。個人的にはインタビューをある程度自分の進めたい方向に持っていき、そこに自分の好むボキャブラリー(猪木語録的な)を挟んでいく印象。その記事がこちら。

encount.press

encount.press

結構話が行ったり来たり、突飛な内容も含んでいるので簡潔にまとめてみました。

 

まず前提として、全日本プロレスが長期の赤字経営に苦しんでいたこと。

・福田社長が就任した8年前から全日本プロレスは赤字。去年まで単月収支で一度も黒字が出たことがない。

・福田社長自身は給料を全くもらっておらず、経費も使っていない。毎月高級車が変えるような赤字(数百~数千万?)で、それを社長個人で払っていた

これだけ見ると、こんな赤字を補填しつつ団体存続をしてくれてる福田社長は救世主もいいとこだと思うんですが、ここから色々とややこしいことに。

・年明けの1月上旬、全日本プロレス内部でのクーデターの動き(選手数人引き抜き)があったが発覚、当事者から「責任を取って辞める」というメールが届いていた。給料アップを条件に引き抜こうとしていた。

実際、1月いっぱいで退団した選手は石川修司とブラックめんそーれ。ただこの「当事者」がレスラーであるという保証はないので内部スタッフ、社員の可能性もありますが何かしら起こっていたのは確かなよう。

そして、年末には福田社長の奥さんがくも膜下出血で亡くなられていたことも告白しています。こんな時に....。

そしてここからが特に話題になっている部分。

・前から名のある霊媒師に、天国から“全日本プロレスを象徴する人物”、◯◯◯◯を呼んでもらって相談していた。資金が底をつきそうなタイミングでアメリカの団体(WWE?)と協力関係を作っていく案が出たときに背中を押してもらった。

とのこと。普通に考えれば「◯◯◯◯」は「馬場正平」なんでしょうが、これはなかなかショッキングな内容。ただここに関しては「本当にそうなのか?」っていうのは疑問に残るところ。ここから何か展開しようとしているのか。現在「闘魂スタイル」を掲げている中嶋勝彦との「イタコ対決」に発展するのか?それはそれで見てみたいけど...。

そしてインタビューの締めは

前々からの私の希望は、全日本プロレスの優秀で有望な選手達が世界で活躍するということ、夢物語ではなく現実にその姿を見たいものです。これからも明るく楽しく激しいプロレスを提供できるよう張り切って参ります。

ときれいにまとめられてました。結局なんだかんだ言って一番の問題は「8年間ずっと赤字」っていうことにあると思うんで、しばらくは全日本プロレスの今のような状態は続くのかもしれません。

そしてもう一つ今の全日本プロレスを知る参考になるのはメルマガDropkickの記事。ここ最近立て続けに全日本プロレスの記事をアップしています。事情通Zの「プロレス 点と線」はかなり突っ込んだところまで描写されているので興味ある方はオススメ。途中から有料になりますが、無料部分だけでもなるほど、という情報が載っています。

ch.nicovideo.jp

ch.nicovideo.jp

例えば無料部分だけでも全日本プロレスの体制は合議制なことが書かれていますし、その顔ぶれが変わったきっかけ、そしてサイモン氏とWWEとの関係性、いわゆる”黒幕”の有無など。諸々興味ある方は一読をおすすめします。

 

というわけで色々と心配になる福田社長インタビューの振り返り&Dropkick情報でした

 

 

福田社長の言葉を信じるのなら、秋山全日本で両国国技館大会を開催したりしていた時期は結構上手く言っていたほうかと思うんですがそれでも赤字だったのか~、とか色々と考えてしまいます。そうなると全日本プロレスの黒字化はなかなか高いハードルなのか。そもそもの原因が構造的な赤字なのならそれが解決しないと今の状態を脱出するのはなかなか難しい気がします。ファンが「全日本プロレスを壊すな」と叫んでも、社長からしたら「いや、壊さなかった今までずっと赤字だったじゃないか」となってしまうので。

年末の退団者続出っぷり、観客数の増加を考えると財務状況は少しは上向いていて欲しいところですがどうなのか。いつか全日本プロレスのレスラー達が全日本プロレスらしいファイトを繰り広げて健全黒字経営!みんな幸せ!ってなることを祈ってますがそれはいつの日か。なかなかに考えさせられるインタビューでした。

全日本プロレスの赤字も斉藤兄弟にDOOM!してもらいたい!今回は以上です!

このリングで何を見せるか、何を伝えるか。1・13プロレスリング・ノア後楽園ホール大会観戦記

1月13日に行われたプロレスリング・ノア後楽園ホール大会をAbemaTVで見逃し配信で見ました。

都内では雪も降った悪天候の一日ではありましたが、1139人の動員。去年年末あたりからノアの後楽園ホール大会も1000人超えが普通になってきた印象もあり、客入りに比例して会場も盛り上がっていました。

サクサク進行かつ充実の前半戦。TEAM NOAHが船出!

簡単に振り返っていくと、まず第一試合のドラゴン・ペイン&アルファ・ウルフvsニンジャ・マック&アレハンドロvsHAYATA&Eitaの3WAYタッグマッチで客を温めにかかる。ただわりとノアのこの手の第一試合見るたびに思うんですが、超ルチャ!みたいな試合がここだけなので興行の中で浮いてるような気もしちゃいました。盛り上がりはしてるんですが、この後の盛り上がりとちょっと違うような。まあ新人同士のシングルがいい、とも言いませんが。

第二試合は谷口周平VS佐々木憂流迦。佐々木憂流迦のプロレスデビュー第二戦。第二戦にしてはかなりいい試合に見えました。スモールパッケージホールドという谷口のフィニッシュはもうちょっと違いを見せてわかりやすく叩き潰して欲しいとは思いましたが、打撃戦での分厚さの差ははっきり見せるファイト。佐々木憂流迦も自分の得意分野、関節技を活かした上できっちりと「プロレス」に向き合っていて好感を持てました。

第三試合TEAM NOAHとしての船出の一線となった丸藤正道&杉浦貴&小澤大嗣&大和田侑vsモハメド・ヨネ&齋藤彰俊&小峠篤司&Hi69の8人タッグマッチ、バチバチファイトをやりたい、という意志は伝わったけどやはりその先が課題かな、という内容に見えました。そもそもキツい試合は以前からやっていて、そこが周りに伝わらなかったところが暗黒期を迎えた原因のはず。今回小峠が小澤を仕留めましたが、わりと順当な結果。ノアを変えるのであれば、わかりやすくいきなり丸藤からフォール奪うくらいのインパクトは欲しかったところです。

 

大原はじめがダガの持つJrヘビーのベルトに挑戦表明した6人タッグもスピーディーで面白かったし、GHCナショナルの前哨戦ではタイタス・アレクサンダーが光ってたんで17日が楽しみな感じに。

そしてセミ前に組まれた征矢学VS大岩陵平のシングルマッチでは、大岩が正しく若手として征矢に叩き潰される結末に。負けはしましたが、トップレスラーにガンガン食らいついていく気合いを見せた大岩。「大岩がノアの若手だったらなぁ~」ってノアファンも思ったことでしょう。それくらい良かった。全体的にサクサク進み、試合はセミ、メインに。

 

 

ジェイクと拳王、清宮と潮崎で考えたプロレスを「伝える」こと

セミファイナルはジェイク・リー&アンソニー・グリーン&YO-HEY&タダスケvsマサ北宮&稲葉大樹&近藤修司&宮脇純太の8人タッグマッチ。ジェイク組はGLGだけどマサ&稲葉はなにかユニット名とか無いんでしょうか。マサが結構主張しているのでここはユニットを組んでやってほしいところ。

試合はそれぞれのヘビー組とジュニア組の見ごたえある鍔迫り合いが見れる試合に。特にジェイクとマサのバチバチ、近藤の下で修行中の宮脇がYO-HEY、タダスケに立ち向かっていく2つの闘いが並行しているような試合。その中でYO-HEY、タダスケが試合を作っていく力とアピール力を発揮していたのが印象的でした。

試合は宮脇がタダスケを強引に丸め込んで勝利!近藤と組んでのタッグタイトルマッチ挑戦を宣言する宮脇!若さ!若さっていいね!近藤に「まだ早い!」とバックステージで怒られるのも愛嬌。

 

そしてメインイベントはチャンピオン拳王に潮崎豪が挑むGHCヘビー級選手権試合。TEAM NOAHを立ち上げていきなりの大舞台に挑む潮崎、去年のN-1優勝者でありながらタイトルマッチに敗れてからはなかなか存在感を示せず。今回の拳王への挑戦も一度断られ、さらに「アイ・アム・ノアという”言葉”を賭けろ」という条件付き。

コロナ禍の中、激闘でプロレスリング・ノアを支えてきた潮崎豪が産んだ”アイ・アム・ノア”を奪われる屈辱と引き換えのタイトルマッチ。それくらい今の潮崎がベルトに遠い...。

それでもメインで光ったのは潮崎豪。試合序盤は拳王のペースでしたが蹴りをラリアットで迎撃してから足攻めでペースをとりもどした潮崎。粘り強い足攻め、とことん一か所を攻め込んでいく執念。そこからはひたすら愚直にやられてもやられてもチョップを打ち込み、やられても立ち上がり、拳王の蹴りをひたすら受け止める。いつもの潮崎ではありますが、そこにはどこか滅びゆくものの美しさすら感じるたたずまい。ハードな打撃の交換をしつつ、そこには明らかに「時代をつかもうとするもの」と「時代を取り返そうとするもの」というエネルギー総量の違いを感じてしまいました。

最後は雪崩式ドラゴンスープレックスという荒技を拳王が見舞い、PFS、そしてフィニッシュの炎輪でカウント3。GHCヘビー級王座防衛を果たしました。

しかしこの興行で感じたのは、試合そのものというよりもマイクアピールの強さ。特にセミファイナルの試合後、ジェイク・リーが清宮に迫ったマイクはまさに清宮だけでなく、プロレスリング・ノア所属選手全員、いやプロレスラー全員に届いて欲しいものでした。

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清宮海斗!お前に一言物申す!

有明!あれだけオレがステキなバトンを渡したのに、何だあのマイクはよ!

(観客大歓声)

お客さん静かにしてくれ、オレの話がまだ終わってない!

清宮海斗!認めるよ。お前は素晴らしいレスラーだ。センスの塊だと思うよ、試合の内容を見ていてもね。

ただな!ただな!どれをとってもな!お前の言葉一つを取ってみてもだ。

小さくまとまりすぎなんだよ!

お前はこのリングで何を見せたい!

何を伝えたい!

お前の生の感情を、お客さんは期待してんだよ!

まさに、まさに自分がプロレスラーに求めてるのはこの「何を見せたい?何を伝えたい?」というところが生で伝わってくるマイクであり、生で伝わってくる試合。必ずしもマイクという手段を取る必要はないですが、何がやりたいかを伝えてくれるプロレスが人の心を打つ。プロレスラーとしてのジェイク・リー、表現者としてのジェイク・リーの心の叫びが突き刺さりました。

マイクアピールの入りがちょっと江頭っぽくて面白かったです。

 

 

メインイベントの拳王も試合後のマイク。

アイアムノア!

アイアムノア!

アイアムノア!

めちゃくちゃ響きいいよなあ!

だがなおい!おい!潮崎豪!

 

今日からオレが、ノアを引っ張っていく。今日からじゃねえな。

前からオレがノアを引っ張っていくのは変わりない。

だが、ノアをさらなる高みに持っていくには

潮崎、お前が必要だ。

 

ノアの聖地、ディファ有明でデビューして、ずーっとノアを背負ってきたてめえのプロレス人生をオレ走ってるぞ。

おい!潮崎だけじゃねえぞ!チーム・ノア!

てめえらにも言ってやるぞ。ノア、このままで満足か?

全然!満足じゃねえだろう!

まだまだノアを高みに持っていく。

 

おい潮崎豪!これからチーム・ノアがどうなるかはお前次第だ!

だからな、チーム・ノア、もっともっと上げて行けよ。

そのためにオレがプレゼントをやろう。

オレが!3分前に獲得した!アイアムノアの言葉を!

オレがお前に!プレゼントしてやる!

 

まだまだ!アイアムノア!チーム・ノア!まだまだ上を目指していけ!それだけだ!

主張があり、目的があり、そして気持ちが伝わるマイク。やはり個人的にはプロレスリング・ノアのレスラー、ファンともにまだどこか愚直に、無口に試合をこなすことへのこだわりがあるように思います。しかし、いくら凄い試合をしてもそれだけでは伝えきれないものがあるはず。何のために闘うか。マイクアピールに加え、SNSや動画配信など選手の気持ちを伝えられる手段が増えた今、自分から主張してストーリーを生み出すことができるレスラーがより価値を高めることができるようになっている時代。

結局今のノアでその流れに乗り、自らストーリーを生み出せているのは拳王とジェイク・リーの二人だけ。彼らの一言一言で観客がどっと湧き、耳を傾ける。それはいわゆる「マイクアピールが上手い」というだけではなく、彼らに主張があり、言いたいことがあるから。清宮のジェイクへの返答が観客に響かなかったように、”それ”を観客は感じ取ってしまう。そこに今のプロレスリング・ノアの課題があるように思います。

 

試合は粒揃いで面白いけど、ノアにはやはり、どこか足りないものがある。そんなことを感じた1・13プロレスリング・ノア後楽園ホール大会でした。アイアムノア!

 

「黒船来航」1・4東京女子プロレス後楽園大会に見た変革の予感。

1月4日、2024年のプロレス初観戦は東京女子プロレス後楽園ホール大会でした。会場に入る前から入場の行列ができていて、ホールに入るとかなりの客入りが予感される密度。この日は東京ドームで新日本プロレス、TDCホールでスターダム、後楽園ホールで東京女子と水道橋近辺で3団体が興行するという異常事態。日本のレッスルマニアウイークみたいになってました。

実際、主催者発表では1235人の観客が入っていたそうで、今年後半くらいは700~800くらいだった東京女子の後楽園ホールにしては盛況。超満員までもう一息という感じでしょうか。ただサイバーファイト系の観客数発表は盛りがちなんで怪しいところもありますが。

 

前説はいつもの難波リングアナ。今回は1・4ドームがあるからか外国人客も多く(実際目視でも結構いつもより多かったように思います)そのために英語でのアナウンスも追加されていて、難波アナが英語アナウンスをするたびに大きな拍手が。優しい世界...。

去年の後楽園は声援禁止だったため、難波リングアナいわく「声を出していい後楽園ホール大会は4年ぶり」らしいです。発声練習での大歓声に感激する難波リングアナにこっちも勇気付けられました。最後のいいとものタモリのやつ、もう段々若いファンには通じなくなってる気もしなくはないですが。ともかく難波リングアナの前説がこの東京女子プロレスの明るい雰囲気を作り出してるのは間違いない。

そしてアプガプロレスの歌のコーナーをはさんで本戦スタート。今回歌った「バロバロ~It's Battle~」は今までより大分アップテンポで結構好きです。

 

というわけで全10試合。振り返っていこうと思います。

 

 

しかしさすがに後楽園ホールで10試合休憩無しはケツがだいぶ痛くなるのでそこは改善していただきたい。最初はビールガンガン行こうと思ってましたが今回南側の割と真ん中の席だったのでトイレ考えて控えました。特典会が浅草橋ヒューリックホールで3部構成だったんで時間無いのはわかりますがそこは考えてほしかった。 

第一試合の6人タッグ。凍雅選手が毎回紙テープを見上げて幸せそうな評定をするので見ていて微笑ましい気持ちになります。この感じでカウンターのエルボーはガツンと強めに入れていくギャップが素敵。

試合は宮本もかと長野じゅりあの空手タッグ連携、桐生真弥の新年初謝罪が飛び出すなどわちゃわちゃしながらも進み、上福ゆきがフェイマサーで鳥喰かやを沈めて勝利。鳥喰かやはそろそろどこかで弾けたいところ。もう3年目、後輩の23年デビュー組がかなり脚光を浴びているので危機感を持たないといけないのでは?と思ってしまいます。

 

そして第二試合。乃蒼ヒカリ欠場により愛野ユキがプリンセスタッグ挑戦が決まりカード変更。急遽ラム会長参戦。今回は原宿ぽむ、ラム会長のらくをめぐる三角関係百合営業を中心に試合展開。もちろんおやすみエクスプレスも飛び出してらくぽむワールド全開。しかしラム会長もしっかり色を出してアシスト。らくが風城を降して勝利。

しかしこの試合、HIMAWARIの奮闘に注目したい一戦でした。年少組の二人を率いてらくぽむワールドに立ち向かい、ラム会長との攻防を逝ってに引き受けたHIMAWARI、この試合の裏MVPだったように思います。がんばれHIMAWARI!

 

そして第三試合。乃蒼ヒカリ欠場によりふりーWifiでのタッグベルト返上の憂き目を見た角田奈穂が瑞希に挑んだ試合。この試合が全試合の中で異色なほどにゴツゴツとした展開になりました。

特に角田が仕掛けたように見えましたが、とにかく打撃を互いに入れ続ける。かなり東京女子としては異質なほどに当たりの強いエルボーがゴン、ゴン、と鈍く重い音を響かせ、前蹴りでガンガン顔を蹴っていく角田奈穂。瑞希も一歩も引かずに対抗し、さらに自分の持ち技、飛び技を繰り出しつつ技自体はガンガンキツめに入れていく。一歩間違えば不穏試合になるくらいのゴツゴツした試合は瑞希のキューティースペシャル。しかもその場で持ち上げて一気にブリッジして抑え込むもの。「終わらせた!」っていう感じの試合でした。

とにかく二人の気持ち、特に角田の気持ちがやるせない中でバチバチと冷たい火花を放っていたような。わかりやすくも華やかでもない試合でしたが、そこには闘いがあったように思います。角田奈穂はもうシングルベルトを奪って頂きたい。

第四試合は毎年恒例、中島翔子とハイパーミサヲの特殊ルールマッチ。

今回は「新春!龍が如く夢を叶えよ!だるまマッチ」

※通常のプロレスルールでの決着はなく、リング中央に吊るされただるまに2024年の願いを込めて片目を入れた選手が勝利となる特別ルール。

とのことで、リング中央に吊るされたダルマの下には脚立が設置されたラダーマッチ。まあそんな事関係ないようなあるような状態で後半は後楽園ホールのロビーをフル活用、ハイパーミサヲの戦闘用自転車(なんとクラファンで制作)も大活躍。ハチャメチャな展開になった試合は中島翔子が勝利。この振り幅があるのが東京女子プロレスがDDT系列であることの所以というか。悪ノリ強めで楽しかったです。

第五試合、里歩vs鈴木志乃はとにかくAEWスター里歩さんの存在感が凄かった。試合は5分くらいで終わりましたが、私はもうスターを拝めてありがたい、という気分に。

鈴木志乃25歳、里歩26歳となんと年齢は一年違いなんですが、1年と18年という圧倒的プロレスキャリアの差がある二人。いつか鈴木志乃が互角に渡り合う日は来るのか?とにかく里歩さんが全てに圧倒的なスターっぷりを見せつけて去っていきました。さすがの一言。

 

そして良かったのが第六試合のアジャコングVS上原わかな。謎の企画「夢プロレス」でアジャと対戦済の上原わかなが東京女子プロレスでデビューしてからの成長をアジャに見せた結果となりました。いきなりの奇襲も気持ちが見えたし、ガムシャラにスリーパーで締め続ける姿も勝利の執念を感じました。HIMAWARI、鈴木志乃、凍雅、風城ハル、大久保琉那と充実の23年デビュー組の中、同期トーナメント「ねくじぇねトーナメント」優勝、一歩抜け出しつつある中でさらに印象に残るファイト。アジャにも今度は認められ、今年はガンガン上に食いついていく姿を見たくなる上原わかなでした。

 

そして個人的最推しカードの伊藤麻希vs山下りな!最近東京女子とアメリカのGCWを行き来してニック・ゲージと組み、準レギュラー扱いの伊藤麻希、GCWのウルトラバイオレットチャンピオン(なんと男女問わないデスマッチベルト!)の山下りなのシングルマッチは東京女子プロレスというよりGCW直輸入の一戦となりました。

試合開始から噛み合う二人。まず「カワイイポーズ」を披露し、山下にもポーズを即す伊藤麻希。山下が寝転んでポーズを取るとすかさずこけしを叩き込む伊藤!「世界一可愛いのは伊藤ちゃんパンチ」を叩き込み、山下が同じく「世界一かわいい」をコーナーでやろうとすると叩き落とす伊藤!しかし相手は山下りな。伊藤がGCWでのトレードマーク、ピザカッターを取り出したのを合図のように山下も机を持ち出して対抗、だんだんとハードコアの予感がしてきます。

伊藤を抱え上げ、松井レフェリーに賄賂を渡して籠絡してから机に叩きつける暴挙!しかし伊藤も負けじと山下を場外に叩き落してからのエプロンからスイングDDT、コーナーからのクロスボディと畳み掛けたあとピザカッター!奪った山下も「使うぞー」と宣言、もみあいの中で松井レフェリーが排除されると伊藤が山下にピザカッター攻撃で山下が顔面流血!GCW!GCW!

この流血で山下のハードコア魂に火が着いたか、リングにイスを持ち込み、互いの頭をイスに叩きつけ合うハードコアイス合戦!ここは山下が制しますが、伊藤も負けじとコーナーにイスを据えてのフェイスウォッシュ!ピザカッター、フェイスウォッシュとアメリカで組んでいるニック・ゲージの技を出していく。この試合は紛れもなく山下りなと伊藤麻希にしか出来ないGCWのシングルマッチ!これを後楽園ホールで見せてくれた二人に震えました!今までFITE.TVでしか見たことなかった「GCWでの伊藤麻希」がここにいました。スゲー!スゲー!

 

最後は伊藤、山下のスプラッシュマウンテンに沈みますがGCW濃度の高い、通常ルールながらもハードでヤバいシングルマッチを見せてくれました。良かった~!

 

第八試合はマックス・ジ・インペイラーvs荒井優希のインタナショナルプリンセスタイトルマッチ。これはさすがにインペイラーが圧倒します。

ガンガン荒井優希を持ち上げ、叩きつけ、殴りつけてひたすら蹂躙。存分にモンスターっぷりを発揮しますが荒井優希もビッグブーツ連発でなんとか逆転を狙いますがボディプレスで圧殺寸前。しかしなんとコーナーから飛んだところを受け止められながらも丸め込み、起き上がったところをファイナリーでカウント3!え!?って叫びそうになりましたが満身創痍の荒井優希がなんとかインターナショナル王座に輝きました。輝きました!

しかし終始怪物性を発揮してくれたインペイラー凄かった。ベルトは手放しましたが、これからも呼び続けてほしい選手。キュートな怪物っぷりをまた見せて欲しいところです。

 

そして、セミファイナルはふりーWIFIの返上により3WAYでのプリンセスタッグ選手権。辰巳リカ&渡辺未詩vs鈴芽&遠藤有栖vs水波綾&愛野ユキ!終始3組が入り乱れる展開が続きますが、さすがにここで存在感を発揮したのがアニキこと水波綾。

入場からアニキコールを浴びて場を支配、最も小柄&キャリアの浅い鈴芽&遠藤有栖もコンビネーションで場をかき回し、渡辺未詩はパワーで、辰巳リカは狂気とヒップアタックで水波に立ち向かいますが持ち前のパワーで押し返す水波。乱戦の末にリング上に残された愛野ユキと遠藤有栖、愛野がUBV(変形サイドバスター)でフォールを奪って勝利。ユキニキこと水波綾&愛野ユキが初のプリンセスタッグチャンピオンに輝きました。

この3WAY、ノータッチなこともあり目まぐるしい展開、13分と短い時間ながら攻防が詰まった濃厚な試合。水波ではなく愛野がフォールを奪っての戴冠。ユキニキの今後に注目です。

 

そして凄かったのがメインイベント。山下実優vsマーシャ・スラモビッチ!

一時期マーベラスにも来日参戦し、Impact、GCWでも活躍するマーシャが日本で山下実優と対決。アメリカンインディーのトップレベルの女子レスラーが挑戦してきた、ということが試合開始後すぐに判明しました。海外では1勝1敗の両者、一旦の決着戦とも言える一戦。

試合開始直後からガッチリ組みあったまま場外になだれ込み互角の攻防。場外での打撃戦もその重さが違う。山下もいきなりギアを入れていきハイレベルな攻防に観客もヒート!場外戦でのエプロンでのライガーボムから旋回式のトペで観客のハートをガッチリと掴んだマーシャ。優位に立って山下を蹴りまくる。山下も蹴りまくり、エルボーもガッツリ入れていく。マーシャもひるまずガンガンやりあう。そのことで山下実優も何かを開放しているような力強いファイト。女子の「ストロングスタイル」というものがあるんならこういう試合なんだろう、と思わせる力強さとスピード。ずっと一進一退。とにかくずっと凄い。

サッカーボールキックの連打から片羽締めからの払い腰でさらに締め上げる山下、なんとか逃れるマーシャ、コーナーに突っ込む山下を丸め込み変形の河津掛け、パッケージドライバーを狙うも不発かと思いきやコーナーに向かってダブルアームスープレックスとエグい攻撃。マーシャも引き出しの量がすごい!しかし打撃の重さは山下か。

一進一退の中でギアを上げ続けた二人の攻防、キレが落ちないままマーシャの飛び膝、山下の三角跳び延髄斬りも決め手にはならず。マーシャのハイキック→バズソーを受けてもカウント2で返す山下、スカルキック合戦もマーシャがヒットさせるもカウント2,ベルトへの執念を見せた山下がロープに走ってのスカルキック、フォールを返したマーシャに膝立ちのところにスカルキック、背後からのクラッシュ・ラビットヒートを叩き込んでから正面からのクラッシュ・ラビットヒートを炸裂させてようやくカウント3!!山下実優の勝利、ベルト防衛を果たしました。

 

いや二人共凄かった。マーシャの引き出しと打撃のキレも凄かったし、それにより普段何処かでリミッターを賭けている山下実優の底力が引き出されたように感じました。

 

そして試合後の締めはもちろん「限界、自分で決めんなよ!」

 

 

こうして幕を閉じた1・4東京女子プロレス後楽園ホール大会。個人的には今までの東京女子とは違う波を感じました。それは「海外からの波」

今まで日本のプロレス界と交わらず、ほぼ鎖国を貫いている東京女子プロレス。しかし山下実優、伊藤麻希が海外団体に参戦し続けていることで「国内とは鎖国、海外とは開国」という不思議な状況が生まれつつあります。そして、そのことにより今まで純粋培養されてきた東京女子プロレスのファイトスタイルに変化が生まれつつあるように感じます。

基本的にスープレックスや顔面への打撃、流血などもほぼほぼ無い東京女子プロレスですが、今回の伊藤麻希VS山下りなのような大流血、ハードヒットな打撃の応酬となったメインイベントが「輸入」されてきた。そして現状山下実優がチャンピオンである限り、山下に東京女子の選手が挑戦するにしても今回のマーシャ戦とも比較されるし、マーシャに勝った山下に勝利するための説得力をどう産んでいくのかという問題も出てくるはず。

旗揚げ以来、どこかで日本の伝統的な女子プロレスに背を向けて独自の道を歩んできた東京女子プロレスが、ここにきて海外勢によって大きな変革を迎えつつある。

そんな予感を感じさせる1・4後楽園大会でした。充実!

明るく、楽しく、そして激しく!不安を吹きとばせ!全日本プロレス1・3後楽園大会感想。

1月3日に行われた全日本プロレス後楽園ホール大会を全日本プロレスTVで見たので感想、とともに最近の全日本プロレスの動きをまとめようかと思います。

 

とりあえず、まず年末に大森隆男、そして木原リングアナと、馬場全日本時代を知るレスラー、スタッフが相次いで退団を発表。そして長年参戦していたヨシ・タツも退団。

そして何と言っても大きかったのがレスラーとしても、また裏方としても全日本プロレスを支えていた石川修司の退団報道。こちらはまだ正式発表ではないですが、東スポWEBが先行して報道した形。しかもその経緯がかなり細かく書かれていました。

news.yahoo.co.jp

人望の厚い石川は、これまで選手会長としてフロントと選手間の調整役として尽力してきた。風向きが変わったのは昨年11月だ。ノアを退団したばかりの中嶋勝彦が参戦し、3冠ヘビー級王座を奪取。この直後から団体公式「X」(旧ツイッター)には福田剛紀社長の羽目を外した動画がアップされるようになった。しかも、動画内でアクトレスガールズとの業務提携が突然発表されたこともあり、寝耳に水だった選手たちは不信感を募らせていったという。

 また、オーナーでもある福田社長の〝鶴のひと声〟で団体の方針が変わることも多く、次第に他団体との関係が悪化。ファンからも疑問の声が上がっていたことを踏まえ、石川は選手を代表して団体の方向性を含めて進言したが、事態が好転することはなかったという。その結果、自ら責任を取る形で団体を離れる意思を固めた模様だ。

ちなみに福田社長のハメを外した動画はこちら。まあ確かに社長がいきなりこんな事始めたらやめたくなっても仕方ないか...。という気もしますが。あとアクトレスガールズとの「業務提携」としっかり口にしているのもポイントか。Evolution女子との関係性も気になるところです。

そしてさらに話題になったのが、現三冠ヘビー級チャンピオンである中嶋勝彦が元旦にアップした動画。しっかりと新日本プロレスに宣戦布告する内容でした。

そもそもまず全日本プロレスの1・2,1・3後楽園を控えた元旦に新日本プロレスへの宣戦布告。1・3には三冠ヘビー級の防衛戦も控えているのに...。と不可解なもの。

その他にも”過激な仕掛け人”新間寿が中嶋勝彦の大晦日の防衛戦に帯同、「あり・ボンバイエ」をテーマ曲に流したり、中嶋勝彦が不自然なまでに「闘魂スタイル」を連発するなど、今までの全日本プロレスには無い動きが内部に起こっているのが外から見ていてもなんとなく伝わってくる状況。そして選手たちはそれをよしとせず、代表して石川修司が社長に直談判→退団へ、というのが今の全日本プロレス(予想)。東スポには「他にも対談する選手が」という匂わせもあり、今後の動向が(悪い意味で)注目されています。

 

 

1・3全日本プロレス後楽園ホール大会。明るく楽しい全日本プロレス!

そんな中行われた全日本プロレス後楽園ホール大会。1・2は実家でのんびりしていて見てない私ですが1・3は全日本プロレスTVで観戦しました。

 

第1試合のジュニア8人タッグではそれぞれの選手が目まぐるしくも持ち味を発揮、フリーとなってからも全日本に定期的に参戦している岩本煌史が井上凌を孤高の芸術で仕留め、ジュニアヘビー王者の田村男児と視察戦。タイトルマッチへの機運を高めると、第2試合では黒潮TOKYOジャパン&立花誠吾が鈴木みのる&大森北斗を巻き込んで黒潮ワールドを展開、打って変わって笑いにあふれる試合に。かと思えば第3試合では青柳ブラザーズに本田竜輝&安齊勇馬の「New Period」が殊勲の勝利!新生代の台頭を感じさせました。

今の全日本プロレス、選手層も徐々に厚くなっているし、第1試合~第3試合全てでテイストの違う試合が出来るのが素晴らしい。正月らしく、激しくも楽しいプロレスが展開してました。

 

そしてここで「問題の」アクトレスガールズ提供試合。ただアクトレスガールズは現状「プロレスじゃない」扱いの「アクトレスタイム」を提供するスタイル。歌とダンスで始まり、青野未来&夏葵vs皇希&後藤智香のタッグマッチ。正直歌とダンスの時点でまあまあ客に弾かれた感ありましたが、試合の後半ではなんとか成立するくらい盛り上がっていたような感じ(配信だったんでそこらへんよくわからなかったですが)ではありました。

全日本プロレスがアクトレスガールズとホントに「業務提携」したのなら、もうちょっと全日本プロレスファンに受け入れられないとしんどいかと思いますが、今の時点ではなかなか厳しいものがありました。

あくまで「アクトレスタイム」だからか試合前のカード発表映像にも登場しなかったりときっちり紹介してもらえないのは痛い。なんとか浸透させる努力が必要なのと、例えば歌とダンス自体は休憩扱いにして試合はきっちりアナウンスするなど構成も工夫が必要なように感じました。全日本プロレスTVでは風香GMが一生懸命説明していて好感が持てました。観客全員に「アクトレスガールズグラフィティ」配れば少しは親しみが湧くのかも...。

しかし、一瞬観客を困惑させた「アクトレスタイム」でしたが、後半戦になると再び大盛りあがり。

第四試合の芦野祥太郎&綾部蓮VS斎藤ブラザーズは大型選手3人に囲まれた芦野が奮闘、ど迫力の斉藤レイのボディプレスで綾部を沈めましたし、セミファイナルではあの!諏訪魔&鈴木秀樹の不仲コンビが宮原健斗&デイビーボーイ・スミスJrと対戦!

ケンカしながらなんだかんだで噛み合う諏訪魔&鈴木秀樹に、全日本プロレスに噛み合うサイズ感のデイビーボーイ・スミスJr、常に一定のハイテンションな宮原健斗、これで面白くないはずはない。終始ドタバタと仲良くド迫力のケンカが繰り広げられた上で宮原が諏訪魔を丸め込んで勝利。ここまで激しく明るくありながらもどこか笑える、全体的に自由で愛嬌があるファイトが繰り広げられてきました。

 

そしてメインイベントは「NXTからの刺客」チャーリー・デンプシーが中嶋勝彦に挑む三冠ヘビー級選手権試合。テーマ曲はアリ・ボンバイエではなくいつもの中嶋勝彦のテーマ。純白のバスローブに赤のタオルを肩にかけての入場でした。

試合は1・2後楽園で中嶋からフォールを奪ったデンプシーが関節技で攻め込み、中嶋は得意のキックで対抗。今までの明るさとはまた違う、ピリッとした真面目な試合が繰り広げられていきました。

執拗に首攻め、ヘッドロックもなかなか話さないねちっこいファイトを繰り広げるデンプシー。そのデンプシーにゴツゴツと打撃を入れていく中嶋。素朴かつ基本的な攻防が続く、これが闘魂スタイルか。場外戦も交え、関節技と打撃の攻防が15分以上続いた末に闘魂ビンタでデンプシーをグロッキーに追い詰めた中嶋がバーティカル・スパイク一閃でカウント3!三冠ベルト防衛を果たしました。

 

デンプシーと握手を交わした中嶋勝彦、改めてマイクを持って観客に年賀の挨拶。そして三冠ベルトを持ち、「俺は日本プロレス界の地形を変えるため、そして三冠ヘビー級を上にあげるため、このベルトを持ってNXTに乗り込む」と宣言。観客がなんともいえないリアクションの中、リングに上ってきたのは芦野祥太郎!

 

まず入場するなり「お前の闘魂スタイルなんかに価値はねーよ」とバッサリ。

それからも「俺達全日本プロレス所属の人間は、その三冠のベルトに誇りを持って戦ってる。全日本プロレスに闘魂スタイルは必要ない」と引き続きバッサリと斬る芦野。

そこで「テメーの力で奪ってみろ!」と言い捨てて中嶋勝彦がリングをあとにしたため、芦野がマイクを持って観客に対して語ることに。

三冠のベルトを簡単に獲れるなんて...。

一回も思ったことねーよ!一回も獲ったことねえんだよ!

 

それを獲るために8ヶ月、歯食いしばって怪我治してきたんだよ!

 

全日本プロレス、皆さま色々不安があると思います。俺もたくさん不安あるよ!不安だし、不満もある。

でもな、これはレスラーが変えなきゃいけない。俺達が変えなきゃいけないと思ってます!だから、中嶋勝彦と闘魂スタイルを、この王道の全日本プロレスから...追放します!

そのために、1月27日、八王子大会!三冠戦、会社は、やってくれるでしょう。

そこで俺が取り戻します!

 

色んな思いがあるかもしれない!

ただ俺は覚悟持ってこの全日本プロレスで、王道を守りたいと思ってます。

皆さんその姿を是非確かめに来てください。

 

今日はほんとにご来場ありがとうございました!

そして芦野が4方に礼をして締め。全日本プロレス後楽園ホール大会は幕を閉じました。

 

 

個人的にはこの興行、実質4部構成になっているように見えました。

1部は第1~3試合の前半戦パート。全日本プロレスの正月らしく盛り上がりました

2部はアクトレスタイム。ここがこれからの課題かと感じる雰囲気。

3部は第4~セミファイナルの後半戦パート。ここも全日本プロレスらしく、熱くかつ明るく楽しく盛り上がりました。

そして4部はメインイベント。このメインはNXTのデンプシーと、健介に育てられ、ノアで育った中嶋勝彦のシングルマッチ。ここに「正月の全日本プロレス」感はあまり感じず、穿った見方をすると中嶋勝彦のNXTオーディション的というか、WWEと中嶋のテストマッチ的というか、全日本プロレスのメインイベントというよりノア出身レスラーとWWEのレスラーとのシングルマッチのように感じました。

 

今の中嶋勝彦、実際元旦のポストで自らを「三冠ヘビー級チャンピオン」と書いていなかったり、今回も芦野に締めを任せて帰ったりと、あくまで「外敵」であり、ベルトを巻いた瞬間に団体を背負う、という雰囲気も薄い。「個」として全日本プロレスのチャンピオンになっているイメージ。

そして、新間寿がいないこの日は基本的にノアでの中嶋勝彦とあまり変わった印象はありませんでした。過剰な「闘魂スタイル」アピールは新間寿とセットになったとき限定のものなのか。

 

そんな色々な謎、不安を吹き飛ばすべく立ち上がった芦野、最後のマイクも団体を背負い、観客を安心させるものでしたし、マイクはチャンピオン完全合格。あとは中嶋からベルトを剥がせるか?その当日新間寿は来るのか?タイトルマッチは1月27日。ここで全日本プロレスの方向性が大きく変わる、かもしれません。

 

色々と謎が深まる全日本プロレス。でも全体の雰囲気もよく、観客も1300人(去年は1041人)入っていたりと全日本プロレスの団体としての勢いは上昇している状況。今回もほぼずっと面白かったです。ただ内部の不穏さを抱えながらも興行としては完成度が高いというなんとも不思議な状況なのはなんとかして欲しい。選手が安心して闘えて、なおかつポンポン離脱しない。これは団体としては最低限の環境だと思うんで全日本プロレスさんにはなんとかしてほしい。面白かっただけに色々と気になった後楽園大会でした。

個人的なお願いとしては

お願いだからそろそろ安定して頂きたい!

全日本プロレスを安心して応援させてくれ~!

最後に青柳優馬の名解説を置いておくのでご堪能ください。それではまた~。

勝村周一朗、木髙イサミを倒し、ガンバレ☆プロレスの王様になる!12・27後楽園ホール大会観戦記

これ書いてるのは1月3日。年を越えてしまいましたが、今回は12月27日、ガンバレ☆プロレス後楽園ホール大会のレビューを簡単に。何故かというと明日、1月4日に板橋グリーンホールでガンバレ☆プロレスの今年始めての興行があるから。それまでにこの日に感じたことをまとめておきたい、と思ったからです。

 

この日、とにかくメインイベントで木髙イサミvs勝村周一朗のスピリット・オブ・ガンバレ選手権が行われることが確定してました。なのでどうしても見たかったんですが、去年最終出勤日の一日前だったために色々と処理することがありそうなので行けないときのためにチケットは買わずにいました。そして、当日案の定18:30開始のところ、会社を出るのが18:30分になってしまって大慌てで後楽園ホールへ。

第1試合からKO-Dタッグ選手権、高尾蒼馬&翔太vs石井慧介&入江茂弘があったりと気合の入ったマッチメイクでしたが見れず。チケット当日券で購入して観客席に座った頃には第四試合、宮本裕向vs中村宗達の試合中でした。

北側はふさいでいましたが、思っていたより盛況な客入り。最近何回か行けてなかったガンバレ☆プロレス、最近大会数少なめだったので心配してましたがしっかりと盛り上がっていました(観客発表603人)

そして試合自体も中村がガンガン宮本裕向に向かって言って大盛りあがり。客席から「ムネー!」「ムネ立て~!」「ムネいけ~!」の歓声が。観客数を超えるような大歓声なのがガンプロユニバースの持ち味というか気合というか。ホントに中村宗達がガンプロユニバースから「俺たちのムネ」になってることを実感。さすがに宮本裕向の逆エビ固めの前に敗れましたがしっかりと気持ちを見せ、ドロップキックをブチこんでいった姿にはぐっとくるものがありました。期待の新人!

そして第五試合はGLEATとの対抗戦5vs5マッチ。
GLEAT軍はカズ・ハヤシ& 田中稔& 伊藤貴則& チェック島谷& 頓所隼
ガンプロ軍は今成夢人&和田拓也&渡瀬瑞基&冨永真一郎&前口太尊

試合開始時に円陣を組んだガンプロ軍、一人ひとりバラバラなようで一致団結しているようなガンプロらしい不思議なチーム感。5分すぎに冨永がカズ・ハヤシのファイナルカットに沈みますがその後は両軍入り乱れての大乱戦!前口が伊藤にOTLで敗退するとすかさず今成&渡瀬が伊藤をリング外に放り出す。田中稔と和田拓也は二人の世界でバチバチの末に両者OTLで敗退。混沌の末に今成夢人がチェック島谷、カズ・ハヤシと立て続けにフォールしてガンプロ軍が勝利!会場大爆発!

 

さらにセミ前のインターバルでまなせゆうなが登場し、2月23日、横浜ラジアントホール大会での復帰を発表!一年以上の休みを経てついに復帰!これでさらにガンプロ、ガンジョが楽しみになるし、休んでいる間も献身的にガンプロ、ガンジョに尽くしてきたまなせ選手がリングに戻れる、というのが本当に嬉しかった。観客も大歓声で祝福、女子選手たちも祝福していたのが印象的でした。よかった~!まなせさんおめでとう!

セミファイナルの大家健vs羆嵐、土肥こうじも帯同して土肥羆vs大家の様相。去年の大田区体育館大会で裏切られ、高島平ではボコボコにされ、新宿FACE大会では髪を切られととにかくやられまくっていた大家健。しかしこの日は特訓を経て羆嵐に立ち向かっただけあってとにかく粘り強かった。

やられてもやられても立ち上がる大家健スタイル。試合が進むにつれて力を得てくるのが大家健。土肥こうじの介入もセコンド陣が排除し、目をむいてヨダレたらしてヒーヒー言いながら立ち向かっていく大家健。とにかくガムシャラ!かっこわるいのがかっこいい!トドメとばかりの羆嵐のコーナーからのセントーンをかわしてスピアー!カウント2で立ち上がる羆嵐に炎のスピアー!カウント3!羆嵐のわずかなスキをついてギリギリで抑え込んでの勝利!

これでいったんガンプロ参戦終了を匂わして去ろうとする羆嵐、しかし大家健に土肥こうじが「オレたちもバッコミしたいんだよ!」と直訴してからのセミファイナルながら「ウィーアー・ガンバレ☆プロレス!」からのバッコミダンス!羆嵐もリングに戻り、バカ負けしたようなダンス!メインを前にしてなんか多幸感というか。大団円感を一瞬感じてしまったセミファイナルでした。

 

 

いよいよタイトルマッチ!勝村周一朗が見せたまさかのフィニッシュ

そしていよいよメイン。去年の大田区大会で渡瀬瑞基を降して以来防衛を繰り返している木髙イサミに勝村周一朗が挑むスピリット・オブ・ガンバレのタイトルマッチ。今までYuuRI、今成夢人、冨永真一郎、翔太と防衛を繰り返してきたイサミの前に立ちはだかった勝村。ピリッとした空気に会場が包まれます。

 

試合が始まるとやはり寝技の攻防に持ち込んでいく勝村。総合格闘技仕込みの寝技で腕から足、さらに腕と変幻自在に関節技を狙っていく勝村、しかしイサミもプロレスラーの寝技で切り返す。最初の腕の取り合いからひたすらに目まぐるしい攻防が続きます。

ヘッドしサーズから腕も狙う勝村、ロープワークから投げて後ろに回って首四の字で締め上げるイサミ、互いの関節技の攻防で時間を忘れ、10分~15分と過ぎていく。試合巧者同士のガッチリ組み合うプロレス。唸りながら見てました。

その中でも徐々に大技を交え始めた二人、イサミもダイビングダブルニー、垂直落下ブレーンバスターを決めるもフィニッシュには至らず、勝村もガッチリとトリプル3ロックを極めるもロープに逃れるイサミ、勇脚・斬を仕掛けるもニールキックで勝村が返すと腕十字狙い、しかしなんとか腕をロックして防ぐイサミ、腕のロックを巡る攻防からなんとか切った!と思ったら技を解いた勝村、それまで着ていたタンクトップを脱ぐとなんと、コーナーに登ってムーンサルトプレス!カウント3!勝村周一朗が木高イサミを降し、第6代スピリット・オブ・ガンバレ王座に輝きました。

もともとは格闘家としてプロレスラーに転身してきた勝村周一朗、キャリアを重ね、プロレス技のレパートリーも増え、今やプロレスラーとして闘っています。しかし小高イサミに対してムーンサルト・プレスという華やかなフィニッシュを初公開したことで、自らの「プロレスラー」としての矜持を示したように思います。

プロレスで、木髙イサミに勝ちましたよ

言わせてください、オレが、ガンバレ☆プロレスの勝村周一朗だぁ!

 

木髙イサミ、オレはあんたと握手はしねえぞ

少年ジャンプの友情ごっこはゴメンだ

 

あんたのパスポート、奪い取ってやったぜ。

ガンプロの旅は楽しかっただろ

だけど、オレもガンプロのみんなも木高イサミのおかげで強くなったのは事実だ

 

だけど、今はオレが二本のベルトを持ってる。

オレがベルトを持ってる間は、お前のパスポート、自動更新してやるぜ

 

すると木髙イサミ。

おい、王様。全部お断りだ

スピリット・オブ・ガンバレのベルト、オレが上げたハードル越えてみろよ

 

握手はゴメンだ、少年ジャンプじゃねえだと?

オレの中では全ては続くんだよ

と、強引に勝村と握手してリングから去っていきました。

 

そして大団円。勝村が参戦メンバーをリングに呼び込み、締めて終わるかと思ったら、締めを頼んだ大家健がここで荒ぶる!

20代、30代、40代が頑張る中、勝村と同年代の大家健が

おい王様!スピリット・オブ・ガンバレのベルトに挑戦させろ!

と、無理やりカード変更を要求して1月4日板橋大会で挑戦決定!

しかもその後に

ついでに1月6日!大阪大会でタッグのベルトにも挑戦させろ!

和田拓也から「勝ってから言えよ!」勝村から「パートナーいねえだろ!」と突っ込まれてもひるまない大家健

1月6日、HARASHIMAと組んでタッグのベルト挑戦決定だ!

勝村周一朗も

おお!オレが王様だから決めてやる!1月4日も、1月6日もタイトルマッチやってやるよ!

と、結果1月4日、1月6日とタイトルマッチが決定。WrestleUniverse解説の宇野薫もその展開に驚く中で怒涛のエンディングを迎えました。

こうして半ばヤケクソの中で終わったガンバレ☆プロレス後楽園大会。

元々大家健がヤケクソの中初めたガンバレ☆プロレスが後楽園大会を行うことができ、シングルのベルトができ、大田区体育館進出、そしてもう6代目のチャンピオンがこの日誕生。プロレスリングBASARAからタイトルを取り戻したのが勝村周一朗だったのは私も嬉しいし、ガンバレ☆プロレスにとっても大きなことだったように思います。

 

 

参戦時から総合格闘技という「強さ」をしっかり持っていて、ガンバレ☆プロレスの門番的、「強さ」という芯をしっかりとガンバレ☆プロレスに与えていた勝村周一朗がこの日ムーンサルト・プレスという華をもってベルトを奪還。文字通り「王様」になったことで、これからのガンバレ☆プロレスがガンガン外に打って出てその力を証明していく未来が個人的には見えました。

 

それ以外でもこの日の後楽園は去年のガンバレ☆プロレスの総まとめにふさわしい大会。文字通り見ていて背中を押してくれるような大会でした。私は見れませんでしたが長谷川美子の初勝利、KO-Dタッグの熱戦、GLEATとの5vs5対抗戦に勝利、まなせゆうな復帰発表、そして大家健が羆嵐に勝利、勝村周一朗、小高イサミからベルトを取り戻す。ガンバレ☆プロレスにとってはこれ以上ない結果。だからこそこれからが問われる。この多幸感の先に何を見せてくれるのか。何を目指すのか。2024年のガンバレ☆プロレスも期待を持って見ていける。

 

後楽園というハレの舞台が終わり、勝村周一朗VS大家健のタイトルマッチでガンバレ☆プロレス2024年の幕を開けるのが明日の板橋グリーンホール大会。

カードはこちら。

○第一試合 30分一本勝負
YuuRI&リアラ vs 長谷川美子&松下楓歩
○第二試合 30分一本勝負
ハートリー・ジャクソン&HARUKAZE vs 入江茂弘&バニー及川
○第三試合 新春スペシャル3WAYマッチ 30分一本勝負
中村宗達 vs 夢虹 vs イルシオン
○セミファイナル ガンプロ新春スペシャル6人タッグマッチ 30分一本勝負
石井慧介&今成夢人&渡瀬瑞基 vs 翔太&高尾蒼馬&冨永真一郎
○メインイベント スピリット・オブ・ガンバレ世界無差別級選手権試合 60分一本勝負
<王者>勝村周一朗 vs 大家健<挑戦者>
※第6代王者は初防衛戦。

メインのタイトルマッチ以外にも入江茂弘出場、アイスリボンから松下楓歩、夢虹、イルシオンとDDTの若手選手も出場と充実のラインナップ。私も行きますので、お手好きの方は足を運んでみてはいかがでしょうか。いいもの見れると思います!

混沌のメインイベント。1・2有明アリーナ、メインイベントを巡る闘い

先日行われた12・2プロレスリング・ノア横浜武道館大会「NOAH the BEST 2023」をAbemaTVで見てました。メインイベントとして行われた拳王&新崎人生VS征矢学&藤波辰爾のタッグマッチ。両チームとも師弟関係となるこの2組。特に征矢と藤波は、征矢が藤波が立ち上げた団体「無我ワールド・プロレスリング」からデビューしたものの、デビュー半年で全日本プロレスに西村修とともに電撃移籍した、といういわくつき。

正直デビュー直後の征矢にそこまで大胆な決断が一人で出来るとは思えず、藤波といざこざのあった西村に巻き込まれた形だとは思いますが不義理を働いたのは確か。そんなきまずい師弟ではありましたが、試合開始早々ドラゴンビンタで活を入れられた征矢が踏ん張りを見せ、人生&拳王のコンビネーションをほぼほぼ一人で受け切り、最後は支障の技、ドラゴンスリーパーで拳王からギブアップを奪う活躍。1・2有明アリーナでのGHCヘビー級挑戦に向けて勢いをつける勝利を挙げ、涙ながらに藤波と握手。ハッピーエンドで興行は終了しました。

 

しかし、ハッピーじゃなくなっていったのはここから。ノア公式のXからこんな発表があったのです。

この日にサプライズ登場し、丸藤と握手した飯伏幸太。何度か丸藤との対戦が流れたりしてましたが結構昔。確か飯伏の代わりにケニー・オメガと対戦したDDT両国大会を自分は生観戦してました。

途中までは白熱してましたが、丸藤が途中から右肩を負傷、右腕を全く使えなくなってしまい、苦しいながらも投げっぱなしのポールシフトで勝利。内容的に不満が残るものでした。自分も「これ丸藤勝つんだ...。」と思ったものでした。

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それ以来対戦が実現しないまま今となり、飯伏が来場しての対戦表明。正直唐突感はありましたがそれでもスペシャルマッチとして、今のノアとは別の流れのもの。VSオスプレイ戦のような位置付けで試合するんだろうな、ただGLEATだと5vs5マッチで若手とも絡む機会があったので、1・2だけの参戦で若手と絡まないのは勿体ないな、と思ってたらまさかのメインイベント。これは結構驚きました。

 

 

確かに去年の元旦はグレート・ムタvs中邑真輔のスペシャルマッチがGHCタイトルマッチの後に特別試合として組まれましたが、これはWWEとの関係性、中邑真輔登場のプレミア感などを考えたら納得できるもの。ただ正直飯伏VS丸藤がそこまでのものかというと疑問が残ります。

1・1ノア日本武道館メインイベント!中邑真輔VSグレート・ムタは一つの「作品」だった! - 男マンの日記

そして、そう思ったのは自分だけではないようで、拳王はさっそく「拳王チャンネル」で自らの思いを激白。プロレスリング・ノアという団体がGHCヘビー級のタイトルマッチをどう思っているのか。団体が自分のところの所属選手を信じていない、と不満を述べた上で「自分の力不足もある」「団体を変えようとしてきたが力及ばなかった」「(1・2有明に)出ない、ということもある」と、微妙なニュアンスではありますがボイコットまで匂わせていました。

www.youtube.com

するとそれを受けたか、プロレスリング・ノアの母体であるCyberFightの取締役である武田有弘氏、もともとノアの社長だった方でCyberFight高木社長も「ノアは武田さんに任せてる」というほどの人物ですが、その武田さんがnoteを公開しました。

note.noah.co.jp

何度か読みましたが、要は丸藤正道がまつきりなのネットラジオに出演し、5年後の引退を名言。そのことは武田さんも知っており、丸藤には会社が苦しいときに副社長をやってもらったこともあり、彼の選手としての最終章をノアとして盛り上げたい。それもあって、大会の全体を見てメインイベントにした、というような趣旨だと思います。

 

正直自分はこれを読んであまりピンとくるものがありませんでした。5年後の引退って結構先だし、我々は直近で赤井沙希の引退を見ています。彼女のように半年間でいろんな選手と対戦し、燃え尽きるような引退ロードを丸藤が敷いていてその一環で今回のメインなら納得行くと思います。しかしまだ5年後というぼんやりした位置。

それに比べて拳王はノアのトップどころを総なめしてきたジェイク・リーを倒してGHCチャンピオンとなり、金剛で副将的な位置付けだった征矢学とストーリーを作り上げて有明に臨もうとしています。さすがに現状でどちらがメインにふさわしいかといえば一目瞭然じゃないでしょうか。そう思ってたら再びこれに拳王がツイート。

今後、1・2有明まであと一ヶ月。今後どのような展開になり、メインを巡る争いがどの様になるかわかりませんが。正直ノア側、丸藤側は旗色が悪いというかあまりピンとくる理由を提示できていないな、という印象です。

拳王が「拳王チャンネル」を使って今回も「藤波辰爾年表」などでプロモーションをしているのを見ているので、表に見える貢献度としては丸藤より拳王のほうが上なのでは?と感じてしまいますし(もちろんCyberFight副社長業務が丸藤にはあるわけで大変かとは思いますが、なかなかそれが表に見えてこないのが共感を生みにくいところだと思います)やはりGHCヘビーのタイトルマッチは団体最高峰。

新日本プロレスの1・4ドームも、DDT11・12両国もメインは団体最高峰のシングルベルトのタイトルマッチ。それをふまえても1・2有明アリーナのメインを丸藤正道VS飯伏幸太にする事について今のところまだファンが十分納得している、とは言いづらいんじゃないでしょうか。実際拳王には説得力では負けているし、何か他の理由があるんじゃないか?とも勘ぐってしまう。個人的にはそう思います。

 

これから武田氏、丸藤選手の発信があるのかはわかりませんが、拳王がどのように動くか。AbemaTVはどう絡むか。まだまだ予断を許さない1・2有明アリーナのメインイベントを巡る状況についてまとめと感想を書いてみました。こちらからは以上です。

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まあ、征矢の意見も彼らしいし、これでいいと思います。
しかし真面目に話してはいますが、チャンネル名が

そやそやテレビくん

なのはどうかと思う。頑張れ!征矢学!

ZERO1靖国神社奉納プロレス、風林火山タッグトーナメント優勝で横山佳和大歓喜!

11月25日、ZERO1恒例の靖国神社大会が行われたので行ってきました。とはいえコロナ禍の中では開催されず、今年の春予定だったのが悪天候のために延期、久々の靖国大会になりました。

 

私が最初に行って記事にした靖国大会が2016年3月。メインイベントは鈴木秀樹VS佐藤耕平の世界ヘビー級選手権試合でした。

3・27ZERO1靖国神社大会。「奉納プロレス 第13回大和神州ちからまつり」を堪能しました。乾杯! - 男マンの日記

そして次に行ったのが2020年。前田日明が祝詞を唱え、メインではNWAインタコンチネンタルタッグ選手権試合。チャンピオン岩崎永遠&佐藤嗣崇、挑戦者は火野裕士&クワイエット・ストーム。火野&ストーム組が勝利して大会を締めました。結構カオスで楽しい大会でした。

いきなりタイトルマッチ!曇り空に響く祝詞!11・3 ZERO1靖国神社大会観戦記 - 男マンの日記

そして今回。正直ZERO1靖国大会以外で靖国神社行くタイミングないんで久々の靖国神社。さすがに厳かな気持ちになりながら大鳥居をくぐって境内に。

そして靖国に来るたびに食べてる海軍カレー。最近流行りのスパイスが効いたタイプではなく、肉じゃがの延長のような素朴な味。ここでもなんとなく厳かな気分になりつつも美味しく頂きました。うんうん。うましうまし。

そして靖国神社の奥の方にある相撲場に。今回は入場無料&缶コーヒーをもらえるありがたいシステム。さすがに肌寒い空気の中ではありますが観客はけっこう多く、会場は盛況。着いた時はちょうど神主さんがお祓いをしているタイミングでした。

リング3方向にはイスが設置されていましたが、正面側にはお花見システムでブルーシートが敷かれていました。そこで靴を脱いでくつろぎながらのプロレス観戦。なかなか快適な体験でした。そんなこんなしているうちにお祓いは終了。

そしてZERO1靖国大会といえばおなじみイエス!高須クリニック!こと高須院長。この日も建物の中でゴキゲンに観戦。観客からダニエル・ブライアンばりに「イエス!イエス!イエス!」コールが起きる中、後ろに西原理恵子、そしてなぜか横にビートきよしと観戦してました。今回も大会の冠は「高須クリニックpresents」スポンサー様は神様です!

そんな中、有志による太鼓パフォーマンスが行われて試合開始。さすが「神州ちから祭り」観客もお祭り感を感じつつのスタートです。

そして試合スタート。今回の目玉は風林火山タッグトーナメント23。

もともとの参加チームは

田中将斗&横山佳和

浜亮太&朱鷺裕基

星野良&槙吾

北村彰基&井坂レオ

クリス・ヴァイス&菅原拓也

馬場拓海&斎藤拓海

佐藤嗣崇&不動力也

でしたが、この日の第二試合、第三試合で準決勝、メインが決勝戦。

というわけで、第一試合の菅原拓也&ヤス久保田&ヒデ久保田vs馬場拓海&永尾颯樹&朱鷺裕基からスタート。若手とベテランのぶつかりあいで会場を温めた第一試合は菅原拓也がラリアットで朱鷺を沈めて勝利。しっかりと差を見せました。

そして第二試合、トーナメント準決勝第一試合は北村彰基&井坂レオvs佐藤嗣崇&不動力也。とにかく試合開始とともに驚いたのは北村&井坂に対する声援の多さ!しかも子供の声援が多いのに驚きました。途中から一緒に見ていたフォロワーさんによると、北村も井坂も栃木プロレスに定期参戦中で、そこでのファンを連れてきているんじゃないか、とのこと。栃木プロレスは栃木のお祭りや野外会場での無料プロレスがメインなので子供が多く、この靖国での声援もほぼほぼ子供の声援。普段のプロレス会場では聞けない高音のあどけない声援が飛び交っていました。

一方の佐藤&不動組はベテラン&大型コンビ。当初はガンガン攻め込んでいきますが、その重厚な攻撃をなんとか受け止めた北村&井坂。二人の連携で井坂のスワントーンボム、ハンドスプリングエルボーで佐藤を排除、不動に北村が普道(ランニングニーアタック)を連続で叩き込んでカウント3。声援を味方にした北村&井坂組が決勝進出を果たしました。

 

 

第三試合は田中将斗&横山佳和vs星野良&槙吾。言わずと知れた田中&横山に対峙するのは今年の天下一Jr優勝者の星野良&元DEEPチャンピオンながらプロレスにも積極的に参戦している慎吾。こちらも第二試合と似た構図で星野&慎吾に声援が集中。しかしさすがに百戦錬磨の田中&横山組。星野&慎吾の奇襲を受け、その後もドロップキック連打を受けますが徐々に盛り返し、星野に対して横山のデスバレーボム、田中のスライディングD、横山のハリケーンドライバーはカットされるもダイビング・エルボーでカウント3。横山が星野を降して勝利を上げました。

この結果によりメインの決勝戦は北村彰基&井坂レオvs田中将斗&横山佳和となりました。まさに世代闘争!

その後、花鳥風月提供試合、謎のマーベラス・コーストプロレスリング提供試合と二試合連続でユルめの空気が流れた後に登場したのが黒潮”イケメン”二郎改め黒潮TOKYOジャパン!対戦相手の謎のWrestle-1感感じさせるマスクマン・バンビートとのシングルマッチはとにかくイケメン節炸裂!入場から会場の子供をイジり、試合も相撲場の天井をフル活用。声デカ客をイジっていったりとお祭りプロレスならではの魅せ方で盛り上がり、見事に空気をイケメン色に染め上げていました。試合もイケメンクラッチで勝利し、「大谷さんがんばってください!」と締めて退場。完璧な仕事をここで見せてもらいました。

 

そしていよいよメイン。

風林火山トーナメントの決勝戦北村彰基&井坂レオvs田中将斗&横山佳和。

第二試合、第三試合のように、今回も子供ファンの大歓声が北村&井坂組に降り注ぐ。今回は特に北村が入場時に子どもたち集めて円陣を組んだ(定番らしいです)のもあって、より北村&井坂がホームという感じに。

そうなると田中&横山がよりヒール寄りのムーブに降ってくる。最初はグラウンドでの攻防だったもののいきなり場外戦に。観客のテーブルをブン投げる田中、竹刀を振り回す横山。ブーイングというより悲鳴が飛び交う観客。いきなりボルテージ最高潮!どうなっんだこれ!観客の力って凄い!と思いながら見てると井坂が相撲場のトイレ天井からケブラーダ!定番の天井ダイブはKAMIKAZEからSUGI、そして井坂に受け継がれたようです。

いきなり温まりきった空気に乗って4人共ハイテンションで動きまくる展開。井坂が田中にフランケンシュタイナー、田中も垂直落下式ブレーンバスター、横山に北村がゼロ戦キックからの旋回式バスター、しかし横山も立ち上がって北村&井坂同時にスピアー、北村にデスバレーボム、田中がスライディングD、再び横山がデスバレーボムと攻め込み、試合のペースを掴んでいきます。

しかし北村&井坂組も飛び技で対抗、北村の流星キック、井坂のフロッグ・スプラッシュを横山に叩き込み再びの大歓声。ピンチを脱出したあとの大歓声はさらに凄いものがあります。

その勢いをかって北村がジャーマンからの普道で横山をフォールするもののこれは田中がカット。北村と井坂の合体攻撃は横山、田中が返してスピアー、スライディングD、ハリケーンドライバーと北村を二人で追い込んだ田中&横山組。井坂を田中が排除する間に横山がダイビングエルボー、初公開のリバース・マウンテン・ボムでカウント3!

田中将斗&横山佳和組が風林火山タッグトーナメントを制しました!

試合中はヒールムーブだった横山ですが、勝利した途端に大喜び。2010年デビュー、キャリア13年ながらも2AWタッグタイトル以外に目立ったタイトルのなかった横山が掴んだ栄光。これには会場もお祝いムード。北村、井坂は悔しがりますが、空気は横山を祝福していました。

試合後のマイク合戦では横山、田中が若手組に「ZERO1で一番元気なのはオッサン!オッサンがZERO1を変える」と豪語、北村も「新しいZERO1の景色を作る!」と返し、菅原拓也が「若い力で後楽園ホールを盛り上げろ」とエール。最後に横山が3・2・1・ZERO1!」で締め。今のゼロワンなりのハッピーエンドで興行は終了しました。

 

 

しかしこの1・1後楽園ホール大会、田中将斗、クリス・ヴァイス、菅原拓也、横山佳和が出場しないというアナウンスが。若手に任すってそういうこと?

wp.bbm-mobile.com

正直ZERO1はとにかく体制を安定させてほしいし、若手も出てきているのでその若手が安心して定着できるようにして欲しい。しかしまあ、そんなことばっかり言っててもしょうがないんでここはひとつこれで締めるしかない...。

イエス!高須クリニック!

あと、令和5年になっても工藤めぐみは可愛すぎました。ZERO1は聖家族!

11・23 東京女子プロレス鶴見青果市場大会に見た「あのときの東女」

今回の東京女子プロレス鶴見青果市場大会、特別だったのはこれが東京女子プロレスの団体発の大会ではなく、有志のファンが集って企画し、興行を買う形で開催した大会だったということ。それは新型コロナウイルス感染により亡くなった一人のファンに向けて。追悼の意味を込めたものでした。その一人のファン「あすかくん」のことについては鈴木健.txt氏の文章に詳しく書いてあります。よかったらご一読ください。

ameblo.jp

ちなみに前回の東京女子プロレス鶴見青果市場大会はこちら。

90年代どインディーの残滓を見た!東京女子プロレス8・4鶴見青果市場大会観戦記! - 男マンの日記

そんな鶴見青果市場。相変わらずの交通の便の悪さ。東横線綱島駅からバスで15分。鶴見と綱島の間くらいの位置にあり、イオン前のバス停「一ノ瀬」で降りると道路の向かいにある建物。現在はプロレス会場として有名なこの建物。いそいそと中に入るとほぼ満員のこの客入り。屋根があるだけでほぼほぼ野外ですがこの熱気!

今回は「あのころの東京女子」をテーマに開催されているため、試合以外のディティールも徹底的に再現。まずリングアナはあにめちっくアイドル・桃地みなみ!

 

そしてその前、前説に登場したのは東京女子プロレスOBの天満のどか、そして呼び込まれたのはみらクリあんずこと中島翔子&坂崎ユカの二人!なつかしい!東京女子初期はこの二人がタッグを組み、前説していたものでした。

坂崎ユカの東京女子プロレス卒業試合は12月2日。その直前にこの二人のトークが実現したのには胸が熱くなるものがありました。

そして試合開始前には全選手入場式。こんなのやってたかな~。と記憶もおぼろげな私ですが、記憶をなんとかたどりながら見てました。挨拶したのは中島翔子。東京女子プロレス、スタートです!

 

そして試合開始。第1試合は原宿ぽむvs中島翔子。いきなり怪獣フィギュアをばらまいて中島をおびき出す作戦に出るぽむ、まんまと引っかかる中島、前の大会でマックス・ジ・インペイラーに挑んだ中島ですが、今回一転ガラっとテイストの違う試合に。

全体的に東京女子プロレス独特のゆるくもあり、ふんわりとした空気に包まれていた気がします。ノーザンライト・スープレックスで中島がぽむを仕留めましたが、存分にぽむワールドを堪能できた一戦であり、中島翔子がイキイキと、楽しそうに闘っていたのが印象的でした。

そして第二試合。今成夢人VSスーパー・ササダンゴ・マシンVSアントーニオ本多の3WAYマッチ。とにかく一筋縄ではいかなそうな空気プンプンしてましたが、その予感は見事に的中。

いきなりDDTを卒業した今成夢人に対して説教をカマすササダンゴマシン。それに反発していく今成、相手にして欲しいアントン、3者の思惑が絡み合う中に鶴見亜門が登場してますます話がややこしくなっていきます。

そしてなぜか今成が最近なくなったフェスについての愚痴を言いだしたり、決着がつかなければ怪談を聞かないといけない新布袋デスマッチになだれこんだり...。

なんか本当に色々ありましたが、最後には妖怪大戦争みたいになってました。結果なんとなく今成が勝った気がします。試合後は大団円、DDTを卒業した今成夢人の前途へオールドDDTなりの祝い方というか。手荒い送別会というか。文化系プロレスDDTの真骨頂とも言える試合でした。面白かったですが、なんとも説明しづらい試合だったのも確かなんで、これはぜひWrestleUniverseを見ていただきたい。ずっと笑ってました。

 

 

そしてベッド・インのおギグをはさんでからセミファイナルは辰巳リカvsデモニオ!前回の鶴見青果市場大会でも場外乱闘、というかイオンまで行く会場外乱闘を繰り広げたこの二人。今回ももちろん会場内の攻防も早々に会場外に。そして横断歩道を渡ってイオンのロッテリアでの攻防、そして再び横断歩道を渡って会場に戻ることに。ちなみにここのシーンはバッサリとWrestleUniverseではカットされてました。

その後もデモニオを台車に載せて場外を走り回り、助っ人として登場したアントーニオ本多のごんぎつねからダブルのバイオニックエルボー、最後はヒップアタックで快勝。とにかく自由な、ここに場末インディ復活的な戦いをくりひろげてくれました。いや~なんか追いかけながら見たりして楽しかったです。辰巳リカの狂気溢れる一戦!

そしてメインイベントの前にのどかおねえさんが音頭を取ってのピンポンパン体操。のどかお姉さんについては各自調査でお願いしたいですが、そこにHIMAWARIらの23年組が入っていたのが感慨深い。こうしてピンポンパン体操の継承(?)が行われたはずの時間を経てからいよいよメインに。山下実優&乃蒼ヒカリ&愛野ユキvs坂崎ユカ&瑞希&ハイパーミサヲの6人タッグ。メインだけに真面目に戦うかと思いきやこれもカオスに。ただとりあえず山下実優が昔のコスチュームで登場して「ジンギスカン」を踊ったのも懐かしかった!

そして場外乱闘の末に花火大会!山下をイスを入れるカゴに縛り付けての花火!全員キャアキャア言いながらやってましたが、無表情で花火を山下に発射する坂崎ユカの狂気を見れた気がします。怖いよ!客も逃げ惑いながら観戦。一部火花が観客プレゼントのポスターに飛び散ってコゲたそうですが、半分野外の鶴見青果市場だけに損害はそれくらいだったようです。まあ、FMW-Eだと電流爆破やってる会場だしこれくらいは。

そしてその大花火大会を締めくくったのは瑞希のトラック荷台からのダイブ!このハードコアっぷり!見直したら結構高いところから飛んでてすごかったです。さすが。

リングに戻っても花火攻撃するハイパーミサヲですが、怒りの山下にしっかりと反撃されて涙目に。試合はその後6人がそれぞれ得意技を連発して入り乱れる展開に。しかし最後はまたまた花火!愛野ユキに花火を持たせた状態でのマジカルメリーゴーランドでカウント3。もうすぐ去っていく坂崎ユカがメインイベントを締めくくりました。

そして試合後は一人ひとりがマイクを持ってひとこと。改めて最後は山下実優がマイクを持ち「これからも東京女子らしく突き進んでいきます!!これからも!闘っていってよかですか~」「よかよか~」のコールで締め。このなんというかカオスな興行をエースが締め、東京女子プロレス鶴見青果市場大会は幕を下ろしました。

これがこの東京女子プロレス鶴見青果市場大会でした。一人のファンの追悼興行的な意味合いがありながら、最後までレスラーたち、ゲストのベッド・イン、桃地みなみ、天魔のどからが楽しむ姿を観客に見せてくれて、観客もそれに応えて盛り上がる。東京女子プロレスならではのよさが凝縮された大会のように感じました。

 

 

昔の東京女子プロレス(このブログでの一番古い東京女子プロレスのレポートは2015年9月の新宿FACE大会、中島翔子が赤井沙希を破った大会です。

9・22 東京女子プロレス新宿FACE大会。赤井沙希敗れる!!そして1・4後楽園ホール決定!!! - 男マンの日記

この頃は今と比べて試合レベルも低かったし、その分選手のやりとり、ストーリーに頼っていた部分もありました。しかし選手たちはのびのびと個性を発揮していたようにも感じます。今回出場選手も絞られ、その分制約も少ない上に試合以外でも暴れまわったことで今年に入ってのどの大会よりも「楽しんで試合している選手たち」を見れた気がします。それは東京女子プロレスの原点に近いものなんじゃないかと。

 

もちろん選手が増え、試合レベルも少しづつ上がってきた今の東京女子プロレスも魅力的ですが、偶にはこの日のような好き勝手やる大会があっても良いんじゃないか。それくらい「楽しかった~」と思える大会でした。楽しかったよ~!!!

プロレスファンとして「プロレス芸」騒動を振り返る。

先日起こったいわゆる「プロレス芸」騒動。立憲民主党所属の塩村あやか参議院議員が「プロレス芸」を相手を揶揄する意味で使用したポストをXに投稿。プロレスファンから総ツッコミを浴び、新日本プロレス、スターダムを傘下に持つブシロードの代表取締役社長兼CEO、木谷高明氏が撤回を要求、最終的に新日本プロレス、スターダムから抗議文が送られて塩村議員が撤回と謝罪を行う、ということがありました。

 

今回とりあえず流れを追って、自分の思いも後から記していこうと思います。

 

塩村あやか議員「プロレス芸」騒動の一連の流れ

11月23日の朝、立憲民主党所属の参議院議員、塩村あやか氏のひとつのツイート、これがプロレス界がざわっとする始まりでした。塩村議員は今、悪質ホストクラブに取り組む運動を行っており、その運動に対して一部の人達から反対意見に加えて事実と異なる解釈をされたり、そのせいでいわれなき中傷を受けている状況。その相手に対するツイートでした(現在は削除されています)

文章前半で、自らに投げかけられたデマツイートに関しての苦情を話したあと、これらをまとめて「もはやアンチのプロレス芸」とまとめています。この最後の部分がプロレスファンの反感を買い、かなりのレス(激しい言葉のものも結構ありました)がついていました。

そして、この状況を報告した人が複数人いたようで、ブシロード木谷氏がこのポストを投稿します。このあっさりとした3行の文章。「訂正するか削除するか速やかな対応をお願いします」が塩村議員への抗議となります。

が、その状況を受けて塩村議員が書き込んだのがこちら

(こちらも削除済です)

つまり、色々と批判はされているけれど、プロレスとはエンタメの世界で使う言葉で会議にもよく出てきた。つまり、怒っているファンに釘を刺すようなポストでした。

 

前職が放送作家の塩村議員、放送作家時代には「プロレス」はよく使っていたし、特に侮蔑するような言葉ではない、という趣旨の文章でした。

ただ、前のポストでは「プロレス芸」という言葉は「ひどいデマ」を放つアンチに向けてのもの。明らかにマイナスイメージのあるものに対して使っていたように読めます。

そして、自分もこのポストに返信しました。以下のものです。

自分の考えはまんま上のとおり。すべての「プロレス芸」という言葉や「プロレス例え」すべてが良くない、不快なわけじゃなく、あくまで使い方の問題。ここに「プロレス」という言葉を使う必要ないだろ、っていうところにブチこんで来たので驚いたのとイラッとしたのが事実。使い方に一定のリスペクトとか配慮が欲しい、っていうのが個人的意見です。何かしら好きなものがある人が「プロレス」をその好きなものに置き換えるとその感覚はわかると思います。

で、昔から政治家とかマスコミの政治部記者ってデリカシーなく「茶番」や「出来レース」のことを「プロレス」って例えがちだし、今回もそんな感じで終わるのか、と思ってました。木谷さんが書き込んでこんな感じなんだったらまあこれで終わりかなぁ、と思ってました。そしたら次の日思わぬ展開に。新日本プロレスとスターダムがこのツイートに対して意見書を送付した、というポストが投稿されたのです。

すると塩村議員は謝罪と撤回、ポストも消去して反省ポストを改めて投稿。プロレスファンからのメッセージを受け入れてプロレスという使用方法が軽率だった、と謝罪を行いました。

木谷オーナーと団体は、「謝罪を求めていたわけではないのでそこに意志のすれ違いはあるものの、撤回したのでこれ以上は特にないと手打ちを宣言。これで今回の塩村議員と木谷オーナー、新日本プロレス、スターダムとのやりとりは終了しました。

また、他に引用はしませんがDDTプロレスリングの秋山準、プロレスリングJTOのTAKAみちのく、そしてワールド女子プロレスの不破氏らもそれぞれ塩村議員に意見したりしてやりとりをしていました。それもこの謝罪をきっかけに収まる形になりました。

 

 

この騒動の「落としどころ」はどこにあったのか?

そしてそれから塩村議員寄りの考えを持つ人たちを中心に「プロレスファンが寄ってたかって野党の女性議員を謝罪させた」という意見が自分のTLにも散見されました。

しかし、あくまでこの件に関してはここまで書いたような流れですし、自分の考えは以下のポストの通りになります。

塩村議員が色んなところに長文で謝罪しているため、最後の方のポストだけ見ると「やりすぎだ」とか「弱い者いじめ」という意見が出かねないのもわかりますが、ではどこが落とし所だったのかというとなかなか難しいのでは?と思います。

 

よく聞く「無視したほうが良かった」というのも、何で言われたほう、特にそれを職業としている方がだんまり決め込んで受け入れなきゃいけないんだ、というのもあるし、今まで政治家や政治記者が「プロレス」例えを安易に使ってきた歴史がある中でも今回はかなりバズってしまい、ファンがかなり大きく反応(自分も含めてですが)しまったのが対処を難しくしてしまったように思います。

ただ、そもそも塩村議員が木谷オーナーが指摘した時点で対処してれば団体が抗議文を出すこともなかったわけで、もうすこし平和に済むタイミングはあったように思います。しかしながら木谷オーナー側もいきなり表に抗議文を出す、とかではなくもうちょっと根回しして穏便に済ませられなかったのか。いきなり抗議文出すというのも大げさではありますし、互いにもう少し対話ができればもうちょっとふんわり着地できたんじゃないか。けっか塩村議員がわりと過剰に謝罪したことでプロレスファン自体も「めんどくさい」イメージになってしまいましたし、「プロレス」という単語がちょっと腫れものみたいになりつつある、と感じました。

 

これからについてですが、もちろんプロレスファン、関係者が毎回寄ってたかって誰かが「プロレス」を例えに出した途端に総叩きする必要もないですし、一定のリスペクトを持って「プロレス」「プロレスたとえ」を使ってくれるなら歓迎しますしいちいち「プロレス警察」と言われつつ指摘していく必要もない。

ただプロレスファンとして「この例えは納得行かない」とか「この例え方にはリスペクトがない」とか感じたらそれは言わせてほしいところですが。すべてを糾弾したいわけではないし、相手の党派性で対応を分けているわけでもない。シンプルに「プロレス」というを使うなら最低限のリスペクトはあってほしいな、と思って日々生きてます。

 

ちなみにこのたび、先日引退された赤井沙希選手の自伝のお手伝いをさせていただきました。私も読みましたが、赤井さんの気持ちいいくらい筋の通った人柄が端々に現れているような一冊。DDTプロレスリングの中で、唯一の女子レスラーとして活躍した赤井さんの人生観、「家族」と慕いあうレスラーたちとの日々、父、赤井英和との関係性など、読み応えのある一冊です。ファン必読!

プロレスファンとしてむしろ使って欲しい「プロレスたとえ」

そして、私は実際「プロレス」という言葉を普通の意味というか「暗黙の了解がある中で互いにエンタメとしてケンカするなりして場を盛り上げてゴールに向かっていく」くらいのニュアンスで使うのは全然アリ(このたぐいの例えはお笑い芸人が一時期よく使っていたように思います)だし、むしろプロレスファンとしては沢山「プロレス」という言葉が使われて欲しいと思ってます。

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そこに関しては「久田将義×吉田豪の噂のワイドショー」で語られていることに賛成(まあ、いつの時代のどの団体のプロレスか、とか言い出すともうプヲタ同士の会話にしか使えないですけど)ですし、そこはやっぱり「一定のリスペクトをしてほしい」ということに尽きます。そのうえで「プロレス例え」をしてもらえたらこちらも喜びますし、大歓迎だ、ということはこれを読んでる方に知っていただきたい。個人的に好きなプロレスたとえは「あちこちオードリー」での中山ヒデちゃん。受け身を取る「プロレス」と取らない「UWF」で今田ら大阪勢とのやりとりと自分たち東京勢の中でのやりとりを例えたものでした。

7月7日放送「あちこちオードリー」中山秀征、今田耕司との確執は「エンタメだと思ったらUWFだった」 - 男マンの日記

この動画は、狩野英孝が「プロレス」という言葉を使うのをやめた」というニュースに対するものですが、個人的には多少雑に使ってくれてもそこからプロレスって何か、どういう面白さがあるかを話すきっかけにもなりますし、なるほど!という気付きもあるはず。

 

 

今回のことが言葉狩りみたいになってしまい、世間から「プロレス」という単語が減っていくのが一番よろしくないと思ってるので、世間の人にはぜひ「プロレス」という単語や「プロレスたとえ」を使って欲しい。ただちょっとだけ配慮してくれるとありがたい。結論として、「プロレス」「プロレスたとえ」を使う登喜は

聞いてバカにしてたりイラっとしたら言いますが...。でもそれ以外は基本歓迎です!

ということで、僕からは以上です!

赤井沙希ついに引退。11.12 DDT両国国技館大会。リングを埋めた惜別の紙テープ。

11月12日、DDT両国国技館大会に行ってきました。この日はいよいよやってきた赤井沙希の引退試合の日。そもそも引退会見を行ったのは今年の5月24日。

私は強く気高く美しくをモットーにリングに立ち続けて参りましたが、10周年を迎える節目の年にけじめをつけることでそれが完成されるのかなと思いました。

私、赤井沙希はデビュー10周年を迎える今年2023年11月12日、デビューした場所でもある両国国技館にてプロレスラーを引退することを決意いたしました

と引退を宣言、そして同席した大社長、高木三四郎に

DDTを好きになってくれてありがとう。あなたは本当にDDTの家族の一員です。引退しても家族の一員だから。だから赤井さんの引退ロードはDDTが責任を持って美しく送り出したいと思います

と言葉を贈られて大粒の涙を流した赤井沙希。

そして、そのときは永遠に来ないように思われた11月12日の引退試合がいよいよ来てしまいました。

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しかし、赤井沙希の「引退試合」はこの日だけではなく、11月3日。まずDDT新宿FACE大会では平田一喜とのシングルマッチ。TOKYO GOを踊り、DDTの選手たちからメッセージを受け、最後はケツァル・コアトルで締めた一戦。どうしても「華やかなセレモニー」になることが確定している引退試合より、「DDTの選手たちとの別れの試合」の意味が深い一戦でした。

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そしてその日の夜、同所新宿FACEで行われた東京女子プロレス。ここでも赤井沙希東京女子ラストマッチ。赤井沙希&上福ゆきvs辰巳リカ&ハイパーミサヲの試合後、辰巳リカのビンタからvs全選手の展開に。参戦していた選手全員だけでなく、OBの天満のどか、ミウラアカネ、そして甲田代表も参戦(甲田代表は返り討ち)にあう展開に。

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こうして東京女子プロレスにも別れを告げた赤井沙希。11月3日こそ、赤井沙希がDDT、東京女子プロレスとの決別の1日だったように思います。

 

数々の「引退試合」はありますが、このようにきっちりと団体との別れを積み重ねていった選手はあまりいないんじゃないでしょうか。ここには赤井沙希という存在がそれぞれの団体の中でどれだけ大きかったか。どれだけ愛されていたかが現れているように思います。そして、いよいよ迎える11月12日。DDT両国大会...。

DDT両国大会は最近のDDTではかなりの盛況。赤井沙希引退試合に加え、黒潮”イケメン”二郎改め黒潮TOKYOジャパン、新日本プロレスから高橋ヒロム、AEWからクリス・ジェリコが参戦するという気合の入れよう。ここにも赤井沙希引退試合に向けてのDDTの気合が感じられました。

 

 

試合は進んで第八試合、赤井沙希引退試合~強く、気高く、美しく~

赤井沙希&坂口征夫&岡谷英樹 vs 丸藤正道&樋口和貞&山下実優

煽りV、入場、もうすでに出来上がっている空気、引退試合ということでまずはイラプションでの記念撮影、そして試合開始で先発は赤井沙希と山下実優。東京女子プロレスでも何度も肌を合わせている二人。ともに10年間闘い続けて来た同期の二人の手合わせから試合はスタートしました。

そしてその後は樋口VS岡谷、新旧イラプションの二人のぶつかり合い、そして坂口と樋口。イラプションの組み合わせ、赤井の故郷のユニットでの空間が続きます。

しかしそこで丸藤がリングイン。いきなり飛びつき三角絞めを極める坂口。一気に空気が張り詰めたところで現イラプション3人での合体攻撃。3人でのサッカーボールキック、ロープへの磔、イラプション最後の刻を味わうようなひととき。しかし他の二人がカットに入り、場外戦になってから空気は一変します。

山下のエプロンを走ってのキックを食らい、リング内に呼び戻された赤井は丸藤と対峙。その強烈なチョップを喰らいまくる展開に。引退試合にもかかわらず過酷な状況の赤井に観客からは赤井コール。顔面蹴りから山下にタッチした丸藤、山下もサッカーボールキック、髪を掴んで立とうとする赤井に蹴りの連打。蹴りまくった上に片羽締め、カットに入った岡谷を場外に蹴り出し、寝かせた赤井にローリングキック。そして樋口にタッチ。

赤井の前に立ちはだかる樋口、アバラッシュ・ホールドでカウント2、檄を飛ばす坂口、それに答えるようにヘッドしサーズホイップからのビッグブーツで樋口を倒してようやく坂口にタッチ。この時間、とにかく相手の技を受けまくった赤井、だいぶグロッキーになりながらリング下に転がり落ちる疲弊ぶり。そして坂口VS樋口、坂口VS丸藤と繰り広げられるバチバチの打撃戦がリングでは繰り広げられる、赤井沙希を送るだけじゃなく、闘いを最後まで見せるという気概を感じるファイト。特に最も若手の岡谷が果敢に丸藤に挑んでいき、なんとか成長を見せようという意地。それをコーナーで起き上がって見つめる赤井沙希。岡谷を見て頷きタッチ。再び山下実優と対峙します。

 

そしてこれからは互いの10年間を確かめるような攻防。赤井のコーナーからのクロスボディ、山下の三角跳び延髄斬り、赤井のジャンピングミドルキック、膝立ちの山下にバズソーを決めてからのケツァル・コアトル!これはカットされリング上は乱戦となりますが、赤井が丸藤にスーパーマンパンチを決めて排除すると再び山下との一騎打ちに。互いに雄叫びを上げ、ミドルキックの蹴り合い。互いにミドルを掴んでからのハイキック交錯、ビッグブーツから坂口、岡谷二人で山下への新人賞!

しかし、樋口、丸藤が二人を排除すると一点赤井が丸藤、樋口を相手する展開に。丸藤のトラースキック、樋口のヘッドバットを食らった赤井は大ピンチ!山下のアティテュード・アジャストント、クラッシュ・ラビットヒートを連発で喰らうもなんとかカウント2でキックアウト、絶体絶命の中、他の4人はあえてリングを降りて二人きりに。

 

山下実優、フラフラと立ち上がる赤井沙希に向けて渾身のスカルキック!

かかとが側頭部に見事にヒット!

フォールする山下!

1・2・3 木曽レフェリーがマットを叩く!

 

赤井沙希引退試合、こうして終演を迎えました。

倒れながらも坂口、岡谷に感謝を告げている(であろう)赤井沙希。

山下実優もスカルキックという難しい技を、一度しかない赤井沙希最後の瞬間にしっかり決めて赤井をしっかり「介錯」した。大役を果たした、素晴らしい瞬間でした。

そして引退試合から引退セレモニーに。今までの歴史をたどるVTRが流れてからドレス姿の赤井沙希が再び入場。いろんな選手からのメッセージが流れ、関係者からの花束贈呈がありましたが、個人的にやはりぐっときてしまったのは坂口征夫からの花束贈呈。深々と頭を下げる坂口征夫、感極まる赤井沙希、本当に父親が娘を送るような絵。私も関係ないのに思わず涙していました。

そしてセレモニー終了、テンカウントゴング後の紙テープ、すごかったです。

こうして赤井沙希は無事、引退していきました。

これからも裏方としてDDTに関わるという赤井沙希ですが、レスラー赤井沙希はこの日が最後。この日は本当に観客へ向けての引退試合。4000人を超えた観客が赤い酒の引退を見守り、そして最後に大量の紙テープでリングを埋め尽くした。最後に素晴らしい空間を演出したDDTとこの日集まった観客、彼ら、彼女らに愛された赤井沙希。本当に心に残る引退試合、引退セレモニーでした。

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そして、このあとバックステージでの会見。ここで観客誰もがちょっと気になっていたであろう父「赤井英和」への質問が飛び、その答えで赤井のDDTへの思いが伝わってきました。そのコメントはこちら。

直接父に電話しました。

電話出て、最初は誰かわかんなかったみたいですけど...。

娘の沙希です、10年間プロレスをやって、今度の日曜に引退してリングを降ります、って報告しました。

お疲れ様でしたでええんちゃうか、って言われました。

 

皆さんが考えるように、現実は美談じゃないです。

改めてそれを感じて、私は電話してよかったと思うし、この人生で良かったと思ってます。

この思いがなければ人が優しくできなかったし、DDTのみんなとも出会えない人生だと思うんで、この人生で良かったと思ってます。

 

DDTのみんなは家族なんで、改めてそれが全てじゃないな、と思いました。

上手くいっていない父との関係性、「家族」と話すDDTとの関係性。赤井沙希をというプロレスラーを産んだのはこのような環境があったかと思うと複雑な気持ちになりますが、それでも本人の感情は色々あるにせよ「プロレスラー赤井沙希を見せてくれてありがとう」という気持ちも生まれてきてしまうほど。

それだけDDT、東京女子プロレス、そして見ていた自分にとって赤井沙希というレスラーの存在は大きかったように思います。図抜けた身体能力やガツガツとした野心があるわけではなかったけれどその美意識、凛とした表情、全体に溢れる品格に圧倒されるようなレスラーでした。「赤井沙希がいる」という大きさを、我々はこれから知ることになるはず。

 

赤井沙希選手、10年間お疲れ様でした!
DDTで闘い、華でいてくれてありがとうございました!

 

ちなみに赤井沙希、現在DDTへの恩返しクラウドファンディングを開催中。天使かよ!協力したい方はぜひ。目標額600万!もうすぐ100万円に到達しそうな状況です。

www.atpress.ne.jp

そして少々宣伝ですが、本日発売(会場売りはありましたが、書店では21日発売になります)の赤井沙希選手自伝「強く、気高く、美しく 赤井沙希・自伝」ですが、私データ収集で少々お手伝いしています。

インタビューした尾崎ムギ子さんいわく、かなり赤裸々に赤井選手が語っているということなので「人間・赤井沙希」を知りたい方はぜひご購入を!よろしくお願いします!

ぼくらは格闘探偵団~阿部史典VS野村卓矢に見た闘いのワンダーランド

2023年10月12日に新宿FACEで行われた「ぼくらは格闘探偵団」を観戦してきました。私達が待ちに待っていた阿部史典の自主興行。阿部史典のファイトスタイルから、また師匠が澤宗紀ということもあり、どことなく昔、1995年から2001年まで活動していたプロレス団体「格闘探偵団バトラーツ」感じさせる興行になるんじゃないか、と思い即購入。

バトラーツと聞いてどういうファイトを思い浮かべるか、というといわゆる「バチバチ」スタイル。もともとUWFから分派した「藤原組」のメンバーだった石川雄規を中心に若手レスラーが立ち上げた「格闘探偵団バトラーツ」

UWF系ではありましたが先行のUWFインターナショナル、パンクラス、リングスのように有名選手が全くいない現状でサヴァイブしていくためにとにかくハードヒット。藤原組長の求道的なレスリングをベースに過激さをプラス、とにかく頭を蹴りまくり、ダウンしても立ち上がり、掌底でボコボコ殴り合う。と思えばロープワークやトップロープからの攻撃もOKなど、ハードコアUWFとも言うべきファイトを繰り広げた特異な団体でした。

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そして、その過激なファイトスタイルの割に、新日本プロレスでJrチャンピオンになる田中稔、WWEでKAIENTAIの一員として活躍するショー・フナキ、PRIDEで一躍ブレイクしたアレクサンダー大塚、今もプロレスリング・ノアで活躍すrモハメド・ヨネ等格闘系だけでなく幅広くスターを排出している特殊な団体でもあります。

 

そして、そのバトラーツの一員だった澤宗紀がきっかけでプロレス入りした阿部史典。その阿部史典が自分の中のバトラーツを令和の今再現するべく開催したのがこの「ぼくらは格闘探偵団」ちょっと出遅れて入場したら観客は超満員!すご!

入場したのが第二試合の途中でしたがWrestleUniverseで配信してるので第一、第二試合は配信で見ました。全カードはこちら。

○第1試合 30分一本勝負
鈴木秀樹(フリー) vs 飯塚優(GLEAT)

○第2試合 30分一本勝負
佐藤光留(パンクラスミッション)&“brother”YASSHI(ダブプロレス) vs 日高郁人(ショーンキャプチャー)&タノムサク鳥羽(フリー)

○第3試合 30分一本勝負
スーパータイガー(ストロングスタイルプロレス) vs 矢野啓太(プロフェッショナルレスリングワラビー)

○セミファイナル 30分一本勝負
石川雄規(フリー)&関本大介(大日本プロレス) vs 池田大輔(フーテンプロモーション)&藤田ミノル(フリー)

○メインイベント 30分一本勝負
阿部史典(格闘探偵団) vs 野村卓矢(大日本プロレス/格闘探偵団)

第1試合の鈴木秀樹VS飯塚優からいきなり面白い。爽やかUWF系ファイターの飯塚がキックベースで正攻法で攻めていくところを鈴木秀樹がCACCのテクニック、えげつない頭突きや突然のドロップキックなど、あくまでUWFはルール、俺は俺、というファイトで迎撃。しかし飯塚も卍固めを狙ったり三角絞めで締め上げエスケープを奪ったりと対抗しますが、腹固めの体制から側頭部にエルボー連打というえげつないフィニッシュで鈴木秀樹勝利。いきなりピンポイントでバトラーツをブチこんでくる鈴木秀樹、流石です。

第2試合はバトラーツ生え抜き日高郁人含むタッグマッチ。意外なYASSHIのテクニック、佐藤光留と日高郁人のUWF的攻防も面白かったですがここに入った鳥羽さんの説得力!パンチガンガン入れまくり、YASHHIもガンガン頭突きで対抗。UWFとプロレスの境界が曖昧なしばきあい&極めっこが続くタッグマッチ。脇固めで光留が勝利したものの、この試合も濃厚な時間が過ぎていきました。

 

そして第三試合。スーパータイガーVS矢野啓太!異色過ぎる対決!しかし意外にも手が合うこの二人。矢野のねちっこいレスリングに対して「剛」のスーパータイガー。

ゴツゴツとしたスーパータイガーに、矢野啓太はUWF&アメリカンスタイルで対抗。ネッククランクで見せるプロレス。とにかく何度でも見たいような試合。

序盤から中盤は互いを確かめ合うようなグラウンドの攻防から終盤一気に打撃戦に、キックで何度もダウンを奪い、起きあがろうとする矢野の顔面にサッカーボールキックを叩き込んでスーパータイガー勝利!最後はタイガーの怖さが際立った一戦でした。強者同士の試しあい、という趣の一戦でした。

 

 

ここで休憩、そしてセミファイナルはいよいよ「あの頃のバトラーツ」石川雄規と池田大輔が対決するタッグマッチ、石川雄規&関本大介vs池田大輔&藤田ミノル。

「格闘探偵団バトラーツ」の2大エースとして並びたち、競い合った二人。今や石川56歳、池田55歳となりながら今なりの「バチバチ」をやっていく姿には宗が熱くなりました。脇を固める形の関本、藤田ミノルの的確な試合作りも功を奏し、石川と池田の過激すぎる同窓会というか。

存分にしばきあった石川と池田、最後は石川が変形のレッグロックで池田からギブアップを奪って試合終了。バトラーツ同窓会のラストは車座になってのグータッチ。バトラーツもですが、関本大介VS藤田ミノルも見たくなりました。爽やかなハッピーエンド!

 

そしていよいよメインは阿部史典vs野村卓矢。試合前にはバトラーツ初代リングガール、宮内美穂さんからの花束贈呈からスタート。「アストロノーツ」としてタッグで活躍している二人、気心知れた、志を同じくする二人による一騎打ち。

 

ゴングが鳴り、ヘッドしサーズ、ヘッドロックからの腕の取り合いという立ち上がりだったものの、すぐさまパンチ、噛みつき、張り手とバチバチモードがオンに!しかもスタンドだけでなく相手が倒れても蹴りまくり、踏みつけ、膝を落とす!とにかく相手の身体を痛めつけ合うファイト。信頼感があるからこそとはいえ、シンプルに寿命が縮みそうなファイト。観客ガンガン湧く中でなんか見ててヘンな物質湧き出るファイト。これが...バトラーツ...。

 

そしていつのまにか阿部が流血、野村がバチバチ蹴っていく中でドラゴンスクリューで返す阿部、それでも蹴りの連打から踏みつけでダウンを奪う野村、立ち上がる阿部、バトラーツルールはダウンカウント取ってても立ち上がりそうだったらガンガン試合再開して蹴っていくのがスピード感あって良かったです

しかしその打撃戦もエスカレート、顔面パンチの応酬から頭突き、しまいには膝立ちになっての頭突き合戦。脳揺れまくり、客湧きまくり。10分経過、15分経過とテンションも上がっていき、伊良部パンチからのお卍固めと阿部史典得意のコンボ!しかし野村が逆エビで返す!懸命に這ってロープを目指す阿部!しかし中央に引き戻す野村!そころすかさず前転して返してアキレス腱固めを決める阿部!ぎりぎり締め上げ、懸命に野村が張り手で挽回しようとするもさらに締め上げたところでついにタップ!阿部史典が20分近い攻防を制し、自らの興行のメインで勝利を飾りました!

 

試合後にマイクを持った阿部はこの興行をやれたこと、そして観客と野村卓矢についての感謝を述べました。

本日、バトラーツ興行楽しかったですか?

これがバトラーツか結局わからないですけど、自分は....あっ、

バトラーツって勝手に言っちゃいましたね

自分はこれがやりたくて、ちょっと時間がかかったかもしれないんですけど、本当に色んな人のお陰でこんなにたくさんのお客さんが来てくれて...。

ちょっと泣いちゃおうかな、と思ったんですけどまだ大丈夫でした。

 

今日が集大成って野村さんが言ってましたけど...

今日が集大成なんかじゃなくて、始まりだよ野村さん!!!

1つ、プロレスラーになって本当に良かったのは野村さんに出会ってここまで来れたこと。野村さんがいなかったらこの大会出来なかったので、本当にありがとうございます!

そして野村は

阿部さん!こんなに殴られて負けて、最悪な気分だよ!

ただ、アンタは最高のプロレスラーだ!

今日はありがとう!

二人はガッチリ握手、去っていきました。

こうして終わった「ぼくらは格闘探偵団」興行。全編に「格闘探偵団バトラーツ」への経緯とこだわりの見える、楽しい興行でした。シリアスな闘いではありますが、その中にバカ騒ぎというか、カラっと明るい殴り合いプロレスというテイストがしっかりと感じられたのが楽しめた原因かも知れません。

正直またやってほしいけど参加選手の寿命が縮むのが心配なんで適度なペースでお願いしたい。それにしても阿部史典と野村卓矢、志を同じくして信頼できる仲間がいる、って素晴らしいなと改めて感じさせられました。ずっと青春で痛くありたい。ありがとうございました。